60歳を過ぎた夫婦がeバイクによる日本一周を始めた。普段は全く運動をしていない中年夫婦、特に妻のヒロコはスポーツも運動も嫌いな超インドア派。さらにヘルニア持ち、果たしてどうなるか?不安があったが、電動アシストという強い味方のおかげで無事、東日本を走り切った。そして今年4月から西日本一周の旅がスタート。神奈川から西へ西へと進んで行き、広島までやって来た。
DAY149「呉で旧海軍の歴史を感じる」
今日の宿泊地は広島市。時間的に余裕がありそうなので、呉を少し見てから向かうことにする。まずは国の重要文化財『旧呉鎮守府司令長官官舎』がある入船山記念館へ。広い敷地に建つ洋館は壁に美しい装飾が施されていてとても豪華。調度品も素晴らしく、鎮守府のまちとして発展した呉の一端を見ることができた。
高台にある『歴史が見える丘』から造船所の様子を眺めた後、『アレイからすこじま』へ。ここは公園になっていて、驚くほど間近に潜水艦を見ることができる。こんな場所は他にないと思うので、かなり感激した。さらに『てつのクジラ館』では生まれて初めて本物の潜水艦の内部を見学。呉は想像以上に観光スポットが満載、楽しむことができた。
瀬戸内海沿いを走る国道31号を走り広島市内へ。『原爆ドーム』がある平和記念公園に到着すると外国人観光客で賑わっていた。課外授業らしき小学生もたくさんきていて、自転車の『日本一周』の文字を見つけた子供たちから「すごいですね!」「日本一周、頑張ってください!」声援が飛ぶ。無邪気で素直な子供たちを見ていると自然と笑顔になる。「ありがとー!」「頑張りまーす!」明るく応えた。
宿泊地:広島県広島市
走行距離:40.9km
総走行距離:6712.3km
DAY150「広島のゲストハウスでのんびり過ごす」
広島では中心から少し離れた場所にあるゲストハウスに宿泊した。今日は休息日にして、コインランドリーで洗濯したり、近所のマックで原稿書きをしたり。自転車はお休みにして、体を休めた。
夜は『地球旅館・広島ゲストハウス』を経営管理しているオーナーのHISAYAさんがやっているYouTubeチャンネルの収録に特別参加。これまでの原付バイクで世界を走ったことなどをおしゃべり。HISAYAさんも世界を旅しているので、話しが弾んだ。
宿泊地:広島県広島市
走行距離:0km
総走行距離:6712.3km
DAY151「広島市内で本場のお好み焼きを楽しむ」
路面電車に乗って『広島平和記念資料館』へ。被曝資料や遺品、証言などによって、核兵器の恐ろしさや非人道性を伝える資料館で、2時間半かけてゆっくり見学した。世界中の人たちが来館していたので、この資料館を通じて何かを感じ、核兵器のない世界にしたいと思う人が一人でも増えたら嬉しいと思った。
昼はヒロコの友達、葉子さんと合流してオススメのお好み焼き屋へ行った。前回はうどん入りを食べたので、今回はそば入りにする。食べてみるとさすが本場の味、さらにそばの方が全体がまとまり、一体感があって美味しいことがわかった。次も絶対そばにしよう。その後は町の中心にあるアーケード街『広島本通商店街』を歩いたり、カフェでおしゃべりしたり、短い広島滞在を楽しんだ。
宿泊地:広島県広島市
走行距離:0km
総走行距離:6712.3km
DAY152「厳島神社でパワーチャージ」
お世話になった広島のゲストハウスを出発。国道2号で宮島へ向かう。2日間休んだからか、ペダルが軽く感じる。聞くとヒロコも同感だという、やはり適度な休養は必要らしい。
宮島へ渡るフェリーの売り場でチケットを買って自転車へ戻ると、ロードバイクの人が「藤原さんですか?」と声をかけてくれた、広島の人で時々僕たちのSNSを見ているという。ロードバイクことや夫婦のこと、旅のことなどをおしゃべり。最後に「頑張ってください」と嬉しい応援の言葉いただき、フェリーに乗り込んだ。
eバイクと一緒に宮島に上陸。中心にある『厳島神社』は日本三景の一つで、海の上に立つ朱塗りの社殿や大鳥居が有名。しかし残念ながら僕たちが訪れた時は干潮で、陸地が丸見え。海に浮かぶ姿を期待していたので少しガッカリしたが、逆に大鳥居の下まで歩いて行けたのは幸運だった。
お昼ごはんは「広島と言ったら牡蠣でしょ」ということでヒロコは殻のない牡蠣の丼、僕は牡蠣フライを食べたがどちらも大満足の味だった。食後は豊臣秀吉が建てた『豊国神社』へ。千畳敷と呼ばれる広い板の間に上がると日陰で涼しい上に風通しが良く、とても気持ちが良かった。おまけに見晴らしも素晴らしい、ふたりで床に座り、のんびり風に吹かれた。
再び国道2号。午後4時過ぎに山口県入り。岩国市にある、昭和の香りがするビジネスホテルにチェックイン。2階にあるラウンジではドリンクバーが飲み放題、さらにうまか棒も食べ放題とサービス満点。まあ、そんなに食べられないんだけどね(笑)。全国各地を回っているといろんなホテルに出会えるのが面白い。
宿泊地:山口県岩国市
走行距離:37.8km
総走行距離:6750.1km
DAY153「幻想的な蛍の光に包まれた夜」
ホテルを出ると岩国市一番の観光スポット『錦帯橋』へ向かった。しばらく走ると錦川に架かる錦帯橋が見えてきた。世界でも珍しい五連アーチ、木造の美しい橋。複雑な組木の技法で作られていて構造的、技術的に優れていることから日本三名橋のひとつとして数えられている。下から眺めたあと、歩いて渡る。かなりアーチがきついので歩きにくいと思ったら、階段とスロープで意外と歩きやすく、周りの景色と共に楽しむことができた。
今日の目的地は防府市。約80kmあるので錦帯橋を出た後はひたすらペダルをこいだ。国道2号は車が多く走りにくいので、県道ルートへ入って行く。しばらく進むと車がほとんど通らなくなる、なんかおかしいなと思ったら道を間違えていた(笑)。グーグルマップで確認するとこの道でもいけそうなので、そのまま進んでいく。
内陸から瀬戸内海に出る。下松、周南辺りから巨大なエントツが目立つようになった、この辺りは全国有数の石油化学コンビナート地帯。工業国日本を感じる景色を眺めながら進んでゆく。
暑いので涼しいファミレスでランチを食べようと思いグーグルマップで『ジョイフル』を検索してチェックを入れた。ルートに沿って進んでゆくが、なぜか国道を外れて住宅地へ。えっ、本当にこっち?と思いながら進んでゆく。こんなところに絶対ないよと思ったところで再確認。そこで何と!チェックを入れていたジョイフルがファミレスではなく、同名のアパートと判明。ふたりで「なに〜っ」「そんなことある?」と大笑いした。
5時少し前。防府のホテルに到着。夜、山口に住むヒロコの友人が来てくれ、車で蛍を見に連れて行ってくれるとになった。田園風景の中を流れる小さな川。車を降りて歩き出ししばらくすると、フワフワと蛍が現れた。めちゃくちゃ綺麗。さらに草むらや林の中など、無数の蛍が舞い踊っている。これほどたくさんの蛍を見たのは初めて、それはうっとりするほど幻想的な光景だった。
宿泊地:山口県防府市
走行距離:80.6km
総走行距離:6830.7km
DAY154「防府天満宮から山口グルメまで」
今日はヒロコの友達ふたりと一緒に山口市近郊をドライブ。『防府天満宮』を参拝した後、海沿いの高台にある『あいお荘』へ行き瀬戸内海の大パノラマを堪能した。
昼は山口名物、春来軒の『ばりそば』。巨大な皿に山盛りのばりそば。バリバリのカタ麺に鶏ガラベースのあんかけ野菜スープがかかっている。食べ始めると意外とあっさりした味付けで食べやすい。また時間が経つと麺が柔らかくなり、食感が変化。2度楽しめる美味しい麺だった。
午後は常栄寺や香山公園を巡り、湯田温泉で足湯を楽しんだ。そして夜は、友達オススメの『居酒屋兆治』へ。レトロなお店のカウンターでモツ煮、ニラもやし、馬刺し、牛刺し、お好み焼きなどなど、美味しいグルメを食べ尽くした。大満足。内田さん、堅田さん、思い出に残る1日をありがとうございます。
宿泊地:山口県防府市
走行距離:0km
総走行距離:6830.7km
DAY155「本州の西の端っこ下関まできた」
今日も朝から快晴。暑くなりそうだ。左波川に沿って河口まで行き防府新大橋で川を渡ると、ひたすら海沿いを西へ。静かな県道から国道2号に入ると交通量が一気に増加。追い越しの車に気を遣いながら進んでゆく。
山陽小野田市の市街地で見つけたファミレス、ジョイフルに入る。500円の日替わりランチを注文。値上がりラッシュのこのご時世、この値段で食べられるのはありがたい。ほぼ満席状態で、お年寄りも結構多い。ジョイフルがご近所さんの憩いの場になっていることがわかる。
下関まで残り10kmくらいのところで、ヒロコが「何か異常に眠い……」と言いはじめた。30℃越え暑さと疲労のせいか? 国道沿いにショッピングセンターが見えてきたので、フードコートへ入りエアコンでクールダウン。30分ほど仮眠を取った。
スッキリしたところで再びペダル。しばらくすると遠くに関門橋が見えてきた。九州が近くに見える。予約していた下関のホテルで受付、自転車のことを話し、広いロビーの一角に自転車を保管してくれるという。こういう細やかな配慮が嬉しい。
夜は駅ビルのうどん屋へ。山口のうどんは柔らかいと聞いていたが、噂通りヤワヤワだった(笑)。しかしこういうのも僕たちは好きなので大満足だった。
食後は昭和の香りがする下関の町を散策。古くから下関と韓国の釜山は地理的に緊密な関係にあるためか、焼肉屋や韓国食材屋が目立つ。次、下関に来たときは焼肉もいいかもね。歩きながらそんなことを話した。さあ、いよいよ明日は九州上陸だ。
宿泊地:山口県下関市
走行距離:78.7km
総走行距離:6909.4km