いろいろなところを走りたくなるeバイクだから、クルマに積んで出掛けるスタイルがオススメだ。ミニバンであればたいていのeバイクは積めるが、小径eバイクであればより多くのクルマに積める。そんなeバイクの楽しみ方を横浜で実践してみた。
本格派の小径eバイクをクルマに積んで出掛けてみた
小径の折りたたみ自転車というと、ちょっとの移動で使う簡易的な乗り物というイメージを持つ人も多いと思う。たしかにそうした使用法を前提にした車両もあるだろうけど、ここで紹介するBESVのPSF1はそれらとは違う。
BESVのPSシリーズは20インチの小径車で、デザイン的にもいわゆる「映える」系なスタイリッシュなものになっている。それだけにおしゃれなシティサイクルという印象を受けるのだが、このeバイクの実力はそんなものではない。
今回PSF1に乗ってもらったのは自転車ジャーナリストであり、日本にeバイクを紹介したという経歴を持つ難波ケンジさん。
その難波さん曰く、PSシリーズは自転車として優れたものという。このへんの内容は後述するが、サイクリングのパートナーとして乗れるのがPSシリーズなのだ。
そしてこのPSシリーズは、小径車ゆえにサイズがコンパクトという特徴もある。さらに今回紹介するPSF1は折りたたみもできるモデルなので、自宅発のサイクリングだけでなく、クルマのラゲッジスペースに積んで出掛ける「eバイク+クルマ」のスタイル向きでもある。
そこでこのページでは、クルマにPSF1を積み込み横浜の街へ出かけ、この街をPSF1でポタリングしてもらうことにした。
eバイクだからまわれる立体的な横浜ポタリング
横浜といえば多くの観光スポットがあり、訪れたことのある人も多いと思う。そして、それぞれに気に入った場所があるだろう。
でも、訪れた街といってもそこに住んでいるわけでなければ、知っている場所は限られる。
もちろん見どころを押さえておくだけで十分だと思うけど、その街に観光以上の興味が湧いてきたら、もっと細かくまわってみたいと思うのではないだろうか。
そこでeバイクだ。歩くより速くまわれるので、行き慣れた街であっても、見たことのない光景を見ることができるはず。ということでこのパートでは、横浜の街をeバイクで巡ることにした。
集合場所は名所中の名所、赤レンガパーク付近。駐車場では先に着いていた難波さんが、愛車のラゲッジからeバイクを降ろしていた。
難波さんが積んできたのはBESV PSF1。PSシリーズ中、唯一折りたたみができるので、eバイクを自宅内で保管したい人や今回のように車載したいユーザーに支持されるモデルだ。
ちなみに難波さんのクルマはレクサスUX300eというBEV(バッテリー電気自動車)。BEVにeバイクを積むというスタイルはまさにイマドキである。
話を戻して、PSF1は折りたたんで積んでいたので、クルマから降ろしたら走行形態にセットするのだが、ここで難波さんはサドル高調整をていねいに行っていた。
そこが気になったので理由を尋ねると面白い答えが返ってきた。
難波さん曰く、BESVは自転車メーカーとして若い(ただし、母体はPC用モニターなどを製造するグローバル企業)ので、eバイクのシステム的なことやデザイン面ではオリジナル性を出しながら、自転車作りについては「基本に忠実」に行っているというのだ。
そのため一見、奇抜に見えるフレーム形状も、自転車として適正なポジションが取れるものになっていた。そんなeバイクなのでサドル高を適正に合わせれば、自転車としても「乗りやすさ、こぎやすさ」が得られるということ。
これは趣味で乗るeバイク(自転車)にとって快適に楽しく乗るポイント。PSシリーズを手に入れたらぜひ参考にして欲しい。
さて、準備が整い出発。赤レンガパークから大桟橋周辺を通って中華街へ向かう。
このあたりは平日でも人が多く、とくに中華街はお店を選びながら歩く人が多いので、かなり速度を落として衝突を避けることもあるが、そんなときでもポジションがいいPSF1はバランスを取りやすい。それにBESVのドライブユニットはトルクの立ち上がりがいいので、ペダルをクッと踏み込んで駆動を与えれば車体を安定させやすいのだ。
混雑していた中華街を抜けて元町へ。このあたりは1本裏に入ると本当に細い道になるが、そこには飲食からファッションまで個性的なこぢんまりした店があちこちにある。今回は店巡りはしなかったが、こんな裏道探索もeバイクなら楽にできるのだろう。
続いていくのは山手エリア。ここは「都市100景」にも選ばれている横浜の名所である。
海沿いの横浜が再開発で大きく姿を変えているのに対して、山手エリアは明治時代の建物(山手資料館)などが残っていたりと雰囲気は海沿いエリアとは大きく違うので、ぜひ行って欲しいところだ。
ただ、海沿いエリアから少々離れているし、山手という地名にあるとおり、坂道を上がっていく高台なので徒歩だとちょっとキツい。
でも、eバイクなら距離も勾配も問題ない。それにアップライトなポジションのPSF1なので、風景を見回しながら走るのも容易。ちなみに高級住宅街となる山手エリアは街並みがキレイだし、凝った建築の家も多いので街並みや建物を見る目的で訪れても楽しそうだ。
という具合に横浜の街を横に縦に3次元的に走ったが、やはり歴史のある街は裏道が面白い。横浜にはまだまだ時代を感じる街並みが多く残っていることを改めて知れたのは収穫。「また、来たい」と思うeバイクポタリングだった。
BESV PSF1
ベスビー・ピーエスエフワン
価格:28万1600円~ 29万8000円
問BESV JAPAN https://BESV.jp
BESVの人気シリーズ中、唯一折りたたみができるPSF1。自宅にeバイクを置くスペースがないという場合でもPSF1なら置けるかもしれないので、気になった人は全国の取り扱い店で実車を見て欲しい。また、PSF1はアルミフレームを採用しており、持ち上げて運ぶこともeバイクでは楽な部類。なお、オプションとして折りたたんだ状態でしまう収納袋(車の内装保護用)と運搬用のキャスター付きハードタイプケースもある。
SPEC
サイズ:ワンサイズ
カラー:グレーブルー、ゴールド
フレーム:アルミニウム
ドライブユニット:BESV
バッテリー容量:378wh
航続距離:95㎞ 、70㎞ 、55㎞
ギヤ:シマノ・アルタス 7速
車重:18.3kg
難波ケンジさん(自転車ジャーナリスト)
八重洲出版のサイクルスポーツを始め、eバイクを扱うメディアに多く登場する自転車ジャーナリストの難波ケンジさん。日本にeバイクが導入されるきっかけを作った人であり、日本でいちばん詳しくeバイクを解説できるeバイクジャーナリストでもある