eバイク(電動アシスト自転車)でも、自転車に乗るならきちんとセッティングしたい! きっちり乗るからには、大事な箇所を自分に合わせておくのだ。それが「ル」のつく自転車の3つのパーツ。どこだかわかる? あなたもしっかり合わせておこう。
Vol.02 買ったらキメたい3つの『ル』、MTBの初期設定はこう決める
MTBに限らず自転車で気持ちよく走るなら、体に合わせた初期設定、セッティングが大事である。最初に自分の体を使った基準となるゼロポイントを合わせておけば、バイクを乗り換えても迷わずそこからスタートできる。
そこで覚えておきたいのが、自転車にある3つの『ル』だ。ハンドル、サドル、ペダルである。つまり体とのタッチポイントとなる3点のポイント。これら3つの基本設定を、自分に合わせてしっかりヤル。
別の言葉で言えば、ここは緩んでいてはいけない大事な箇所。自分で設定するのは難しいというメカ初心者は、工賃はかかるがプロショップにお願いするのが安心だ。
ハンドルとブレーキレバーはビビり向けの角度がベスト
まず一つ目のル、ハンドルから始めよう。ハンドルバーとレバーの角度、その初期設定をする。この設定は、バイク操作そのものにも大きく関わるところだが、角度を変えるだけでコストもかからずつい突き詰めたくなる。
まず『基本ライドは怖がり、ビビリであって欲しい』というところから始まる。乗用車免許更新で聞かされる「かもしれない」運転を、MTBでも常に怖がり心がけたい。
そのために大事なのがブレーキングの姿勢だ。急ブレーキをするときの体制、つまり車体の後ろ側に体の重心を放ったとき、自然に腕が伸びる方向の延長に指はありたい。
そうすればとっさの急ブレーキ、後ろに引いた体勢になれば指が自然と引かれてブレーキングされる。前に投げ出されにくく、安全に減速できる体勢で、この体勢からレバーの角度を決める考えである。
この角度でさんざん上ったり飛んだりしてきたが、これまで違和感なくやってきている。なおこの体勢は、フロントホイールをペダルを漕がずに上げて走る技術「マニュアル」時とほぼ同じだ。
やってみよう。車体を壁と平行に置く。ハンドルのはじを壁に当てて、バイクが垂直にバランスが取れて立つぐらいの距離だ。その状態で水平にした左右ペダルの上に両足で立つ。壁に当ててあるハンドルに軽くもたれかかる感じでバランスをとる。
やってみよう。車体を壁と平行に置く。ハンドルのはじを壁に当てて、バイクが垂直にバランスが取れて立つぐらいの距離だ。その状態で水平にした左右ペダルの上に両足で立つ。壁に当ててあるハンドルに軽くもたれかかる感じでバランスをとる。
ハンドルを軽く握って、ブレーキングをイメージして、後方に肩から腰にかけた上体を引く。たぶんこうだろうな、という体の感覚を、先に実際に走って確かめておくといい。
この時、ハンドルの曲がったベント角を腕の角度と同じくしたい。肩〜腕〜手首〜ハンドルバーへと延長されるイメージだ。そうすることで物理的にも、体を無理なく後ろ遠くへ送れるポジションとなる。
そしてブレーキレバーは、腕から手首へと自然に伸びたその方向の延長に、引きやすい角度で設定したい。胴体を後ろに引いて、腕を通して指でブレーキレバーを引く感じ。
これを基準の角度として、実際に走りながら好みに合わせて細かく調整するといい。試乗車などでは、特に有効な設定方法である。
サドルは水平を基準に設定、eMTBなら柔らかめが吉だ
次はサドルだ。特にスポーツバイクではサドルは大事で、中には「バイクはずいぶん乗り換えたがサドルは10年間同じ」とか、「廃盤のサドルを10個ストックで持ってる」などの話をそこここで聞く。
そこまでこだわる必要はないが、それでも変なサドルだったら速攻で変えたい。というのも、eMTBのポジションは上体が立ちめで、サドルに体重がかかりがちだからだ。そのため柔らかめのサドルのほうがいいと感じている。
そこにきてこのMT-Proに付く純正サドルが良い。フワフワしている感じも、コシのある感じもバランスがいい。この辺はYAMAHAがオートバイで培ってきた経験か、後ろのロゴが光る。当面これで行こうと思う。
サドルの角度は、上面の水平面が路面と並行になる設定を基本にしたい。ただ実際はリヤサスが動いて、走りの中でのサドルの角度は常に変化している。そのためわりとアバウトでも構わないが、路面と水平だとドロッパーポストがすっと沈む角度に体重が入る。
またサドルの高さは、最大高の時にサドル上面が腰骨のあたりにする、というのは一般のスポーツバイクと同じだ。ただこの調整に実は少し気を使う。
というのも、便利なドロッパーポストのケーブルが内部を通っているからだ。つまりドロッパーポストのフレーム内の先にケーブルが付いている。この取り回しを考えて、少しずつゆっくり引き出したり、引っ込めたりしなくてはならない。一般のスポーツバイクとは完全に逆だ。ここはもう、気をつけて、としか言いようがない。
ペダルは好みの食いつき鋭いフラットべダルに
そしてペダルはさっそく変えた。スポーツバイクの世界では、サドル以上にペダルには個人のこだわりが反映される。
高級車はペダルなく売っているほどで、自分の好みのものに変えるのが当たり前である。スポーツサイクリストは好じると、まずペダルを決めるものだからだ。実際になってみるとわかる。
僕は日頃からフラットペダルに乗り慣れているので、食いつきが良いと評判で実際にそうである《DMR・V8》フラットペダルにした。そのうちクリップレス(ビンディング式)ペダルに変えてぐいぐい乗ってみたい。
まさに余談だが、余った標準のペダルは、通勤用の駅まで行くママチャリのペダルに変えてみた。これはこれでかなり調子がいいのでおすすめだ。
ようやくしっかり乗れるようになった。次回からヤル
というところで、買ってからきちんと乗るまでに、いくつかやるべきことをやった。なかなかに手順があるなと改めて思った。レンタルでもいいか、と思っていた時期もあったフルサスeMTBだが、こうやって設定しながら自分に馴染ませられる楽しさは、自分の道具ならではだなと感じた。
ようやく乗れるようになったので、次回からヤリながら実際のデータをお伝えしていく。ただ結果から言うと、やっぱりeMTBは面白い。自転車を超えた、新たな遊びなのがわかった。そんな模様も追々。