どうも。山とか土の上をシャキッと走るMTBライターの中村浩一郎でっす。フルサスeMTBの《ヤマハ・YPJ MT-Pro》に乗り始めて2ヶ月ほど経ち、もうペダルバイクへは戻れないeMTBライターへとすっかりeシフトしてしまった。
フルサスeMTB、まずそこにあるだけで重いのだが
総重量は23.5kgあるこのMT-Proは、車体に乗る以前に乗ろうと車体を振り回すだけでずっしり重い。これまで僕が乗っていたのはずっと総重量14kgほどのハードテイルMTB。10kg増量はなかなかグッとくる。
ただ、記録と記憶を遡ってみると、2000年のMTBダウンヒル世界選手権で優勝したマイルス・ロックウェルのバイクは重量19.11kg、タイヤが前26×2.8に後26×2.5で、トラベル量は前後150mmセッティング。当時は20kg超えの車体は多かったから、割と似たスペックである。
で、こうなると全体の取り回しがゴツい。重いというよりゴツい。バッテリーとアシストユニットという重みのあるものが中央付近にどっしりと構えているので、これまで小手先でやってきたフロントアップとかのテクニックが通じなくて焦る。
タイミングは早め、重心移動は大きくゆっくり、に変わっていくんだろう。電動アシストのパワーをどう利用するか、色々とタイミングの合わせが変わってくる。走りの芯を出さなくてはならない。
がんがん反復できて、走りにぐんぐん集中できた
乗り出してしまえばどこにでも行けてしまうこの万能感。無駄に走ってみようかという気持ちになるし、実際無駄にむやみに走るようになった。
今は春とはいえまだシーズン前。ゴンドラ付き常設パークはまだ開いておらず、自走で登る系MTBパークが土日祝日に開いてる。神奈川県の「フォレストバイク」、静岡県の「ミリオンペタルバイクパーク」、そして冬場にしか開かない「Sトレイル」などがほど近いので、ここらに足繁く通った。
通って分かった。上りが楽なのは、結果、走る本数が段違いに増えるのだ。これまでは5、6本も降れば体力の限界が来たコースが、平気で20本ぐらい走れるということだ。上っているときは、むしろ僕がアシストのアシストをしてやっている感じだ。
しかも上りの時間が短くなるし、止まらず走り続けるし、3時間も走ればもうこれまでの5、6倍はコースの走行量を稼げる。しかもほとんど疲労感なく。
何事も回数に勝る練習方法はない。回数をこなせば動作の精度が上がる。アシストがあるので疲れないし集中力も途切れない。アゴから曲がるとか、股関節を曲げるとか、走りでやろうとした動きにも集中できるし、地形や速さに任せてクルーズしても登り返しがもったいなくない。上手くなれば下手こきにくくなってもっと気持ちよくなれる。eMTB買って良かったと思う。
確かに重いのだが、下るように上れる
上り返すのはMTBでは嫌われる。そもそもカリフォルニアの山を自転車で下りたいという気持ちで50年前に、わざわざオートバイのホイールやタイヤを自転車にしてしまったところから始まっているのがMTB。サイクリストなのに上りを嫌うマインドがあっても、まあそれはそれで仕方ない。
がしかしeシフトした僕は、当たり前のように上り返す。これまでゴンドラなどの搬送のないMTBパークは覚悟が完了したガチ系ライダーのためのものだったが、eMTBなら搬送はむしろいらない。自分でばんばん上りたい。上りのスイッチバックをギュンギュンと、バイクを横に傾けながらコーナーで加速して下るように上りたい。
こうなると上りに対する嫌悪感がなくなる。とりあえず上っておこうか、が当たり前になる。走りが積極的になる。「行かない理由」そういうものをどんどん考えなくなっていく。
色んな心のこだわりがなくなる悟りとはこんなもんかと思う。自己啓発のようでもある。まあアシスト頼りだが。
重いのでかえってバキューんって安定して飛ぶ
さらにこれまでいろいろ障害となってきた重さだが、これが乗り出すと意外に良いのがわかった。重いのでかえって安定している。言い方を変えよう。下っている時や飛んでいるとき、つまり車体を人が動かそうとしているのではなく、自然の法則に沿って動いているときに、とても安定しているのだ。飛ぶとバキューんって飛んでいく。最初びっくりした。
真ん中に長く重い500Wの大容量めなバッテリーがあって、重心を小さくまとめずに、逆に人間の重み全体も加えた大きな重量物として捉え、その真ん中あたりに大きく重いものを持ってきているのだろう。とかとか。
もちろん前後150mm程度のサスと幅太ホイールの衝撃吸収力があってのことだ。これがあるからこそeMTBはフルサスがいい。フルサスじゃなきゃ話にならない。そう思って繰り返しジャンプを飛んだ。その日はものすごく気分が良かった。
そしたら次の日の朝起きたら全身が筋肉痛だった。あれですよ、久しぶりにスキーを思い切り一日中滑った次の朝のあれ。なるほど、息が上がらず筋肉が疲れるeMTBは完全なレクリエーションスポーツになんだなあと感じだ。全身使って遊ぶスキーみたいな遊び、オフロードスキー的な。
車重を生かした走りとは、どのようなものなのか?
— @ebike-japan (@ebikejapan1) June 9, 2023
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