eバイク旅ノート Vol.112(最終回)「eバイクに跨り旅に出よう」

コラム“eバイク旅ノート”は最終回となりました。スタートしたのはコロナ禍の2020年でした。新しい旅の相棒と決めたeバイク、試乗、レンタルからはじまり、日帰り、1泊2日、キャンプツーリングなどを経て、30日間日本縦断を実現。その後は妻を巻き込んで夫婦日本一周にもチャレンジしました。eバイクと過ごした4年半。eバイクだから出会えた景色、発見がたくさんありました。

試乗、レンタル、そしてeバイクのオーナーになった2020年

40年近く、オートバイで日本と世界を旅してきました。60歳目前となり、オートバイ以外の物で旅をしてみたいと思うようになり、eバイクに興味を持つようになりました。

パンデミックの2020年。まずは都内の代官山にある電動アシスト自転車専門店モトベロでBESV(ベスビー)やミヤタサイクルなどのeバイクを試乗。直接体験することで、魅力や特性、欠点などが見えてきました。その後、WEBで見つけた町田市にある鶴川サイクルでミヤタのロードレックスを5日間レンタル。初めて50kmツーリングを体験。汗をかいて走る気持ち良さはもちろん、立ちこぎ必至の急勾配の坂道も息も上がらず上れることに驚きました。また、ギヤポジションやアシストモードは何にするか? 考えることもeバイクならではの楽しさだと知りました。

ヤマハ発動機から借りたYPJ-ERで初めて1日約100km走行。思っていたほど疲れもなく、筋肉痛にもならないことに驚きました。その後3つの峠を越える1泊2日ツーリングも実現、これならロングツーリングも行けると確信しました。

11月。フリマで中古のYPJ-ERを購入。待望のeバイクのオーナーになりました。年末、自宅相模原から城ケ島までを往復する日帰り150kmのロングツーリングを敢行。バッテリー残量23%を残してゴール。大きな自信に、目標にしていたeバイク日本一周に少し近づいた気がしました。

初めてeバイクを試乗した日
初めてeバイクを試乗した日。何種類か交換して走ってみたが、アシストのかかり方や力が微妙に違うのが面白かった
レンタルバイクで走る
長い上り坂をたくさん走らないとeバイクの利点がわからないと思ったので、レンタルバイクで50km走れたのはありがたかった
YPJ‐TCで江ノ島までツーリング
ヤマハ発動機から借りたYPJ‐TCで江ノ島までツーリング。フロントサスペンションが付いているので段差越えが楽だった
初めての泊りがけツーリング
初めての泊りがけツーリング。それほど苦労することなく箱根越え。オートバイでは何度も走った道なのにeバイクだと新鮮に感じる

富士山、キャンプ、カスイチなど旅三昧の2021年

パンデミックは続き4月、再び緊急事態宣言が発令されました。県境を跨いでの外出を避けるため、神奈川県内の東西南北の端まで行ってみることにしました。最西端の三国峠(足柄上郡山北町)と最南端の城ケ島(三浦市)はすでに行っていたので、川崎工業地帯の埋め立て地「浮島」(最東端)と最北端の和田峠をツーリング。遠くへ行かなくても楽しめるのがeバイクと実感しました。

新プロジェクト、世界18か国の人たちに代わって18のぬいぐるみを連れて日本一周をする、旅疑似体験&旅共有する『インターネットジャーニー』を計画。自転車で引っ張るサイクルトレーラーをDIYしてミニバスにしたり、参加してくれる外国人を募集したり、準備を進めました。ところが春から新型コロナウイルスの新規感染者が増加。広域を走る日本一周は控えた方が良いと判断、来年に延期しました。

5月、還暦になりました。近県を走るeバイク旅は継続。富士山一周や海岸から富士山5合目を目指す旅。そのほか奥多摩キャンプツーリング、紅葉を求めて日光、標高2127mの麦草峠にも登りました。さらに諏訪湖やビーナスライン、サイクリストの聖地、霞ケ浦一周『カスイチ』などeバイク旅にどっぷり浸かる1年となりました。

神奈川県内の東西南北の端っこを目指す旅
再び緊急事態宣言。自転車なので大丈夫だと思うが県外へ出るのは控え、代わりに県内の東西南北の端っこを目指す旅をしてみた
インターネットジャーニー
旅共有プロジェクト『インターネットジャーニー』を実現するため、サイクルトレーラーを購入。丹沢湖周辺で走行練習をした
富士山一周
富士山一周。距離的に行けるとだろうと高を括り、アシストを使いまくっていたら、最後の峠の上り坂の途中でまさかの残量0%に
初めてのキャンプツーリングにもチャレンジ
初めてキャンプツーリングにもチャレンジ。奥多摩にあるキャンプ場では受付で話をすると快くバッテリー充電をしてくれた

30日間日本縦断の旅にチャレンジした2022年

諸事情により『インターネットジャーニー』の実行が難しくなったため方向転換。全国各地にある日本を代表する18の名道を繋ぎながら30日間で佐多岬→宗谷岬を目指す『E-Bikeチャレンジ!日本縦断3500キロ』を立案、実施することにしました。当初はヤマハのYPJ-TCで行く予定でしたが、長旅に最適なグラベルロードWABASH RT(ワバッシュRT)を発表。急遽車両を変更しました。

佐多岬を出発。佐多岬ロードパーク、桜島溶岩ロード、阿蘇パノラマラインなどの名道を走破、5日目に九州から本州へ渡る。6日目広島原爆ドーム、7日目しまなみ海道から四国入り。四国カルスト、剣山スーパー林道などを走り、12日目徳島からフェリーで和歌山へ渡った。暗峠、琵琶湖パークウェイなどを走り、16日目金沢に到着。

金沢から後半戦。17日目、千里浜へなぎさドライブウェイに行くとまさかの通行止め(笑)。日本海沿いを北上。上越から内陸へ。19日目、雹が降る中、国道最高地点の渋峠越え。20日目金精峠、いろは坂。その後は連日雨、雨具を着て国道4号をひたすら北上しました。25日目、陸前高田市には奇跡の一本松、26日目八幡平アスピーテラインを走破、27日目ついに八戸からフェリーで北海道へ渡りました。

苫小牧から僅か3日間で宗谷岬を目指す、厳しい状況になった。28日目、富良野。29日目は旭川を過ぎたところまで来たが宿が見つからず、名寄止まりとなります。30日目(最終日)、残り220km走るため朝4時出発、約15時間走り続け、ついに宗谷岬ゴールを果たしました。30日間3692kmの旅でした。

この旅の後、妻ヒロコにもeバイク旅を体験して欲しいと思うようになり「夫婦日本一周」の夢が膨らみました。まずはeバイクを体験してもらうためレンタサイクルのある霞ヶ浦、朝霧高原、諏訪湖など出かけました。一緒にサイクリングすることで少しずつeバイクに慣れ親しんでいきました。

佐田岬
日本縦断の出発地となる、鹿児島県南大隅町にある本土最南端『佐多岬』に立つ。30日後には本土最北端『宗谷岬』に立っているはず
渋峠
渋峠に到着。直後、雹が降り出したので慌てて出発した。ここから10分くらい走ったところに国道の最高地点(標高2172m)がある
旭川市のギャラリーカフェ
北海道の旭川市では友人が営むギャラリーカフェに立ち寄り、ポジティブパワーをもらった。いよいよ明日が30日間日本縦断の最終日
朝霧高原
妻ヒロコにeバイクの良さをわかってもらうため各地にあるeバイクのレンタルサイクル店を探した。これは朝霧高原を走ったとき

妻を巻き込んで始まった夫婦日本一周西日本編2023年

「ママチャリしか乗ったことがないのに日本一周なんて絶対ムリ!」と言っていたヒロコが変化。eバイクなら体力がなくてもそれなりに走れること、さらに1日100km以下、体力の範囲で走ればいいということで、夫婦日本一周が実現することになりました。バイクは日本縦断のヤマハWABASH RT、ヒロコはヤマハのCROSSCORE RC(クロスコアRC)に決めました。

今年は東日本、来年は西日本、2回に分けての日本一周。6月上旬、北に向かって走り出しました。最初は不安そうだった妻も難関の三国峠を越えてからはリラックスして走れるようになりました。秋田からフェリーで北海道。また夫婦で宗谷岬に立ったときは去年以上の感動がありました。どこまでも広がる大自然、eバイクで走るなら北海道と再認識しました。室蘭では夫婦揃って病気でダウンするなど、まさかの出来事もありましたが、美味しいグルメもたくさん堪能、大満足の北海道となりました。

本州へ戻ってくると酷暑との闘いになりました。連日の35度越え、熱中症にならないようエアコンの効いた道の駅やコンビニで小まめに休憩を取りながら南下して行きました。そして94日間4610kmを走り9月上旬、無事ゴールイン。ヒロコは旅を続けることで体力も付き、1日100km位走れるようになっていました。

宗谷岬
『宗谷岬』に到着。朝、岬に向かっている途中、チェーンが切れてストップ。一度稚内まで戻り、修理をして再チャレンジした
納沙布岬
根室に荷物を預け、空身で最西端の『納沙布岬』へ向かった。天気が良く気持ちが良かった。岬から肉眼で北方領土を見ることができた
ウトロのうに丼
北海道は各地でグルメを堪能した。これはウトロで食べた『うに丼』。クリーミーで美味しかった。ヒロコも自然と笑顔になる
ガコッパー
ゲストハウス、ライダーハウス、ビジネスホテルなど色々泊まった。ここ西興部のガコッパーは校舎をリノベしたゲストハウス

夫婦で最後まで走り切った1万km日本一周達成2024年

4月上旬から西日本の旅が始ります。神奈川県をスタート、太平洋側を南下する。岡山から四国へ渡り、時計回りで一周。今治からしまなみ海道を走って広島へ。中国から九州へ渡り鹿児島まで南下、フェリーで沖縄へ。梅雨明けした沖縄は完全に夏空。那覇から国頭まで北上。青い海、砂浜、森……eバイクと共に南国の自然を堪能しました。

フェリーで鹿児島へ戻ると本土も梅雨が明けて真夏モードに。最南端の佐多岬、最西端の神埼鼻をめぐり、本土4極を制覇。日本海寄りのルートを北上、本州に入ると萩、出雲大社、鳥取砂丘などを経由して金沢へ。ここから白川郷、飛騨高山、松本など内陸のルートを走り8月下旬、神奈川の自宅にゴールを果たしました。合計237日間、走行距離約1万kmの日本一周でした。

しまなみ海道
サイクリストの聖地『しまなみ海道』を走った。橋の上などは自転車専用のルートがきちんと整備されていて、まさに自転車天国だった
梅雨明けの沖縄
梅雨明けの沖縄は夏本番。連日快晴。青い空、青い海、緑の草木…… どれもがキラキラ輝いていて、「これぞ沖縄!」という感じだった
神崎鼻到達証明書
長崎県佐世保市、本土最西端の地『神崎鼻』でいただいた到達証明書。これで東西南北すべての端っこを制覇したことになる
ライダーハウス日本何周
琵琶湖の北部にある『ライダーハウス日本何周』に宿泊。宿泊者全員がオートバイや自転車の旅人だったのでおしゃべりも盛り上がった

最後に

簡単に振り返るつもりだったのに、長くなってしまいました。足掛け5年ですからね。振り返るとeバイクとの付き合いは全国各地、さらにまで妻まで巻き込む、中身の濃いものになりました。

コラム“旅ノート”ではeバイクとの関りを自由に書かせていただきました。“旅ノート”を通じて、eバイクに興味を持ってくれる人が増えたら。またeバイクで旅に出たい!と思ってくれる人が現れたら、嬉しいです。旅の相棒としてeバイクは最高です、これは自信を持って言えます。最後にこのような場をご提供いただいたことに、心から感謝申し上げます。そしてコラムを最後まで応援してくれた皆さん、本当にありがとうございました。

eバイク旅ノート112
4年半ありがとうございました! eバイクなら峠に続く長い上り坂も、遠回りや寄り道、キャンプもウエルカム。さあ、ツーリングに出かけよう

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