ドイツを拠点にする本格スポーツバイクブランドのメリダから、コミューティングやフィットネスに向けた手の届きやすい価格帯のeバイクが2024年8月に登場した。スタイリッシュなデザインに隠された実力とは? eバイクジャーナリストの難波ケンジが実走してチェックする。

コミューティングからウィークエンドまでをスタイリッシュにカバー
MERIDA E-PASSPORT 200
メリダ・eパスポート200
価格/ 31万7900円
問・メリダジャパン
SPEC
フレーム/アルミ
フォーク/アルミ
ドライブユニット/シマノ・ステップスE5080H
コンポーネント/シマノ・アルタス9速
バッテリー/シマノ・E8035J 504Wh
タイヤ/ケンダ 700×38C
カラー/シルクスチールブルー、グロッシーブラック
サイズ/43、47
重量/20.6kg(サイズ43)
ジャーマンデザインのeクロスバイク
メリダのeバイクラインナップは大きく分けて、eMTB系とeコミューター系に分かれるが、コミューター系のエントリーモデルとして加わったのが「eパスポート200」。最大40Nmを発生するシマノ・ステップスE5080と、このカテゴリーとしては大容量な504Whのシマノ純正のリチウムイオンバッテリーをインチューブ方式で搭載する。LEDヘッドライトや、バッテリーロックと共用鍵のサークルロック、サイドスタンドなどシティライドに必要な装備一式も標準装備される。
アルミフレームのデザインは、カラーリングも含めてヨーロッパの意匠を感じるもので、ドイツ・シュトゥットガルト近郊にあるメリダヨーロッパR&Dセンターで設計されたもの。人気のステップインフレームを採用したeパスポート400EQとの価格差は僅かだが、こちらはダイヤモンドフレームならではのシャープな走りやスポーティーなデザインで、アクティブなライダー向けのモデルとなっている。
タイヤ幅はこのカテゴリーとして定番の38Cで、高速巡航も可能ながらアシスト速度域での快適性も狙ったものとなっている。また、シマノユニットを搭載するだけでなく、ブレーキやコンポーネントもシマノを採用。写真のブルーの他にブラックカラーも用意され、シティライドを中心に週末のツーリングにも使える、スタイリッシュなeバイクを探している人にオススメのモデルだ。
シマノ・ステップスE5080シリーズの安心感
シマノが国内で展開する3種類のドライブユニットの中で、シティ&トレッキング向けに作られたE5080は最大40Nmの細めのトルクゆえに内部構造がシンプルで、軽量かつ静音性に優れる。ユニットカバーは2種類用意されるが、eパスポートではスポーティなデザインのものを採用。純正バッテリーを装着するので、バッテリーを装着したまま充電も可能。Qファクターが狭く、自然なペダリングができるのもシマノユニットの特徴。

DETAILS






IMPRESSION:細部まで作り込まれたジャーマンデザイン
競技用バイクがアルミフレームだった頃から自社でアルミフレームを製造してきたメリダだけあって、乗ってみると抜群の剛性感があることと、素材自体が若干の振動吸収性能を持っていることに驚いた。ステップスE5080は、街乗りや自動車が上っていくような坂道では十分以上のトルクを発生し、そのアシスト感がグイグイ押されるというよりマイルドな感覚なのが特徴。静かに、そしてきめ細やかにアシストするので、ライダーも自然体でいられる。
重量物は可能な限り下側に配置されており、ハンドリングは軽快で重さを感じないが、フォークの剛性は高めで、この点はシティライドよりもツーリングに出掛けて下りのコーナリングを楽しみたくなる。一般的に400Wh級が多いこのカテゴリーで、504Whの大容量バッテリーは充電の頻度が少なくなるだけでなく、週末に長距離のツーリングに安心して出掛けられることも意味する。ゆえにトップチューブ下にツールマウントも装備されており、スタイリッシュに長距離の旅にも出掛けてくださいとバイクが物語っている。
フレーム剛性の出し方からパーツアッセンブルまで、街乗り用のモデルに見えながら、実に玄人好みの仕様となっているので、ベテランの街乗り用から初心者最初の一台まで、幅広いライダーが満足する仕上がりだ。

RIDER
難波ケンジ
eバイクの黎明期より20年以上にわたってその変貌を見つめてきた、国際自転車ジャーナリスト。日本にeバイクを持ち込んだ最初の人物として知られる。