eバイク旅ノート Vol.16 YPJ-TCでサイクルトレーラーを引いてテストツーリング

YPJ-TCにサイクルトレーラー
関東がようやく梅雨明け。日本一周に使う実車、ヤマハのYPJ-TCにサイクルトレーラーを接続してテストツーリングに出かけた

日本一周の旅に使用するeバイク、ヤマハ発動機のYPJ-TC(ヤマハ発動機の製品ページ)が手元に来たので、車両の内容を紹介した。今回は実際に使うYPJ-TCにサイクルトレーラーを付けてテストツーリング。行き先は宮ヶ瀬湖。自宅から往復50kmの距離。途中に峠をひとつ越えるルートを設定した。ここでいろんなことが見えてくるだろう。

これは少し前の話になるが、サイクルトレーラーは後輪車軸に接続用アダプターを取り付け、そこにトレーラーの先端を結合させる仕組みになっているのだが、スルーアクスルでは結合不可であることがわかった。何かいい方法はないか?と思いネットで検索、そこでスルーアクスルの端に固定用ネジが追加できる、特殊アダプターがあることを発見。交換することで無事トレーラーを接続することができた。一安心。

サイクルトレーラーの接続部
スルーアクスルは特殊な構造をしているため、外側に固定用のネジが追加できるアダプターに交換。ここにサイクルトレーラーを接続する

7月中旬、関東はようやく梅雨明け。ずっと雨ばかりだったので、eバイクに乗るもの久しぶりだ。日差しは暑いけど、やはり青空の下でペダルをこいでいると気分がいい。ローカル道を繋ぎ相模川を越え、さらに中津川を越えたところで小休憩。これまでドロップハンドル車に乗っていたが、フラットハンドルだと上半身が立ち気味になるため、視界が広くなった。また、ハンドルにある上半身の体重を載せられるので、楽な体勢で走れることがわかった。

愛川町の国道412号と交わる信号を渡った直後、背後から「かんいちさーん!」と声が聞こえてきた。誰だ? 通りすがりのオートバイのようだが。近づくと友人の野岸夫婦だった。雑誌編集で知り合い、付き合いは30年近くになる。僕のSNSでこの旅のことを知っていて、サイクルトレーラーを見た瞬間、わかったらしい。お互いの近況をおしゃべり。せっかくの機会だと思い、eバイクに跨らせてみる。ペダルを踏みながら「わーっ、なにこれ」「不思議、楽に走れる~♪」と夫婦揃って喜んでくれた。その様子を見ていたら僕まで嬉しくなる。宮ヶ瀬湖へ向かっているというので、どこかで再会するかもしれない。

藤原さんと野岸夫婦
国道の交差点で偶然、オートバイツーリング中の友人の野岸夫婦と出会った。楽しいことが好きなふたり、eバイクにも興味津々だった

手を振って別れた後は、ひたすら上り坂が続いた。住宅地を抜けて山道へ入って行く。周りの木々が木影を作っているので、風が少しだけ涼しくなる。本格的な上り坂が始まるとさすがに暑く、汗が噴き出してくる、アシストはすでに最強の“HIGHモード”。フロントギヤをインナーに落とし、何とか止まらないようにペダルに力を込める。カチャカチャ……カチャカチャ……みるみるシフトダウン。今回はある程度の重さを体感しておこうと思い、サイクルトレーラーに5、6kgの荷物を積んでいる。急斜面になるとグッと足が重くなる。

空身では何度も走っているルートだが、今回は驚くペースでバッテリー残量が減っていく。さらにギヤも3、4速軽くしないと上ることができない。どんどん体力が奪われる。途中でチェンジミス、急勾配の上り坂でストップしてしまった。再スタートしようとするが、うまく力が入らない。何度目かのトライで何とか動き出した。どうやら坂道発進には特有のコツがあるらしい。汗だくで峠、半原越に到着した。息はかなり上がっている。eバイクでこの峠を7、8回上っているが、間違いなく今回が一番きつかった。

半原越
神奈川県愛甲郡愛川町と清川村を結ぶ小さな峠道。その峠となるのが「半原越(標高488m)」。サイクリングを楽しむ人の姿もチラホラ

下り坂の急カーブ、TCはフラットハンドルのためコントロールしやすく安定感がある。それだけで心の余裕もできる。清川村まで降りると県道64号にぶつかる。右折して宮ケ瀬湖へ向かう。今日は土曜日、たくさんのオートバイ、ロードバイクとすれ違う。みんな短い夏の休日を楽しんでいる。再び上り坂。この道は木陰がないので肌がジリジリ焼ける。上りきると宮ヶ瀬湖が左手に見えてきた。空、緑の山々、青い湖、最高の景色が続く。

すれ違うオートバイが手を振った。おーっ、途中で会ったネギ夫婦だ。手を振り返す。やっぱり再会したか。この先の展望台のある鳥居原園地で会えるかと思ったが、やはりオートバイの方が早いなぁ。大きな駐車場と展望台、地元産の野菜や花などを売る「鳥居原ふれあいの館」などがある鳥居原園地に到着した。喉がカラカラなので自動販売機でオレンジジュースを買ってがぶ飲みする。あー生き返った。たくさんの人が、楽しそうに過ごしている。ロードバイクも何台か集まり、サイクルパーツの話題で熱く盛り上がっている。

その後「服部牧場」などに立ち寄り、帰路についた。今回のツーリングでフラットハンドルのコントロールのしやすさを実感。また上半身の疲れが少ないこともわかった。何か所か急勾配の上り坂があるのだが、電動アシストがなかったら上り切れなかったかもしれない。アシストの恩恵を改めて感じた。一方、サイクルトレーラーに荷物を積むとかなり重くなり、バッテリーの電力を消費が激しくなることも判明。空身の時に比べると、1.5倍くらい減りが早かった。今回はサイドバッグを付けていない状態、本番ではさらに荷物が重くなるだろう。それを考えると別に交換バッテリーを携帯する必要があるかもしれない。そんなことを考えた。

宮ヶ瀬湖
今回の目的地は宮ヶ瀬湖。湖の北東部にある鳥居原園地に到着した。美しい展望、この日は天気が良く最高のサイクリング日和だった

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