eバイク旅ノート vol.01 旅行家藤原かんいちの新たなる旅の始まり

eバイク旅ノート vol.01 旅行家藤原かんいちの新たなる旅の始まり

はじめまして。旅行家、藤原かんいちです。この度、連載“eバイク旅ノート”を書かせていただくことになりました。その前に僕がどんな人間なのか、ちょっと長めの自己紹介をさせていただきます。

1961年生まれの59歳。学年としては「とんねるず」や「松田聖子」あたりが同級生になります。一般的に考えるとかなり「おじさん」ですが、あまり実感はありません。だからといって「若い」と思っているわけでもなくて、どこか不思議な感じがしています。それはきっと、何歳になったからこれをしなくてはとか、何歳だから落ち着こうとか、誰かが作った年齢の基準で生きていない、自由人だからなんだと思います。

さて自転車ですが。僕が最初に“サイクリング車”に乗ったのは中学1年。ハイテン製の青フレームのランドナーでした。遥か昔の昭和47年。小学生は後部に大きなフラッシャーを付けたセミドロップ車、中学生は本格的なドロップハンドルのサイクリング車が憧れの的でした。

中学2年の旅で泊まった伊東ユースホステル、この宿は1999年に閉館となった。当時の宿泊はほとんどがユースホステルだった
アルバムに貼ってあった40年以上前のプリント写真をスキャンしてデータ化した。写真を見ていると当時の思い出が蘇ってくる

両親にねだって手に入れたドロップハンドル10段変速のランドナー。水を得た魚のように走り回り。行動範囲は近所の駄菓子屋から、4~50kmも離れた湖や海、峠へと広がっていきました。自分の力でどこへでも行ける自転車はまさに「魔法の翼」でした。

中学2年の夏休み、自転車で自宅の神奈川県相模原市から富士五湖と伊豆半島を一周する、3泊4日旅行を友人と二人で実現。二人旅の大冒険、夏休みが明けると僕たちはクラスのヒーローになっていました。

中学2年の旅で友人と自転車が映っている唯一の写真(右の黄色が僕)。後ろはおそらく河口湖。友人Uくんとは成人式以来会っていない

高校に入ると同級生はあっけなくモーターサイクルへ心変わり。自転車の魅力に取りつかれていた僕は、元来へそ曲がりなこともあって、反抗するように自転車旅に熱中。高校2年の夏休みには神奈川県~岩手県を一人旅。当時の愛読書は漫画「サイクル野郎」と月刊誌「サイクルスポーツ」。特に峠越えが好きで関東地方の峠は20以上上りました。もちろん将来の夢は自転車日本一周でした。

20歳。友人から何気なく譲り受けた原付スクーター、スロットルをひねるだけでどこまでも走れることに衝撃を受けました。それからはウソのようにモーターサイクルに熱中。一度就職をしましたが日本一周が諦められず2年で退職、250ccのモーターサイクルで日本一周に旅立ちました。この84日間の旅はその後の人生に大きな影響を与えました。

1984年に250ccのモーターサイクルで日本一周を実現。最北端の宗谷岬に立った時は「これ以上、バイクで北へは行けないんだ…」と思い感激した

日本一周を経て、死ぬまでに360度の地平線を走りたいと思いオーストラリア旅を計画しました。それもあえて最も力のない原付バイクで挑戦することにしました。その理由は、無能で小心者の自分でも何かができることを証明したかったからです。2年間の資金稼ぎをして実現。悪戦苦闘の旅がバイク雑誌に連載されたことをきっかけに、雑誌などに旅行記を書くようになりました。その後、大きな世界を小さなバイクで走るようになりました。原付バイクで世界一周。原付スクーターでアジア横断。夫婦原付バイクで地球縦断の旅など個性的な旅を実現。この実績を持って、旅を伝え共有するプロの旅人「旅行家」になりました。

旅行家になってからインターネットを駆使した日本一周、夫婦ふたりで日本人初の電動バイク(ヤマハのパッソル)で世界一周を達成しました。50代には原付バイクで走れる国道を全線制覇する旅など、常に新しい独自の旅を続けてきました。そんな僕が還暦を目の前にして、新しい旅の相棒と出会いました。eバイクです。自転車もいいと思ったのですが、人力+電力という未知なる乗り物「eバイク」が持っているワクワクドキドキ感に勝つことはできませんでした。心の声に素直に従うのが、かんいち流ですからね。

夫婦ふたり、原付スーパーカブでカナダ北極圏から、南米最南端の町ウシュアイアまで5万kmの旅。写真はボリビアにあるウユニ塩湖
2004~08年には夫婦ふたり、電動バイクで世界一周をした。写真はアフリカ南部のマラウイ。バイクを停めると子供たちが集まってきた

偉そうなことを言っていますが、人力の旅をするのは高校生以来、40年振りです。当然のことながら年齢的に体力は衰える一方、運動もしていないこの体がどこまでついてこられるか、不安でいっぱいです。途中でへたばって倒れる可能性もあります。でも、だからこそ楽しみでもあります。目標は来年には日本一周。その後は世界の旅も実現したいと考えています(コロナウイルスの状況次第ではありますが…)。

まずはこの連載を通してeバイクの個性や魅力、楽しみ方。遊び方。旅の装備品選び。おすすめ情報。59歳男のリアルなどなど……実体験を通して伝えていけたらと思っています。こんな僕ですが、ぜひお付き合いください。よろしくお願いいたします!

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