日本縦断のスタート地は鹿児島県の佐多岬にした。まずはそこまでeバイクを運ばなければならないが、いい方法がない。運送会社に頼むと半月くらいかかりそうだし、さらにバッテリーは運べないという。フェリーが便利でいいと思ったのだが、いまは東京~福岡行きの便しかないらしい。さすがに旅の前に福岡から鹿児島まで自走したくない。
よく調べると、大阪~鹿児島行きのフェリーはあることが分かった。そこでeバイクは自宅で梱包して運送会社に大阪まで運んでもらい、僕は高速バスで大阪へ行くことにした。大阪の友人宅にてeバイクを受け取り、組み立て(ハンドルとリヤタイヤ、キャリヤだけだが……)。翌5月13日。大阪南港フェリーターミナルに到着。するとほぼ同時刻に旅の相棒、撮影担当してもらう“さすライダー”こと平塚君もオートバイで到着した。会うのは4年ぶり。今回の仕事のメインは動画撮影&静止画撮影、ほかに情報収集などとなっている。ちなみに、さすライダーと僕の年齢差は21歳、ほとんど親子だが、同行してもらうなら彼かなと直感で決めた。ふたりとも基本は旅人、そしてたくさんの仲間とつるむのは苦手な自由人。これから1か月以上に及ぶ男ふたり旅、果たしてどうなるか?
低気圧が来ているので揺れるの? 船が苦手な僕はかなりナーバスになっていたが、意外と揺れず。15時間の船旅はあっという間だった。大阪は雨だったが、到着した九州は青空!それだけで気分がよかった。今日は5月14日。出発は16日に決めているので、2日間で撮影方法などを実践チェック。撮影方法のアイデアを出し合ったり、くだらないおやじギャグを連発してさすライダー困らせたりしながら、少しずつ佐多岬へ移動して行った。
佐多岬に近い民宿についたときは雨だったが、小雨なのでそれほど気にならなかった。いよいよ明日スタート。コロナ感染拡大や旅プランの変更など、紆余曲折あったが、どうにかスタートラインに立つことができた。感無量だ。荷物は何とかバッグに収まったが、正直なところまだ落ち着かない。スタートして3、4日もすればポジションも定まると思うが、久しぶりなのでちょっと心配。
出発日の佐多岬は雨だった。30日間の長い旅なので何日か雨に降られることは想定内。岬の展望台まで歩いたり写真を撮ったりしてから、スタート。18ステージの一つ熱帯植物が生い茂る“佐多岬ロードパーク”を抜け、ひたすら国道269号を北上。白煙があがる桜島についた時には夕方になっていた。ステージ2の溶岩道路を走ってから、フェリーで対岸の鹿児島市内へ渡る。1日の走行距離の目安は120km。目的の霧島市のネットカフェについた時には深夜11時を回っていた。5月16日の走行距離142.8km。
朝、外に出ると雨は上がっていた。あーよかった。今日の目的地は八代市、余裕があれば熊本市まで行く予定。偶然、小さな鉄道駅を発見したり、名水を見たりしながら北上。今日もメインはえびのループ橋だが、前後の景色も素晴らしかった。球磨川沿いに国道219号を北へ。2年前の球磨川氾濫の傷跡はいまも深く、肥薩線の線路は無残に折れ曲がり、あちこちで河川と道路の修復工が続いていた。結局距離が伸びず、八代市泊りとなる。連夜の140km越え、連夜の夜間走行となった。5月17日の走行距離143.8km。
朝走り始めると徐々に雲が切れ快晴になった。今日の目的地は阿蘇。徐々に小麦畑を見かけるようになった。大きな橋を渡り国道325号に入ると一気に景色が変わった。展望台がありいい眺め。昼はアメリカンテイストな“ストロング・ボス・サルーン”でアメリカンなハンバーガーを頬張ってから、ステージ3の“阿蘇パノラマロード”に突入! 標高が上がり頂上が近づくと、一面に赤い花が咲いている。ミヤマキリシマという花らしいが、こんな景色初めて見た。これまでとは一味違う阿蘇を知ることができた。今夜は阿蘇のバックパッカーズに宿泊となる。5月18日の走行距離109.3km。
まずは大観峰へ向かう。展望台からの景色はまさに絶景。阿蘇カルデラ、阿蘇五岳などなど……ビックスケールの景色がドーンと広がっていた。ミルクロードを経由してステージ4の“やまなみハイウエイ”へ。高原や山脈など大自然に囲まれていると気持ちがいい。定番のソフトクリームを食べ、長者ヶ原では何枚か写真撮影。その後は、中津を目指してひた走った。7時過ぎ、夕ごはんはもちろん中津名物、唐揚げ。衣はサクサク、肉はジュージーでおいしかった。満足♪ 5月19日の走行距離136.9km。