“eバイクMTB”がおすすめ フルサスに電動アシストが付いた新たな遊び Vol.1

ずっと乗りたかったフルサスペンションの電動アシスト付きマウンテンバイク=eMTB「YPJ MT-Pro」をようやく手に入れた。MTBライダーがeMTBに乗り換えて新たな走りと遊び方を様子をお伝えする新連載、スタート。

Vol.01『フルサスならeMTBは最高なのだ』

YPJ-MTプロ

フルサスeMTBは理にかなった乗り物だ

僕は30年間ぐらいマウンテンバイク、MTBに乗っている。大学のときMTBブーム期にマウンテンバイクのことを書きたくなって自転車雑誌でバイトを始め、それ以来マウンテンバイクや自転車競技についてを書くのをベースになんとかやっている。

前後にサスペンションのついた、いわゆるフルサスのeMTBというのは、ずっと欲しかった。MTBメーカーが市販し始めてから5年ぐらい経つはずだが、発売前からそのコンセプトはずっと夢見ていた。もちろんMTBに電動アシストが付いたらいいな、という考えもあったが、それがフルサスだからこそ、意味があった。

YPJ-MTプロ

フルサスのMTBは、サス同士の間にライダーが来る仕組みだ。前後のサスペンションがライダーをフワフワと浮かせている。そしてeバイクのパワーの源であり、弱点なのがモーターユニットやバッテリーなどの重さだ。この重さが、ライダーと同じ場所にあるなら、サスのエア圧調整でカバーできるからだ。

YPJ-MTプロに乗車しての風景

それに重いほど走りが安定するという話もある。重い分はそれこそeパワーで蹴散らせる。フルサスeMTBは、サスペンションが前後についていないeバイクや、ハブで加速するタイプとは、そのあり方がちょっと違う。

ヤマハのYPJ MT-Proを買った。走りに納得のパーツ群、XTの12速

YPJ-MTプロ

買ったのは、ヤマハ・YPJ MT-Proだ。サイクルスポーツ本誌の連載eバイクページ『e-Cycle Sports』で、今すぐ買うならこの一台、と評されていたバイクだからだ。僕も前モデルに乗って、走りの感覚がこれまでに乗ったものでは一番よく感じたので、2022年後半の新モデルとなるこれを選んだ。

ダブルツインチューブで構成された全体像は、オートバイのようだ。前後サスに囲まれたBB付近にに大きなバッテリーと駆動部がある。この駆動部の新型ユニットPW-X3が、この新モデルの一番の売りである。

目につくパーツを紹介しよう。ブレーキはマグラのMT5のセット。4ポッド式でコントロールしやすく、ローター径は203mmと大きい。重いeMTBでもしっかり止まりそうだ。レバーの引きしろ調整には工具が必要なので、走る前にきちんと設定しておく必要がある。

変速はシマノ・DEORE XTのレバーとディレーラー。1×12速で歯数は10T-51T。しっかり乗る派のライダーも納得の今どきスペックである。eバイクのパワーで負けない強度になっているか?

YPJ-MTプロのドライブトレイン
YPJ-MTプロのシフター

ハンドル幅の780mmは今どきの標準幅だ。僕は通常、これを少し切った760mm幅で乗っている。幅が広いと走りでは安心できるが、森の木の間を通るときハンドルが引っかって危ない。おいおい幅は縮めると思う。ステム長は50mm、上りをアシストに任せられるので、下りやすいステムポジションが標準なのはグーだ。

左のレバーはサドルを上げ下げする標準装備のドロッパーシートポストの操作レバーだ。サドルを瞬時に上げ下げできるのは、eパワー以前にMTBライダーが得た最大の技術革新だ。サドルの上下位置は大きく自転車の運動性能を変える。

YPJ-MTプロのタイヤ
YPJ-MTプロのペダル

面白いのがタイヤ周りだ。27.5×2.6サイズは、これまで僕が使っていたものと同じサイズだ。ところがリム幅が圧倒的に広いため、想像以上に外径が太く大きい。特にダートで大事になるタイヤの乗り味と、今後のカスタムが楽しみだ。

ただペダルだ。標準装備のプラスティックペダルはなんともいただけない。なのでさっそく手元にあるものに変える。

前後160mmトラベル、重量23.6kg、新型モーター、500wバッテリー

指標として、このMT-Pro、Mサイズの車重を測ったら、体重計ベースだがカタログより少し重い23.65kgだった。これまで僕が乗っていた人力のマウンテンバイクと比べて8kgほど重い。65kgの僕がそれぐらい太ったと考える。

そしてサスペンションだが、前後ともにロックショックスの、フロントにはLYRIK SELECT 160mmとリヤにはSuper Deluxe Select+ 150mm。トラベル量も十分だろう。スペック的には特に文句をつけるところはない。ただ見つからないのが工具キット類を運ぶ場所だ。走りながら見つけていきたい。

最後にeバイクならではの特徴であるモーター。前モデルとの大きな違いはモーターだ。小さくなり出力が上がったとされる。実際に比べると確かに新型はスマートに見える。こういった技術開発は、これからもっと進んでいくだろうし、期待したいところだ。

YPJ-MTプロのモーター

そしてもう一つの核となるバッテリーだが、容量はカタログ表記で36V-13.1Ah。500wh相当とある。1番のハイモードであるエクストラパワーモードで73km走れるとあるが、MTBの走りで大事なのは、走りではなく低速時の大きなアシスト力である。

これが実際にどれぐらいどう持つのか、どう使えるのか。乗り込みながらこれから少しずつ、フルサスeMTBと遊ぶ現実をお伝えしていくので楽しみにしていて欲しい。

YPJ-MTプロ

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