日本向けに用意されたeクロスバイクで走る【eバイクで走りだそう! eバイクアソビの提案】

焼き物の町として知られる茨城県笠間市と栃木県益子町は、県は異なるものの昔から縁が深く、2020年には共同で日本遺産に認定された。それぞれの魅力を肌で感じようと、益子から笠間に向かって走り出すにあたって、僕は県境に控える峠を越えるためコラテックのeバイク「EパワーシェイプPT500」の力を借りた。

日本向けに用意されたeクロスバイクで走る

焼き物の町として知られる笠間市と益子町を、eバイクの力を借りて一巡り 

茨城県笠間市と栃木県益子町はともに焼き物の町として知られ、2020年に共同で日本遺産に認定された。両市町は今でこそ2県に分かれているものの、中世には地方豪族の宇都宮氏がこの地を治め、江戸時代まで下れば滋賀県にある信楽焼の陶工が笠間の地に焼き物の技術を伝え、さらに笠間で学んだ陶工が益子焼を始めている。つまり笠間焼と益子焼は信楽焼を親とする兄弟同士ということで、県をまたいで両地を巡ってみることにした。

地図で確認したところ距離は片道25kmに満たないものの、県境には標高197mの仏ノ山峠があり、栃木県側には細かなアップダウンもいくつか。というわけでコラテックのeバイク、「EパワーシェイプPT500」の出番である。

起点は真岡鐵道の益子駅。ここから県道230号(益子本通り)を東に1.3kmほど進んだ先が、益子焼の店が軒を連ねる城内坂となるのだが、まずはその手前にある「日下田藍染工房」を訪れた。茅葺き屋根の建物に入ると、72個の藍がめが整然と並ぶ姿が目に入る。9代目当主の日下田正さんによると「かめは200年以上前となる創業当時からのもので、当時はまだ益子焼が始まっていなかったため、愛知県から常滑焼を取り寄せた」とのこと。「戦前は栃木県内各地にあった藍染の工房も、今はここともう1軒だけ」とも教えてくれた。

真岡鐵道の車両
上部を薄緑地に濃緑色の市松模様、下部をオレンジ色で着飾った真岡鐵道の車両。土日を中心に「SLもおか」も運行される
益子駅
益子駅から焼き物の町巡りに出発。駅に併設する観光協会には、電動アシスト付きのレンタサイクル(1000円/日)も用意されている
日下田正さん
藍染や工房の歴史から自身が手掛けている草木染や織物まで、丁寧に語ってくれた9代目当主の日下田正さん
藍がめ
日下田藍染工房には、72個の藍がめが整然と並ぶ。中央の穴に炭を入れて温度を管理する
草木染の織物
日下田正さん自身が手掛けている草木染の織物
日下田藍染工房
手入れの行き届いた茅葺きの屋根が美しい日下田藍染工房

日下田さんから貴重な話をうかがった後は、「城内坂で一番変わったお店」(益子町観光協会ウェブサイト)という「ギャラリー想」へ。オーナー作家である埴部俊さんは自称“金持ちのボンボン”で、「好きなことをやるのが一番!」と、店も焼き物も商売抜きでやっている。親から継いだという店内には焼き物に限らず自筆の書画、エレキギター(!)まで展示され、埴部さんの思いにあふれていた。

埴部俊さん
“金持ちのボンボン”を自称する埴部俊さんが、益子と笠間の焼き物の違いを教えてくれた
ギャラリー想の店内
オーナー作家である埴部さんの思いがあふれるギャラリー想の店内
埴部さんの作品
埴部さん自身の作品は大物がメインで、他の作家の作品や焼き物以外も展示される

続いて坂の裏手まで足を延ばしてみると、こちらにも陶製の益子大仏や湧き水のある寺があり、焼き物にとどまらない益子の魅力が感じられた。共販センターの前にある信楽焼の大タヌキにも立ち寄ったところで散策はおしまい。合流した県道1号を笠間に向かって東に進む。

益子大仏
全高2.7mの益子大仏は、焼き物の町で知られる益子らしく陶製
益子観音寺の名水
200mの地下から汲み上げられた益子観音寺の名水

前述したように細かなアップダウンがある県道は、道の両脇に雑木林や田畑が続いて沿道の家屋はまばら。行き交う車も限られている。EパワーシェイプPT500に搭載されたボッシュ製のドライブユニット、その威力を借りて向かい風も緩やかな上り勾配も難なくこなし、県境の仏ノ山峠もあっという間に越えていく。

仏ノ山峠を越える
EパワーシェイプPT500の威力を借りて、仏ノ山峠を難なく越える

一方で茨城県に入ってからの下り勾配は意外ときつく、気がつけば時速50kmに達しようかというスピードが出るものの、ハンドル操作に不安はなく気持ちの良い高速巡航を楽しめた。中太のタイヤや振動吸収性の高いフレームのお陰で、過度な振動に見舞われることがなかったからであろうか。

金剛寺の先で県道を左折し、3.5kmほど進んだ先が笠間の市街。ここは日本三大稲荷の一つである笠間稲荷神社でも知られており、近年は菓子店が提供する、特産の栗を使った多種多様なモンブランがスイーツ好きから注目されている。

笠間稲荷神社の本殿
日本三大稲荷の一つである笠間稲荷神社の本殿は、江戸時代末期に再建された国の重要文化財
笹目宗兵衛商店
eバイクを押しながら門前通りを進む。背後に見えるのは日本酒「二波山松緑」を醸す笹目宗兵衛商店

土産物屋や和菓子屋が軒を連ねる門前通りを抜けたら、笠間つつじ公園や大黒石、笠間城跡へと連なる坂道へ。ここでもEパワーシェイプPT500は、“控えめ”との評価もあったドライブユニットが10%の急勾配をものともせず、一方で“静かさ”は看板どおり。木々の間を抜ける道を、モーター音に邪魔されることなく駆け上ったことを記したい。

大黒石
鎌倉時代に僧兵同士の争いが起こった際、山上に逃げ延びた佐白山の僧兵が落としたという大黒石

BMXも楽しめるスケートパークや茨城県陶芸美術館などのある笠間芸術の森公園を経て、230年前から続く「製陶ふくだ」に寄り道。ここで代表の福田勝之さんから「没個性の大量生産に安住せず、陶芸家の創意にあふれた物作りに革新できたことが決め手だった」と、笠間焼の隆盛が今に続く理由をうかがった。

むらさきパークかさま
国内最大級のスケートパーク「むらさきパークかさま」ではBMXも楽しめる
福田勝之さん
伝統と革新が融合する笠間焼の特質を、熱く語ってくれた「製陶ふくだ」代表の福田勝之さん
陶芸作品
「製陶ふくだ」では陶芸教室も催し、笠間焼ファンの裾野を広げる
登り窯
東日本大震災で全壊した登り窯は、2年の歳月を経て修復を完了した
納豆専用の鉢と棒
顧客の要望に応えて作った納豆専用の鉢と棒。これも笠間焼の革新の表れ

この製陶ふくだを笠間巡りの締めくくりとし、起点の益子駅に向かって西へ。田舎道は途中から林道となって、そのまま峠を越えていく。こちらも門前通りを抜けた先の道と同様、勾配がきついうえに両脇の森は深く、山中に紛れ込んだような刺激に満ちた時を味わう。林道を抜けた先の県道も交通量は少なく、走りを堪能しつつ益子駅に戻り着いた。

コラテックを筆頭に、eバイクの試乗にも応じる地元の人気店

ホームセンターカンセキとつながる広々とした敷地。そこにあるサイクルショップでチーフを務める長岡龍樹さんは、「坂の多い真岡地域でeバイクは有用。これまでスポーツバイクを長く乗り続けてきた熟年層にもぜひ勧めたい。ボッシュ製ドライブユニットを装着するコラテックのeバイクはパワフルで、店で扱う他ブランドとは味付けが異なっており、そこは試乗で確かめてほしい」と語ってくれた。

ネオ・サイクリスタ真岡店
ネオ・サイクリスタ真岡店

ネオ・サイクリスタ真岡店
栃木県真岡市白布ヶ丘6−1(真岡鐵道真岡線「真岡駅」徒歩7分)
営業時間:9時30分〜19時30分
定休日:なし
TEL:0285-81-3771

corratec E-POWER SHAPE PT500(コラテック・EパワーシェイプPT500)

EパワーシェイプPT500

価格:35万2000円
問・グローブライド

コンパクトなボッシュ製ドライブユニットとダウンチューブに内蔵した大容量バッテリーの組み合わせがスマートかつエレガンスな印象を醸し出すものの、本文に記したように急勾配も余裕でこなす実力を秘めている。扁平に加工されたシートステーにより振動吸収性は高く、平日の通勤や通学はもちろんのこと休日のロングツーリングも存分に楽しめる一台に仕上がった。15%を超える値下げが敢行された今が購入のチャンスだ。

spec
サイズ●44、48cm
カラー●ブラック×シルバー
フレーム●アルミニウム
ドライブユニット●ボッシュ アクティブラインプラス
バッテリー●パワーチューブ500
コンポーネント●シマノ デオーレ(10S)
タイヤ●コンチネンタル コンタクトスピード(700 ×32C)リフレックス
重量●19.5kg

フレーム
Aバッテリーを内蔵するフレームは高い強度と剛性を誇り、高強度ポリアミドを採用したカバーが水分や汚れからバッテリーを守る
チェーンステー
チェーンステーはチェーンの接触を避けるため、下にオフセットしている
ボッシュ製ドライブユニット
パワフルかつスムーズにアシストしてくれるボッシュ製のドライブユニット
充電コネクター
充電はバッテリーを取り外してもできるが、シートチューブにあるコネクターにコードを差し込んだ方が簡単
油圧ディスクブレーキ
油圧ディスクブレーキは安心のシマノ製で、制動力は折り紙付き
ディスプレイ
視認性の高いディスプレイと操作しやすいスイッチのお陰で、いきなり乗り始めても戸惑いは感じない
フレームの台座
フレームの各所に台座が設けられており、キャリヤやマッドガードの装着に対応する
サドル
コラテックのロゴが入ったオリジナルのサドルが、所有欲を満たしてくれる
キックスタンド
買い物など日常の使用では、キックスタンド(別売り)のありがたみを実感する

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