eバイク旅ノート Vol.63 eバイク日本一周03 「日本海沿いを北上、東北秋田から北海道へ」

ふたり合わせて123歳。妻のヒロコは61歳にして生まれて初めての長い自転車旅、それもいきなり日本一周。果たして最後まで走り切れるのか!?
自宅の神奈川相模原市を出発。関東を縦断し三国峠を越えて新潟に入ると日本海沿いを走り秋田を目指した。

DAY10

旅に出る前は新潟か秋田か、どちらから北海道へ渡るか決めていなかったが、新潟に着くとしばらく天気が良さそうなので秋田まで走ることにした。新潟市内でヒロコは整体へ行きリフレッシュ、丸1日体を休めたこともあって、ペダルが軽く感じる。電動アシストの力までいつもより強く感じるが、それはさすがに気のせい?(笑)

ドピカーン快晴の新潟市内から阿賀野川を越えて阿賀野市へ。聖籠町、新発田市と進んでゆく。海に近い国道113号を進む、胎内市に入りそろそろ昼を食べたいところのだが、国道沿いなのにレストラン、食堂が見当たらない。ならばとGoogle mapで検索すると内陸の県道沿いに数軒店があることがわかったのでそちらへ向かう。

『そば』のぼりが立つ『ペコのそばの店』なるお店を見つけたので入ってみる。メニューを見ると新潟の食堂でよく見る『モツ煮定食』があったので、それとシンプルに『天ぷらそば』を注文する。人気の店のようで、入った時は2組だけだったが、気がつくと満席になっていた。確かに値段も安く、味も悪くない。旅で入るお店の半分運任せ。ラッキーかも♪とヒロコと目を合わせた。

午後4時、60kmほど走り村上市のビジネスホテルに着いた。部屋に荷物を下ろすと買い物へ出かけた。ついでに町を散策していると、村上駅前の観光案内所の軒下に、大きな鮭が何本もぶら下がっていた。駅の構内を見ると何とホームの天井にまで鮭がぶら下がっていた、さすが『鮭のまち』だなと感心した。

●宿泊地:新潟県村上市
●走行距離:64.5km

田園風景が広がる新潟県北部
緑の鮮やかな田園風景が広がる新潟県北部。今日は天気が良いので気分も上がる。ヒロコもeバイク旅を始めて一週間、少しずつだが走りに余裕が出てきた
軒先にぶら下がる鮭
新潟県村上市は『鮭のまち』だけあって、駅のホームや民家の軒先など、色んなところに大きな鮭がぶら下がっていた。こんな景色を見るのは始めて、ヒロコもビックリ

DAY11

村上の宿を出ると国道345号を北へ『笹川流れ』へ向かう。笹川流れは荒波の浸食によりできた奇岩、岩礁や洞窟など変化に富んだ風景が約11kmも続く景勝地で、国指定天然記念物になっている。僕たちは変わった奇岩を見つけるたびにペダルを止めて写真撮影撮、なかなか前へ進まない(笑)

笹川流れを過ぎてしばらくすると、山形県の県境が見えてきた!旅もいよいよ東北入りだ。しばらく行くと国道沿いに巨大こけし像がドーン、お茶目顔で僕たちを迎えてくれた。今日も青空、こんな日が毎日続けばいいのにと思う。

午後5時過ぎ鶴岡の宿『はなばたけ』に着いた。本当は市内の中心地に泊まりたかったが、予約サイトで検索すると値段が高かったり、満室だったり。結局、中心地から10km位離れた民宿(民泊)に泊まることした。

田舎の民家のような『はなばたけ』。「こんにちはー!」玄関をガラガラと開けると、「おーっ、待ってたぞー」と宿主のおじさんが笑顔で迎えてくれた。木造建築の立派な建物で梁も柱も太く、廊下や部屋も広々としていた。夕ごはんがまだだと知ると「それなら、蕎麦あるから食べろー」と言ってわざわざ作ってくれた。心温かいおもてなしが、胸に沁みる。今日と明日はここに連泊、明日はクラゲで有名な『鶴岡市立加茂水族館』へ行く予定。

●宿泊地:山形県鶴岡市
●走行距離:90.3km

笹川流れ
新潟県北部、海岸に沿って広がる景勝地『笹川流れ』。様々な奇岩が点在するので、走りながら眺めるのも楽しい。ただトンネルが多いので自転車の人は要注意
巨大こけし
国道沿いで見つけた!? というか目に飛び込んできた巨大こけし。まさに東北ならではの景色だ。各地方の文化や風習の変化を肌で感じながら、僕たちの旅は続いて行く
蕎麦
山形県鶴岡市の民宿『はなばたけ』の宿主、阿部さんが、腹ペコだった僕たちのことを思ってお蕎麦を茹でてくれた。東北人のおもてなしの心を強く感じる

DAY12

宿から15kmほど離れた場所にある『鶴岡市内加茂水族館』へeバイクで向かう。重い荷物がないので、楽々スイスイで着いた。水族館、前半は魚、後半はクラゲを見て回る。どれも面白かったが、圧巻はやはりクラゲの大水槽。近くて見ているとまるでクラゲの海の中を泳いでいるような……不思議な気分になった。

夜になって宿の部屋で寛いでいると「蛍が出てるぞ〜」宿主のおじさんが僕たちを呼んだ。裏の部屋へ行き窓から外を覗くと、闇の中を蛍たちがユラユラと舞っていた。それはそれは幻想的な光景だった。宿のおじさんもまるで何かのショーを見るような瞳で、タバコをふかしながら蛍を眺めていた。

●宿泊地:山形県鶴岡市
●走行距離:38.1km

鶴岡市立加茂水族館のクラゲ
『カモスイ』の愛称で親しまれている『鶴岡市立加茂水族館』は、クラゲで一躍有名になった。様々な種類のクラゲを見ることができるが、特に巨大水槽のクラゲは圧巻

DAY13

鶴岡市から秋田市まで約150km。ヒロコの体力を考えると途中で1泊したいところだ。距離的には『にかほ市』が1泊ちょうどいいのだが、安い宿が見つからなない。そこで今日は天気も良さそうだし、キャンプにしようとヒロコに提案。県境の遊佐町に、温泉が近くにある『西浜キャンプ』というキャンプ場があったので、そこを目指すことにした。

お世話になった『はなばたけ』の宿主阿部さんにお礼を告げて出発。まずは国道112号で酒田を目指す。町に入ると米どころ酒田のシンボル『山居倉庫』へ向かった。山居倉庫は1893(明治26)年に建てられた米の保管倉庫で、美しいケヤキ並木が見られることでも知られている。

『山居倉庫』の駐輪場にeバイクを止めると、SNSでメッセージを何度かくれていた、コマツさんが出迎えてくれた。ここで働いているコマツさん。事務所の窓に、何と! 『E-BIKE日本一周 藤原さん、ようこそ酒田へ』の文字が! 嬉しい限りではないか。コマツさんから酒田のこと、山居倉庫のことなど、色々なお話しを伺うことができた。

倉庫の裏で偶然にも台湾人旅行者に会った。名前は白進徳さん、それがなんと僕達と同じeバイク旅人だった。話をするとバッテリーを4本積んでいて、1〜2日は充電しなくても走れるようにしているという。荷物が多い理由がわかった。話をよく聞くと1つ違いの同世代とわかり、さらに親しみわいた。北海道へ向かっているというので、またどこかで会えるといいな。

夕方『西浜キャンプ場』に到着した。松林に囲まれたいい雰囲気のキャンプだ。eバイク旅の最重要ポイントはバッテリーの充電。受付でeバイク旅をしていて、充電がしたいとお話をすると、外壁にある電源を使ってくださいと言ってくれた。これで一安心。夕食は近くの食堂のラーメン、そのあと隣の日帰り温泉でスッキリ。そのまま爆睡の夜となった。

●宿泊地:山形県遊佐町
●走行距離:55.5km

山居倉庫
酒田市のシンボル『山居倉庫』へ行くと、そこで働くコマツさんが出迎えてくれた。事務所のドアに貼られた手書きの「藤原さん、ようこそ酒田へ」には感激した
『山居倉庫』で出会った台湾人旅行者
『山居倉庫』で出会った、台湾人旅行者。僕たちと同じようにeバイクで日本を旅行していた。話をすると歳も近いということがわかり、さらに旅話が弾んだ
山居倉庫
1893(明治26)年に建てられた『山居倉庫』は米保管倉庫だった。歴史ある建物は現在、酒田市観光物産館「酒田夢の倶楽」や庄内米歴史資料館として利用されている

DAY14

左手に日本海、右手に雄大な鳥海山を眺めながら、国道7号をひた走る。少しすると秋田県の標識が現れた、遠くまで来たことを実感する。国道7号沿いには道の駅が点在しているので、順番に立ち寄りながら秋田市へ向かって行く。

秋田県由利本荘市にある『道の駅にしめ』には気取らない雰囲気の食堂があったので、そこでお昼にする。その土地の名物料理もいいけど、普通のごはんが食べたかったので焼肉定食にする。食後にスマホ充電に電源を使ってもいいか? お店の人に尋ねると「いいよいいよ〜、そこの使って♪」と気さくに許可してくれた。さらに「ゆっくり休んでいって〜」と優しい言葉。小さなやり取りに東北人の優しさを感じる。

秋田市内まで10km位のところ、前方で一台のバイクが止まった。SNSでやり取りしていたふくださんだった。毎日SNSでチェック、そろそろここを通るのではないかと思い、待っていたという。差し入れをいただき、色々おしゃべり。明日の予定がまだ決まっていないというと、明日時間があるので、秋田市内を車で案内しましょう! と言ってくれた。ありがたい申し出に感謝。

秋田のホテルに到着。建物中に自転車を移動していると、年配の警備さんが声をかけてくれた。「どこから来たんですか?」「神奈川からで日本一周中でこれから北海道へ渡ります!」と応えると昔カニ族で北海道を旅した時のこと、色んな出会いがあったことを懐かしそうに話してくれた。話をしていたら色んな場面が蘇って来たのか「いいなあ、俺も行きたいなあ」「北海道か羨ましいなあ」と言いながら何度も頭をかいた。部屋へ戻りしばらくすると、良かったら食べてといって部屋にフルーツを届けてくれた。優しさに胸が熱くなる。忘れられない思い出がまたひとつ増えた。

●宿泊地:秋田県秋田市
●走行距離:91.9km

西浜キャンプ場
この旅では初めてのキャンプとなった、西浜キャンプ場。近くに食堂や日帰り温泉があり、少し歩くと港があり、遠くに鳥海山が見える。とても良いキャンプ場だった
秋田県の県境
秋田県の県境が見えたときは、ヒロコもここまでよく頑張ったなと思った。同時にふたりで日本一周ができると確信した。さあ、秋田の先には、北海道が待っているぞ

DAY15

ふくださんのクルマで市内の名所『秋田港ポートタワー・セリオン』『稲庭うどん』『ねぶり流し館』などをめぐった。

最初のセリオンではババヘラアイスの進化版『ばばヘラソフトクリーム』を堪能。その後ふくださんおすすめの『無限堂大町本店』で秋田の食「稲庭うどん」を堪能。弾力のある、のどごしのいい麺は最高に美味しかった。

そして、秋田市民俗芸能伝承館『ねぶり流し館』へ。秋田の夏の風物詩として名高い『竿燈まつり』。小さな竿燈を持つ体験ができるというのでやってみたが、これが笑えるほどできない。自分のセンスのなさを痛感した。ふくださんのおかげで充実した一日となった。本当に感謝だ。さあ、明日はいよいよ北海道だぞ。

●宿泊地:秋田県秋田市
●走行距離:0km

竿燈持ちにチャレンジ
秋田市民俗芸能伝承館『ねぶり流し館』で『竿燈まつり』の小さな竿燈持ちにチャレンジ。簡単にできるかと思ってやってみたが、全然ダメ。改めて祭りの凄さを実感した
秋田港ポートタワー・セリオンから大パノラマを望む
『秋田港ポートタワー・セリオン』から3人で大パノラマを望む。秋田市内、日本海、男鹿半島を一望。SNSで繋がった秋田市のふくださんにはお世話になりました

DAY16

朝6時15分、秋田港発苫小牧行きのフェリーに乗り込む。これから壮大な北海道の旅が始まると思うとワクワクする。苫小牧港到着は夕方の4時45分なので、ベッドでゴロゴロしたり、スマホをしながら海を眺めたり、ゆっくり過ごした。ヒマを持て余すかと思ったが、あっという間だった。

苫小牧東港に到着。町の中心から離れているため、町に着いた時には6時半を回っていた。ネットで手頃な宿を探すが満室、道沿いに見つけた小さなビジネスホテルで料金を聞くと1万2千円もするので、諦めてネットカフェに入った。荷物を入れてひと段落。寿司屋へ行ってみると大行列なので寿司はパスに、仕方なくファミレスで北海道上陸の祝杯をあげることにした。「来たぜ! 北海道、乾杯!」

●宿泊地:北海道苫小牧市
●走行距離:28.4km

秋田発苫小牧行きのフェリーに乗り込む
eバイク2台と共に秋田発苫小牧行きのフェリーに乗り込んだ。約10時間後には北海道にいるのだと思うと自然とテンションが上がる。後は船が揺れない事を願おう(笑)
苫小牧のネットカフェ
北海道最初の夜、苫小牧はネットカフェ泊まりとなった。この旅ではゲストハウス、民宿、ビジネスホテル、キャンプ場、民泊など色んなところに泊まっている

DAY17

今日は千歳までの予定なので、時間に余裕がある。まずは国道36号で『道の駅ウトナイ湖』へ。自転車を停め、散策路を歩くことに。ふと木を見上げると鳥がいた、よく見るとそれはキツツキのアカゲラだった。ヒロコに「あそこキツツキがいるよー」と教えてあげる。見つけると「あっ、ほんと、初めて見たわ」と喜んだ。

国道を離れて森の中の道で千歳へ向かう。静かな森がどこまで続く。少しずつだが、いま北海道にるんだという実感が湧いてくる。北海道といえばスープカレーが有名。千歳市内に入り、ネットで検索すると『GARAKU』という人気の店が近くにあったので行ってみる。

メニューを見て『やわらかチキンレッグと野菜』と『とろとろ炙り焙煎角煮』を注文した。運ばれてきたスープカレーはスパイスが効いていて美味、さらに柔らかいお肉と野菜が加わり絶品。よし、これから北海道グルメを食べまくるぞ〜と強く決心した。

●宿泊地:北海道千歳市
●走行距離:34.7km

苫小牧から千歳への森の道
苫小牧から千歳へ向かう。普通に国道を走っても車が多いだけ、つまらないので森の中を走るルートを見つけて、向かった。森の道は涼しく車も少なく快適だった
ガラクのスープカレー
千歳の『GARAKU』で食べたスープカレーは美味だった。行列ができていたので、並ぼうか迷ったが待って正解だった。特に『やわらかチキンレッグと野菜』はオススメ

★現在『夫婦で行くE-BIKE日本一周の旅』のクラウドファンディングを実施中。ぜひ旅の夢と感動を共有しましょう! ご支援のほどよろしくお願いいたします。
https://camp-fire.jp/projects/view/669580

取材協力:
ヤマハ発動機
https://www.yamaha-motor.co.jp/pas/ypj/
セナブルートゥースジャパン
https://senabluetooth.jp/
ステムデザイン
https://www.stem-design.net
武田レッグウェアー
https://www.rxl.jp

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