eバイク旅ノート Vol.56 妻ヒロコeバイクを買う

eバイク旅ノート Vol.56 妻ヒロコeバイクを買う

日本縦断の後、妻ヒロコとふたりでの日本一周を目標に置いた。まずはeバイクに慣れるために霞ヶ浦、朝霧高原、諏訪湖でeバイクをレンタル、数十kmのサイクリングを実行した。eバイクの乗り方もサマになってきたところで、次のステップへ。

昨年の夏に実現したヤマハ・WABASH RT(ワバッシュRT)による30日間日本縦断は感動の連続だった。この素晴らしい体験と感動、eバイク旅の楽しさを次は夫婦で経験したいと思った僕は、インドア人間の妻ヒロコにふたりで日本一周をしないか? と提案。61歳という年齢、抱えている仕事もある、さらに生まれて初めての自転車長期旅行、体力的なことはもちろん、多くの壁があった。それでも一度だけの人生、まだ見ぬ景色を見るために、ヒロコは夫婦日本一周を決意してくれた。

長者原
2022年5月~6月に最南端・佐多岬から最北端・宗谷岬まで3700kmを30日間で走り切った。感動の旅を次は夫婦で日本一周という形で実現する

それからeバイクに慣れるため霞ヶ浦朝霧高原諏訪湖一周など、現地でeバイクをレンタルして周辺をサイクリング。ヒロコでも1日40~50kmは普通に走れることはわかったが、やはり自分のeバイクがあった方がいいということになった。しかし、eバイクは40~50万円以上とかなり高価、正直いま僕たち夫婦にそこまでの予算はない。少しでも安い中古車はないかとネットで探してみるが、元々の玉数が少なく、意外と相場も高かった。

藤原さん夫婦
霞ヶ浦や朝霧高原、諏訪湖などでeバイクをレンタルしてサイクリングの経験を積んで行った。次のステップは自分のeバイクを購入すること

それでもあきらめずにネットで探し続けていると電動アシスト自転車専門店の“モトベロ”がアウトレット車両を販売していることがわかった。値段も25万円以下で何とか予算内、それもヒロコ(160cm)にピッタリなSサイズ。ついに掘り出し物を見つけたぞ。

実は2年前、日本縦断用のeバイクを探すとき、最初に試乗をしたのが代官山モトベロだった。試乗できる車両も豊富に揃っていて、とても親身になって話を聞いてくれたことをいまでも憶えている。その時の記事はこちら。モトベロなら知識も豊富だし、安心感がある。休みが取れると早速モトベロ二子玉川店へと向かった。

東急田園都市線の二子玉川駅に隣接するショッピングセンター“二子玉川ライズS.C.テラスマーケット”、その一角にモトベロはあった。早速スタッフさんに声をかけ試乗をする。車両は台湾のブランドBESV(ベスビー)のJF1というクロスバイクの旧モデル。フラットハンドルで車重は16.1kgとeバイクにしては軽量、eバイクのビギナー女性にはピッタリのモデル。

実際に試乗してみると、これまでレンタルしたモデルに比べても軽く、乗りやすいという。長旅するにはバッテリー容量が小さいのが気になるが、とりあえずショートツーリングや普段使いとしても良さそう。まずはオーナーになってeバイクに慣れることが先決、さらに距離を走り体力をつけることを考えて、即購入となった。

JF1
BESVのJF1はクロスバイクモデルでアルミフレームに36V/7.0Ahのバッテリーを内蔵。700×35Cタイヤ、機械式ディスクブレーキを搭載

5日後。休みが取れたので、マイeバイクでサイクリングに出かけることになった。最初は自宅の相模原から江の島を往復してみようかと思ったが、往復80kmなので、JF1で走り切れるか微妙な距離。最初の旅から途中でバッテリー切れは辛すぎるので、安全第一に考え茅ヶ崎までは車に積んで行くことにした。ちなみに僕が所有しているのはヤマハの旧モデルYPJ-ER。こちらでは1バッテリーで150km以上走ったことがある。

茅ヶ崎にある柳島スポーツ公園の駐車場でバイクを降ろすと、国道134号から海岸線を走る“湘南海岸サイクリングロード”へ入った。江の島の近くまで延びるサイクリングロード。右は松林が続き。左は砂浜と海、波待ちのサーファーたちが気持ちよさそうに浮かんでいる。景色はいいのだが、散歩やジョギングの人が多いのが難点。それから路面に浮かぶ砂が注意ポイント。急ブレーキは転倒に直結、控えめのスピードで進んで行く。

柳島スポーツ公園
自宅の相模原から茅ヶ崎市の柳島スポーツ公園までは車で移動。駐車場でeバイクを車から降ろし、走り始める。楽しい1日の始まり
海
国道から海岸線に出た。海が見えるとテンションが上がる。海は広いし、青空は気持ちいいし、風もない、絶好のサイクリング日和なのだ

右手に大きなCの文字。縁結びの輪として知られる、サザンビーチモニュメント“茅ヶ崎サザンC”が見えてきた。水平線にはサザンの曲で有名な“烏帽子岩”も見える。“THE湘南海岸”という感じだ。初サイクリングの記念写真を撮ってから、再び走り出す。ヒロコがこれまで走ったのは湖と高原。海岸線を走るのは初めてなのでテンションが上がっている。潮風を全身に感じながら気持ちよさそうにペダルを踏んでいる、楽しそうな姿を見ていると、僕も自然と笑顔になる。

今日は土曜日なので江の島は観光客でいっぱいのはず。その前に昼ごはんを食べておこうということになり、国道134号沿いにあるモスバーガーに入った。食べ慣れている味だが、自転車で海岸線を走って、テラス席で景色を眺めながら食べていると、特別おいしく感じる。店は江の島からは離れているが、家族連れ、カップル、グループなど賑やかな声が飛び交っている。

江の島弁天橋を渡って、江の島に上陸する。コロナが落ち着いてきたこともあり想像以上に人が多く、江島神社へ続く仲見世通り、メインロードのレストランも、観光客でいっぱいだ。そんな姿を横に見ながら、自転車で走れる道をぐるっと回り、再び橋を渡って、江の島駅方面へ向かった。人の間を走り抜け、広い通りに出るとガタコトと道の真ん中を江ノ電が走り抜けて行った。

茅ヶ崎サザンC
サザンビーチモニュメント“茅ヶ崎サザンC”の中で休憩するヒロコ。海はサーファーがいっぱい。湘南はどこも休日を楽しむ人たちでにぎわっていた
江ノ電
江ノ島や鎌倉を象徴する乗り物と言ったら“江ノ電”。海岸線を、狭い住宅地の道をガタコトと音を立てて走り抜けてゆくその姿はどこかノスタルジー

車の多い国道は走りたくないというので、住宅地の裏道を縫うように西へ向かった。しばらく進むと鵠沼海岸5丁目交差点と書かれた信号にぶつかった。信号待ちをしていると左手にオシャレなお店が見えた、何だろう? と思い行ってみるとホームメイドのアイスクリームショップだった。それを見た瞬間、ヒロコの目がキラッと光った(笑)。ここでスイーツタイムとする。

豊富なメニューな中から、いまだけの限定メニュー“ポハベリーの小さなアイスケーキ”を注文する。ポハベリーはハワイを代表するベリーで爽やかな酸味が魅力だという。2種類のアイスクリームの甘さとベリーの酸味が絶妙に絡み合いとてもおいしい。外のカウンター席でeバイクを眺めながら、おいしいアイスケーキを食べる。「こういうのがいいね~♪」満面の笑顔になる。

ホームメイドアイスクリーム屋でアイスケーキを待つヒロコさん
偶然見つけたホームメイドアイスクリーム屋でアイスケーキを待つヒロコ。eバイクは気ままに走れて、気軽にお店に立ち寄れるのがいい
ポハベリーの小さなアイスケーキ
“ポハベリーの小さなアイスケーキ”。初めて食べたポハベリーは酸味とみずみずしい甘みが特徴、日本では“食用ほおずき”と呼ばれている

食べ終えると、再びサドルに跨り、ペダルをこぎ出した。裏道が複雑になってきたので、国道134号に出て西へ向かう。一気に走り、スタート地点の柳島まで戻ってきた。まだ時間が早いので、再び海岸に出て、細い道を走り相模川の河口へと向かった。しばらく進むと目の前に大きな相模川が広がった。天気がいいとここから富士山が見えるのだが、今日は残念ながら雲が多くて見えない。

トラスコ湘南大橋を越えて川の対岸へ渡る。河口付近には釣り船用の港があり、堤防ではたくさんの人が釣り糸を垂らしている。何が釣れるんだろうね? と話しながら、しばらくそんな風景をのんびり眺めた。その後、大磯港まで足を延ばした。これまでのレンタサイクルの旅の時は返却時間があったが、今日はフリー。どこまで走るかは自分たち次第。なんだか本当の旅らしくなってきたぞ♪

相模川の河口で休憩
相模川の河口でちょっと休憩。ヘトヘトにならない距離がベスト。ただ寄り道や道草が多すぎて進まないのも困る、その辺のバランスが大切
自転車道
神奈川県の海岸線は“太平洋岸自転車道(千葉県銚子市~和歌山県和歌山市)”のルートの一部に指定されているため、自転車道路が多く走りやすい
藤原さん夫婦
その後もあちこちふたりで出かけています。今年の6月頃には日本一周をスタートする予定。今年は東日本を、来年は西日本を2分割で日本一周をしようと思っています

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