eバイク旅ノート Vol.109 「やっちゃえば!?eバイク日本一周(準備編3)自転車に何付ける?」

eバイクで日本一周を実現するために必要なことは? 計画編から準備、実践編まで、夫婦で実行した日本一周の経験を元にアドバイスします。今回は準備編3、自転車アクセサリーやバッグ、スペアパーツなどです。

準備編3

アクセサリー類

キャリヤ

日本一周は走行距離も長く、期間も数か月単位になるので荷物も多くなる。実際日本一周の出発前、何キロぐらいあるのか計ってみたところ、僕は約35kg。ヒロコは約25kgもあった。
フレームやサドル、フロントフォークなどに直接バック類を装着する“バイクパッキングスタイル”でも行けるが、バランスが良く、安定性が高く、さらに荷物もたくさん積めるキャリヤ装着をおすすめする。
僕の場合はリヤキャリヤはヤマハがアクセサリーとして販売しているミノウラ・ MT-800Nを装着していた。スチール製なので丈夫、ぶつけて多少曲がっても直せるのが利点。ダボ穴まで距離があったので、別売りのシートポストクランプを使って装着した。
キャリヤを選ぶときは、乗っている自転車のタイヤサイズに適応しているか?  取り付けネジの位置が適合するか? ディスクブレーキ車両に対応しているか? などに注意しよう。
僕のヤマハ・WABASH RT(ワバッシュRT)にはフロントフォークにダボ穴があったのでサイドバッグ用にアデプトのローライダーフロントラックを取り付けた。フォークのダボ穴に直接ボルトで固定していたためか、振動でボルトが折れるハプニングが2度発生。同キャリヤを装着する場合はフォーククランプ&プレートを使って固定した方が良さそうだ。
他にも様々な種類のフロントキャリヤがあるので探してみよう。また近年はフォークの側面にアダプターで取り付けるフォークバックもある。荷物の量や好み、全体の重量バランスなどを考えて選ぼう。

アデプトのローライダーフロントラック
日本一周で使ったアデプトのローライダーフロントラック。いまは積載量の多いサーリーのナイスラックが気になっている
ミノウラ・MT-800N
ミノウラ・MT-800Nリヤキャリヤはシンプルで丈夫なことが利点。1万km以上走ったが、折れなどもなく頑丈だった

フェンダー

フェンダーはなしでも走りに支障なないが、必ず雨の日も走ることになるし、水たまりを走っただけでもフェンダーがないと全身泥水だらけになるので、できれば付けましょう。
フェンダーは大きく分けて、タイヤ上部を大きく覆う“フルフェンダー”と一部だけを覆う“ショートフェンダー”の2種類。自転車の構造や種類、好みで選ぼう。ちなみにフルフェンダーは泥水の跳ね量が少ないのが利点、一方ショートフェンダーは軽量で取り付けが簡易なことが利点。僕たちはショートフェンダータイプ、OVTSPOのGT-YS350を取り付けていた。
また購入前には必ずタイヤ径とタイヤ幅のサイズが合っているか確認しておこう。特にタイヤ幅は見落としがちなので要注意。同時にタイヤとフェンダーのクリアランスが十分にあるかチェックしておこう。

フェンダー
僕たちの自転車はどちらもタイヤが太かったので、対応できる太めのフェンダーを探した。フレームに合うように改良して取り付けた

ボトルゲージ&ボトル

フレームにダボ穴がある場合はボトルゲージ&ボトルを取り付けよう。ボトルを付けると走りながら水分補給ができるので暑い時期は特に利用価値が高い。
僕たちは衝撃に強く、弾力性もあるポリカーボネート素材のROCKBROS(ロックブロス)のボトルゲージを使用していた。アルミ製と違ってボトルに傷が付きにくいこと、側からでも取り出せる形状になっていること、細身のペットボトルなど様々なサイズのボトルが安定して固定できることから選んだ。
サイクルボトルはキャメルバック・ポディウムチル620mlを使用。以前買ったサイクルボトルは特有の匂いがあったので、匂いのないボトルを探していたところ、キャメルバックを見つけた。匂いがないだけでなく、軽い力で握っただけで水がたくさん飲めるのも利点。またレバーを半回転すると完全にバルブをロックできるなど、とにかく使い勝手が良い。

キャメルバック・ポディウムチル
ボディを軽く押すだけで水が出て、バルブを閉めなくても漏れない。キャメルバック・ポディウムチルはふたり共気に入っている

バックミラー

ロードバイクでは付けていない人がほとんどだが、交通量の多い市街地から峠道まで、さらに場合よっては夜間など、日本一周では様々な環境下を走るのでバックミラーは付けたい。
ミラーは種類豊富、ハンドルの形状によって付けられるものが変わって来る。ドロップハンドルのヤマハ・WABASH RTにはoziralのバーエンドミラーを装着。広角鏡レンズで角度も360度調整可能なのがメリット。全体のバランスもいいのでおすすめ。
一方、妻が乗るヤマハ・CROSSCORE RC(クロスコアRC)はフラットハンドルにブレーキレバー、シフトレバー、ベル、反射板、ヘッドライト、グリップなどたくさん付いているため、ミラーのマウントを付けるスペースがほとんどない。さらにヒロコからなるべくミラーが大きい方がいいというリクエストがあり、探すのに苦労した(笑)。散々探し回った結果、偶然にも最後は同じヤマハ発動機のPAS専用バックミラー 大型・右用に落ち着いた。ちなみに付けているのは右側のみ。

バックミラー
僕たち夫婦はオートバイによるロングツーリングが多かったこともあり、バックミラーでの後方確認が癖になっている

サイドスタンド

日本一周ではコンビニ、スーパー、観光地、宿泊ホテルなど様々な場所で駐輪するのでサイドスタンドは必需品。
ヤマハWABASH RTには専用のアルミ製スタンドを付けていた(CROSSCORE RCは標準装備)。フレームにスタンド用のマウントがあるので取り付けも簡単、なおかつ純正という安心感があった。
実際使ってみるとeバイクは重く、さらに荷物も多く、使用度も高かったからか、取り付けのボルトが緩むことが何度かあった。時々増し締めをしていたが、しばらく忘れていたらある日ボルトが折れるハプニングも。ホームセンターでボルトを買って直したが、その間スタンドがなかったのでとても不便だった。
スタンドには折り畳み式や取り外しができる簡易タイプなどもあるが、eバイクは重いので(さらに荷物もある)不安が残る。また、チェーンステーに取り付けるタイプより、シートステーと2点で固定するタイプの方がより安定感がある。BBハンガーの後ろに取り付ける2本足のセンタースタンドも候補のひとつ。傾けずに駐車できるのがメリット。ただフレームの素材や形状によっては取り付けできない場合があるので注意が必要。

自転車を入れた風景写真
サイドスタンドがあると駐輪場所を気にしなくていいだけでなく、自転車を入れた風景写真を撮るときの自由度も大きくなる

ライト類

トンネル走行や夜間走行を考えるとヘッドライトは必需品。夜間走行時のヘッドライトは法令で定められている。僕たちが乗っていたヤマハのeバイクは2台ともバッテリー供給タイプのヘッドライトが標準装備されていた。光量も必要十分、電池切れや充電切れの心配もないので良かった。
もし後付けをするなら、明るく(700ルーメン以上あると安心)、防水性が高く、充電式のものを選ぼう。
また後続車から追突など、安全面を考えてテールライトも付けたい。僕たちはDON PEREGRINO M2という充電式(約90時間使用可)&コンパクト(直径3.5cm)なテールランプをサイドバックの後方部に付けていた。テールランプは種類がたくさん。自分好みのスタイル&機能の付いたモデルを選ぼう。

フロントライトを点灯
長い旅では思わぬトラブルなどで夜間走行を強いられることもある。また山奥には照明のないトンネルもあるのでヘッドライトは必需アイテム

バッグ類

バッグは防水性と収納量、サイズ等を基準に選んだ。まずフロントバッグ。オートバイ用品メーカー、ラフアンドロードのAQA DRY(アクアドライ)ハンドルバッグをオートバイとは逆向きに取り付けて使用した。ポケット、防水スペース、マファスナー付きのスペースなど多機能なのがメリット。
もしもヘッドライトがハンドルに付いていない車両の場合はオルトリーブ(ドイツのブランド)のハンドルバーバッグのアルティメイトをおすすめする。アタッチメントからワンタッチで取り外すことができ、上部が透明ケースになっていて地図やスマホを収納することができる。機能性と実用性を備えたモデルなのだ。
オルトリーブは自転車専用に開発された防水性&機能性の高いバックで海外の長距離サイクリストのほとんどが使用している、信頼性の高いブランド。
僕たちもサイドバックはオルトリーブのスポーツローラー(WABASH RTのフロント)、バックローラー(CROSSCORE RCのリヤ)を使用していた。唯一WABASH RTのリヤは、予算がなかったので値段が安いRhinowalk(ライノウォーク)を装着していた。
テントやなどキャンプ用品などはラフアンドロードの防水バッグ、AQA DRYカーゴに収納してリヤキャリヤの上に載せていた。食料や水など一時的に物が増えたときもこのバッグに収納していた。荷物が少ない人はキャリヤに直接取り付けられる小型のシートバッグが使いやすいのでおすすめ。

オルトリーブの防水バッグを装備
長く旅をしていると最終的にオルトリーブの防水バッグにたどり着く。アタッチメントなど取り付け方法などもよく考えられている

バッテリー関係

eバイクならではの荷物が、充電器。絶対に忘れないように(笑)。それからバッテリー。もし取り外せるタイプなら、予備をもう1本持っていくのもありだと思う。例えば1本100km位走れるバッテリーが2本あれば、途中電源のないところで1泊しても200km走ることができる。宿代の節約にもなるし、行動範囲も広がる。その分荷物は増えるし重くなるが、元々荷物が多いので、それほど大きな負担と感じないだろう。それからおすすめしたいのが延長コード。屋外のコンセントで充電することになったり、相部屋でコンセントがひとつしかなかったり、いろんな場面で役に立つのでぜひ持って行こう。

予備バッテリー
予備バッテリーを1本持っていると多少無理な走りもできるし、電源のない場所で野宿もできるので、宿泊場所の自由度も広がる

ツール&スペアパーツ

「携帯ツールリスト」

●1.5~6mm六角レンチ(アーレンキー)セット
●マルチツール
●8~12mmレンチ
●プライヤー
●エアポンプ
●パンク修理キッド
●タイヤレバー
●チェーングリス

最低限にして、重いトラブルが起きた場合は現地のサイクルショップへ駆け込むにようにしていた。

「スペアパーツリスト」

●ディスクブレーキパッド前後
●タイヤ前後
●タイヤチューブ
●カセット&チェーンリング&チェーンセット

持参はせず、交換のタイミングに合わせて現地へ送るようにしていた。走行距離1万kmを想定して用意していた。

日本一周に持っていたツール
日本一周に持っていたツールはこれだけ。もし専用工具が必要なトラブルが起きた場合はサイクルショップに駆け込みましょう

次回は旅先での食や宿探しなどの実践編です。

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