eバイクは体力消耗をあまり考えず、マイペースで走れるのがいいところ。長時間長距離走行も、坂道が続く峠道も、近場めぐりも、いろんな走りが楽しめる。また社会に大きな影響を与えている新型コロナウイルス感染を考えても、屋外を移動する自転車は感染リスクが少ない。
さて、今回はヤビツ峠に続いて約50年住んでいる地元、神奈川県相模原市にスポットを当ててみる。eバイクに乗る前は移動の中心はモーターサイクルだった。何日もかけて知らない土地を旅したり、遠くへ行くことが目的だった。地元を走るのは買い物くらい、それもほとんどが車だった。ところがeバイクに乗り始めると半径30kmでも「こんなところがあったのか⁉」「この道を曲がるとここに出るんだ!」新鮮な驚きと新しい発見の連続。近場がグンと楽しくなった。
最近、相模原で珍スポットとして話題になっている場所といえば、知る人ぞ知る「レトロ自動販売機コーナー」。eバイクで家から10分とかからない場所にある、完全に地元の中の地元です。住宅地の外れにある「中古タイヤ市場・相模原店」が経営している自動販売機コーナーで、50歳代以上には懐かしい自動販売機がズラッと並んでいます。
いろいろな販売機があるけど、フード系で人気なのは「ハンバーガー」。ハンバーガーとチーズバーガー、てりやきバーガー、さらにチキンバーガー、フィッシュバーガーなどもあります。僕は高校生のころ、よくこのハンバーガーを食べていました。サイクリング中によく見つける24時間営業のオートスナックコーナーにこの機械がよくあって、とにかく好きでした。いまみたいにコンビニもなく、ハンバーガーチェーンもほとんどなかった時代。とても貴重な存在でした。
280円を投入して(お札は使えない)、60秒待つとレトロな箱に入ったアツアツのバーガーが出てきます。味は期待しないでください、それなりです(笑)、自動販売機から温かいハンバーガーが作られて出てくる。そこの部分に感動してください(笑)! ちなみに僕は一口食べた瞬間、懐かしさで自転車少年時代にタイムスリップしてしまいました。一方、初めて食べる人たちは何を感じるのか? ぜひ聞いてみたいです。
次に気になるのがそば・うどん。カップ麺の自動販売機なら見たことがあると思いますが、ここは違います。プラスチックの丼に茹でた麺とかき揚げ、温かいスープが入って出てきます。これもまた高校時代よく食べていました。この天ぷらうどんの自動販売機が高校の購買部に置いてあったんです。部活が終わってクタクタ、ハラペコで食べるうどんは死ぬほどうまかった! 思い出の存在です。
おそらく高校3年間で100杯は食べていると思います。しかし卒業後は、モーターサイクルツーリングの途中、地方で数回食べた程度。ここ10年以上食べた記憶がありません。それだけに期待値は大、興奮していたのかお金を入れた後に、間違えて「そば」のボタンを押していたことが判明。予想外に天ぷらそばを食べることになりましたが、想像以上においしかったので許します。かき揚げはエビ入りで天ぷらの触感もサクサク。とても自動販売機とは思えないクオリティーでした。これで300円は絶対に安いと思います。
フード系自動販売機は機械の中はどんな仕組みで、どんな風に動いてるのか、いろいろ想像するのが楽しい。電子レンジの60秒とは全く違う時が流れているのです。コンピュータやAIと違って、時々失敗したり、うまく動かず壊れたり……。そんなところが人間ぽくて、たまらなくいいのです。
もうひとつ懐かしい、瓶ジュースの自動販売機がありました。昔は商店の前やボーリング場で見かけたアレです。ジュースが瓶から缶へ変わると、すっかり見かけなくなりました。ガラスの扉を開けて、瓶を引き抜く仕組みだが、中学生の頃2本抜けないかと、同時に2本を引っ張った記憶があります。もちろん抜けなかったけど(笑)。コーラを引き抜いた後に聞こえくる、瓶がガラガラと転がる音が懐かしい。備え付け栓抜きに瓶のフタを引っかけてオープン。ペットボトルと違ってガラスは口当たりがとても優しい。コーラの味も少しマイルドに感じる。そういえば最近は栓抜きを使うことがほとんどなくなった、10代の子は瓶コーラのフタをどう開ければいいのか、わからないかもしれない。
自動販売機コーナーには、珍しいところではラーメン、きつねうどん&そば、みそ汁、トーストサンド、チャーハン、かつ丼、天丼、焼きそば、焼きおにぎり、タコ焼き、鶏のから揚げ、ボンカレー&ライス……などがある。さらに地方発信の珍しいドリンク類、シガレットなどの懐かしいお菓子類、アイスクリーム、お酒、チューインガム、おもちゃ、おみくじなどなど、とにかく豊富。どうやら全部で95台あるらしい。
どれも古い機械を修理しながら使っているので、故障で「販売中止」になっていたり、補充できないフードが「うりきれ」になっていることがあるが、そこも含めて「おーっ、ラッキー! 今日は食べられるぞ!」とか「くそーっ、また売り切れだ~!」という感じで、楽しみましょう。
さあ、お腹がいっぱいになったことだし、どこか走りに行こうか? 相模原の定番ツーリングスポットといえば宮ヶ瀬ダム。ここから往復40km、3時間くらいで走るのにちょうどいい距離だ。バッテリーの充電もほぼ満タン。サドルに跨り、ゆっくりペダルを踏みしめると、春風が優しく頬をなでた。