“eバイクMTB”がおすすめ フルサスに電動アシストが付いた新たな遊び/Vol.06 2023年版 日本で乗れる・買える! すすめフルサスeMTB

“eバイクMTB”がおすすめ フルサスに電動アシストが付いた新たな遊び/Vol.06 2023年版 日本で乗れる・買える! すすめフルサスeMTB

今買える、乗れるフルサスeMTB7選!

フルサスペンションのeMTBは、これまでのMTB遊びとは一線を画した楽ちんな遊びだ。乗った人を全てスーパーMTBライダーにする。乗り始めて「ああこれで60歳まで全開でMTB遊びを続けていける」と安心した。

マウンテンバイキングという意味では、eバイクはフルサスでなくてはならない。ホイールの間にあるフレームに重いモーターとバッテリーが付いているからいいのだ。低速でのアシストで踏んだ力が3倍になり、リヤサスが路面にタイヤを粘らせるからいいのだ。小声で脱法オフロードバイクと呼びたい。

乗るほどに新たな遊び方が見えてくるフルサスeMTB。乗って遊ばなきゃ絶対わからないこの今までにないこの快感をあなたにも味わっていただくべく、2023年のいま日本で買える良質なフルサスeMTBを紹介しよう。

eバイクMTBがおすすめvol5

日本仕様のフルサスeMTBに、使える役者が揃ってきた

現在、世界各国で多くのeバイクが売られている。各国それぞれの法規制のもと、アシストの出力などに特徴がある。ただ日本で走るなら、つべこべ言わずに公道も乗れる日本仕様で合法的に跳びたい。そして、いくら? と聞かれた時に「100万円」と答えずに済むぐらいもの物を選んだ。これで調べてみると結局、これから買えるのは、大手ブランドのものが多かった。

現在モーターユニットが世界各国の法規の下に進化を続けており、そのために日本仕様の新作が足りなくなっていると聞く。確かに故障などのアフターを考えると、まずは確かな大手ブランドから始めた方が賢そうだ。

GIANT Trance E+/55万円

ジャイアントの最新モデルは普及を狙った価格で勝負

トランスEプラスプロ

自転車界のコストパフォーマー、GIANT(ジャイアント)によるフルサスeMTB2024モデル《Trance E+ Pro》(トランスEプラスプロ)。手の届きやすい価格帯で、フルサスeMTBの普及を計ってきた。そういえばMTBでもそうだった。

その流れるようなアルミのフォルムは、さすがジャイアントの工業力だ。一体型で500wバッテリー、YAMAHAとの共同開発によるオリジナルモーターユニット。評価の高い独自のマエストロ・リアサスで前後140mmオーバーのトラベルを確保している。

コンポはSHIMANO SLX 11速で必要十分なレベルをキープ、タイヤは27.5×2.6という小柄な人種が多い地域での世界標準。まさにeMTBとして必要となる性能を全て網羅したこの一台が、ジャイアントならではの価格で登場。この1台で来年あたり、一気にフルサスeMTBの普及が加速するか。

【Trance E+ PRO スペック】
ウェブカタログ
価格:55万円
メイン素材:アルミ ALUXX SL-Grade
バッテリー:500Wh
フロントサス:FOX 36 FLOAT RHYTHM 150mmトラベル
リヤサス:Maestro 140mmトラベル/FOX FLOAT DPS Performance EVO
リヤメカ:SHIMANO SLX 11速
初期タイヤサイズ:27.5×2.6ブースト
モーターユニット:GIANT SYNCDRIVE PRO

SPECIALIZED Turbo Levo SL Comp Carbon/99万円

カーボンで軽量、重量20kg切りマレット仕様の高級モデル

ターボリーボSLコンプカーボン

日本でもeMTBに精力的なSpecialized(スペシャライズド)の名作、Turbo Levo SL Comp Carbon(ターボリーボSLコンプカーボン)である。カーボン製の高級フルサスeMTBで、実際に乗ってみたが、本当によくできた自転車だ。『自転車』という乗り味をそのまま広げていく乗り味と操作性だ。

フレームはカーボン製でとにかく軽い。車重は実測で19kgなかった。この軽さがそのまま全ての性能に反映されている感じだ。ただしその分バッテリーの容量は320wと少なめだが、サブのバッテリー(エクステンダー)の用意もある。

モーターは独自の最新コンパクト・高出力版。総重量の軽さと相まって、そのアシストのトルクは確かなもの。ホイールサイズはフロント29インチ、リア27.5インチのマレット仕様。乗り味の方向性としては、吸収する、前にするりと抜けてくれる感じだ。ラフなロックセクションでも安全な設計である。

操作性はその軽さ通りの軽快感。eアシストのついた自転車と思わせないい重量配分とそのルックスはさすがだ。高級eMTBの名を日本では、当面ものにし続けるだろう。プロライダーによるインプレはこちら

【Turbo Levo SL Comp Carbon スペック】
ウェブカタログ
価格:99万円
メイン素材:カーボン Fact 11m carbon
バッテリー:320Wh
フロントサス:Fox 36 Rhythm 29 160mmトラベル
リヤメカ:SRAM GX Eagle 12速
リヤサス:150mmトラベル/Fox Float X Performance
初期タイヤサイズ:29×2.3/27.5×2.3 ブースト
モーターユニット:SPECIALIZED SL 1.2 SL

TREK Rail 5 Gen 3/77万7590円

可変ジオメトリーと高い走破性を備えたフルサスeMTB

レイル

Trek(トレック)のeMTB、日本で買えるフルサスは《Rail》(レイル)ファミリー。最新モデルはGen 4=第4世代になりバッテリーが720Wと大きくなったが、ここは手の届きやすい価格のGen 3=第3世代のRail 5を選びたい。バッテリーは500wだが、他のシステムは新世代とほぼ同様のようだからだ。

レイルのリアサスシステムは、ABPという独自システム。これはリアハブと後ろのピボットが同軸の、有り体に言えばほぼ4バーシステムで理想的。ルックスもバッテリーは一体で違和感はない。しかも工具なく交換しやすいのがいい。

シマノ・DEOREがベースの12速コンポは必要にして十分。MINOリンクといったジオメトリー変更は、eMTBなら手軽に繰り返し試せるので、その性能をさらに使いこなせそう。純正トレックのアプリで記録を残せたりモーター出力をコントロールしたり、ガジェットとしても楽しめそうだ。

標準タイヤは29インチの太さ2.6と、走破性のかなり高いセレクトだ。これが低速のキックが強めと評判のBOSCHモーター、リアサスがよく粘るほぼ4バーシステムのABPと合わさって、その山での走り心地はバリバリいくはずである。

【Rail 5 Gen 3 スペック】
ウェブカタログ
価格:77万7590円
バッテリー:500Wh 着脱式一体型
フロントサス:RockShox 35 Gold RL 160mmトラベル
リヤサス:150mmトラベル/RockShox Deluxe Select+ RT
リヤメカ:Shimano Deore M6100 12速
初期タイヤサイズ:29×2.6 ブースト
モーターユニット:BOSCH Performance Line CX

YAMAHA YPJ-MT Pro/74万8000円

『オフロードeアシストバイク』を体現するヤマハのeMTB

YPJ-MTプロ

日本の発動機メーカー、ヤマハ発動機によるフルサスeMTB、YPJ-MT Pro(MTプロ)である。電動アシスト自転車を作り続けて30年。eバイクとフルサスの二輪作りという意味では長く経験があり、日本の法規をベストなまでに活かした作りであるはずだ。

そして私はこれに乗っている。言えるのは、ほぼ不満はないということ。変えたいところはいくつかあるが、それに悩むのもスポーツ自転車の楽しみのひとつだ。

前後フルサスは150mm以上、変速系はSHIMANO XTと性能重視。ホイールは27.5インチ×2.6サイズのタイヤを履くが、リムがめちゃくちゃ太いので、タイヤのボリュームもすこぶるある。これがMTプロの走破性の秘密だーのひとつ。ライダーによるインプレはこちら

他社に技術提供できるほど高められたモーターの技術力と、オートバイからの考えである「フルサスで真ん中にユニットがある前提」という主旨の造り。ペダリングをアシストするという自転車の延長ではなく、こういう乗り物が欲しいという考えを実直に実現したものだと感じる。その心意気を買いたいし、実際に買って乗り回している。

【YPJ-MT Pro スペック】
ウェブカタログ
価格:74万8000円
バッテリー:500Wh
フロントサス:ROCKSHOX Lyric Select 160mmトラベル
リアサス:150mmトラベル/ROCKSHOX Deluxe Select+
リアメカ:SHIMANO Deore XT 12速
初期タイヤサイズ:27.5×2.6 ブースト
モーターユニット:YAMAHA PW-X3

MERIDA eONE.SIXTY 500/69万8500円

手頃な価格で最新の技術と思想をフルに投入

eワンシックスティ

高性能なフルサスeMTBという称号を長く欲しいままにしてきたMERIDA(メリダ)のeONE.SIXTY(eワンシックスティ)ラインアップに、新作の500が登場。フレーム一体型チューブとシマノの最新E8080ユニットを装備、実績あるメリダのサスシステムを150mmトラベルで使ったミッドクラスのモデルである。 

ホイール径は、前が29インチ、後が27.5インチのマレット仕様。前後ホイールの径が異なるのは、持つべきパーツの規格が増えるので厄介だが、それでも走破性と操作性を考えるとマレットが理想的かもしれない。

変速コンポは質実剛健のシマノ・DEOREの11速。フレームサイズにXSが用意されているのも、小柄な東洋人のことを大事に考えた作りで良い。またライトが標準装備され、電源はアシスト用バッテリーであるのも、公道を走るので嬉しく当たり前にすら思える装備だ。しかもLEZYNEのものだからお得感も高い。まさに買ってそのまま走れる親切装備。

様々グレードアップの余地があるが、その必要もないほど完成度の高いスペックだ。替えバッテリーもオプションで用意されているので2個での運用も便利である。痒い所に手が届くメリダならではの一台である。

【eONE.SIXTY 500 スペック】
ウェブカタログ
価格:69万8500円
バッテリー:508Wh
フロントサス:ROCKSHOX Lyric Select 160mmトラベル
リヤサス:150mmトラベル/ROCKSHOX Deluxe Select+
リヤメカ:SHIMANO Deore XT 12速
初期タイヤサイズ:27.5×2.6 ブースト
モーターユニット:SHIMANO STEPS E8080J

Besv TRS2 AM/54万8000円

長く発売されている高い基礎性能のフルサスeMTB

TRS2AM

Besv(ベスビー)はeバイク専門のブランドだ。日本で長い間eバイクを積極的に展開し、フルサスeMTBであるTRS2 AMも早くからラインアップに揃えていた。

変速系などコンポのスペックなどは1世代前のものとなるが、その核となるフレームの性能は確かなもの。サスペンションも前後150mmトラベル、モーターユニットにはセンターモーターのSHIMANO E8080。バッテリーはフレーム一体型だが取り外しは簡単なので、別体での充電もイケる。それでいて55万円を切る価格での展開はステキだ。

これも実際に乗ってみている。走りも低重心を意識しただろう重心バランスで、オフロードならではの走りにも確かに応えてくれた。取り回しも操作感も扱いやすく、クセのない素直なフィーリングだった。TRS2 AMの乗り心地に関しては、こちらにライダーによる詳しいインプレ解説がある。ぜひご参照を。

【TRS2 AM スペック】
ウェブカタログ
価格54万8000円
バッテリー:504wh
フロントサス:SR SUNTOUR Zeron35 150mmトラベル
リヤサス:150mmトラベル/ROCKSHOX RS DLX RT
リヤメカ:SHIMANO Deore 10速
初期タイヤサイズ:27.5×2.6 ブースト
モーターユニット:SHIMANO STEPS E8080

MIYATA リッジランナー i 8080/63万円

eMTBの性能をフルに味わえる2作目モデル

リッジランナーi8080

MIYATA(ミヤタ)のリッジランナー i8080は、1990年に初めてのMTB選手権、ダウンヒルを制したモデル、リッジランナーの名を冠したフルサスeMTBだ。当時をよく覚えているし私の初めてのMTBはリッジランナーだった。

この先代モデルも発売されたが、乗り味はオフロードというよりクルージングライドに向いたジオメトリーだった印象。直進性が強い操作感だった。だが2023年に発売となった新モデルはジオメトリーを一新。オフロードで楽しく走れるeMTBとしての実力をさらに高めたものとなったようだ。

バッテリーも流行のフレーム内蔵方式に変わり、ボトルケージを装着できる形に変更。オリジナルボトルが付いてくるあたりも、スポーツ自転車にはボトルがついてこそなんぼという気概を感じる。その通りである。モーターユニットにはSHIMANOのDU-E8080を使用する。

日本発のブランドとして、オフロードでの走りを広く味わってもらいたいというミヤタのモノづくり。それを実現できたのがこの2023リッジランナーだ。

【リッジランナー i 8080 スペック】
ウェブカタログ
価格:63万円
バッテリー:504wh
フロントサス:SR SUNTOUR Zeron35 140mmトラベル
リヤサス:130mmトラベル/SR SUNTOUR RS21 Edge Plus
リヤメカ:SHIMANO Deore 10速
初期タイヤサイズ:27.5 x 2.6 ブースト
モーターユニット:SHIMANO STEPS DU-E8080

2023年、いよいよフルサスeMTBがそろってきた

eバイクMTBがおすすめvol5

いよいよ役者が出そろってきた感じのあるフルサスeMTB。細かな乗り味や味付けの違いはあるが、まずはeアシストのパワーとフルサスの組み合わせを、これらモデルで味わってもらいたい。

オフロードの道無き道を言葉通りのバリバリと走破していく快感。MTBではありえない新たなラインと走りを体感できるeアシストの走破性。それがフルサスeMTBの走りの醍醐味。これからのレクリエーショナル・マウンテンバイキングの王道となっていくはずである。乗り遅れんなよ!

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