世界中で人気が上がってきているeバイクは、毎年、ニューモデルが登場するなど勢いあるジャンルだ。最近は日本の街中でもよく見かけるようになってきたので、今後はもっと増えていくだろう。ただ、そうはいってもまだeバイクの歴史は浅く、「どんなeバイクがあるか?」「eバイクでどんなことがやれるのか?」などなど、eバイクに乗りたい人に対して、選んでもらうための情報が伝え切れていない状態だ。そこでここでは、いま存在を知っておくべきeバイクをピックアップして、それぞれのスタイルから特徴まで詳しく紹介していく。今回取り上げるのはベスビー・JGR1.1だ。
世界トップレベルのeバイクメーカーの自信作
eバイクの全てが詰まったeバイク
eバイクには広い分野からの技術が使われるので、人力のみのスポーツ自転車とは違った性質になるのは当然であり、価値感も違う。ならばeバイクとは何かの問いも出てくるが、その答えの一つがこのモデルだろう。
eバイクは自転車に高性能モーターや制御ソフトウェアなどの先端技術を搭載した乗り物である。それこそ始まりはシンプルなものだったと思うが、電子的な製品は、より賢く便利に進化するので、現在のeバイクはハイテクなものになっている。
さて、ベスビー。この企業は台湾に本社を持つダーフォンエレクトロニクスというグローバルなテクノロジー系企業グループの一員。台湾はIT、テックに関わる企業が多いのだが、同時に自転車製造が主要な産業となっている。つまりベスビーは、台湾の2トップ産業が結びつくことで創業した「eバイク専業メーカー」なのだ。
そんな背景があるゆえ、ベスビーの新型eバイクは「e」と「バイク」の両方において最新といえる要素を持ち合わせているが、ベスビーは自転車競技とは関係ない立ち位置にいるので、レース機材の道ではなく、あくまで趣味などで乗るeバイクとして進化しているのも大きな特徴だ。
そしてテックの世界の進化は、人のため、人に代わるものを作る傾向なので、「そっち系」のセンスも持つベスビーのeバイクの進化とは、ただスペックが高くなるということではない。
今回紹介するのはJGR1.1だ。ベスビーの新型であるこのモデルには、最新の要素が多く盛り込まれているので、JGR1.1を知ればeバイクのいまが見えてくるはずだ。
巨大テクノロジー系企業が母体のeバイクブランド
eバイクらしい先進性とスポーツバイクの質を追求
ベスビーの最新モデルであるJGR1.1はeバイクでのサイクリングを趣味にしたいと考えている人には魅力的な一台。ここではJGR1.1の細部を紹介していこう。
撮影に使用した車両はオプションの前後フェンダーとリヤキャリヤを装着したツアラー的な外観。キャンプサイクリングにもいいし、通勤ライドでもこの仕様は便利である。
これらのパーツはDIYでも付け外しができるので、利用シーンに合わせて仕様変更ができるよう同時に購入しておくといいだろう。
さて、そのJGR1.1。こちらはベスビーの最新モデルで、各部に新しいパーツ、機能が盛り込まれているeグラベルバイクだ。
それだけに注目するべきところは多いのだけど、それら細部は写真で紹介するとして、ここではバッテリーについて書いていこう。ベスビーのラインナップにはロードバイクやクロスバイクを展開するJシリーズがあり、従来モデルはバッテリーをフレーム内に収めつつ取り外しもできる。
そこでその構造を生かし、ロングライドに行くときは、純正アクセサリーの「バッテリーバッグ」にスペアバッテリーを入れて持っていくスタイルが推奨されていた。
ところがインターナルバッテリーになったJGR1.1ではそれができない。そこでベスビーはボトルケージ台座に装着できる追加バッテリーを近日発売する予定だ。
また、フェンダーとキャリヤもあるので、バッテリーの心配がなくなればテントやシュラフを積んでキャンプライドに行くこともできる。JGR1.1も他のJシリーズ同様、多用途に楽しめそうな一台だ。
Point
◎行動範囲が広いグラベルバイク
◎インターナルバッテリー採用ですっきりフォルム
◎状況に応じ最適アシストをするスマートモード
◎最大航続可能距離は130km
Spec
価格●41万8000円
フレームサイズ●S(155cm以上)、M(165cm以上)
車体サイズ(S)●1730×470×980mm(全長×全幅×全高)
車体サイズ(M)●1760×495×1010mm(全長×全幅×全高)
車両重量(S)●17.2kg
車両重量(M)●17.3kg
フレーム●アルミニウム
フロントフォーク●カーボン
シートポスト●アルミニウム
ドライブユニット●ベスビーオリジナル
定格出力●250W
バッテリー●36V-10.0Ah
充電時間●約2.5時間
アシストモード●2モード+スマートモード
一充電での最大航続距離●130km
チェーンリング●40T
ディレーラー●シマノ・GRX
カセットスプロケット●11-42T
タイヤ●マキシス・ランブラー 700×40C
ブレーキ●シマノ・GRX
ベスビースマートアプリ対応
Detail
ベスビージャパンに聞く─ JGR1.1の先進性
「スポーツバイクらしい性能に先進テクノロジーをプラスする」
JGR1.1には3つのアシストモードあって、メインとなるモードが「スマートモード」。
これはベスビーオリジナルのアルゴリズムを用いて、シーンに合う最適なアシスト特性を実現。スムーズなだけでなく、トルクが欲しいときは、より大きく出すような特性だ。
この点について、スポーツ性を重視した他のeバイクであれば、アシストはするが、こぐ楽しみも尊重した特性に設定することもある。
まあ、それもeバイクに求める要素で魅力でもあるが、多忙ゆえ日常的なトレーニングができないサイクリストにとって、それではeバイクに乗る意味が薄まることもある。欲しいのは「キツい」ときにしっかりアシストしてくれる特性。その気持ちにぴったりくるのがJGR1.1のスマートモードである。
スマートモードは大きなトルクが必要ない状態(平地など)のときは「こぐ感覚」を重視したアシスト特性になるので、スポーツモデルとしての走りごたえもある。ゆえにJGR1.1では、アシストモードの切り替え操作はほぼ必要がない。これを理想と思う人は多いと思う。
そんなことからJGR1.1ではこれまでのベスビーのeバイクに付いていたモード切替スイッチ付きディスプレイがなくなり、操作はトップチューブのボタンスイッチのみで行うようになった。さらにどのモードであるかは、スイッチ外周に浮き上がる照明色で見分けるようになっている。
こうした技術をベスビーは新型HMIと呼ぶ。HMIとは「ヒューマン・マシン・インターフェイス」の頭文字を取ったIT用語。
具体的には複数のシステムと人との間で、情報などをやり取りするためのインターフェイスのこと。
スマホのタッチ操作もHMI、ADASを搭載したクルマのメーターもHMIである。つまり表現の仕方はどうあれ、HMIは複雑な機器を人が使いやすいものにする技術。そして走ることに集中したいeバイクにも適切なHMIは欲しい。
そんなことからもスマートモードやシンプル表示&操作系は、eバイクらしいHMIと言える。
ただ、走行状態の細かいモニタリングを放棄しているわけではない。専用スマホアプリ「ベスビー・スマートプラス・アプリ」にて速度、バッテリー残量の他に、任意で後2つの情報が表示可能。項目はケイデンス、ペダルトルク、平均速度、オド、トリップ、レンジで、これらから選択して表示する。
また、マップ画面に切り替えると、地図上での現在位置の確認や目的地までのルート表示も可能だ。
それに車体ファームウェアのアップデートの際は、アプリを通じて最新ファームにすることもできるなど、アプリと組み合わせることで、手持ちのスマホが「情報が欲しい」ときの要望に応えるHMIになるのだ。
eバイクに対して、スポーツ性の高さに加えて電動ゆえの高度な制御や最新技術が盛り込まれるものであるべきと捉える人であれば、JGR1.1は多方面で満足度の高いeバイクとなるだろう。
Other model eMTBにも新型がラインナップ
TRS1.3
価格:69万8000円
フルサス仕様の本格eMTBがTRS1.3。サスペンションのトラベル量(ストローク量)は前後共に160mmと長い。また、eMTBならではの高いトルクを受け止めるのに最適なサスペンションセッティングになっている。ドライブユニットはシマノ製のステップスE8080というeMTB用を採用。最大トルクは70Nmと強力。バッテリーはベスビーオリジナルの630Whと大容量。サイズはSとMがあり、Sの車重は26.3kg、Mが26.5kg。
TRX1.3
価格:49万8000円
TRX1.3はハードテールのeMTB。フロントフォークは120mmのトラベル量で、前後29インチホイールを装着。ドライブユニットはTRS1.3と同じく強力なシマノ製ステップスE8080を搭載する。バッテリーはベスビーオリジナルの630Whと大容量なので、一充電での最大の航続距離は175kmと長いもの。一日中、野山で遊びたいという気持ちに応えるものだ。フレームサイズはSとMがあり、重量はSが24.3kg、Mが24.5kg。
都会的スタイルのヘルメット
サウザンド ヘルメット
価格:1万5950円
ベスビージャパンが輸入するアメリカのサウザンド ヘルメットのニューモデル「サウザンド ヘリテージ2.0コレクション」。カラフルなカラー展開、フィット感向上、通気性の良さなど選びやすいものになっている。