房総半島の内陸部には、100を超える素掘りのトンネルが点在する。その形状も規模もさまざまであり、これらを訪ね回ればスタンプラリーのような楽しさが味わえる。とはいえアップダウンの多さは見過ごせず、ジャイアントのeバイク「エスケープR Eプラス」のパワーに頼ることにした。

アップダウンがあり、クルマでのアプローチが困難な地を巡るにはeバイクが最適
連休の中日となったこの日、ニュースは全国の行楽地や高速道路、新幹線などの混雑ぶりを伝えていた。かたや僕はといえば、行き交うクルマがほとんどない道をジャイアントの「エスケープR Eプラス」で駆け巡っていた。ここは東北の片田舎……ではなく房総半島の内陸部。
東京からほど近い房総半島は平坦と思われがちなのだが(事実、房総半島のある千葉県の最高標高地点は愛宕山の408mで、これは全都道府県で最も低い)、沿岸部はともかく内陸部に足を踏み入れるとアップダウンの連続で、自転車で走るには意外と手強いエリアとなる。今回の訪問のテーマとした素掘り(周囲の土の崩壊を防ぐ工事を行わず、掘ったまま)のトンネルは、まさにこのエリアに点在するため、頼りがいのある友として選んだのが、50Nmのトルクを発揮するドライブユニットを搭載したエスケープR Eプラスだ。
走りはじめてしばらくは、JR久留里線に沿って田園地帯を抜ける国道410号ということで、アシストが作動せずとも快調に進んでいく。大容量バッテリーのお陰で、最強となるスポーツモードでも最長80kmをカバーするこのeバイクゆえ、アシストをオフにする必要はないのだが、無理せずともスピードはアシストが切れる時速24kmに達してしまう。このバイクの特徴のひとつがクロスバイクとしての基本性能の高さであり、700×38Cのタイヤは舗装路面を滑らかに進み、剛性に優れたアルミフレームはペダルに込めた力を無駄なく伝えてくれる。
やがて小櫃駅の近くで国道から県道160号に入ると、最初の永昌寺トンネルに向けて徐々に勾配を増していく。県道172号沿いとなるこのトンネルは、開業当初に近い形で復元された小湊鐵道の月崎駅からも近く、見つけやすく行きやすい、初心者向けの素掘りトンネルである。


ここで引き返したら、次は月崎トンネルへ。トンネルに向かう林道は全線舗装ではあるものの幅が狭く、車だと対向車とのすれ違いに苦労するだろうが、eバイクならその心配もいらない。たどり着いたトンネルは途中が落盤で抜け落ちており、長さが短いこともあってトンネルなのに開放的な印象を与える。


来た道を戻って、小湊鐵道に並行する県道32号さらに県道81号で目指すのは、新緑から紅葉まで四季折々の光景が広がる養老渓谷。その沿道となる養老渓谷駅に立ち寄ると、ちょうど特別車両の房総里山トロッコ列車が発車するところだったため、あわてて入場券を買い求めてホームに。機関車の前で発車を待ち構えていると、先頭かと思った機関車が実は最後尾であり、ゆっくりと後ずさりを始めた。さらに外観から蒸気と思い込んだ動力も実はディーゼルと、いろいろ思い違いはあったもののちょうど良い旅のアクセントになった。ちなみにこの入場券は、駅に隣接した足湯につかる際にも役立った。



養老渓谷駅から2km余り先にあるのが向山トンネル。このトンネルは養老温泉の中心地にあるため観光客の姿が目立つのだが、人が多いのはアクセスがいいから……だけではない。このトンネルに入って驚かされるのは、途中から2層になって、上が窓のように開いていること。なぜ、そんなことになっているのか? と調べてみると、もともとは上の部分のみのトンネルだったものが、その先の道につなげる際に現在の高さにまで掘り下げた結果とのこと。1層部分の天井が、やたらと高い理由にも納得である。
ここから亀山湖までの戸面蔵玉林道は、前述した月崎トンネルまでの林道と同じく全線舗装だが道幅は狭く、交通量は皆無に等しい。林道起点からの高低差が150mほどあるため、eバイクで走るのにうってつけだ。時に勾配が10%を超える上り坂では、ヤマハと共同で開発したドライブユニットのパワーがいかんなく発揮されるものの、そのモーター音は驚くほど小さく、アシストの具合がナチュラルであることと相まって、自身の脚力が増したのではないかと勘違いをしてしまうほど。林道の途中にはかつて素掘りであったと思われるトンネルが6つもあり、房総半島のトンネルの多さを改めて実感した。
合流した国道465号を西進してまもなく、小櫃川をダムでせき止めてできた亀山湖に到着。釣りや遊覧を楽しむボートが浮かぶ光景を眺めた後は最寄りの「KAMO CAFE」に立ち寄り、SPF(指定された病原体を持っていない)豚を使った生姜焼き定食をいただいた。



店内でゆっくりとくつろいだ後は、湖の南岸を経て県道24号を南進。片倉交差点を右折した先が房総スカイラインとなる。かつて有料だった道は交差がほとんどなく、アップダウンの連続もアシストのパワーで楽々こなし、10km先の西粟倉交差点まで快調に進んでいく。
西粟倉交差点から北上し、県道92号と県道33号の交差を右折すると残すは13kmほどで、もうひと山越えねばならないもののバッテリーの余裕は十分。この夏らしい猛暑に見舞われた一日も、エスケープR Eプラスのお陰で、汗まみれになることなく走り切れそうだ。

GIANT ESCAPE R E+(ジャイアント・エスケープ アール イー プラス)

価格:27万5000円
問・ジャイアント
定番のクロスバイク、エスケープRをベースにしたeバイクということで、走行性能の高さは折り紙付き。平地であればアシストがオフでも、快走するに不足はない。ドライブユニットは静粛性が高く、自然な感覚でアシストしてくれるところから、eバイクであることを忘れてしまうほど。さらにドライブユニットのコンパクトな外観やダウンチューブ一体型のバッテリー、小型ディスプレイなどが相まって、見た目から受ける印象もノーマルバイクと変わらない。









spec
サイズ●XS、S、M
カラー●ホワイト(撮影車)、マットダークシルバー、サファイア
フレーム●アルミニウム
ドライブユニット●ジャイアント シンクドライブコア
バッテリー容量●400Wh 36V-11.3Ah
コンポーネント●シマノ アリビオ&アルタス
タイヤ●ジャイアント S-X 3 W/K-SHIELD700×38C
車重●19.7kg(XS)