eバイク旅ノート Vol.31 あたみ桜と過去最長164km走行

新プロジェクト「E-Bikeチャレンジ日本縦断3500キロ」という新しい目標ができたので、今回はチャレンジに向けてトレーニング&体力作りも兼ねて、久しぶりに100kmオーバーツーリングに出かけることにした。

まだ寒いので(2月中旬)温暖な海岸線がいいと思い、行き先は熱海に決めた。相棒はいつものヤマハYPJ-TC。自宅の相模原市から距離にして往復150kmほど。バッテリー1本ではちょっと不安なので予備バッテリーをリヤキャリヤのバッグに入れておく。距離があるので早朝6時に自宅を出発した。天気は快晴、気温は-2℃と寒い。それでも30分くらいペダルをこぐと、体も徐々に温まってきた。

自転車(=eバイク)に乗り始めて、いつも頭を悩ませるのが服装選びだ。いくら寒くてもペダルをこぎ続けると暑くなるし、止まればまた寒くなる。峠越えでも上りと下りで体感温度が全然違う。そのような経験から、細かい温度調節ができるレイヤーを心がけている。今回のトップスはインナーにヒートテック、その上に長袖シャツ(綿)、ジャージ、アウターに防風防水性の高いパーカーを重ねている。トップスは気温差に対応できるようにしているが、ボトムは動けるようにストレッチ素材のロングパンツ1枚。あっ、もちろんトランクスも履いてますよ(笑)  

途中にあった「松屋」で朝めしの納豆ごはんをかっ込み、エネルギー補給。太平洋沿いの国道134号に出たのは8時20分だった。早からず遅からず、まずまずのペースだ。長丁場なのでスピードは上げず、電動アシストが得られる15km~20kmの速度で、体力の消耗を抑えながら進んで行く。海沿いを西へ向かう、一部は「太平洋岸自転車道路」になっているのでいいペースで走れる。小田原の街中を抜け、国道1号から国道135号へ入る。しばらく進むと再び海が見えてきた。

左手に海を見ながら進んで行く。青空、青い海の景色の中を進んで行く、頬に当たる風が気持ちいい。こういう景色の中を走っていると、自転車っていいなと心から思う。走りながら中学2年の伊豆半島一周サイクリングをふと思い出した。友人と二人で3泊4日の旅だったがとにかく暑かった。峠道で汗がぽたぽたとアスファルトを濡らしていた場面を覚えている。そういえば別行動して、長い時間はぐれて、心配したこともあったなぁ~。色んな事を懐かしく思い出した。ということは、伊豆半島を自転車で走るのは中学以来? しかし、あの頃は還暦の歳で、それも自転車で伊豆半島を走ることになるとは夢にも思わなかった。

水平線に大きな島と小さな島が浮かんでいるのが見える。伊豆大島と初島かな? いつか離島をeバイクで走ってみたい。国道の右手にJR東海道本線の真鶴駅が見えてきた。トイレを兼ねてここで休憩にする。時間は午前11時。走行距離は71.2km。ここまでくると気持ち的に少し余裕が出てくる。よし、熱海まで一息だ。

トラスト湘南大橋
トラスト湘南大橋で相模川を渡る。広い河口に架かる橋はとても眺めがよくて、左を見れば太平洋の水平線。遠くに富士山も見える
小田原のマンホール
小田原のかまぼこ通りで見つけた、カラーデザインのマンホール。浮世絵タッチで小田原宿と日本遺産「箱根八里」の風景が描かれている
小田原城
上杉謙信の城攻めにも屈しなかった難攻不落の城として有名な小田原城。小田原市のシンボルでもある。桜の名所としても知られている
国道135号
小田原市内を抜けて国道135号へ。しばらく進むと広い海が視界に飛び込んでくる。開放的な景色の中を走っていると気持ちも大きくなる

熱海のどこへ行くか決めていなかったが、以前訪ねた来宮神社へ行くことにする。全国に四十四社あるキノミヤジンジャの総社で、境内には樹齢2千年を越えるクスノキのご神木が立っている。この木を一周すると寿命が1年延びるとか、願い事が叶うという言い伝えがあり、パワースポットとしても知られている。12時少し前に到着。境内に入りクスノキへ行くと、以前はなかったオシャレなカフェや展望スポットができていた。最近、熱海は若い人に人気があるので、そのあたりの層を狙ったのだろう。周りは変わってもクスノキは昔のまま、旅の無事を祈りながら木を一周した。

坂を下りて熱海市内へ向かう。町の中心を流れる糸川へ行くと、歩道に沿ってピンク色の花が咲いていた。そうか、忘れていた、早咲きのあたみ桜が咲く季節なのだ。桜をバックに観光客が嬉しそうに写真を撮っている。僕の観光客に紛れてパシャパシャ写真に収めた。あたみ桜のことをすっかり忘れていた僕は、得した気分になった。

ここから帰路の旅が始まる。熱海を出るとしばらく上り坂が続く。アシストはHIGHモードにして、できる限り体力の消耗をセーブする。午前中に走ってきた道なので距離感がつかみやすい。帰路は休憩を少な目に、リズムよくペダリング、いいペースで小田原に着いた。80kmを越えたあたりからいつものように両膝が痛くなっている。毎度のことなので、無理のない速度で進んで行く。小田原市内、111.4km走ったところでバッテリーが0%になった。予備バッテリーを持ってきて正解だった。

交換をして再び走り出す。国道1号と国道134号を繋いで東へ向かい、茅ヶ崎から県道で北へ向かう。午後4時で走行距離132.9km。自宅に着いたのが午後6時2分。走行距離は過去最長の164.2kmとなった。いやいや、走った。体力的には問題ないが、気になるのは両膝が痛くなること。やはり脚力が弱いのだろう? 日本縦断チャレンジが始まる前に、少しでも脚力をつけておかないと、ヤバいかも。現時点での日本縦断を30日間以内で走り切れる可能性は、正直なところ20%以下かも。出発の時には50%~60%位に引き上げておきたい…… この2か月間が勝負になりそうだ。

来宮神社
熱海市を見下ろす山の中腹にある来宮神社は、来福・縁起の神として信仰されている。ご神木のクスノキは幹周り24mもある巨木
あたみ桜
熱海市内へ行くと糸川遊歩道でピンク色のあたみ桜がたくさん咲いていた。今年の冬は寒かったが、景色は少しずつ春に近づいている
真鶴駅
帰路の途中で立ち寄った真鶴駅。自販機でホットコーヒーを買うとベンチに腰掛け、周りの景色をのんびり眺めた。これぞ至福の時間
eバイクのディスプレイ
自宅(相模原市)~熱海往復。164.7kmを走り無事帰宅。1日の走行距離としては最長。今後も少しずつステップアップ、日本縦断を目指す

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