4月6日から、いよいよ日本一周西日本編の旅に出ます。その前に、今回は初めてふたりで旅した東日本編を振り返ってぶっちゃけ裏話。そして始まる西日本編へ期待などふたりでトークします。
※K=かんいち、H=ヒロコ
ヒロコの本音
K
「まずは東日本一周だけど、ヒロコは良く最後まで走り切ったと思うよ。生まれた初めての自転車旅がこの日本一周。それも2~30代ならまだしも61歳だからね」
H
「ちょっと、いきなり年齢から?(笑) 確かに基本、超インドア派だし、普段、スポーツどころか軽い運動もしていないからね」
K
「本当だよ。事前練習みないなこともほとんどしていなかった。初めての旅に不安はなかったの?」
H
「なくはないけど。eバイクはレンタルとかで乗ってたから、普通の自転車だったら絶対に行かなかったけど、eバイクなら行けるかなって」
K
「根拠のない自信は大切(笑)! それでも最初の難関、三国峠(群馬県・新潟県)を越える前はかなりナーバスになってたよね」
H
「うん。eバイクで峠を越えるのが初めてだったし、軟弱な私が標高1000mもある峠を越えられるの? 途中でギブアップしたらどうしよう…… プレッシャーが凄かった。それだけに三国峠を越えたときはホッとしたし、大きな自信になったわ」
K
「思ったよりは順調だったよね。eバイクの走り方をマスターしたのが大きかったと思う。峠の上り坂ではあえて走る速度を遅くして、アシストをたくさん使った方が、体力的に楽なんだよね」
H
「そう、最初は上り坂の苦しい状態から抜け出したいから、一生懸命こいでいた。その時かんいちに『もっとゆっくり! 一定のリズムで』色々アドバイスをもらって、スピードを落としたらラクになった。あの走り方を覚えてからは峠が怖くなくなった。ん? でもやっぱり、疲れるから峠は避けたいな(笑)」
K
「あははは…… どちらにしても、荷物をたくさん積んで自転車をこぐのも、何日も走り続けるのも初めて。旅になれる最初の10日間位は大変だったね」
H
「そう! 緊張感、筋肉痛、疲労の蓄積……色々なことが全部重なって体がバキバキになっていた。自分でもこれはやばいと思って新潟市内で急遽整体院を探して、行ったんだよね。施術してもらったらスッキリ、生まれ変わった(笑)」
北海道
K
「いいお年頃なので、旅をしながら体のメンテナンスも必要なのかも。オレはいいけど(笑)。ところで、オートバイの旅以来16年ぶりに行った北海道はどうだった?」
H
「まず、まさか自転車で来るとは思わなかった(笑)。やっぱり空が大きかった! それから道幅が広いからトラックが避けてくれる、とにかく人も自然も全てが大らかで、大自然に囲まれているから、どこを走っても気持ちが良い。それからコンビニのありがたさを感じたわ」
K
「確かに。関東では国道を50、60km走ってもコンビニが1軒もないなんてありえない。2~3時間走ってようやくセイコーマートが見えてきたときは、砂漠のオアシスに感じる」
H
「本当に。セイコーマートは北海道の旅人にとってなくてならない存在。食料品も安いし、総菜の種類も多い。お気に入りの塩サバおにぎり、120円パスタもよく食べたな~。それから北海道ではキャンプ場のバンガローに良く泊まったね」
K
「こんなにたくさんあるとは思わなかった。雨風が凌げて、テント設営撤収の必要もない、さらにバッテリーの充電もできる。eバイク旅には最適。ここ数年でビジネスホテルやゲストハウスが高くなったので、本当に助かった。予約受付が電話オンリーなので、その都度電話するのは面倒くさかったけど」
トラブル
H
「そういえば、予備のバッテリーを別に1本持っていったけど、結局使ったのは1回だけだったね」
K
「荷物が重いのでかなり消耗するだろうと思ったけど、使ったのは根室→釧路で122km走ったときだけ。1日100km位までなら1本で行ける。だから西日本編では予備は持たずに行こうと思っているんだ。自転車のトラブルはいくつかあったけど、チェーンが切れたのは驚いた」
H
「それも宗谷岬へ向かっている途中でブチッ(笑)」
K
「前日にチェーンが何かにぶつかったらしく歪んで回らなくなった。それで稚内の自転車屋へ行って直してもらったんだよね。『直った!』って安心して走り始めたら10km位のところで切れちゃった」
H
「自転車屋さんの車が迎えに来るまで1時間半、雨の中で待つことになるんだけど、あの時は身も心も寒かった。稚内に戻ってまた修理。直ったときは夕方になっていた」
K
「さすがに今日は宗谷岬へ行くのは無理かな……と思っていたのに、ヒロコが『行こう!』って言ったから驚いたよ」
H
「基本無理はしないタイプだからね(笑)。でもその後の予定を考えたら今日は確かにきついけど、その後はラクになるって思ったの」
K
「最後には夜間走行することになった。日暮れ位からあちこちで鹿の大群を見かけるようになって、薄暗いヘッドライトを頼りに走っていたら、いきなり道のど真ん中に牡鹿。あのときはビックリした!」
H
「速度の速い車だったらぶつかっていたかも。トラブルではいろんな人に助けられたね。根室でパンクしたときは近くにいたカップルが空気入れを貸してくれたし、キャリヤが壊れたときは、SNSで友人が釧路のバイクのカスタムショップを紹介してくれて、お店の人が修理してくれた」
K
「本当、感謝だよね。それから車で僕たちを見つけて、冷たいジュースを差し入れしてくれた人もいた」
H
「青森の青果屋さんからリンゴをもらったこともあった。そういえば秋田のSNSのフォロワーさんが市内を案内してくれたこと、泊ったホテルの警備員さんから差し入れをもらったこともあった」
K
「書き切れないくらいたくさんの人が親切にしてくれた。旅をしていると人の優しさを実感するね」
出会い
H
「いろんな人にお世話になった。トラブルではないけど、肉体的にきつかったのは苫小牧で高熱が出たとき。何とか予約していた白老の宿まで走ったけど、2泊以降の空き部屋がなく、熱のある体で室蘭まで40km走った」
K
「その後僕も熱が出て、結局ふたりが完治するまで一週間くらいかかったかな。旅先で病気になるのは本当に心細いよね。それだけに熱が下がって、旅が再開できた時は嬉しかった」
H
「旅の途中なのに『また旅ができる!』って思った。もうひとつ、辛かったのは酷暑かな。特に8月の東北~関東は異常だった。北海道は暑いと言っても30度前後だったけど、東北では35℃、36℃が普通だった」
K
「暑さのレベルが違った。熱中症警戒アラートが出て“不要不急の外出はできるだけ避けるように”って言わたけど、旅の途中だから走るしかない。それも自転車だから直射日光をガンガンに浴びる。暑いだけで体力も消耗するし、きつかった。コンビニに入って涼んだり、凍ったジュースを買ったり、氷をボトルの水を冷やしたり…… 色々やったね」
H
「そんなこともあって西日本編は4月スタートにした。大変なこともあったけど、北海道は最高だった。礼文島にオロロンライン、美幌峠や摩周湖もきれいだった。大自然の中をただ走るだけで気持ちが良かったし、ウニ丼やジンギスカン、海鮮丼とか各地でおいしいものもいっぱい食べた」
K
「でも、考えてみるとこれは体力を使い過ぎないeバイクだからできたんだよね。これがもし自転車だったら、ヘトヘトに疲れ切っちゃって周りの景色を楽しんだり、おしゃべりする余裕もなかったはず」
H
「心と体力に余裕がないと旅は楽しめないもんね。私たち体力差はかなりあるのに、同じペースでおしゃべりしながら走れるのもeバイクの良いところ。そう考えると夫婦円満もeバイクのお陰?(笑)」
西日本の旅へ向けて
K
「さて、来月からいよいよ西日本の旅が始まるね」
H
「楽しみだね。20年前に雪で行けなかった白川郷も行きたいし、瀬戸内海の島をめぐるしまなみ海道も走ってみたい。アートの直島、久しぶりの沖縄も楽しみ。行ってみたいところがいっぱいあるわ」
K
「僕としては熊本の阿蘇や四国カルスト、ウサギの大久野島へ連れて行きたい」
H
「ただ北海道や東北は車が少なかったけど、西日本は車が多そうだから、そこがちょっと心配かな」
K
「国道1号とか自転車が走れない区間がたくさんあるしね。でもルートがたくさんあるから、できる限りのんびりしたローカルな道を選んで走ろう。それから宿。この1年でホテル代が急上昇してるから、キャンプが多くして行こう」
H
「そうだね。一番お金がかかるのが宿泊費だからね。食事もできる限り自炊を増やして節約しよう」
K
「安いグルメなら食べられるんじゃない?」
H
「確かに。せっかく本場に来ているんだから、広島のお好み焼き、長崎ちゃんぽん、名古屋の味噌煮込みうどん、浜松餃子、鹿児島の白熊……なんか太りそう(笑)」
K
「あははは…… 西日本方面は友達が多いから、久しぶりの再会も楽しみだね」
取材協力:
ヤマハ発動機
https://www.yamaha-motor.co.jp/pas/ypj/
セナブルートゥースジャパン
https://senabluetooth.jp/
ステムデザイン
https://www.stem-design.net
武田レッグウェアー
https://www.rxl.jp