人気eバイクのニューモデルも展示されたサイクルモード東京2025 eバイクエリアレポート

サイクルモード東京2025
例年、東京ビッグサイトの南館で開催されていたサイクルモード東京だが、今年は東京ビッグサイトの東館が会場になった

2025年4月19日~20日、東京都江東区にある東京ビッグサイト 東6・7・8ホールにて、日本最大のスポーツ自転車フェスティバル「CYCLE MODE TOKYO 2025(サイクルモード東京2025、以下サイクルモード東京)が開催された。

サイクルモード東京ではロードバイク、クロスバイク、マウンテンバイク、ミニベロなどの完成車から、ヘルメットやウエア、小物類などの多くのブースが出展。また、敷地の広さを生かした距離の長い試乗コースを設定し、各ブランドの最新バイクを体験できる試乗会も行われた。

そして、サイクルモード東京ではeバイクの普及を進めるための「eバイクEXPO」というeバイク専門コーナーを設けているので、本稿ではeバイクエリアで見つけた最新の情報を紹介していこう。

サイクルモード東京2025
人気の完成車メーカーから部品、用品メーカーなど多くのブースが出展して開催されたサイクルモード東京2025
サイクルモード東京2025
サイクルモードの目玉と言えば出展ブランドのバイクが試乗できるところ。同日に数台乗ることができるのでバイクごと違いを知りたい人にとっては絶好の機会
キッチンカー
キッチンカーが出店するフードコートも用意されていた

人気のPSシリーズがモデルチェンジ/BESV(ベスビー)

問・ベスビージャパン

ベスビージャパンブース
PSシリーズを中心にしたベスビージャパンブース
PSA2
人気のPSシリーズがついに新型になった。こちらは「PSA2」。ラーニング機能付きのAIアシスト、新型HMIディスプレイ、最新スマホアプリの「BESV Smart Plus APP(ベスビースマートプラスアプリ)」に対応。価格は25万8000円

ベスビーを代表するモデルと言えば卓越したデザイン性やパワフルなモーター、賢いアシスト制御などを持つPSシリーズだが、その魅力をさらに高めるニューモデルが登場。サイクルモード東京で初展示された。それが「PSA2」と「PSF2」だ。

新しくなったのはアシストの制御。ベスビーのeバイクにはユーザーの乗り方に合わせてアシストモードを自動で切り替えるスマートモードがあるが、PSA2とPSF2はアシスト制御のアルゴリズムがより高度になったラーニング機能付きのスマートモードになった。

このラーニングスマートモードは「個人ごと」の走らせ方を素早く(走り始めてから約15分ほど)、そして高度に学習するもので、スマートモードにセットしてあれば乗り手のペダルを踏む特性に合わせた「その人専用」と言える最適なアシスト制御をするようになっている。

さらにディスプレイも新型HMIディスプレイに進化。視認性を高めるとともに、取り付け位置をステムの位置から左手側へ移動。グリップを握った状態でもスイッチ操作がやりやすくなった。

バッテリーケース
バッテリーケースのデザインはエッジの効いたものに変更された。充電性能も向上。満充電近くになるとバッテリーへの負担を軽減する機能を持つ2Aスマートチャージャー(充電器)が組み合わされる
新型HMIディスプレイ
新型HMIディスプレイ。凝視しなくても情報が読み取りやすい画面デザイン。スイッチは大きくなり操作性も向上している
PSF2
コンパクトに折り畳めるPSF2。ラーニング機能搭載のスマートモード、新型HMIディスプレイ、バッテリーなどPSA2と同じく新世代のものになっている。価格は31万8000円
折りたたんだ状態のPSF2
折りたたんだ状態のPSF2。コンパクトになるので玄関に置くこともできる。たたんだサイズは840×770×340mm
メゾンベスビー
従来のPS1、PSA1(価格23万8000円)、PSF1(価格29万8000円)も継続販売。画像は現代アートとコラボしたファッションアイテムとして選べる「MAISON BESV(メゾンベスビー)」。TAKERU AMANO氏、BEN EINE氏はPSA1、JUN INAGAWA氏はヴォターニ・H3へ作品を提供している
サウザンドヘルメット
ベスビージャパンが取り扱うアメリカのサウザンドヘルメットシリーズ。代表的なサウザンドヘリテージ2.0コレクションや子ども向けのサウザンドJr キッズコレクションの新色なども展示された

JGR1.1用レンジエクステンダーが登場

JGR1.1
駐輪場の充電環境がない状態でもグラベルeロードバイクであるJGR1.1を充電できるレンジエクステンダーが登場。JGR1.1の価格は41万8000円。レンジエクステンダーが5万9800円

グラベルeロードバイク「JGR1.1」の2025年モデルも展示されていた。デザインやパーツ構成に変更はないが、新たに専用のエクシステンダーバッテリーを設定。同時に車体側ファームウェアもアップデート版となった。

JGR1.1に新たに設定されたエクステンダーバッテリーの容量は198Wh。装備することでアシスト可能距離が195km(標準バッテリーのみは130Km)となるので、例えばキャンプしながらのロングライドでもバッテリー切れの心配なしで楽しむことができる。

そしてもうひとつ、eバイクの使い勝手を激変させる能力があった。一般的なエクステンダーバッテリーは走行時に車体側バッテリーが消耗したあとに給電するが、JGR1.1の制御では停車時、ペダリングを止めている滑走時、アシスト領域以上の速度で走行しているときなどの「電気の消費がない」ときにはエクステンダーバッテリーから車体側バッテリーへ自動で充電を行うようになっている。

そのため1度エクステンダーバッテリーを使うと、日常的は走行では車体側バッテリーの充電量は大きく減ることはないので、充電の回数も減る。また、エクステンダーバッテリーだけを部屋に持ち込んで充電。それをJGR1.1にセットすると「走行しながらの充電ができる」ので、電源がない駐輪環境であってもeバイクの充電に困ることはない。これはとくに集合住宅に住んでいる人にとって充電しにくさを解消するものとなるだろう。

なお、エクステンダーバッテリーが満充電の状態で車体側バッテリーを約半分充電できるので、車体側バッテリーを満充電(約90%充電)にしておきたい場合はエクステンダーバッテリーから2回充電すればいい。

レンジエクステンダー
シートチューブにある台座にセットする。キットはレンジエクステンダー、ハーネス、固定用フィドロックからなる
フィドロックのブラケット
ブラケットはひねるだけで簡単に付け外しができるフィドロックを採用

バリエーションが一気に増えて選ぶ楽しみが生まれたSmaChari(スマチャリ)

問・本田技研工業

スマチャリブース
HONDAのロゴが目を惹いたSmaChariブース

ホンダが開発するペダルバイクの電動アシスト化・コネクティッド化サービスのSmaChari(スマチャリ)。

これまではワイズロードが販売するRAIL DISC-e(レイルディスク-e)とRAIL ST-e(レイルST-e)がSmaChariを採用していたが、第3弾としてロードバイクのコーダーブルーム「FARNA DISC TIAGRA-e(ファーナディスクティアグラ-e)」が登場。4月19日より予約開始となった。

フレームサイズは3つ。430mm(適応身長155cm~170cm)、465mm(適応身長165cm~175cm)、500mm(適応身長170cm~190cm)。フレームはアルミ、変速段数は10速、重量は14.6kgとなっている。気になる価格は予価32万4500円だ。

ファーナディスクティアグラ-e
SmaChari初の本格ロードバイクとしてFARNA DISC TIAGRA-eがデビュー。32万円台のeロードバイクは魅力的だ
レイルディスク-e
現在発売中のRAIL DISC-e。価格は21万8900円

SmaChariブースにはFARNA DISC TIAGRA-eのほかにもSmaChari搭載バイクが多数展示されていたが、これらはまだ発売の予定は決まっていない参考出品車とのこと。
 
展示されているモデルはすべて現在、ふつうのペダルバイクとして発売されているものだが、そこにドライブユニットやバッテリーが装着される。カタチとしてはこれで電動アシスト自転車化となるのだが、電動アシスト自転車として公道を走るためにはアシスト特性を日本の法規制に対応させる必要がある。そしてSmaChariは組み込む、自転車を選ばずに、後付けの電動化ユニットでも法規制に対応する仕様に仕上げるアプリなので、展示されているモデルはすべて法規制に対応する状態になっている。

それだけにいずれこれら参考出展車両も発売されるかもしれないが、このように様々な自転車を電動アシスト自転車化でき、さらに「ホンダ」という人気も知名度、信頼度もダントツの企業の製品なだけに今後はもっとSmaChari搭載バイクが増えてくると思われる。

なお、現在、ホンダが手掛けているのはアプリとバッテリーの構造の一部のみだが、開発チームはいずれ「ホンダ製モーター、バッテリーの開発も手掛けたい」と思っているそうだ。ユーザーとしてもそれはぜひ現実になってほしいだけに、Powerd by Hondaのeバイクに乗りたい人は(出るかはまったく不明だが)SmaChariの話題を広めていこう!

フェスクロス+スマチャリ
サードバイクスのフェスクロスをSmaChariで電動アシスト自転車化。参考出展車
バカンゼ+スマチャリ
ネストのクロスバイク、バカンゼをSmaChariで電動アシスト自転車化。参考出展車
クロスバレー+スマチャリ
ネストのマウンテンバイク、クロスバレーをSmaChariで電動アシスト自転車化。お手頃価格のeMTBは期待大。参考出展車
タンケン+スマチャリ
コーダーブルームの軽量ジュニアMTB、タンケンをSmaChariで電動アシスト自転車化。20インチと22インチがある。クロスバレーと親子で乗りたい。参考出展車
165-e
小さく折りたためる自転車を作り出している5LINKS(ファイブリンクス)からも参考出展として5LINKS 165-eが出展。持ち運びしやすい電動アシスト自転車としてニーズがありそうな1台だ
エブリィとLEF451にスマチャリ
ハンドメイド自転車メーカーのGROWN(グロウン)からEVERY(エブリィ)をSmaChariで電動アシスト自転車化(左)。同じくハンドメイド自転車メーカーのEnglneered Bike Service(エンジニアードバイクサービス)のセミオーダーモデル、LEF451(右)をSmaChariで電動アシスト自転車化。このように高品位で趣味性の高いハンドメイドバイクを電動アシスト自転車化する流れも楽しみなこと
コージー8+スマチャリ
3つのトライアングルで構成されるフレームが特徴的なテック・ワンのシャレー・コージー8を電動アシスト自転車化。電動アシストユニット込みで重量が16kg。発売されたら人気が出そうな1台

モーターサイクルメーカーのeバイクとは/YAMAHA(ヤマハ)

問・ヤマハ発動機

ヤマハブース
走る楽しさを追求したYPJシリーズを展示するヤマハ発動機販売ブース

ヤマハのスポーツeバイクブランド「YPJ」では、2024年にWABASH RT(ワバッシュRT)とCROSSCORE RC(クロスコアRC)に、従来のユニットより小型軽量になったPWシリーズ S2ドライブユニットを採用。制御にはペダリングトルク、スピード、ケイデンス、角度をセンサーで計測して最適なアシストを行っていて、出力面では従来モデルよりトルクが約7%増えている。

また、BB部に付くセンターユニットタイプではユニットの厚みがあるためQファクターが広めになっていたが、S2ドライブユニットはアクスル長も従来モデルより22.8mmも短くなっているのでQファクターがスポーツバイクらしい幅になりペダリング効率が向上している。

ワバッシュRT
グラベルeロードバイクのWABASH RT。トルクアップしたS2ドライブユニットを搭載。価格は46万3100円

ヤマハはモーターサイクルのメーカーで、公道を走るモデルだけでなく世界最高峰モーターサイクルレースに出場するレーシングマシンも開発している。

そしてモーターサイクルはフレームの中にエンジンを収めている構造を持つ乗り物で、そのフレームは複雑な形状を持ちつつも必要な強度や剛性を確保しつつ、操縦性がいいことも求められるものである。

YPJの設計、開発ではこうしたモーターサイクル作りで培った技術が盛り込まれていて、例えばeMTBのYPJ-MT Pro(YPJ-MTプロ)ではバッテリーをフレームで挟み込むような配置にしたり、サスペンションの取り付け位置も日本に枝分かれさせたトップチューブの間にすることで、フレームの剛性やサスペンションの動作を優先しつつ、デザイン的にもヤマハらしい先鋭的でスタイリッシュに仕上げている。

駆動力の伝達性能についてもモーターサイクル作りの知見が生きているので、ライダーの踏力とアシスト力がチェーンステー部などでぶれたりすることなくタイヤに真っ直ぐ力が伝わるような設計がされているというもの。加えてドライブユニットとアシスト特性の制御セッティングは、自社で開発しているので、フレームの性能と合わせて理想的なアシストを体験できるものとしている。

YPJ-MTプロ
eMTBのフラッグシップモデルのYPJ-MT Pro。価格は74万8000円
デュアルツインチューブ
モーターサイクル作りから発想を得たデュアルツインチューブのフレームが特徴
ドライブユニット
ドライブユニットと制御もヤマハ製。モーターサイクルでもスロットルワークに対するエンジンの反応を重視するが、eバイクではペダリングに対するアシストの反応にもこだわっていて、足を止めればアシストも自然に止まる
ヤマハeバイクリンク
CROSSCOREの新モデルCROSSCOREコネクティッドに対応するスマートフォンアプリ「YAMAHA e-Bike Link(ヤマハeバイクリンク)」
YPJのイベント情報
ヤマハ発動機販売ではYPJのもデルを体感してもらうためのイベントを全国で開催してるので、試してみたい人は参加してみることを勧める

スポーツ自転車の経験がないユーザーにeバイクの魅力を伝えていく/PANASONIC(パナソニック)

問・パナソニックサイクルテック

パナソニックサイクルテックブース
パナソニックサイクルテックブース。今年の主役は大きなチェンジがあったパナソニックオーダーシステムのチタンロードバイクだった

XEALT(ゼオルト)は6月に2025年モデルの発売が控えているが、4月に開催されたサイクルモード東京には展示車が用意できずに2024年モデルが展示されていた。ちなみに2025年の情報は5月頃にパナソニックサイクルテックのHPで公開される予定という。とはいえ、ゼオルトシリーズも昨年に親子でeバイクライドを楽しむための「XEALT S3F」と子ども向けeバイク「XEALT S1J」を発売しているので新型の予定はなく、すべてのモデルにおいて基本スペックの変更はない。カラー変更などがメインのマイナーチェンジとなるそうだ。

2025年のXEALTは自転車に乗ったことない人をターゲットとし、eバイクに乗ることでこれまで知らなかったスポーツ自転車に乗ることで得られる感動を多くの人に知ってもらうようPRの活動をしていくという。

そのために自転車ユーザーを対象としたイベントではないところにも出展して、スポーツ自転車未経験の方がXEALTシリーズに触れてもらえる機会を増やしていくということだが、旗艦モデルであるM5やオールラウンダーのS5には高性能なGXドライブユニット(自社製ユニット)を搭載し、初めてスポーツ自転車に乗る人でもアドベンチャーなルートに挑戦できるスペックを持っているので、スポーツ自転車未経験者にはうってつけのモデル。そうしたモデルの存在が自転車好き以外の人々の目に届くところへ出ていくことはいいことだと思うし、幅広い層を相手にしても、品質やアフターフォローについても、生活の中に必ずひとつはあるだろう「パナソニック」の製品なので、自転車の知識がなくても高品質、安全、安心と思ってもらえるはず。こうした点も「XEALTが広がる」要素であることは間違いない。

ゼオルトS5
XEALT S5。価格は36万8000円
ゼオルトL3
XEALT L3。価格は19万5000円
ゼオルトS3F
XEALT S3F。価格は19万5000円
ゼオルトSJF
キッズ向けのeバイク、XEALT SJF。価格は17万2000円

新型のVADO SL2(バドSL2)は余力あるクルーザー的なeバイク/SPECIALIZED(スペシャライズド)

問・スペシャライズドジャパン

スペシャライズドブース
スペシャライズドブースには新型のVADO SL2 5.0が展示されていた

スペシャライズドブースでは発売されたばかりの新型VADO SL2が注目を集めていた。

VADO SL2は車体の剛性感アップや太くなったタイヤ、最大320WhとパワフルになったSL1.2モーターの搭載により、従来のVADO SLよりもタフに走れるeバイクになった。

カテゴリーはクロスバイクとなっているが性質はクルーザーよりといったところで、スペシャライズドでは、これまでクルマやモーターサイクルで通勤していたところを「VADO SL2に置き換えてもらいたい」と言うほど走りには自信を持つモデルとなっている。なお、VADO SL2についてはアメリカ本国も「Calling it an E-bike is an Insult(ただのeバイクとは呼ばせない)」というキャッチを付けている。

それにユニークな機能としては、車載コンピュータにApple(アップル)の協力により「探す」の機能を搭載。AirTag(エアタグ)がなくてもアップル製品の「探す」アプリでバイクの位置を知ることができるというものがある。

バドSL2
VADO SL2。フレームはアルミ。フューチャーショック3.1を搭載。価格は55万円
SL1.2モーター
VADO SL2に搭載されるSL1.2モーターは最大320Whのパワーと従来モデルよりパワフルになった。バッテリーも520WhのSL2-520となった
700×47cタイヤ
タイヤサイズは700×47cとワイド。通勤で使うときの乗り心地向上と走行安定性は高まった

いくつになってもサイクリングがしたい人のための絶品eランドナー/VELcletta(ベルクレッタ)

問・自転車工房ベルクレッタ

ハンドイドバイシクルコレクションコーナー
ハンドメイドバイシクルコレクションのコーナーで出展していたベルクレッタ

クロモリフレームのランドナー専門店である自転車ベルクレッタからは、東叡社製のフルオーダーフレームにベルクレッタが独自に法規制対応させたドライブユニット、バッテリーなどの電動化ユニットを搭載したシン・ベルクレッタモデルを展示していた。

シン・ベルクレッタモデルは輪行ができるeランドナーで、写真のモデルはフレームが分割できるデモンタブルタイプで「ベル輪」と呼ぶベルクレッタの輪行用技術と合わせると短時間で輪行形態、そして走行形態にすることができる。

かんじんのアシストシステムはドライブユニットが最大トルク30Nmの270Wh。一充電の走行距離はエコモードで約100km。一充電での総上昇量が約1000mと公表されている。このユニットは後付けなので、ユニットにアップデートがあったときもユニットを載せ替えることで最新の性能にすることもできるので、高品質なフレームの利点と価値を生かして長く乗れるeバイクとなる。

シン・ベルクレッタモデルのデモンタブルタイプ
シン・ベルクレッタモデルのデモンタブルタイプ。フルオーダーで価格は95万円~
ユニットとバッテリー
海外製だが代表が自らテストして使用を決めた信頼性あるユニットとバッテリー。ボルトオンなので将来的にアップデートがあった際も載せ替えで対応ができる
東叡社製フレーム
フレームは東叡社製。材質はクロモリだ。各パイの接合部はラグド仕様でクロモリらしい品位も感じられる。一生もののeランドナーがほしいならシン・ベルクレッタモデルしかない

アシスト距離を伸ばしつつ安全性も高める回生技術/太陽誘電

問・太陽誘電

太陽誘電ブース
太陽誘電ブース。並んでいるのは同社の技術を採用した自転車メーカーの車両

コンデンサーなどの受動電子部品などを製造する電気機器メーカーの太陽誘電では、ペダル停止時やブレーキング時といった「減速」のエネルギーを電気に変える「電動アシスト自転車の回生システム」を開発している。

とはいえ、太陽誘電は電気機器メーカーなので、自社で電動アシスト自転車を製造しているわけではなく、同社の技術を自転車、製造をする企業へ販売するという立ち位置である。

フェリモを採用した軽快車
回生ブレーキのフェリモを採用した軽快車。電動アシストユニットも太陽誘電製

さて、この回生というシステムだが、漢字の字面から内容が想像しにくくどうにもわかりにくいものであるが、要は発電する技術のことだ。

太陽誘電が開発している「フェリモ」と呼ぶ回生システムは後輪ブレーキをかけたときやペダリングを止めているときのいわゆる減速状態のときに、その状況をシステムが減速時であると判断をしたときに前輪に付けたドライブユニットでホイールの回転のエネルギーを発電に使用する。そして作った電気をバッテリーへ充電すると言う制御を行えるもので、つまり、走りながら電気を作れるので、搭載するバッテリーの容量以上にアシスト走行が可能となる。そのためフェリモを採用した電動アシスト自転車は長距離のアシスト走行ができると言うものになっている。

フロントハブモーター
フロントハブモーター。ここに回生のシステムも組み込まれている

回生(発電)の度合いは自由に設定できるので、例えば多くの充電がしたいと言う車両の場合は、ホイールの回転力を多めに発電に回すことでそれが実現できる。ただ、考え方としては以前あったようなタイヤのサイドにダイナモを押し付けて発電するライトと同じように、回転抵抗となってしまうので、強めに回生を効かせた場合は滑走する距離が短くなる。

でも、それが例えば下り坂である場合、クルマやモーターサイクルで言うところのエンジンブレーキのような効果となるので、手でブレーキを握らなくても適度に減速されるようになる。これは重量が重くなる子載せ自転車での下り坂走行を安全に、そして楽に走ることにもつながるので、女性や子ども、高齢者が乗る電動アシスト自転車には相性のいい技術と言える。

回生の図解
回生の図解。今回、新たにフェリモで作った電気をUSB経由で他の機器に送れる給電アイテムも発表されていた

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