eバイク旅ノート Vol.105「eバイク旅の魅力を改めて考えてみた」

早いものでeバイクに乗り始めて5年目に入りました。最初は関東周辺を日帰りツーリング。2022年には初のロングツーリング日本縦断で30日間、3600kmを走破。2023年~24年には妻とふたり夫婦で日本一周をしました。様々な経験から改めてeバイクと旅の相性が良いことを実感。そこで今回は改めて感じたeバイク旅の魅力や利点、欠点などを語ってみたいと思います。

GOODポイント

男女や親子でも楽しめる

eバイクも自転車と同じように基本は人力で進む乗り物なんだけど、アシストが体力を助けてくれるので体力の差があるふたりでも同じペースで走ることができる。男女や親子はもちろん複数人で旅する場合これは大きな利点になる。今回僕たち夫婦が日本一周ができたのもeバイクだったから。これがもし自転車だったら……「日本一周しようなんて思わなかったよ~!」妻のヒロコが言っています(笑)。

藤原さん夫婦
eバイクだからできた夫婦日本一周。アシストが体力を補ってくれるので体力に差があるカップルや夫婦でも旅を楽しむことができる

適度な運動!心地よい疲労感

eバイクを含めた自転車の魅力は体を動かす気持ちの良さ。僕は20~50代ずっとオートバイに乗っていたので、特に強く感じている。汗を流しひと漕ぎひと漕ぎ進んで行く。走り切った後の疲労感や充実感は自転車でなければ味わえない。ただそれが度を越えてしまうと「キツイ!」「疲れた~もう乗りたくない」になってしまう。それがeバイクなら丁度いいバランスで楽しむことができる。
ラクしたい時や体力を温存したい時はアシストを『強』に、体力をつけたいときは『off』や『弱』にしたり、その時の体力や状況に合わせて調節できるのがeバイクの強み。

藤原さん夫婦
eバイクの魅力は体を動かし、汗をかき、進んで行く気持ち良さ。電動アシストは体力だけでなく気持ちにも余裕をくれる

長時間走れて遠くへ行ける

自転車に乗っていると「もっと遠くへ行きたい」思うことがある。長い距離を走るにはそれなりの体力が必要だが、その体力の一部を補ってくれるのが電動アシスト。eバイクならば自ずと走る距離を延ばすことができる。これは僕の感覚だが、同じ重さの自転車と同じ体力なら1.5倍くらい走れるじゃないかと思う。
長距離を走るときは、疲れず距離が稼げる時速20km前後のペースで走るのがおすすめです。

日本縦断の旅
日本縦断の旅では1日平均約120km走行。一番走った1日は北海道の名寄から宗谷岬で約228km。eバイクでなければ無理だった

上り坂が楽しくなる!?

ドMの人は別として(笑)。自転車で上り坂が好きという人は少ない。しかしeバイクとなると話が違ってくる。アシストの恩恵を最も実感できるのが上り坂。少ない力で坂道をグイグイ上って行く気持ち良さは、eバイクでしか味わうことができない。普通自転車なら「やめておこうかな~」と背を向けそうな激坂や峠道もeバイクなら「チャレンジしようか!?」に変わる。大自然の変化を楽しんだり、自由に走り回ることが“旅”の醍醐味、アシストは確実に旅の世界を広げてくれるだろう。
ただ上り坂のバッテリー切れになったら大変なので、バッテリー残量の確認は忘れずに。

美幌峠への道
最初は峠を怖がっていたヒロコだがeバイクに慣れてくると1000m級の峠も余裕で越えられるようになった。写真は美幌峠への道

寄り道や道草大歓迎

“旅”はその行程いかに楽しむかが大切。走っていると突然「あのカフェでお茶しようかな?」「気になっていたあのスポットに行ってみようかな?」と思うことがある。それがもし普通の自転車だったら「でも遠回りになるからなぁ……」とか「手前に坂があったぁ……」で諦めてしまうのだが、eバイクなら躊躇なく寄り道ができる。さらに寄り道したことで新しい景色に出会ったり、面白い道を見つけたり、さらに世界が広がって行く。この自由度こそがeバイクの魅力なのだ。

ヒロコさん
気軽に寄り道をしたり、躊躇なく坂道へ入って行ける、自由度の高さがeバイクの魅力。eバイクの旅は新しい発見が溢れている

あれもこれも運んじゃおう

eバイクはアシストがあるので重い荷物を積んでもそれほど負担にはならない。例えばハンドドリップコーヒーの道具を積んで出かけ、絶景スポットで景色を眺めながら美味しいコーヒーとか、キャンプ用品を積んで海辺や湖畔までツーリング、テントを張って焚火をしながらビールなんてこともeバイクなら十分に可能。
またロングツーリングでは着替えなど荷物が増えてしまうが、eバイクなら多少の無理は効く。さらにギターやバドミントン、釣り道具など趣味の物も持って行ける。もちろん限界はあるが、eバイクは旅先での楽しみも広げてくれる。

キャンプ
eバイクはテントやテーブル、調理用のアイテムなど荷物が多くなるキャンプツーリングは得意中の得意。気軽に楽しむことができる

何モード?何速で行く?考える楽しみ

eバイクに乗り続けていると満充電で何kmくらい走れるか? この傾斜だと何モード&何速が一番ラクか? 上り坂ではどれ位の速度だとバッテリーが減らないか?などなど……自分のバイクの特徴がわかってくる。そうなるとeバイクの楽しみ方も倍増する。
例えば「元気のある午前中は軽いアシストで、午後は疲れているから強いアシストで走ろう」とか「今日はなるべくラクしたいからアシストが効く遅い速度で走ろう」とか、色々やってみたくなる。
そういえば昔、一本のバッテリーだけで海抜0mから富士5合目まで上るチャレンジしたことがあったな(笑)。 eバイクの楽しみ方は十人十色、無限にある。

ディスプレイ
僕が乗るヤマハのWABASH RT(ワバッシュRT)はアシストのモードは5種類。ギヤは11速。体調や道の傾斜、距離などを考えながら走りをプランニングする

BADポイント

バッテリー切れの心配と充電確保

やはり一番の心配はバッテリー切れ。走っている途中に切れると足への負担がグッと重くなる。それでも切れると動かなくなる電気自動車とは違って、普通の自転車として走れるのでご安心を(笑)。
上り坂が長く続くとアシストの負担が大きくなり、バッテリーの減りも速くなるのでメーターで残量をまめにチェックしよう。
それでも心配な人は充電器や別バッテリー持参するといい。ランチに入ったお店で電源を借りたり、切れたところで充電済みのバッテリーに交換するなどの対応ができる。またキャンプ場に泊まる場合は受付で充電をお願いしてみよう、たいていのキャンプ場は対応してくれるはずだ。

充電設備
ビジネスホテルなどは充電の心配はないが、キャンプ場は設備がまちまちなので受付のときに充電可能か確認するようにしていた

車体が……重い

10kg前後のロードバイクに比べると、日本一周で使ったヤマハWABASH RTは約21kgと10kgくらい重い。走っているときはそれほど感じないが、車体を持ち上げて段差を越えるときや、階段スロープを押しているときなどは重く感じる。いや、重い。
しかし重いバッテリー積んでいるのでこればかりはどうにもならない。“重さ”の代わりにたくさんの利点を得ているので、ここは諦めましょう(笑)。

エレベーター
eバイクは重いのが欠点。日本一周では大量の荷物を積んでいたのでさらに大変だった。何度かエレベーターにお世話になった

まだまだ少数派

いわゆるママチャリの電動アシスト自転車はたくさん走っているが、日本一周中に見かけたeバイクは数台だけ。実際、旅で20人以上の自転車旅人に会っているがeバイクは台湾人ひとりだけだった。欧州ではかなりポピュラーな存在だが、日本ではまだマイノリティ。その理由のひとつは普通の自転車に比べて高価なこと。原付バイクと変わらないで値段なので、便利さでそちらに流れてしまうようだ。またロードバイク愛好家も体力的にきつくなってきたら乗るかも……という人がほとんど。もっと柔軟に、もっと自由に、楽しそうだから乗ってみようかな!という人が増えるといいだけどなぁ。そうなることを願ってます!

eバイク旅行中の台湾人と
2023年にeバイクで日本を旅行していた台湾人に山形で出会った。少数派なので嬉しかった。2024年は四国一周をしたらしい

最後に

ちなみに僕の場合、eバイクに乗り始めた理由は“面白そうだから”そしていまも乗り続けている理由は“楽しいから”。
人からよく「eバイク、ラクですか?」と聞かれる、ラクに走りたいならオートバイや車の方がいいに決まっている。オートバイに乗っている人に「ラクですか?」と聞く人はほとんどいないのに、なぜだろう? そう考えるとeバイクはちょっと不思議なポジションにいるのかもしれない。
だから僕は声を大にして「eバイクは楽しい!」と言いたい。健康的に体を動かしながら、さらに自由に動き回れる爽快感。これほど面白い乗り物は他にはない。ぜひ皆さんも一度eバイクに乗ってみてください♪

藤原さん夫婦
eバイクの魅力は自由度の大きさ。体力がある人もない人も関係なく楽しめる。これからもeバイク旅の魅力を伝え続けますよ~

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