eバイク旅ノート Vol.53 eバイクの旅、次は夫婦ふたり旅に?

eバイク旅ノート Vol.53 eバイクの旅、次は夫婦ふたり旅に?

eバイクで日本縦断3700キロ、自由気ままに旅した北海道の旅の先に見えたのは、意外にも『ふたり旅』だった。

『30日間日本縦断』と『北海道放浪』を終えて2か月振りに神奈川の自宅に戻ってきた。これまでにない充実した2か月間になった。日焼けした脚が長かった旅の日々を物語っている。

同じYAMAHA WABASH RT(ヤマハ・ワバッシュRT)で走った2つの旅だが、その内容と印象は大きく違っていた。『30日間日本縦断』は30日間で完走! という目標があったので、当然のことながら走りが中心になった。朝8時には出発、休憩や撮影のとき以外はほとんどサドルに跨っている感じで、宿に着くのは夜7時~8時頃。1日の平均走行距離は120km。30日間で取った休養日は1日だけだった。電動アシストはあるが、長時間走り続け、体力をフルに使って2000m級の峠に上り、激しい振動に耐えながらダートを走る。その感覚はスポーツに近いものがあった。

一方、時間制約のない『北海道放浪』は、僕の本来の旅スタイル。稚内でキャンプ用品を揃えると宿泊地やルートなど、さらに自由になった。走らない日もあれば、長距離移動の日もある、すべて状況次第。寄り道したり、グルメを楽しんだり、北海道の友人とゆっくりしたり…… 体力の消耗を考えず動き回れるeバイクならではの旅となった。2つの旅を通じて改めて、eバイク(特にYAMAHA WABASH RT)の懐の広さを感じることができた。

それからもう一つ。この旅の中で新たに生まれた思いがあった。それは妻のヒロコとeバイクの旅をしてみたい、という思いだ。eバイクの速度だから見える景色、匂い、発見。eバイクの旅だから得られる感動、喜び、達成感、心地よい疲労感などなど。どれもがかけがえのない体験で、そんなすべてをヒロコも味わって欲しい。一緒に旅をしてみたいと思うようになった。

できれば日本一周と考えたが、ヒロコは昔からインドア派でスポーツは苦手、運動神経も体力もある方ではない(たぶん(笑))。年齢も今年61歳、自転車旅を始める年齢としては、あきらかに遅い。いや、かなり遅い。それでもeバイクならできるかもしれないという思いが、頭から離れない。実際、僕がeバイクに乗り始めたのは59歳。2年後には『30日間日本縦断』を実現したのだから、不可能ではないはず。たぶん(笑)

『30日間日本縦断』のようなハードな旅ではなく、自分の体力に合わせた『北海道放浪』のような旅ならヒロコでも、できるのではないか? いてもたってもいられなくなった僕は、帰宅した数日後。その思いをぶつけてみた。「えっ? eバイクで日本一周? 最近は自転車にも乗っていないし、絶対にムリだよ!」予想通りの答えが返ってきた。

しかし、こんなことは想定内。そこで簡単に引き下がる僕ではない。「走る距離はヒロコが走れる範囲内にする」「泊りはゲストハウスが中心、天気のいい日はキャンプをする」「全国各地のおしいものを食べよう」「重い荷物は僕が積んで走る」などなど、思いつく限りの好条件を並べた。

返答を待つこと数日間「……そうだね。そんなにたくさん走らなくていいなら、アシストがあるeバイクだし、できるかもしれないね。私も新しいことに挑戦してみたいし、やってみようかな」前向きな言葉が返ってきた。そう来なくちゃ。よし、一緒に行こう!

ヒロコも一度だけだがeバイクに乗ったことがあった。2年前、伊豆の宿でeバイクをレンタル。2日間サイクリングをしたのだ。どちらにしても、それから2年以上乗っていないのは確か、まずはどこかでeバイクをレンタルして走ってみよう! ということになった。

ワバッシュRT
『30日間日本縦断』と『北海道放浪』、ハードな旅を最後まで走り切ったYAMAHA WABASH RT。舗装道路もダートも走れる、オールランドなeバイク
新潟県
都道府県をひとつずつクリア、1日平均120km移動した『30日間日本縦断』は、電動アシストを使っているがスポーツの色が濃い旅となった
山道
自分の脚で進み、山道を上って眺める絶景は格別だ。次は妻とふたり旅でこの絶景を眺めてみたいと思っている。ふたり旅なら辛さは半分に、喜びは2倍になる
キャンプ場
キャンプ用品を持っていると旅の自由度がグーンと広がる。電動アシストがあるので荷物が多少重くなっても大きな影響を受けないのがeバイクの利点

首都圏でeバイクのレンタルができて、サイクリングが楽しめそうな場所をネットで検索。そこで、乗り捨て自由なeバイクのレンタルが、茨城県の「霞ヶ浦」にあることがわかった。湖を一周するサイクリング『かすいち』が有名な霞ケ浦はサイクリストの聖地、最初に走る場所としては最適かもしれない。

まずは『つくば霞ケ浦りんりんロード』のサイトで予約。“広域レンタサイクル予約システム”で貸出日と返却日、貸出場所&時間と返却場所&時間などを入力。さらにレンタルしたい車種と台数。最後に名前や住所などの情報を入力すれば予約完了だ。

当日の朝9時。霞ケ浦の西にある『りんりんポート土浦』に到着。スタッフから乗り方や注意点などのレクチャーを受ける。車両は初めて乗るGIANT(ジャイアント)のESCAPE R E+(エスケープR Eプラス)というモデル。乗り慣れているフラットハンドルなので初心者のヒロコにはちょうど良さそうだ。走り出そうとすると、ヒロコが「いやーっ、怖い! ペダルを踏むと勝手に進む~」と笑った。前に乗ったのは2年前、どんな感じか忘れてしまったらしい。でも確かに、僕はそうゆう反応を想定してペダルを踏んでいるので何とも思わないが、普通の自転車に慣れていると違和感があるかも。「最初の一歩はアシストがグッと来るから、ゆるめに踏んだ方がいいかも。それも少しずつ慣れるはず、とりあえずゆっくりスタートしよう」声をかけ、走り出した。

りんりんポート土浦
車で霞ヶ浦へやってきた。『りんりんポート土浦』ではeバイクだけでなく、ロードバイク、クロスバイク、ミニベロ、タンデム自転車もレンタル可能
eバイクにのるヒロコさん
最初は電動アシストが持っている独特な初動に戸惑っていたが、何度かストップ&ゴーを繰り返すと、すぐに慣れ、楽しめるようになった

霞ケ浦の北海岸のサイクリングロードを時速15~20kmくらいで進んでゆく。車が通らないので、安心して進める。時々バイクを停めて、景色を撮影したり。ふたりで自撮りをしたり。観光客気分で進んでゆく。30分もするとヒロコもeバイクの運転に慣れてきて「やっぱりアシストがあると楽だね♪」「風が気持ちいいね♪」笑顔が多くなる。eバイクではずっとひとり旅だったので、一緒に走ってくれる人がいるだけで嬉しい。

11時過ぎ、かすみがうら市交流センターに着いた。1階はおしゃれな雰囲気の『かすみマルシェ』、ここで休憩にする。レンタサイクルも備える施設で、店内は観光客で大賑わい。ドリンクやドーナツなどを売る軽食コーナーがあったので、ジェラートとかき氷を注文した。窓際の席で景色を眺めながらデザートを堪能。こういうご褒美が待っていると、走る気力も倍増する。

僕が前を走っていると「かんいちの走るペースに合わせようとして疲れる」というので前後のポジションを交代した。こういうのは実際に走ってみないとわからない感覚、どういう走り方がふたりにとってベストなのか、これから見つけて行こう。湖畔のサイクリングロードはアップダウンがなく、車も来ないためいいペースで進んだ。

サイクリングロード
ふたりで走っているとそれだけで楽しい。サイクリングロードは車が来ないので安全、くだらない冗談を飛ばし合いながら進んでゆく
霞ヶ浦
霞ヶ浦の広い景色を眺めながらeバイクサイクリング。今日は日曜日、本格的なロードバイクの人が多かったが、eバイクの人もチラホラ見かけた

前方に大きな橋が見えてきた。霞ケ浦をまたぐ『霞ケ浦大橋』だ。橋の先に見えるタワーが『虹の塔』、その手前にある建物『道の駅たまつくり』に到着した。今日は日曜日なので人がいっぱい。ここの名物はナマズを使ったハンバーガー『なめパックン』だが、ヒロコの反応がイマイチなので(笑)、外に出てキッチンカーで売っているカレーにした。青空の下で食べると特別おいしく感じる。

ここからさらに霞ケ浦の最北部、高浜方面へ向かった。しばらく走ったところで時刻を確認すると午後1時半。あちこちで長居したので、いい時間になっていた。このまま高浜経由で『りんりんポート土浦』まで走るとなると、かなりの距離になる。さらにヒロコが「腰が痛くなってきた~」といい始めたので予定を変更して『道の駅たまつくり』へ戻ることにした。元々ヘルニアがあるので心配していたが、やはり腰痛が出たか。初めて乗るバイクなのでサドルとハンドルのポジションが合っていないのもあるだろう。とにかく無理をしないように、時々休みながら進んでゆく。

午後3時半。無事eバイクを借りた『りんりんポート土浦』に戻ってきた。感想を聞くと、サイクリングロードが走りやすかったこと、一方ずっと湖沿いで景色が単調なのがイマイチだったと教えてくれた。今日は50kmくらいしか走っていないが「体力的にはまだまだ行けそう♪」と余裕のほほえみが返ってきた。これは頼もしい。気になったのは『腰痛』、自転車が変わってポジションも変えればラクになると思うけど…… 今後どう対応するか、考えなくては。新しい旅に向かって僕たちは最初の一歩を踏み出した。

道の駅たまつくりでランチ
『道の駅たまつくり』でランチにする。駐車場にキッチンカーが出ていたので、本格的なインドカレーを食べた。お腹がすいていたのでさらにおいしく感じる
霞ヶ浦の港
霞ヶ浦にある港はどこも静かだった。漁業はワカサギやエビなどが獲れていたが、最近は獲れなくなり、後継者も年々減っていると聞いた
藤原さん夫婦
これから始まるeバイク夫婦ふたり旅。まずはヒロコのやる気と体力にかかっています。どちらにしても珍道中になることは確定!? どうなるのか、お楽しみに♪

コラムカテゴリの最新記事