【スペシャライズド・ヴァドSL編】eバイクこの1台 自分にとって、いちばんのeバイクを選ぼう

世界中で人気が上がってきているeバイクは、毎年、ニューモデルが登場するなど勢いあるジャンルだ。最近は日本の街中でもよく見かけるようになってきたので、今後はもっと増えていくだろう。ただ、そうはいってもまだeバイクの歴史は浅く、「どんなeバイクがあるか?」「eバイクでどんなことがやれるのか?」などなど、eバイクに乗りたい人に対して、選んでもらうための情報が伝え切れていない状態だ。そこでここでは、いま存在を知っておくべきeバイクをピックアップして、それぞれのスタイルから特徴まで詳しく紹介していく。今回取り上げるのは、スペシャライズド・ターボヴァドSL2カーボンLTDフォワード50コレクションをはじめとするヴァドSLシリーズだ。

ターボヴァドSL2カーボンLTDフォワード50コレクション

いつもの移動に個性と遊びを追加した逸品eバイク
至高のカジュアルを楽しもう

自分の価値感を大事にした選択がしたい。そう考える人にピンとくるのがこのeバイク。作り込みのレベルは高い境地にありつつ素材はある意味「外しの存在」を起用する。個性的なeバイクが欲しいなら注目の一台だ。

ターボヴァドSL2カーボンLTDフォワード50コレクション
趣味のものに囲まれて暮らす人の手元にあっても十分な存在感があるヴァドSL 2 カーボンLTD 50周年記念車。このモデルを所有できる人は幸せだ

写真のeバイクはスペシャライズド創立50周年記念車「Turbo Vado SL 2 Carbon LTD―Foward 50 Collection」。世界で250台が発売され、スペシャライズド・ジャパンでも当然、取り扱っている。

フレーム、フロントフォーク、ホイールなどは軽量であり高剛性なカーボン素材。塗装もカスタムペイントの技術を盛り込んだ、非常に魅力的なものとなっている。

そしてeバイクの心臓部であるドライブユニットも進化。ジェネレーション2のSL1.2となり、最大トルクは従来モデルから大幅アップの50Nm。バッテリーも520Whと大容量で、走行性能も大幅にアップしている。

ところでこの50周年記念車、ヴァドSL2という名称から、新しいヴァドであることが分かるが、現状、日本でのカタログモデル販売のアナウンスはない。この点は続報を待ちたい。

さて、このようなぜいたくで高性能な限定モデルを設定する場合だが、一般的に考えるとより存在感があるクレオやリーヴォがベースになると思うところ。しかし、そうではなかった。

この選択は意外にもに思えるが、スペシャライズドは自転車に対して特別な走りだけでなく、「いつもの移動」も大事に考えているメーカーなので、「いつもの移動に個性と遊びを取り入れる」という視点からのヴァドという選択だ。

そして、いつもの移動を至高の域で楽しむために用意されたのが、ヴァド SL2カーボンLTD50周年記念車。日常的に乗るeバイクにおいて、これほどの魅力を持つものはないだろう。

スタイリッシュで軽量な現行型のヴァドSL
通勤から趣味のライドまでこなすスペシャライズドの万能eバイク

ここでは現行型のヴァドSLを取り上げよう。題材はフェンダーとリヤラックを装備したEQモデル。街乗りを重視するのならEQモデルはとくにオススメしたい。

ヴァドSL4.0
こちらはベーシックグレードのヴァドSL4.0。フロントフォークがアルミとなる。価格は33万円。EQの設定もあり価格は35万5000円

ヴァドSLが採用するモーターは自社製のSL1.1。

特徴は最大トルクの数値を高く設定するのではなく、ペダリングする力に対して自然なアシストを行うフィーリングであることを重視しているところ。そのため乗り味はペダルバイクに近いものになる。

とはいえアシストが弱いということではない。SL1.1の最大トルクは35Nmあり、加えてヴァドSLはその名のとおり(SLとはスーパーライトのこと)車重も軽いので、走りは軽快に思えるだろう。

それに普通のペダルバイク同様、走行状況に合わせて積極的なシフトチェンジを行うことで、アシスト効果は一層引き立つ。そうした面からも、SL1.1を積むヴァドSLはスポーティと言える。

もう一つ、ヴァドSLの特徴としては「EQ」という記号が付くフェンダーとリヤラックが付いたモデルの設定があることだ。

ヴァドSL5.0EQ
ヴァドSL5.0EQ
ヘッドマーク
ヘッドマークの「S」は日本の毛筆にて書かれたもの。スペシャライズドによる日本リスペクトの証である。これはうれしいことだ

日常の足で乗りたいときはもちろん、サイクリングに行った先でコーヒーを沸かしたり、果物に野菜など、新鮮な土地のものを買って帰りたいときはリヤラックは必須。サイドバッグを付けたり積んだりと、とにかく便利である。

また、装着されるフェンダーは、スペシャライズドが自社で持つ風洞実験室にて水はねの状況を実験することで、水はねを最小限に抑えた構造。雨上がりの道を街着やスーツで乗る際でも、余計に気を使わずに走っていけるものになっている。

ヴァドSL5.0EQのPoint

◎フューチャーショック&カーボンフォーク
◎使い勝手のいいフェンダー&リヤラック装備
◎フレーム内装の320Whバッテリー
◎自然なアシスト特性のSL1.1モーター

Spec

価格●45万1000円
カラー●ブラッシュドアルミニウム ブラックリフレクティブ
サイズ●S、M、L、XL
重量●14.53kg(M)
フレーム●E5アルミニウム
フォーク●フューチャーショック1.5/軽量カーボンフォーク
ステム●スペシャライズド
ハンドルバー●スペシャライズド・31.8mm幅
ドライブユニット●スペシャライズド ・SL1.1モーター
最大トルク●35Nm
バッテリー●スペシャライズド・SL1-320 320Wh
スイッチ●スペシャライズド・マスターマインドTCU
フロントブレーキ●F&R:テクトロ・HD-R510/160mmローター
チェーンリング●スラム・Xシンク 44t 110BCD
リヤディレーラー●スラム・GXイーグル 12S
カセットスプロケット●スラム・NXイーグル 12S
タイヤ●スペシャライズド・700×38C
装備品●ペダル、ヘッドライト、リヤライト、ベル、フェンダー、リヤラック

Detail

SL1.1モーター
ドライブユニットはスペシャライズドが自社開発するSL1.1モーター。最大トルクは240W/35Nmでバッテリー容量は320Wh
TCU
トップチューブに内蔵されるターボ・コントロール・ユニット(TCU)。バッテリー残量、モード、速度などが確認できる
フューチャーショック1.5
ヴァドSL5.0にはフューチャーショック1.5というサスペンションがハンドル下部にある。また、ヘッドライトも装備。小型だが街灯がなく、まっ暗な道でも十分な明るさがある
リヤライト
EQモデルの場合、リヤライトはフェンダーに付く。標準モデルではサドルの後ろに付く。どちらの仕様も配線は内装されているので見た目もきれい
カーボンフォーク
ヴァドSL5.0ではカーボンフロントフォークを採用。フロントブレーキは油圧ディスクでローター径は160mm。リヤも油圧ディスクで、こちらもローターは160mmとなる
ハンドルバー
ハンドルバーはスペシャライズドオリジナルで、コントロール性を重視した広めの設定。ライズは15mmでパイプ径は31.8mmとなっている
台座
フレームにはアクセサリーを付ける台座が3か所もある。エクステンダーバッテリーを装備しても、給水ボトルや工具なども装備して走れる
キックスタンド
キックスタンドも装備。フレームにブラケットがあり、スタンドも専用なので畳んだ姿も出した姿もスタイリッシュ。支え方のバランスもいい
ドライテックフェンダー
風洞実験室で形状が決められたドライテックフェンダー。ウェット路面走行での水はねの軽減が追求されているというハイテクなフェンダーだ
リヤラック
EQモデルに標準装備されるリヤラック。スタイリングを崩さないシンプルなデザインだが、強度や積載性の良さがある。また、重量も軽い
リヤラックの積載面
リヤラックの積載面。固定用ベルトを効果的に装着できるパイプワークで組まれている。こうした部分からも作りの良さ、こだわり具合が見える

PR担当者に聞く─スペシャライズドの魅力とは
「スペックシートには載っていないスペシャライズドのこだわりを知る」

小田島 梨絵さん
小田島 梨絵さん
スペシャライズド・ジャパン
マーケティング・コンテンツ/PR
小田島 梨絵さん
MTBクロスカントリー競技にて全日本選手権9連覇、オリンピックへは2大会連続出場という経歴を持つスペシャライズドの小田島さん

スペシャライズドはアメリカのカリフォルニア州にて、マイク・シンヤードという自転車が大好きな若者が創業した企業。社名であるスペシャライズドとは「職人さん」を表す「スペシャリスタ」という言葉を元にしたものと言われている。

そのスペシャライズドは当初、自転車のパーツを輸入して販売していた商社であった。

取り扱っていたのは欧州の有名ブランド「チネリ」のパーツなどだが、当時のアメリカでは自転車の趣味やスポーツは小規模の市場だったので、苦労の多い時代も経験したという。しかし、そんな状況に負けずスペシャライズドは自社にて、「ターボ」というタイヤの製造を手掛けて成功させるのであった。

今回の記事で紹介するヴァドSLもそうだが、スペシャライズドのバイクにはスペシャライズドのタイヤが使われているが、実はタイヤはバイクより歴史のあるものだった。

その後、1981年に世界で初めての量産MTB「スタンプジャンパー」を発売。そしてこのモデルは世界的な大ヒットとなった。

ちなみにスタンプジャンパーの初代モデルは、アメリカの権威ある博物館、スミソニアン博物館に「世界初の量産型MTB」として展示されているとのことだ。

MTBで世界的な地位を築いた後はロードバイクの競技へも進出。現在も強豪チームにバイクを供給し続けているし、市販モデルも世界的に高い評価を受けている。

なお、マイク・シンヤードは日本好きでもあったので、スペシャライズドバイクのヘッドマークに使われる「S」のデザインは、毛筆にて書かれたものとなっている。

このように自転車好きな人物が始めて、自転車業界を盛り上げてきたのがスペシャライズドなのである。

現在は世界的なスポーツバイクメーカーになりビジネス的に大成功を収めているが、ベースの部分が「自転車好き」であることから、スペシャライズドのバイク作りやラインナップは自転車が好きな人にとって魅力的である。だからこそ、最初に紹介した「ヴァド SL2 カーボン50周年記念車」も、現行のヴァドSLも魅力的に思えるのだ。

こうした部分はスペックシートでは表現することができないものだが、そんな要素を持っていれば、それは自然とにじみ出ていて、分かる人には伝わるモノとなる。

なお、スペシャライズドの社是は「革新か、さもなくば死を」というものだが、これは随所にチャレンジングな作りやハッとさせる仕上げが施されている「ヴァド SL2 カーボン50周年記念車」を見れば分かること。

こうしたことは限定モデルに限らず、全てのスペシャライズド車が持つものなので、eバイクを探している最中、スペシャライズドのeバイクにカッコいいという印象を持ったとしたら、それは当然のことと言えるだろう。

ターボヴァドSL2カーボンLTDフォワード50コレクション
仕様だけでなく塗装も特別なものとなるヴァドSL 2 LTDフォワー ド50。価格は99万円。世界で250台発売。日本でも購入できる
ディスプレイ
ヴァドSL2 LTDフォワード50では、ディスプレイがステムに取り付けられている。また、スペシャライズドアプリを使うと心拍、ライダー出力なども表示できるという
SL1.2モーター
SL1.2モーターのジェネレーション2を搭載。最大トルクは50NmとeMTB用並み。バッテリーは520Whの大容量
サドル
臀部の血流の悪化を防ぐ形状と振動吸収性に優れた特性を持つスペシャライズド製サドル
タイヤ
タイヤは舗装路だけでなくグラベルにも適応する47Cを装着する

Other model ロードもグラベルも楽しめる

クレオ 2 エキスパート

クレオ 2 エキスパート
価格:121万円

ロードもグラベルもこなすクレオ2エキスパート。フレーム、フォークはカーボン。ドライブユニットはSL1.2。トルクは50Nmでモーターの静粛性も大幅に向上している。バッテリーは320Wh、最長で195kmという長距離走行にも対応する。タイヤは700×47Cを履くが、29×2.2サイズまで対応するフレーム設計となっている。フロントにはフューチャーショック3.0が組み込まれ、振動による身体への負担も軽減される。

リーヴォ SL エキスパート

リーヴォ SL エキスパート
価格:132万円

レスポンスと剛性に優れたコントロール性のいいカーボンフレーム。ヘッドアングルは3種類の角度に調整可能。特許出願中の新技術「GENIE」というエアスプリングテクノジーにより非常に高いハンドリング性と走破性を実現。ドライブユニットは最大トルク50Nmのジェネレーション2のSL1.2モーター。バッテリーは320Wh。ホイールはフロントが29インチでリヤが27.5インチだが、簡単な作業でリヤも29インチ化することができる。

スペシャライズドの取り扱い店
スペシャライズドの取り扱い店は全国にあり、車種選び、サイズ選びなど詳しいアドバイスがもらえる。購入後の整備、修理でも頼りになる
フィットバイク
フィットバイクを使ってのサイズセレクションも実施。乗り慣れた後のポジション合わせも行うなど独自のサービスを行っている(実施店のみ)

コラムカテゴリの最新記事