eバイク+B.B.BASEが面白い!

eバイク+B.B.BASEが面白い!

取材協力:東日本旅客鉄道(JR東日本)

JR東日本が運行する自転車旅列車のB.B.BASEは、eバイク(電動アシスト自転車)をバラすことなく列車内へ持ち込む。あとは目的地まで鉄道の旅を堪能。そして終点。eバイクを降ろして、さて、海へ行こう!

重量のあるeバイクもB.B.BASEなら積める

東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)が運行する自転車旅用の特別列車がB.B.BASE。
大相撲が開催される国技館の目の前、両国駅を朝に出発。目的地は千葉エリアで5つのルートが設定されている。今回はそのなかから千葉県の北東部へ向かう「B.B.BASE佐倉・銚子」に乗車して、終点の銚子まで出かけた。
B.B.BASEに積みこんだのは、ジャイアントの「エスケープR Eプラス」。50Nmのトルクを発揮するドライブユニットと最大で200kmのアシストが可能な大容量バッテリーの組み合わせ。そして道路状況に合わせて9速からギヤ選択ができる変速機構などなど、本格的なサイクリングに対応するモデルだ。
そんなeバイクなので、休日はどこかへ走りに行きたくなる。そこで思いついたのがB.B.BASEを利用するサイクリング。ペダルバイクでは列車利用の際、自転車をバラして袋に入れる「輪行」があるが、重量のあるeバイクだとバラすことはできても、駅構内で重い輪行袋を持ち運ぶのは現実的でない。だけどB.B.BASEであればeバイクでも、列車を利用する旅が可能なのだ。
ということでeバイクの行動力を大幅に広げてくれるB.B.BASEを活用する千葉、銚子のサイクリングの模様を紹介していこう。

JR両国駅がB.B.BASEの始発駅。駅前にコインパーキングがあるので、eバイクをクルマに積んで駅前まで乗りつけることも可能だ
これがB.B.BASE。車内だけでなく車体デザインも専用。ここでしか乗れない列車なので、鉄道ファンからの人気も高いそうだ
こちらはふつうのロードバイク用ラック。立てた状態で固定する。車重がそれほど重くないeバイクなら、これの利用も可能だろう
座席は全て指定席となっているので乗車には指定席券が必要。これは4人掛けシート。リクライニングはしないが窮屈さは感じない
2人掛けシート。こちらもリクライニング機構はない。ただ、どのシートも背もたれの角度がいいのでうたた寝もしやすかった
乗車するともらえるスタンプカード。片道でスタンプひとつ押される。スタンプが貯まるとB.B.BASEのオリジナルグッズがもらえる

JR東日本のサイクルトレイン、B.B.BASE

自転車をバラすことなく列車内に持ち込み、専用ラックに固定。あとはシートに座って食事をしたりと快適に過ごす。そして目的地で列車を降りたら、はやるココロを待たせず、すぐに走り出せる。そんなサイクリングの新しいスタイルを提供するのがB.B.BASEだ。

B.B.BASEにeバイクを積んでみた

B.B.BASE利用者は通常の改札口ではなく、専用の入り口が用意されている。ゲートを通るとそのままホームに入ることができる
指定席がどこであろうと、重量のあるeバイクの固定には専用ラックが使える4号車へ運び込むのがベター。ホームと列車には多少高低差がある
待機しているスタッフに「ラックを貸してください」と声がけをすると、画像のようなラックと固定ベルトを貸してもらえる
ラックに乗せたあとは、固定用バーにベルトを掛けてフレームを縛る。スペースは限られているので場所の占有しすぎに注意したい
揺れるので固定は確実に。4号車(フリースペース)には横長シートがある。eバイクから離れたくないならここにいてもOKだ

海沿いルートに適したエスケープR Eプラス

定刻どおりに銚子駅に到着したB.B.BASE。降りるときに慌てないようにと、早めに座席からエスケープR Eプラスのところへ移動。列車が完全に停車してから急いで固定を解除したのだけど、B.B.BASEは「降ろすとき」のこともちゃんと考慮していた。降車のための時間はたっぷりと取っていたし、スタッフさんに声がけすれば作業を手伝ってもらえる。慌てる必要なんてなかった。
銚子駅もホームから直接外へ出られるB.B.BASE専用ゲートがあるので、エスケープR Eププラスを押し歩きしながらそこへ向かう。それにしても駅のホームでeバイクを押して歩くという経験もなかなかあるものではないので、こんなシーンもなんだか面白く感じた。
銚子は水産で栄えた街なので、駅前はロータリーも道路も歩道もすべて広かった。ただし、都市部によくあるビルが建ち並ぶ……というものではない。駅舎を含めて周囲の建物は少々歴史を感じる作りのままだ。
でも、それがいい。仕事柄いろいろな街へ行くが、これだけの広さと少しの古さが同居する光景は見ないものなので、駅前だけでもしっかり旅気分が味わえたのだった。
そんな銚子駅前からエスケープR Eププラスをこぎ出す。まずはこの地のランドマーク、大平洋を望む犬吠埼の灯台へ向かった。
街のメインの通りは歩道も広く、自転車は歩道通行OK。ただ、路面は自転車で走るには少し荒れ気味だ。でも、タイヤのエアボリュームがあるので気にならないし、街乗りにも適した乗車ポジションは道の状況に合わせて走行ラインを変えたり、車道へ出たりという動きもしやすい。
また、ちょっとの加速や段差を越える際の強いこぎ出しが欲しいときはドライブユニットのアシストがあるので、無理なく対応できる。こうした動きがやりやすいと、周囲を確認する余裕も持てる。そして、その余裕を安全確認にまわせるので、エスケープR Eププラスは市街地でも乗りやすいという印象だった。
犬吠埼灯台は観光資源として整備されていて、灯台に併設するように「犬吠テラステラス」という、食事をしたり地域で採れた野菜を買えたりする商業施設がある。
また、灯台内部の見学もできるし、灯台の前に立てられている白いポストから手紙を出すと、幸せの願いが叶うというロマンチックな話もある。
そんな犬吠埼灯台をあとに、海沿いの道を走りに行く。
海沿いは風が強いことが多いのだけど、この日はとくに強い風が吹いていた。しかも海沿いの道は意外とアップダウンが多いので、たまに「サイクリング向きではないのでは」と思うこともある。
でも、そこはeバイク。人力では「きつぅ〜」となる状況でもさほど苦労もせず(多少は頑張るが)進んでいける。おかげで強風でも海沿いの道を堪能。こういう風の日は白波が強く立つので、大平洋らしい力強いイメージの海を眺めながらのサイクリングを楽しむことができたのだった。
その後は漁港周辺の漁師町の裏道をまわってみたり、銚子エリアに多くあるジオパークに行ってみたりと、eバイクならではの機動性を生かしてあちこち巡った。
気がつくと日も傾いてきたので銚子駅へ戻るコースを取ったが、戻りのコースは行きとは変えて裏道を選んでみたところ、これがまたイイ。駅前で感じたレトロ感より、さらに雰囲気のある街並みを見ることができた。こういうのは「ちょうどいい移動速度」で走れるeバイク(自転車も)ならではことだろう。
そして帰りのB.B.BASEへ乗り込み、約2時間半で両国へ到着。あたりはもう暗くなっていた。
専用ゲートから駅前に移動すると、B.B.BASEから降りてきたサイクリスト達がそれぞれの帰路に向けて駅を離れる。乗車中、誰かと会話をしたわけではないが、どうも列車旅というのは不思議な一体感を感じるようで、そのときに見たいくつもの赤いテールランプが印象的だった。
というエスケープR Eププラス&B.B.BASEの旅、これは予想以上に「アリ」。ホントにそう思った。

銚子駅に到着。駅前はキレイに整備されていて道も広い。加えて高い建物がないので空の広さも感じられ、さらに気持ちがいい
B.B.BASEでの移動は快適だが、車内で飲み物や食べ物の販売はない。車内で朝食を取りたいときはあらかじめ買っておこう
銚子駅も専用ゲートがあり、ホームから外へ出られる。Suica利用の場合は、自動改札でタッチをしてゲートから出る
これが犬吠テラステラス。人気の観光スポットなので施設は充実。休憩するにちょうどいいので、銚子に行ったら立ち寄りたい
灯台には登ることができる。手前の白いポストから手紙を出すと幸せになるという話。手紙を準備してから出かけてみるのもいい
銚子エリアには地球の歴史を感じることができるジオパークがいくつかあるので、銚子に行ったらぜひ立ち寄りたいポイントだ
観光スポット巡りもいいが、坂道も苦にならないeバイクなので漁師町の裏道巡りもオススメというか、行ったらぜひ走って欲しい
裏道を走っていたら出てきたのが銚子電気鉄道の外川駅。雰囲気のある駅舎では各種グッズ類なども販売。名物のぬれ煎餅も買える
風が強かったがeバイクなので、大した苦労もせずに走れた。おかげで海沿いの絶景をあちこちで堪能。eバイク、さすがである

GIANT ESCAPE R E+

ジャイアント・エスケープ アール イー プラス

価格:33万円
問ジャイアント www.giant.co.jp

初心者にも扱いやすいジオメトリの軽量アルミフレームを採用。ドライブユニットは50Nmという能力を持ちながら静粛性も高いジャイアント・シンクドライブ コアを使用している。バッテリー容量も大きいので、エコモードなら200km 、アクティブモードでも95kmもの距離のアシストが可能。また、タイヤは走行安定性が高く、クッション性も期待できる700×38Cを装着。

SPEC
サイズ:XS、S、M
カラー:マットダークシルバー、サファイア、ホワイト
フレーム:アルミニウム
ドライブユニット:ジャイアント・シンクドライブ コア
バッテリー容量:400Wh 36V-11.3Ah
コンポーネント:シマノ・アリビオ&アルタス
タイヤ:ジャイアント・S-X3 W/K-SHIELD 700×38C
車重:19.7㎏ (XS)

バッテリー容量が大きいので、エコモードであれば200kmもの長距離のアシストが可能。この航続距離の長さは安心感につながるもの
シンプルながら情報量が多いディスプレイ。走行中のボタン操作もしやすく、モードの切り替えも積極的に使っていける
ドライブユニットは最大トルク50Nmを発生するジャイアントシンクドライブ コア。スタイリッシュな形状であるのも高ポイント
初心者にも乗りやすいジオメトリのフレーム。合わせるハンドルバーは幅広なので、より乗りやすさを感じる。疲れも少なかった
安定感のある太めのタイヤを履く。エアボリュームがあるので路面の凹凸での衝撃もある程度は吸収。パンクしにくいところも利点

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