eバイク旅ノート Vol.51 北海道放浪04 釧路→旭川

eバイク(YAMAHA WABASH RT/ヤマハ・ワバッシュRT)で日本縦断3700キロチャレンジ旅の後、自由気ままに旅した「北海道旅」のレポートです。

北海道東部、釧路では『ゲストハウス・プルーフポイント』に泊まった。町中にある近代的なビルで、1階はカフェを併設するおしゃれなインテリアショップ、2階&3階がドミトリー中心とした宿泊施設になっている。この時の宿泊客は大学生など20代が中心で賑やかだった、僕はカメラマンを目指しているという大学生と仲良くなり、カメラと旅の話で盛り上がった。

夜は北海道に来てからまだ一度も食べていない『ジンギスカン』を食べることにした。ネットで見つけた店『ジンギスカン華』へ歩いて行ってみる。こぢんまりとした店で、先客たちはテーブルに新聞紙を敷き、その上に置いたコンロで焼いて食べている。「おーなるほど、これが釧路スタイルなんだなぁ」と勝手に感心する。

メニューを開くと、上肩ロース、肩ロース、ランプ、ショルダーを少量ずつ盛り合わせた『ちょい盛り』というメニューがあったのでそれを注文した。焼き肉のように少しずつ焼いて食べる。ラム肉はとても新鮮で変な癖もなく食べやすい。タレに漬け込んだジンギスカンもいいけど、この方が肉の味をしっかり感じることができる。あまりのおいしさに追加注文してしまった。

ジンギスカン
北海道のグルメで外せないのが『ジンギスカン』。釧路のお店で食べたラム肉は柔らかく新鮮でとてもおいしかった。やっぱり本場は違う
ゲストハウス・プルーフポイント
ドミトリーなのにまるでビジネスシングルルームのように快適だった『ゲストハウス・プルーフポイント』。キッチンも充実しているのでおすすめ

朝5時半に宿を出発。釧路の町を抜けて、国道38号で帯広へ向かう。阿寒川にかかる大楽毛橋を越え、しばらく進むと民家もなくなり、海岸に沿ってひたすらまっすぐな道になった。広々としていて気持ちがいい。7時半ごろ前方に大きな建物が現れた。『道の駅・しらぬか恋問』だ。ここで休憩にする。北海道は町と町の間は本当に何もないので、時々現れる道の駅が砂漠のオアシスのように感じる。

まだ営業時間前、店には入れないので、自動販売機でコーヒーを買い、外のベンチに腰掛け海を眺めながら飲んだ。つかの間のブレイクタイムを楽しむと、再び走り出す。浦幌町の標識を越えると左手にドライブイン、ライダーハウス(簡易宿泊施設)と書かれた建物が見えてきた。80年代は北海道中にライダーハウスがあり、どこもたくさんの旅人でにぎわっていた。しかし90年代に入るとライダーは徐々に減り、2000年代に入ると激減。同時にライダーハウスも次々に閉鎖。寂しいばかりだ。窓から店内を覗いてみたが、すでに休業しているのか人影はどこにもなかった。

釧路のモニュメントの前で記念撮影
釧路のモニュメントの前で記念撮影。北海道東部の中心都市となっている釧路、北部には日本有数の湿地帯『釧路湿原』が広がっている
花畑とeバイク
釧路川沿いにある土手のジャリ道を走っていると、どんどん雑草が増え、ついに花畑になってしまった。こんな景色に出会えるのが北海道の魅力

夕刻、帯広まであと少しのところまで来た。いまにも雨が降り出しそう空模様なのでキャンプはやめて、ネットで見つけた、ドミトリールームに宿泊できる『天然温泉たぬきの里』へ向かった。町中にある日帰り温泉施設で、到着すると同時にザーッと激しい雨が降り始めた。慌てて中へ、駆け込む。良かった、ギリギリセーフだった。

ここは1階にロビーと宿泊施設、地階に温泉大浴場という作りになっていた。建物は大きくないので一見、普通のマンションのように見える。お願いすると親切に自転車は受付近くの廊下に置かせてくれた。荷物を部屋に入れてひと段落。夜は温泉に入り、汗を洗い流した。

翌日は帯広市に住む友人に連絡、10年ぶりに再会した。今日はeバイクはお休みにして、友人の車で近郊のカフェめぐり。ついでに町の中とは思えない豊かな自然に囲まれたリゾートホテル『北海道ホテル』も散策した。建物の外壁は十勝の土を焼いて作った最高級のレンガを使用。室内の装飾様式はアールデコ、泊まらなくても楽しめる美術館のようなホテルだった。

たぬきの里
帯広では天然温泉『たぬきの里』にあるドミトリールームに泊まった。宿泊料が安く、町の真ん中にあるため食事や買い物へ行くのも便利だった
北海道ホテル
帯広の友人が連れて行ってくれた『森のスパリゾート 北海道ホテル』。美しい建築、内装&インテリアも素晴らしく、ここだけ別世界のようだった

帯広を出ると、富良野へ向かった。北海道中央南部に横たわる日高山脈を越えるため、国道38号で狩勝峠を目指す。市内を出ると、しばらくは北海道らしいまっすぐな道が続いた。周りは広々とした農業風景、リズムよく進んでゆく。新得町で見つけたセイコーマートでひと休み。これから始まる峠越えに備えて100円パスタを食べた。

いよいよ上り坂が始まる。美幌峠以降、平らな道ばかり走っていたので、足ごたえがある上り坂が嬉しい。ガンガンにペダルをこぎ、グイグイ上ってゆく。あっという間に狩勝峠の展望台が見えてきた。超ハイペース。標高644mもeバイクなら苦労せずに上ることができる。エネルギーが有り余っているので、そのままダッシュで階段を駆け上がった。展望台から大パノラマを堪能する。この先はダウンヒル! 峠道を風のように走り抜けてゆく。

狩勝峠
日本新八景のひとつとなっている『狩勝峠(標高644m)』をeバイクで越えた。上り坂の傾斜がきつくないので、電動アシストのあるeバイクなら楽勝
eバイクと花
自転車旅をするなら花の季節に限る。ふとペダルを止めて足元を見ると、美しい花がたくさん咲いていた。花は眺めているだけで心が癒される
国道38号
国道38号、富良野を目指してペダルをふむ。北海道らしい広々とした景色、緑の大地と山々、見上げれば存在感のある雲が気持ちよさそうに流れていた

南富良野に入ると幾寅駅へ向かう。国道を離れ100mほど進むと趣のある木造の駅舎が現れる。まるで昭和の時代にタイムスリップしたような光景が目の前に広がった。幾寅駅は高倉健主演の映画『鉄道員(ぽっぽや)』の舞台として使われた駅舎(映画では幌舞駅という名で登場)で、駅構内に入ると出演者のサインや衣装、撮影時のスナップなど映画に関する資料などが展示されていた。駅の周りの建物セットもいくつか残っているので、自分が出演者の一人になった気分になる。故高倉健さんは北海道との縁が深くて『幸せの黄色いハンカチ』『駅STATION』など多くの作品が残っている。いつかeバイクでロケ地巡りをしてみたいな、そんなことを考えた。

幾寅駅
1999年の高倉健主演の映画『鉄道員(ぽっぽや)』の舞台となった駅舎。実名は幾寅駅だが映画では「幌舞駅」の名で登場、いまでも幌舞駅の看板がかかっている

国道38号を少し走ると、すぐ『道の駅南ふらの』に到着。カヌーの舳先をイメージした半円ドーム型の建物では、町特産品が売られていた。敷地内にはアウトドアブランドのモンベルストアが併設している、新スタイルの道の駅だった。再びeバイクに跨ると、今日の宿泊地である富良野を目指した。

日本縦断のときに泊まった『ホステル・トマール』を2週間ぶりに訪問。少し前だが、懐かしく感じる。ここは室内にサイクルラックが設置されている、サイクリストにおすすめの宿。快適清潔なベッドで熟睡。宿を出ると旭川に住む友人、小原くんが営むカフェギャラリー『HOKKAIDER BASE』へ向かった。半月前に寄ったときは工事中だったが、ついに本日フルオープン。お祝いに顔を出そうと思い、ここまでやってきた。

ゲストハウストマール
再び訪れた富良野の『ゲストハウストマール』。1階に受付、2階にシェアキッチン、3階が宿泊施設になっている。1階にはカフェレストラン『エベルサ』もある

時間的には余裕があるので、その前に『四季彩の丘』へ立ち寄ることにした。ここは美瑛にある広さ15haの敷地に色鮮やか花が数十種類も咲く展望花畑。数年前に訪問した時、その美しさに感動。それ以来、北海道へ来るたびに訪れる、定番スポットになっている。久しぶりに行くと新しい施設ができ、入場が有料になっていた。それでもその景色は変わらず美しい。たくさんの観光客が訪れていて、カップルや女子たちが歓声を上げていた。

丘を去り美瑛の町に着くと、丁度お昼の時間になっていた。ご当地グルメ、美瑛カレーうどんを食べようと思いファミリーレストランだいまるに入った。ほぼ満席だったが、運よく1席だけ空いていた。メニューを見て『美瑛豚カツカレーうどん』を注文した。つけ麺のようにうどんをカレーのルーにつけて食べるのだが、まろやかでスパイシーなルーがうどん麺に良く絡んで、とてもおいしい。そこに揚げたてのとんかつが加わるのだから、最高に決まっている。サクサク…… ツルツル…… 大満足のランチとなった。

四季彩の丘
美瑛に来ると必ず行くのが『四季彩の丘』。景色が素晴らしく、季節の花々を見ることができる。敷地内には通年営業の『アルパカ牧場』もある
美瑛カレーうどん
美瑛のグルメ、美瑛カレーうどんは『かけ麺』のほか、うどんとルーが別々の『つけ麺』、うどんの上にアツアツのカレーとチーズが載った『焼き麺』もある

美瑛の花屋に立ち寄り、小原くんへのお祝い用の花束を作ってもらう。15分ほどできれいな花束が完成した。美瑛から『HOKKAIDER BASE』まで約15km。花束をリヤキャリヤに乗せて国道237号をルンルン、サイクリング(笑)。到着すると工事中だったカフェはほぼ完成していた。すでにたくさんのお客さんでにぎわっている。小原くんを見けると「おーっ、いま来たよー」声をかけた。「かんいちさんー、ありがとうございます♪」「ホッカイダーベース! オープンおめでとう!」むさくるしい男たちは、ハグをして喜んだ。

ホッカイダーベース
小原くんの長年の夢、北海道旅人情報基地『HOKKAIDER BASE』をついにオープンさせた。もちろん自転車もウエルカムなので、ぜひ訪ねてみて
小原さんに花を渡す藤原さん
『HOKKAIDER BASE』オープンを祝してeバイクで訪問した。小原くんに花束贈呈♪ 全国各地から旅人たちが集まる、ホットな場所になって欲しい

ルート

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