タフに走れるスポーツシティeバイクの楽しみ方【eバイクで走りだそう! eバイクアソビの提案】

家でジッとしていられない人、休日とは言え行くところがないという人、そんな人に勧めたいのがイッシモ。街だって河原や郊外の里山だって走っていけるタフなeバイクは、生活に新たな刺激を与えてくれるはずだ

イッシモファン
ファッションバイクのようだが、凝ったフレームにセンター配置のドライブユニットなど、本格的な作りを持つユニークなeバイク

ストリート系eバイクとしてはいちばんスタイリッシュな形のイタリアンeバイク、イッシモファンで休日ポタリングに出かける

イタリアの「ファンティック」は主にオフロード用モーターサイクルのジャンルで世界的に有名。そしてeバイクの世界では、エンデューロ、ダウンヒルなどオフロードのフィールドを攻めるためのeMTBを数多くラインアップするなど、「タフな走り」のための2輪車作りを得意とするメーカーだ。

そんなファンティックから発売されている「イッシモ」シリーズは、日本の法規に適合したストリート用eバイク。ファンティックではイッシモのことを「スポーツシティモデル」と呼んでいる。

一見するとBMXバイクのようなイメージを持ちながら、独自のテイストを取り入れた先鋭的なデザインで、特徴はトラス構造ふうに造形されたダウンチューブ。 横から見ると剛性が低そうにも見えるが、トラス構造は橋りょうの建築などにも使われる「曲げ」に強い構造。そのためトップチューブがなくダウンチューブのみで前後をつなぐフレームデザインでも剛性不足を感じることはない。

そしてもうひとつのポイントが20インチ×4.0というファットタイヤを装着しているところ。

タイヤは中に入れる空気によって構造を支えて性能を出すモノだが、タイヤ内の空気室が多ければクッション性も向上するので、フロントショックとあわせて乗り心地よく、路面の荒れにも強く、例えば車道と歩道の段差を越えるときの衝撃が少ない。また、タイヤはラグパターンなので、河川敷にある未舗装の部分を走るのもOKだ。

そしてeバイクとして重要なドライブユニットはeMTB向き、最大トルクが80Nmのバーファン製のM500を採用。このユニットはオフロードの上り勾配も力強く走破できるものなので、街中を巡っているときに現れる坂道は難なく上ることができるはず。

イッシモファン
小柄な女性には大きく見える車体だけど、押し歩きも問題なく行える。またがるときも足を上げずにできるのでバランスも取りやすい
イッシモファン
トルクのあるドライブユニットなので、ペダルバイクではこぐ足に負担が掛かる未舗装路だってホント「スイスイ」とこいでいける

というように走る道を選ばないeバイクがイッシモ。eバイクの多くはペダルバイク(自転車)内のカテゴライズに沿ったモデルが多いが、イッシモはどのジャンルにも属さず、eバイクだからこそ登場したモデルと言えるだろう。

そんなイッシモをどこで乗ろうかと考えると、自宅から近いところにある「いくつかの行ってみたいスポット」を結ぶような「広い面での街巡り」、これに決めた。

イッシモファン
重心が低い位置にあるのと幅広いハンドルのおかげで低速で走るときも安定が取りやすい。身長は165cm以上がちょうどいいかも
河原
人や自転車の通りが多いサイクルロードから河原側へ。一段低いから目線に人が全然いなくて何だか遠くにきたような感覚
イッシモファンを駐輪
キックスタンドが付いているのも散歩向き。乗り降りしやすさを含めて、こういう使い勝手のよさはむしろスペックより大事かも
イッシモファン
安定感もあり、勾配も気にならないので散策がはかどる乗り物

行けるかな?と思う激坂も越えられる頼もしさ

富士見坂
上るのも大変だが下るのも怖いくらいの激坂。抜け道として使われているから車通りも多い。走るときはクルマに十分に注意を
富士見坂

激坂として有名な世田谷区の富士見坂。写真を見てわかるよう、勾配のキツさや長さがすごいところで、何と坂が急すぎるため、歩道は階段になっているくらいなのだ。

そして下から眺めると真っすぐというところが視覚的に「キツさ」を出している。山越えの街道ならともかく、東京の住宅街にあるのは意外すぎる坂なのだ。 さて、そんな激坂を上へ向かって走り出してみた。

イッシモの変速装置は信頼性も操作性も高いシマノのネクサスでギヤの段数は内装5段。走りはじめは最も軽いギヤにしてみたところ、軽すぎてペダルばかり早く回ってしまうので一段上げたところにセット。

大柄なイッシモでは乗車姿勢的にスポーツバイクのようにペダルに「グッと」体重を乗せるような踏みこみはできないので(立ちこぎをすればできる)基本は足の踏みこみだけで上ることになるのだが、イッシモのドライブユニットはトルクが80Nmもあるのでとくに気負うことなく上っていける。

まあ、楽ではないけど疲労感は軽く運動した心地いいものだったので、イッシモなら激坂すら日常の運動にしてもいい感じに思えた。

これだけの坂が容易にクリアできると気持ちに余裕が出るので、そこからは坂道を気にしない散策を行った。地元とは言え周辺の道を全て知っているわけではないので、道を間違えたりして「また坂道」という場面もあったがそれが苦にならないのは大きなメリットだ。

河原を走行
土手から河原へ降りることでオフロード走行も体験した。激しくは走らないけど、eバイクを操る感が舗装路より得られて楽しい
河原で休憩
カフェもたくさんあるので入ってもよかったが、行動的なeバイクのイッシモなので外で休憩。コンビニでアイスを買って河原でひと休み
小川
湧き水があるようできれいな小川が流れていた。こうした風景を眺めながら走るのが楽しい
線路脇
気になっていたお店の確認にも行った。入るわけではないけどちょっと店の感じが見たかった。そんな寄り道もアシストがあれば楽にまわれる
神社にお参り
途中で見つけた神社にお参り。ここは地元では有名なところで後ろに見える大絵馬は著名な舞台芸術家の方が毎年奉納しているという
瀬田玉川神社
瀬田玉川神社は大絵馬や多種のご朱印などで有名なところ。二子玉川の商店街から坂を上がる途中に参道入口があるのでお参りした

それにイッシモは「ゆっくり」でも走れる。

住宅街では飛び出しもあるし、子どもだっているのでスピードは控えるべきところ。だが「ついスピードが出てしまうタイプの乗り物」だと、わかっていてもその抑えが効かないこともある。 その状態ではどこかに「もしも」の気持ちもあるだろうから、のんびりなはずの街中散策で、余計な緊張やリスクを背負うことになる。それでは本来の楽しみや心地よさが得られないだろう。

それに対してイッシモは低速走行での安定性もあるし、ペダルの踏みこみ具合に応じた自然なアシストもあるので、スローペースでの移動も得意。そして本来の力を引き出した走りに対応するキャパを備えた、強力なブレーキシステムもあるので、より安心して乗ることができる。

冒頭でイッシモのことを「どこでも走れる」と表現したけど、1日乗ってみると「どこでも走れる」は走破性のことだけでなくて「気持ちの面」を含んでのことだというのに気がついた。このイッシモ、実はけっこう癒やし系eバイクなのかも。

FANTIC ISSIMO FUN(ファンティック・イッシモ ファン)

イッシモファン

真横から見るとデザインのユニークさがよくわかる。イッシモにはファンのほか「アーバン」というモデルもあり、そちらはリヤにフェンダーも兼ねた小物収納ボックスが付いている。試乗車はオプションのリヤキャリヤ装着。両サイドに振り分けのパニアバッグが似合うeバイクなので、リヤキャリヤは付けたいところ。車体は比較的大柄なので、乗るには身長は165cm以上は欲しい。気になる人は展示車や試乗車で試して欲しい。

spec
価格●44万円
フレーム●アルミニウム
フォーク●サスペンション80mmトラベル
ブレーキ●前後油圧ディスクブレーキ
ドライブユニット●バーファン・M500(250W/80Nm)
コンポーネント●シマノ・ネクサスインター5E
リム●ジビエム
タイヤ●ヴィータイヤ・ファットロードトレッド付き(20×4.0)
ライト●トロレックVeo50
リヤライト●スパンニンガ・ビメント

イッシモのフレーム
イッシモといえばの特徴的なフレーム。バッテリーはシートチューブに組み込むように装着されるので、大型ながら変に目立つようなことはない
オプションのキャリヤ
大型でしっかりした作りのキャリヤはオプション。価格は1万8000円
M500
ドライブユニットはバーファン製のM500。eMTB向けユニットなので車体センターに配置される。ストリート系eバイクはハブモーターが多いが、イッシモはこのへんもカッコいいところ
ディスプレイ
ステムの横に装着される大型のディスプレイ。数字が大きいので走行中のチラ見でも確認しやすい

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