eバイク旅ノート Vol.57 eバイクだから決断した日本一周

eバイク旅ノート Vol.57 eバイクだから決断した日本一周

昨年夏の30日間日本縦断の後、妻ヒロコに「次は一緒にeバイクで日本一周をしよう」と提案。日本縦断の旅で知ったeバイクの魅力と可能性、これから旅に出るヒロコの本音を聞いてみた。

eバイクと自転車の一番の違いは当然ことだが電動のアシストを得てペダルをこげること。そのメリットを最も大きく感じるのが上り坂。日本縦断では国道で日本一標高の高い渋峠(2172m)や金精峠(1840m)、さらに八幡平アスピーテラインの見返峠(1540m)など、峠をいくつも越えたのだが、eバイクでなかったら、おそらく行かなかっただろう。

普通の自転車は体力勝負。疲れる坂道はできれば避けたい。上り坂が続くと、もう完全に自分との闘いになり、周りを見る余裕もなくなる。たとえ周りに息を呑む様な美しい景色が広がっていても、それに気が付かず通り過ぎてしまうことがほとんどだろう。これがeバイクだと、ちょっと状況が変わる。電動アシストがあるため、坂もかなりの余裕をもって上ることができる。体力の余裕が生む、心の余裕。周りの景色を眺めながらペダルをこいだり、景色が良いところでバイクを停めて写真を撮ったり、あえて回り道することだってできちゃうのだ。サイクリングで出会える世界がぐんと広がり、その道のりはとても濃いものになる。もちろん長い時間坂を上り続ければ息は上がるし、筋肉は張ってくるのは同じ。自転車ならではの満足感や達成感も得ることができる。これはもう完全に自転車革命なのだ!

八幡平
電動アシストのあるeバイクじゃなかったら、上ろうと思わなかったかもしれない。八幡平の絶景。eバイクなら上り坂まで楽しく感じる
サロベツ原野
eバイクは速く走るのは苦手だが、時間をかけて遠くへ行くことはできる。北海道に上陸して、憧れのサロベツ原野へ来たときは感動した

長距離を走る場合もeバイクのメリットは大きい。日本縦断では1日平均120km、最長の日は約230km走ったのだが「あ~もうだめ、もう一歩も動けない……」となった日は一度もなかった。もちろん個人差はあると思うが、普段運動もスポーツも全くしていない61歳のおじさんが、それも20kg以上の荷物を積んで、1日平均120kmを走り続けられたのは間違いなくeバイクのお陰。

あらためて30日間日本縦断と北海道放浪の旅で、eバイクが最高の旅ビークルだということ確信した。僕はこれまでオートバイで全国各地を走ってきたのだが、同じ道もまるで違う景色に見えることが何度もあった。速度の違いが大きいと思うが、もうまさに新しい発見の連続で、道端に咲いている花に目が留まったり、鳥や虫の声が近くに聞こえたり、周りの景色がぐっと近くなった。そして何より自分の肉体を使って汗を流し進んで行く、その気持ち良さは格別のものがあった。またロングツーリングになると荷物が増えて、体への負担が大きくなるが、それも電動アシストが補ってくれる。早く走ることを目的にしていない旅にeバイクは理想的なのだ。

eバイクと花
eバイクは何気ない小さな景色から、壮大な大自然の景色まで、様々な風景を見せてくれた。eバイクとならどこまでもいつまでも旅が続けられる
白い道
30日間日本縦断の最終日、ゴール直前に訪れた宗谷丘陵にある「白い道」。夕日に輝く白い道は幻想的だった。一生の思い出に残る風景となった

30日間日本縦断と北海道放浪の旅は自転車でもオートバイでも体験できない、eバイクだからこそできた特別な旅だった。これまで触れたことのない新しい感覚、人力ならではの感動を妻ヒロコにも味わって欲しいと思っている。

実はヒロコは完全なインドア派、スポーツも運動も昔から無縁。年齢も61歳と若くない。『自転車で日本一周 女性 60歳』で検索をしてみたが、それらしき人はひとりもいなかった(笑)。それでも体力的に「自転車」は難しいけど「eバイク」なら、行けるんじゃないか。eバイクなら男女や親子など、体力の差があってもそこを電動アシストが補ってくれる。僕が30日間で日本縦断ができたのだから、ムリせず自分が走れる速度で、走れる距離を進んで行けば、時間はかかるけど日本一周はできるはず。

霞ヶ浦
レンタルeバイクを借りていろんなところを走った。最初に走ったのがカスイチで有名な霞ヶ浦だった。その後、朝霧高原諏訪湖へも行った
河口湖
ヒロコもeバイクを購入したので、マイバイクで一緒に出掛けられるようになった。天気がいい日にお出かけ、河口湖と山中湖を一周した

ヒロコの本音

「昨年のかんいちの日本縦断は7年前に心筋梗塞をして以来の長旅だったので、体が心配だったけど、旅がしたいのは体調がいい証拠と思い、送り出しました。かんいちは走り出したら止まらないタイプ、2週間休みなし走っていたので、さすがに1日ぐらいは休んだ方がいいと忠告しました笑。過酷そうだけどとても生き生きしていて、本当に旅が好きなんだなぁと思いました」

「かんいちから『eバイクで日本一周しよう』と言われたときは、前のふたり旅から長いブランクがあったので、久しぶりに旅のお誘いが来たなという感じでした。断るより『行ったらどうなるんだろう?』と考えていました(笑)」

「それから各地でレンタルeバイクでサイクリング。外で体を動かすのが久しぶりだったので、すごく気持ちが良くて、素直に『こういう時間っていいなぁ』と思いました。忘れていた旅の感覚が蘇ってくる感じ。ただeバイクで長い旅ができるかは別の問題です。でも、アシストを使って坂道を上り切ったとき『eバイクとなら長い旅ができるかもしれない』と感じて、日本一周が一気に現実的になりました」

「3、40代はかんいちと共にバイクで海外を走り回っていましたが、ここ15年は頭を使う仕事が中心。さらにコロナで閉塞感を感じていたので、そこから飛び出すのに旅はいいかもしれないと思いました。20代、結婚する前にかんいちに誘われて生まれて初めてバイクで海外を7か月旅したのですが、あの時と同じように想像もつかない未来を見てみたい。そんな気持ちでした。これから自分にどんな変化が生まれるのか?何か変わりそうな予感がして、ワクワクしています」

『夫婦eバイク日本一周の旅』を通して、新しい夢へ向かって進んで行く夫婦の姿や、ふたり旅ならではの喜怒哀楽を見せられたらと思っています。現時点で出発は6月上旬を予定。期間は3か月位で今年は東日本を一周。来年は3か月で西日本を一周。2分割での日本一周を計画しています。使用する車両はヤマハ発動機が協力。僕はWABASH RT(ワバッシュRT)、ヒロコはCROSSCORE RC(クロスコアRC)を予定しています。

藤原さん夫婦とeバイク
次は夫婦で旅ができるのかと思うと胸が弾む。ふたりで長い旅をするのが2008年以来なので15年ぶり。どんな旅になるのか想像もつかない
ワバッシュRT
夫婦日本一周ではヤマハ発動機の協力により、僕は大容量バッテリーのWABASH RTに。ヒロコはクロスバイクでフラットバーのCROSSCORE RCに乗ることになった
夫婦eバイク日本一周の旅
『夫婦eバイク日本一周の旅』今年は6月から約3か月をかけて東日本(関東、東北、北海道)を時計回りで一周。西日本は来年を予定している

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