eバイク旅ノート Vol.104 eバイク日本一周44「夫婦で語る日本一周ぶっちゃけ裏話。西日本編」

2023年と2024年、トータル237日間かけて夫婦で日本一周をした。ここまでの旅ノートでは語れなかったことや、旅を終えて感じたことや忘れられない思い出などなど、改めて西日本の旅をトークで振り返ります。

※K=かんいち、H=ヒロコ

西日本の旅スタート

K
「お疲れさまでした!1万kmも良く走ったね」
H
「ホントだね。自分でも信じられない」
K
「では、今回は西日本の旅を振り返りたいと思います。まず出発だけど、時期を早くしたんだよね」
H
「そう、東日本の時、北海道は良かったけど、その後の東北関東が35~36℃連日の猛暑できつかった。熱中症の心配もあるし、西日本は早目に出発しようって話していたら……」
K
「3月と思っていたんだけど、なんと!検査で大腸ポリープが見つかって手術に。結局、出発は4月に」
H
「まさかだったね(笑)。でもあれが逆に良かった。3月が予想外に寒かったし、4月5月は丁度いい気温だった」
K
「虫の知らせというやつだよ、んっ、ちょっと違うか(笑)。あと装備も少し変えたんだよね。まず予備バッテリーをなしにした。僕たちが乗ってるYAMAHA WABASH RTとCROSSCORE-RCは大型バッテリーが大きな利点で、東日本を旅したときに満充電で平地なら100km以上走れることがわかった」
H
「そう。それで私の体力で1日100km走ることはほぼないから(笑)。予備バッテリーをなくそうということに」
K
「その代わり調味料とかミニテーブル、イス、カセットガスコンロなど、キャンプ用品を充実させた。キャンプをすれば宿泊費も節約できるしね」
H
「そうなんだけど、実際はキャンプするには暑すぎた。いまは意外とキャンプ場も高いんだよね」
K
「ホテルより高い所もあったよ。まあ、大きな町ならネットカフェもあるし、何より宿の方だとエアコンが効いて体が休めるしね。
H
「それでいつの間にかビジネスホテルやゲストハウスが中心になって…… 結局、途中でキャンプ用品は半分くらい送り返したんだよね(笑)」
K
「あははは、予定通りにはいかないのが旅です」

旅の装備
予備バッテリーを減らした代わりにキャンプ用品を増やしたら、なぜかトータルで約5kgもアップしてしまった。eバイクなら許せる範囲内?
バックミラー
ヒロコから後ろの安全を確認したいから大きめのバックミラーを付けたいとリクエスト。ネットで探しまくって見つけたのがこのミラー

いきなり暗雲が

K
「これはヒロコに話したか覚えていないんだけど……。旅を始めて2週間ぐらい、腕がずっと痛かったんだ」
H
「聞いたかな? 何だったの?」
K
「最初はどこかの筋でも痛めのかなぁ?と思ったんだけど、1週間以上過ぎても痛みが引かない。何が原因かずっと考えてて……」
H
「原因はわかったの?」
K
「たぶん筋力が落ちていたんだと思う。東日本が終わってから8か月間、まったく運動してなかったし、ほとんど自転車にも乗ってなかったから」
H
「確かに。でも、そんなことあるんだね」
K
「あと、ヒロコのCROSSCORE RCはフラットハンドルだけどWABASH RTはドロップハンドル、前傾姿勢になるだから、腕に負担がかかるんだ」
H
「ふ~ん」
K
「旅を続けることで自然と筋肉が付いてきて、痛みも徐々になくなっていった。まあ、おじさんで老化してるってことです(笑)」
H
「あははは……確かにお互い60歳過ぎてるからね~。私も名古屋で血尿が出たときはビックリした」
K
「名古屋のホテルで。ふたり共、血尿の経験がなかったし。何の病気かわからない。ネットで名古屋市内の病院を探したらすぐに見つかって、すぐに行った」
H
「診察を受けたら軽い“膀胱炎”と診断されて、薬も買って。翌日は休養日にして移動せず、その後は薬を飲み続けていたら自然と直った」
K
「病名がわかると安心するよね」
H
北海道の時は高熱が続いて大変だったけど、今回はひどくならなくて良かった」
K
「旅先での病気や怪我は辛いからね。そういえば病気じゃないけど、熱海の坂は辛かった~」
H
「あれね。友達の家が急坂の上にあって、そこへ向かう道が信じられないくらい急勾配」
K
「傾斜はどんどんきつくなっていって、ついに一番軽いギヤで、さらにアシストを一番強いHIモードでも、動けなくなった。どうにもならなくなって、結局車で迎えに来てもらったんだけど、あんなことは初めて」
H
「あそこはeバイクじゃなかったら、絶対に行こうと思わなかった。荷物がなくても上れなかったと思う。でもあの体験があったから、その後どんな急坂が目の前に現れても怖くなくなった」
K
「確かに!どんなにきつい坂が現れても『熱海の坂に比べたら楽だね~』って笑えるようになった」
H
「経験値は大きい」

静岡県を西へ
静岡県を西へ。壮大な太平洋をバックにパチリ。スタートして5日、このころは右腕の痛みが続いていて、今後どうなるのか不安を抱えていた
エルドラード森町
静岡県森町の『エルドラード森町』はヤマハの電動アシスト自転車販売店。SNSを通じて交流、eバイクで一緒に森町周辺をサイクリング

思い出多き四国

K
「西日本、特に四国では自転車旅人、特に外国人旅行者との出会いが多かった」
H
「ほんと。美波町のゲストハウスに泊まっていたオーストラリア3人組おじさん。東洋町のキャンプ場で出会ったベルギー人カップル。73歳のお遍路ドイツ人サイクリストもいたね~」
K
「そうそう。途中で出会ったドイツ人のおじさんが、先の道路から崖の下にカメラを落としちゃって大変なことになっていた」
H
「覚えてる。かんいちが崖の途中にあるカメラを見つけて、崖を下って行ったんだけど。断崖絶壁だったから落ちないか、心配したよ~」
K
「無事救出できて良かった。それから“しまなみ海道”も自転車が多かったね。外国人だけでなく日本人もいた。島々の景色もきれいだし、橋も面白い。サイクリストの聖地だからね」
H
「何度か見かけた自転車の外国人女性に声をかけたらイスラエル人だった。歳も近そうだったし、親近感がわいた」
K
「しまなみ海道は次の島へ渡るとき、必ず長い坂道があるから意外と体力使うんだよね。僕たちはeバイクだからいいけど、イスラエルの人も汗だくできつそうだった」
H
「私たちはeバイクなんだよって言ったら『それはいいアイデアね、私も次は絶対にeバイクにするわ!』って笑ってた」
K
「僕たちも坂を上りながら『eバイクで良かった~』って何度思ったことか(笑)。それから四国といえば“四国カルスト”も忘れられない」
H
「ある意味、西日本で一番苦労したところかも」
K
「泊まって充電をしようと思っていた天狗高原キャンプ場が定休日で泊まれず、電源のない無人キャンプ場へ変更になったり。峠道に入る前にバッテリー充電させてもらう予定カフェに着いたら、定休日でもないのに休み(笑)」
H
「周りにお店もない田舎の集落だったから、絶望的な気分だった」
K
「充電をお願いできそうなところはないかウロウロ探していたら、週末だけ営業していう食堂があって。平日だけど行ってみたら、偶然オーナーさんが作業に来ていた。事情を話したら快く充電させてくれて」
H
「あのときは嬉しかった。休業日なのにお昼ごはんも食べさせてもらったんだよね。不思議なことに困っていると、必ず助けてくれるが現れるんだよね」
K
「ありがたかった」

ベルギー人カップル
徳島県のキャンプ場で知り合ったベルギー人カップル。日本で買った自転車で四国旅。朝から目の前の海で泳いだり、旅を楽しんでいた
四国カルスト
雄大な景色が広がる四国カルスト、絶景の中で一晩キャンプ。バッテリーの充電に苦戦しただけに、この景色が目の前に広がったときは嬉しかった

お気に入りのチェーン店

H
「ありがたかったと言えば、ファミレスの『ジョイフル』もよく行ったね」
K
「うん、お世話になった。九州を中心に展開するファミレスのチェーン店なんだけど、かなり小さな町にもあるし、ランチが何と500円!」
H
「九州を走っていた時はとにかく暑くて、少しの時間でもエアコンの効いたところで休みたかった。一方では節約しなきゃ、という気持ちもあるし」
K
「そんな時にジョイフルが現れると、輝いて見えて、まさに救世主って感じだった」
H
「もう一つお世話になったのが全国展開しているネットカフェ『快活クラブ』」
K
「ブースは狭いし、プライバシーはそれなりだけど、エアコンは効いてるし、予約なしで気軽に泊まれるのがいい」
H
「それは大きいよね。シャワーも浴びられるし、ドリンクも飲み放題。パソコンも使えて充電もできる。特にお盆の時期は、ホテルがどこも満室で泊まれなかったから、本当に助かったわ」
K
「最初の頃は『音楽がうるさくて眠れない』って言ってたけど、終盤は余裕で寝てたもんね」
H
「対応力が高いから(笑)。 それから九州のホテルチェーン店“AZ HOTEL”も思い出に残っているわ。九州各地にあって田舎の小さな町にもある。朝食付きで値段も良心的。自転車を室内で保管してくれたり、チェックイン時間を調整してくれたり、臨機応変に対応してくれて、とても親切だった」
K
「同感! また泊まりたいね」

快活クラブのマットのブース
ネットカフェ『快活クラブ』マットのブースはこんな風に隣のブースと繋げることも可能。狭く見えるが全身を伸ばして眠ることができる
ジョイフル
お世話になったファミレスが『ジョイフル』。地元密着、みんなに愛されているジョイフル、老人の憩いの場になっている店舗もあった

出会い

H
「出会いも西日本は多かった。全国の知人友人が車で会いに来てくれたり。SNSで見ていて、声をかけてくれた人もいた」
K
「そうだね、数十年ぶりの再会、家に泊めてくれた友人もいた」
H
「友人以外にも自転車旅の様子を見てジュースやスポーツドリンクを差しれしてくれた人。車の窓から『がんばってー♪』と応援してくれた人も」
K
「嬉しかったし、すごく力になった。それから縁があったのはオーストラリアから来た自転車旅行のフランさん。白川郷、飛騨高山、平湯温泉、松本と何度も再会。楽しかったなぁ」
H
「それから、お孫さんとふたりでサイクリングで能登半島を目指していたり、半分壊れた自転車で旅していた大学生2人組もいたわ」
K
「ふたりはその後無事佐多岬にゴールしたらしいよ。忘れられない人、出会いがいっぱいあった」
H
「自転車旅が初めての人間が、それも60歳を過ぎた女性が1万kmも走ったんだから、信じられない」
K
「運動嫌いなのにね(笑)」
H
「そんな人が日本一周できたんだから、きっとやろうと思えば誰でもできるはず。みんな勝手にできないとか、無理とか決めつけているだけなんだと思う。私の中に眠っていた力を引き出してくれたeバイクに感謝」
K
「さあ、次はeバイクでどこへ行く? 世界を走ろうか?」
H
「えーーーっ!?」

ほどほど
9年前、旅行中に心筋梗塞になりお世話になったのが知多半島にあるゲストハウス『ほどほど』のこっすーとななさん。再会できて良かったー♪
フランさんと
白川郷の宿から偶然何度も再会、自転車で日本を旅行していたオーストラリア人のフランさん。この旅の後、カナダの大学へ留学したという
夫婦日本一周の旅で走ったルートマップ
これが夫婦日本一周の旅で走ったルートマップ。あらためてふたり共、1万km以上も良く走ったと思う。
イラスト:藤原かんいち

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