スポーツも運動も嫌いな超インドア派の妻ヒロコと還暦からeバイクの旅を始めたかんいちのeバイク夫婦日本一周。昨年は東日本を一周。今年は西日本一周を目指して4月に神奈川をスタート。西日本各地をめぐり、鹿児島からフェリーで沖縄も走った。本土最南端佐多岬に到着すると、北を目指す旅が始まった。
DAY187「最南端の西大山駅とイッシーの池田湖」
鹿児島湾を挟んだ指宿へフェリーで渡るため、南大隅町の根占港へ向かう。船の到着を待っていると、駐車場にいた車の親子が声をかけてきた。「昨日、佐多岬の近くでふたりのこと見かけて、どこから走ってきたのかなって娘と話していたの。そうしたら、いま港にいたのからビックリ」と嬉しそう。夫婦で日本一周しているんですよ、と応えると、親子の目がキラキラと輝く。興味津々、質問の連続、別れ際には「頑張ってねー♪」明るい笑顔で見送ってくれた。
現れたフェリーがかなり小さかった。ちなみに、桜島と鹿児島を結ぶフェリーが1330トンなのに対して、こちらは153トン。ほぼ10分の1のサイズ。「うわ~っ、これはかなり揺れるぞ」と覚悟して乗り込むと案の定、揺れまくる。約45分後に千鳥足の状態で指宿の港に降り立った。
港から30分ほどでJR日本最南端『西大山駅』に着いた。駅舎はなくホームがあるだけ、その周りには田園景色が広がっている。この駅へ初めて来たのはバイク日本一周をした40年前。当時は最南端の碑が立つだけの寂しい場所だったが、いまはちょっとした観光スポットになっている。定番の“JR日本最南端の駅”の碑以外にも、幸せを運ぶといわれる“黄色いポスト”や“幸せの鐘”などができ、多くの人が訪れるようになった。
次に向かうのは池田湖。その昔、謎の生物“イッシー”が棲むことで話題になった湖だが、40歳以下も知っているのかなぁ(笑)?国道を離れ県道28号で向かう。しばらくすると青く輝く池田湖が見えてきた。さらに進むと湖畔に立つオシャレな建物『ダンケンカフェ』が現れた。店内に入ると、メニューにおいしそうなホットドックがあったので、ここでお昼にする。池田湖を眺めながらエアコンの効いたカフェでおいしいランチ、いい休憩になった。
国道226号に出ると鹿児島湾に沿って北上。路肩のない狭い道が続く。今日も暑い。コンビニを見つけると氷を買ってボトルに詰め込んだ。ひたすら鹿児島市内を目指して進む。市内の中心地、予約していた天文館の近くにあるビジネスホテルに到着。早くエアコンの効いた部屋へ行こう。レセプションで渡されたキー、部屋のナンバーを見ると707号じゃないか。今日は7月7日、七夕と同じ数字。こんな偶然ってあるんだなー、少しだけ幸せな気分になった
夕食は鹿児島名物のひとつ、市民のソウルフードといわれる山形屋の焼きそばにする。エレベーターに乗って7階の山形食堂へ。広いフロアにクラシックなテーブルがズラッと並んでいる。べージュとブラウンでまとまられていてモダンな雰囲気。運ばれてきた焼きそばは固い麵の上に野菜にイカ、豚肉など、具沢山のあんがたっぷりかかっている。これに酢をかけて食べるのが鹿児島流。ほどよい酸味が加わるのでサッパリした感じになり、食べやすくなる。初めてなのにどこか懐かしい、美味しい焼きそばだった。
宿泊地:鹿児島県鹿児島市
走行距離:68.1km
総走行距離:8006.6km
DAY188「発祥の店で白熊を食べてみる」
休養と原稿書きのため連泊にする。午前中はいつものようにコインランドリーで洗濯。夕方から氷白熊(かき氷アイス)を食べに、発祥の店『天文館むじゃき』へ。お店はアーケード街の一角にあり昔ながらの喫茶店という雰囲気、入口で大きな白熊人形がお出迎え。
メニューを見るとチョコレートやストロベリー、プリンなどいろんな種類があったが、僕たちは自家製のミルクと蜜、たくさんのフルーツが載った白熊のレギュラーサイズにする。運ばれてきた瞬間「おっ、意外とデカイんだな、食べられるかな?」と思ったが、食べ始めると止まらなくなり、ペロッと平らげてしまった。やっぱり白熊は美味しい。宿に戻ると再び原稿書き。深夜12時過ぎまでかけてようやく終了。よし、明日から走るぞ~♪
宿泊地:鹿児島県鹿児島市
走行距離:0km
総走行距離:8006.6km
DAY189「蒲生で懐かしい巨木と友人に再会」
今日は姶良市の山に住む友人宅まで行く予定。距離にして35km程度なので昼頃には着くだろう。国道10号で姶良市へ向かう。この道が国道とは思えないほど狭い。さらに路肩も歩道もない上、車やトラックがすぐ横をガンガン追い抜いて行くので生きた心地がしない。とにかく車に轢かれないよう、安全第一で走る。唯一の救いが美しい桜島が見えること。横目で眺めながら進んで行く。
姶良市の県道に入ると、怪しい雲がどんどん広がり、ついにバケツをひっくり返したような豪雨になる。慌てて少し先にあるコンビニの軒下に逃げ込んだ。上がったタイミングを見て走り出すと10分も持たず再び雨。今度は自動販売機のある売店の軒下へ逃げ込む。雨雲は一角だけで大部分が青空。まるで熱帯地方のようだ。
お昼、蒲生で見つけた食堂に入った。庶民的な店で各定食が650円と安い。僕は焼肉定食、ヒロコは焼うどんを注文する。お店のおじさんは僕たちが神奈川から自転車で日本一周中だと知ると「すごいなー」「元気だなー」を連発。かなり感心したようで、食後にはコーヒーまでご馳走してくれた。最後にはお店の人まで外に出てきて「頑張ってねー!」と温かなお見送り。元気をもらいました。
日本一の巨木として知られる『蒲生の大クス』と20年ぶりの再会。さらに巨木の近くで友人とも、約20年ぶりの再会となった。ちなみに大クスの樹齢は約1600年、幹回り33.5m、高さ約30mもあるので、迫力満点。木というよりも別の生き物のように見える。四方に大きく枝を広げる姿はエネルギーに溢れ、見ているだけで幸せな気持ちになった。
その後、友人が作ったという森の中の学校を案内してもらった。子供たちはすでに帰った後だったが、小さな校舎には工作室や音楽室、秘密基地のようなスペースがあり、学校というよりは想像力溢れる、自由な遊び場のような場所だった。
夜は、イギリスからボランティアで来ている青年が作ってくれた牛丼をご馳走になった。これが日本人が作ったように美味しい。食後は日本とイギリスの文化の違いについて、あれこれおしゃべり。そこで彼が納豆を食べたことがないことがわかったので、急遽チャレンジすることになった。恐る恐る口を付ける。2、3口食べるたがそれ以上続かない。「イエス、グッド……」と言っているが笑顔がない。「……2回目はないかな……」といったので大笑い。やはり納豆はきつかったようだ。
宿泊地:鹿児島県姶良市
走行距離:36.7km
総走行距離:8043.3km
DAY190「定番のジョイフルで500円ランチ」
今日は朝から雨が降ったり止んだり安定しない。雨具を完璧に着込んで出発する。県道から国道328号に入ると、路面状況は良くなり、交通量も増える。さつま町でファミレスのジョイフルがあったのでランチにする。周辺に食堂がないからか、ほぼ満席状態。料理が出てくるまで30分近く待たされることになったが、エアコンが効いた場所で500円でランチが食べられるだけで満足だった。
さつま町の中心を抜けると上り坂になり、民家が減り、森がどんどん深くなる。午後から雨は上がり曇り空が続いている、おかげでいつもよりずいぶん涼しく感じる。「これくらいの気温なら、ずいぶん楽だね」「ホント、嘘みたいに涼しいね~」インカムの会話も弾む。
出水市との境にあるトンネルを抜けると下り坂が始まった。ダウンヒルは楽しいが同時にグングン気温が上昇してくる。出水の町中に入ると、いつもの暑さに逆戻り。数時間前の会話が嘘のようになった。今日の宿は出水駅前なので、食べるところに困らないだろうと思っていたらホテル2軒があるだけ、あとはほぼ民家やマンションでコンビニもない。まさか駅前で食事ができる場所がないとは思ってもいなかった。スマホで調べると歩いて10分のところにラーメン屋があったのでそこへ行くことにする。これからは駅前だからと言って油断できないな。
宿泊地:鹿児島県出水市
走行距離:52.1km
総走行距離:8095.4km
DAY191「お団子の差し入れに感激」
梅雨前線が活発化、天気予報では今日から5日間連続雨マーク。カッパを着て走り出す、雨は降ったり止んだりを繰り返す。水俣を過ぎると国道3号の車の量が激減した。道を間違えたかと思い確認したが、合っている。どうやら並行して走る高速道路が無料開放されているため、みんなそっちへ行ったらしい。これはありがたい。ヒロコとふたり、鼻歌交じりでペダルをこいだ。
走っていると郵便局の前で僕たちに手を振る女性がいた。「何かな?」と思いながら自転車を止めた。話をすると手前で僕たちが走っている姿を見かけたので、何か差し入れしたいと思い待っていてくれたらしい。自分が作ってお店に卸しているというお団子をありがたくいただいた。僕たちはやりたいことを純粋に実行しているだけなのだが、そんな姿が誰かの希望や勇気になったり、楽しみになっているのかと思うと嬉しい。
今日は距離を抑え目にした上、順調に進んだので、2時過ぎに予約していたホテルに着いてしまった。チェックインは3時からなので、まだ部屋には入れないよなぁ……と思いながら受付に行ってみると、部屋の準備ができているので、特別にチェックインさせてくれるという。これはありがたい。さらに雨が降りそうなので、自転車も事務所で預かってくれるという。至れり尽くせり、柔軟な対応に感謝する。
宿泊地:熊本県芦北町
走行距離:43.9km
総走行距離:8139.3km
DAY192「今日の宿はコンテナのホテル」
昨晩は雷に豪雨と大荒れだった。今朝はどうなっているか心配していたが、雨は上がっていた。ただ天気予報は雨マークなので、レインウエアをすぐに着れる場所にくくり付けて出発する。走り出すと半袖では肌寒く感じるくらい風が涼しい。暑いと体力を消耗するので精神的にも、肉体的にも楽に感じる。
順調に『道の駅たのうら』に到着した。海が見える展望デッキや車両が展示された歴史文化コーナーなどがある道の駅で、物販施設で好物の不知火を購入。ベンチで早速食べたが、瑞々しく甘くて美味しかった。その後もしばらくスマホをいじっていると、どこからか子猫が現れた。僕の足で体をスリスリ。可愛らしさに癒される。
山を下ると日奈久温泉に入った。コンビニの駐車場に入ると、趣のある立派な建物に目が留まった。何だろうと思い行ってみると『金波楼』という老舗温泉旅館だった。案内板があり、明治42年に建てられたもので国の登録有形文化財に指定されているらしい。まるでジブリ映画の『千と千尋の神隠し』に出てきそうな雰囲気。日帰り温泉もあるようだが残念ながら時間外。節約旅では無理だけど、いつかこんな旅館にも泊ってみたいな。
午後も曇り空が続いたが、結局、雨に濡れることなく八代市の宿に着いた。今日は『HOTEL R9 The Yard』というコンテナを使ったホテル。ここ数年で一気に増えたチェーン店ホテルで、一度泊まってみたいと思っていたヒロコは嬉しそう。中に入ってみると見た目よりも部屋は広く、トイレ・シャワーなどの設備もビジネスホテル並み。冷凍食品が無料で付いていたり、部屋に電子レンジがあったり、お得感もある。唯一の違いは激しく歩くと揺れることくらいか? 結局ふたりとも熟睡だったけどね(笑)
宿泊地:熊本県宇城市
走行距離:53.3km
総走行距離:8192.6km
DAY193「豪雨と水飛沫を浴びながら南阿蘇へ」
昨晩もまたすごい豪雨だった。ここ2日間、運がいいことに雨はほとんど夜で、昼間はほとんど降られていない。今日は南阿蘇まで行く予定なのだが、今日はさすがにヤバそう。雨具完全装備で走り出す。
30分ほどで雨が本格的に降り出し、熊本市内に入るとさらに雨足が激しくなった。追い越しの車が巻き上げる水飛沫を全身に浴びながら進んで行く。アーケードがあったのでそこでしばらく雨宿り。小降りになったところで走り出すが、10分も走るとまた土砂降りになる。グーグルマップを確認すると先にマクドナルドがあったので、とにかくそこまで必死に走り、飛び込んだ。
ランチを食べながらしばらく粘っていると、窓から日が差し込んできた。外を見ると青空も見える。「よし、いまだ!」と飛び出し、南阿蘇へ向かった。県道28号で少しずつ標高を上げて行く。振り返ると熊本市の町並みが遠くに見える。トンネルをいくつか抜けると視界が開け、阿蘇山の裾野に広がる南阿蘇の町が見えてきた。緑の山と高原、点在する民家、その景色はどこかスイスに似ていた。
午後4時『熊本ゲストハウス・リトルアジア南阿蘇』に到着した。今回は久しぶりのドミトリー、案内されたのは狭いスペースに木製2段ベッドが4つ並ぶ、寝台列車のような部屋だった。最近はオシャレなゲストハウスが多いがここはアットホーム。昭和の匂いがする。
洗濯とシャワーを済ませスッキリ。外を見ると叩きつけるような豪雨。ヒロコと顔を見合わせながら、早く着いてよかったねと頷いた。明日も雨のようなので、連泊決定となりました。
宿泊地:熊本県南阿蘇村
走行距離:52.0km
総走行距離:8244.6km
DAY194「雨の阿蘇を友人の車で観光」
昨日から雨が降り続いている。天気予報では3日間雨予報。何をして過ごそうか?と思っていたら、熊本市内に住むヒロコの友人が車で遊びに来てくれた。2年前に行った南阿蘇村にあるハンバーガーレストラン『ストロングボスサルーン』で一緒にランチ。
その後は、雨でもトンネルなら大丈夫だろうということで『高森湧水トンネル公園』へ向かった。昔、鉄道用トンネルの掘削工事をしていたが、大量の出水によって中止になった。そのトンネルを使った公園らしい。トンネルの中へ入ると、水路に沿ってカラフルな七夕飾りが並んでいる。今は7月なので「七夕まつり」、12月になると「クリスマスファンタジー」が開催されるらしい。トンネルの中を歩きながら七夕鑑賞、これまで体験したことがないユニークな観光となった。
宿泊地:熊本県南阿蘇村
走行距離:0km
総走行距離:8244.6km
Q&A
読者さんから、使っている「ワバッシュとクロスコアの前輪後輪のフェンダーはどこのものですか?」とお問い合わせをいただきました。
OVTSPOのGT-YS350です。
リヤに関してはステーを曲げたり、フェンダーの一部に穴を開けたり工夫が必要です。