eバイク旅ノート Vol.107 「やっちゃえば!?eバイク日本一周(準備編1)旅向けのeバイクは」

日本一周中「いつか日本一周をしてみたい」と話す人にたくさん出会った。キャンピングカー、車、鉄道、オートバイなど……方法はいくつもあるが、僕はeバイクで行くことをおすすめしたい。
ゆっくり流れる景色、自然との一体感、体を動かして進んで行く気持ち良さと充実感…… 全てが魅力的で、バランスがいいeバイク。日本一周の最適な相棒だと思う。
そこで、日本一周の旅についてのノウハウをアドバイス。計画編に続いて今回から準備編。まずは長旅にどんなeバイクが向いているのか?実体験を元に語っちゃいます。

準備編1

旅向けのeバイクは?

基本的にどんなeバイクでも旅はできます。ただ、バッテリー容量が小さいと進める距離が短かったり、キャリヤが装着できなくて荷物が載せられなかったり、タイヤが細いと段差や悪路が辛かったり、タイヤが小さいとこぐのが大変だったり…正直、長い旅に向いてないモデルもあります。
ただ「そんなこと関係ない、俺は今乗っているこのバイクで行きたいんだー!」という人はぜひそのバイクで行きましょう。多少の不都合や苦労があっても、自分が好きなバイクで行くのが一番ですからね。
そんな人は別として、日本一周のために新しくeバイクの購入を考えている人。どんなバイクが旅に向いているのか知りたい人などなど、旅バイクのチェックポイントはどこか? アドバイスします。

藤原さん夫婦
普段使っているeバイクで日本一周できるの?長距離向けのeバイクは?旅バイクを選ぶ際のチェックポイントをアドバイスします

バッテリー容量は?

まずバッテリー容量、これはかなり重要です。旅するeバイク選び一番のポイントになるので必ずチェックしておこう。
「1日50kmも走らなくていいよ」~という人は別として、1日70kmから100kmは走りたいところ。バッテリーの容量に比例して走れる距離も変わってくるので、サイズとしては最大容量400whくらいは欲しい。
モデルにもよるが容量400whあれば1日100km前後は走れるはず。高い峠があったり、強い向かい風が続けばと距離は短くなるし、弱いアシストモードでさらに道が平坦なら逆に100km以上余裕で走ることができる。とりあえず一つの目安として400whと憶えておいてください。
ちなみに僕が日本一周で使った車両はヤマハのWABASH RT(ワバッシュRT)でバッテリーは500whとトップクラスの大容量でした。実はこれが日本一周の相棒として選んだ一番の理由でした。実際、日本一周では1日に80km以上走った日が25日もあったけど、残量が0%になったのは1回だけでした(この時は予備バッテリーで対応)。
もちろんバッテリー容量の少ないモデルでも可能です。この場合の対策としては

1. 予備バッテリーを携帯する
2. 昼に立ち寄ったお店などで充電させてもらう
3. 1日の走行距離を抑え目にする

などがある。ほかにバッテリーが切れても頑張って走る!なんていうのもアリかな(笑)

バッテリー
旅用にeバイクを購入する際、バッテリーの容量は重要なチェックポイント。容量が大きいとアシストしてくれる距離も長くなる
ディスプレイ
弱めのアシスト(ECOモードなど)で1充電当たり100km以上走行できれば、日本一周のような長期の旅でも安心感がある

バッテリーは取り外しが可能か?

昔はバッテリーが外部にむき出しで、すぐに電動アシストとわかるものが多かったが、いまはフレーム内に内蔵したススマートなタイルが主流。
ここでポイントになるのはバッテリーが外せない一体式か、それとも取り外しができるタイプか。長い旅では、屋外、室内、キャンプ場……様々な場面での充電が考えられるので、バッテリーが取り外しできるタイプがおすすめ。
なぜなら一体式だと屋外や室内でも自転車が入れられる場所など、充電場所が限られてしまうからだ。もし取り外せるタイプだったら屋内や、昼間のネットカフェなどでの充電も可能になる。
また日本一周のとき、あるキャンプ場で「バッテリーを外して充電ができるなら、受付の部屋で管理できるので充電しておきますよ」と言ってくれたことがあったので、取り外せるタイプにしよう。

バッテリー
できればフレームから取り外しできるタイプの方がいい。日本一周では毎日違う場所で充電することになるので、ここはかなり重要

充電時間は?

満充電までにかかる時間も確認しておきたい。ほぼ同じ容量でもバッテリーや充電器、モデルによって2.5時間~6時間とかなり幅があるからです。
6時間だと一晩かかってしまうが、2.5時間のモデルなら半分以下、移動中のランチタイムを使ってある程度の充電が可能。短いとメリットが多い。

充電
日本一周ではほぼ毎日、充電するので満充電までにかかる時間もチェックしておきたい。6時間以上かかるものは避けた方がいいかも

拡張性はあるか?

長い旅になると着替えやキャンプ用品など荷物が多くなる。近年はキャリヤを付けないバイクパッキングスタイル(大容量のサドルバッグやフレームバッグなどを装着)もあるが、やはりリヤキャリヤ&サイドバッグの方が重心が低くなり走行も安定する。そのような視点からダボ穴が多いモデルを選ぼう。
特にリヤキャリヤが取り付けるダボ穴(シートステー&リヤエンド)は重要なので確認しておきたい。さらにフレームやフロントフォークにボトル等が付けられるダボ穴が多数あるれば◎。特にフォークのダボ穴はフロントキャリヤ(サイドバッグ)やフォークバッグを取り付けられるので、積載性がかなりUPする。

ワバッシュRT
拡張性が高いこともヤマハ・WABASH RTを選んだ理由のひとつ。Ⅿサイズの場合、前後のキャリア、フレームに2本ボトル装着できる

タイヤサイズは?

eバイクにも20インチなどタイヤの小さいミニベロや折り畳みタイプもある。確かに収納スペースが小さいとか小回りが効くなどの利点はあるが、段差を越えるときの衝撃が大きかったり、高速走行が大変だったり、直進安定性が低いなど不利な点が多い。正直長距離ツーリングには向いていないのでホイールサイズとしては700Cや650Bがベストだろう。
また、荷物をたくさん載せるため車重が重くなること、段差越えやジャリ道などいろんな場面が想定されるので、タイヤ幅は太目がマスト。38mmサイズ以上のものを選ぼう。
タイヤが太くなるとエアボリュームも増えるので、地面からの振動を軽減されるし、段差越えの衝撃も吸収してくれる。確かにタイヤが太いと路面抵抗が増えたり重くなるデメリットはあるが、それでもメリットの方が大きいと思う。

タイヤ
距離を走るので700cなど大径が有効。また重量と走りは重くなるが、太い方が段差に強く、振動を軽減されるなどの利点がある

スポーク数にも注目しよう

タイヤサイズと同じようにスポーク数もチェックしておこう。スピード重視のロードバイクは空力性能や軽さが優先、カーボンのリムにスポークは18本や20本というモデルもある。
しかし旅では速さよりも耐久性が重要。eバイクは元々の車重が重い上に荷物をたくさん積むことになるので、スポークにかかる負担も大きくなる。スポーク数が多くないと重さを支えきれないので、32本か36本使っている、強度の高いモデルを選ぼう。

オデオン座
意外と盲点なのがスポーク数。軽量化のため少なくしているモデルもあるが、旅では耐久性が最優先。32本以上使っているモデルを選ぼう

変速ギヤ数は?

以前乗っていたヤマハのYPJ-ERはフロントが2速50T×34T、リヤが10速11~32Tの計20速だったが、3年位乗っていてフロントインナーを使ったのは、激坂にチャレンジした数回のみだった。eバイクはアシストがギヤの代わりをしてくれるので、多くのギアは必要ないことがわかった。
ただ、山も越えれば海岸も走る日本一周、それなりのギヤ数とギヤ幅は必要だ。そこでひとつの目安となるのが、僕たちが日本一周の旅で使ったヤマハWABASH RTとCROSSCORE RC(クロスコアRC)。ちなみに走行距離1万kmで自力でこいで上れなかったのは熱海の激坂だけ(あれは道ではなく崖だった(笑))。それ以外の道は全て自力で行けたので、この2車両のギヤ数があれば十分ということになる。
WABASH RTがフロント1速44T×リヤ11速11~42T。CROSSCORE RCがフロント1速44T×リヤ9速12~36Tとなっている。

クロスコアのスプロケット
写真はヤマハ・CROSSCORE RCのカセット&リヤディレーラー部。高速走行よりも中低速域を重視したギア比になっている

ハンドル形状

フラットバーか?ドロップハンドルか? フラットバーは悪路走行やハンドルコントロール性に優れているが、ポジションが固定されるので疲れるのが難点。一方ドロップハンドルは複数の場所が握れるので腕と上半身の疲労を分散できるのがメリット、ハンドルコントロールがしにくいことがデメリット。一長一短があるので、そこは個人の好みでいいじゃないかと思っている。

フレアドロップハンドル
ヤマハのWABASH RTは下ハンドルの幅が広がったフレアドロップハンドルを装着。ドロップハンドルだが悪路にも強いのが利点

車重

軽量モデルは15kg、重いモデルだと22kgなので7kg差が出てくる。もちろん軽い方がスピードは出やすいし、移動も楽。最低限の荷物で身軽なスタイルで日本一周をしたいという人は、軽量なモデルを選ぼう。もしキャンプ用品など荷物をたくさん積んで自由な旅がしたい人は、アシストがある程度助けてくれるので、車重はあまり気にしなくていいと思う。

藤原さん
車重の軽さは走りの軽さに直結するのが自転車だが、eバイクはアシストがあり、旅では荷物が重くなるので、あまり繊細になる必要はない

藤原かんいちが選ぶ!
日本一周に向いていそうなeバイク

最後に各メーカーのホームページで各モデルをチェック。仕様や特長を見て、僕の視点で日本一周に向いていそうな旅eバイクを何台か選んでみた。実際に乗ったわけではないので、詳細は分からないが、良かったら参考まで。

YAMAHA WABASH RT & CROSSCORE RC

●ASAHI LOG ADVENTUREe(あさひ・ログアドベンチャーe)
●BESV JGR1.1(ベスビー・JGR1.1)
●CANNONDALE Quick Neo(キャノンデール・クイックネオ)
●FUJI FARPOINT(フジ・ファーポイント)
●GIANT Escape R E+(ジャイアント・エスケープR Eプラス)
●MERIDA ePASSPORT200(メリダ・eパスポート200)
●MIYATA ROADREX i 6180 & CRUISE i 6180(ミヤタ・ロードレックスi6180&クルーズi6180)
●PANASONIC XEALT S5(パナソニック・ゼオルトS5)
●SPECIALIZED VADO SL4.0 & SL5.0(スペシャライズド・ヴァドSL4.0&SL5.0)
●TREK Domane+AL5 & FX+2(トレック・ドマーネプラスAL5&FXプラス2)

※次回は準備編2・装備品などをお送りします

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