【ダホン・フューコム編】eバイクこの1台 自分にとって、いちばんのeバイクを選ぼう

世界中で人気が上がってきているeバイクは、毎年、ニューモデルが登場するなど勢いあるジャンルだ。最近は日本の街中でもよく見かけるようになってきたので、今後はもっと増えていくだろう。ただ、そうはいってもまだeバイクの歴史は浅く、「どんなeバイクがあるか?」「eバイクでどんなことがやれるのか?」などなど、eバイクに乗りたい人に対して、選んでもらうための情報が伝え切れていない状態だ。そこでここでは、いま存在を知っておくべきeバイクをピックアップして、それぞれのスタイルから特徴まで詳しく紹介していく。今回取り上げるのはダホン・フューコムだ。

フューコム

折り畳み自転車の雄、ダホンから満を持してeバイクが登場!
バランスの取れたシティモデル

折り畳み自転車の機構に先鞭をつけ、創業から40年にわたり、その信頼性を守り続けてきたダホンブランドから、初のeバイクモデルがついに登場。都会の移動手段にマッチした洗練されたデザイン性と、日常生活で乗り倒す実用性を兼ね備えた一台として、新たな歴史を小径折り畳みeバイクの世界に築いていくことは間違いない。

モデル名ロゴ
Future(未来)とCommuter(通勤者)の頭文字から取ったモデル名がフレームに入る
ダホンのロゴマーク入りカバー
ヘッドチューブのラック取り付け用の台座には、ダホンのロゴマーク入りカバーが装着

eバイクに何を求めるかは人によってそれぞれ。なかでも一見相反する機構である、折り畳み機構と電動アシスト機構の両方を搭載することは、未来の自転車の方向性を示していると言える。

折り畳み自転車の利点は言わずもがな。コンパクトに畳むことで輪行が手軽にできたり、限られたスペースに自転車を保管できたりする点だ。その分、車輪径は小さくなり、走行性能はやや落ちる。その走行性能の穴埋めをしてくれるのが、電動アシスト機構と言える。ただし、ドライブユニットが付くことで今度は重量増となり、持ち運びには不便になる。

両方の機構のメリットをバランスよくミックスしたのが、ダホンの折り畳み機構付きのeバイク「フューコム」だ。折り畳み自転車の世界で確固たる地位を築いたダホンが、満を持して日本仕様として2024年に発売したeバイク。その名はフューチャー(未来)+コミューター(通勤者)の頭文字から取ったものだ。日常生活で街中をスマートに移動する手段として、手に届く価格帯の初めてのeバイクとして、身近な存在になってくれるバイク。都会の交通事情や保管場所の問題など、様々な状況に最も適したシティバイクの未来として、進化していくに違いない。

折りたたみ状態
折りたたみ状態
独自の折り畳み機構はメインフレームとハンドルポストを畳んで、W88×H72×D50cmサイズに

eバイク初心者の初めての一台にも最適
普段の街乗りや車に積んで遠出のお供に 生活になじむ小径折り畳みeバイク

小径折り畳み自転車としての機能性はそのままに、リヤハブモーターの電動アシスト機能を加えたバランスに優れたモデル「フューコム」。まずはフューコムの優れた特徴をポイントごとに紹介していく。

フューコム
マットブラック

ダホンから国内向けに発売されたeバイク「フューコム」は、簡単に折り畳みできるDFSテクノロジーをそのままに、洗練されたデザインと、乗り手のことを考えて作られた、実用性を兼ね備えたモデルだ。

バッテリーを極太シートポストに内蔵。バーファン製のリヤハブモーターを搭載することで、モード1の一充電航続距離は約120kmを実現。

コンポーネントはシマノ・ターニーの7速、同じくシマノのディスクブレーキを採用する。アシストなしで使用しても、負担にならない走行性能を備えている。

ドライブトレイン
前はシングルの52T、後ろは14-28Tのカセットを装備したドライブトレイン。ギヤチェンジをすることで、電動アシストなしの走行も支障はない

メインチューブからBB下にかけて渡した専用ケーブルによって、フレームヒンジ部への負担を大きく軽減させ、耐久性を向上させている。

タイヤは少々段差のある道でも走りやすい20×2.0というやや太めのCST製タイヤを装着する。

カラーリングは都会的で洗練されたイメージのマットブラックと、国内で人気の高いカーキの2色展開。

何よりうれしいのは、ダホンの魅力が全て盛り込まれた折り畳みeバイクが、20万円台前半の価格帯で手に入れられるということではないだろうか。普段の日常使いに、また車に積んで出先での移動手段として、汎用性の高いモデルといえる。

フューコム
カーキ

Point

◎強力なバーファンの小型パワーユニット搭載
◎ダホンの折りたたみ機構で、コンパクトに収納
◎7段変速の小径折り畳み車として高い走行性
◎フル充電で、最大約120kmのアシスト走行可

Spec

価格●22万円
サイズ●780~1000mm(ペダル~サドル)
折り畳みサイズ●88×72×50cm
フレーム●アルミニウム
フォーク●ダホン・スリップストリームアルミフォーク
ドライブユニット●バーファン・RMG310 36V/250W
リチウムイオンバッテリー●36V-10Ah
充電時間●約5時間
一充電での最大航続距離●120km(モード1)
シートポスト●シートポストバッテリー36V/10Ah
シフター●シマノ・SLRV400 7速
リヤディレーラー●シマノ・RD-TY300 7速
カセットスプロケット●シマノ・MF-TZ500-7 14-28T
ブレーキ●シマノ・BR-TX805
タイヤ●CST・ C1959 20×2.0
重量●18.5kg

Detail

リヤハブモーター
バーファン製のリヤハブモーターでアシストするほか、外装7段変速で走りをサポートする
コントロールユニット
バッテリーと下部でつながれたコントロールユニットが、通常モデルとの外見の大きな差異
シートポストバッテリー
シートポストバッテリーはサムスン製。バッテリー容量は342Wh。約5時間でフル充電が可能
電源ボタン
シートポストの上部にドライブユニットの電源を入れるボタンを配置。充電用コネクター差し込み口も側面にあり
コード
バッテリーを内蔵したシートポスト下部からコントロールユニットへとつながれたコードは取り外し可能
ディスプレイ
ディスプレイ表示はとてもシンプルで、5段階のアシストモード表示と、バッテリー残量が一目瞭然
グリップシフター
初心者でも扱いやすいシマノのグリップシフターを採用することで、スムーズに手元で変速操作ができる
ハンドル
ハンドル幅は580mm。左側にアシストコントロールボタン、右側にシフターを配し、扁平形のグリップが手のひらを乗せやすい
ディスクブレーキ
ディスクブレーキは制動力に優れたシマノ製。フレーム折り畳み時の固定用マグネットがエンド脇にある
デルテック
デルテックと呼ばれる専用ケーブルがメインチューブとBB下をつないでフロントトライアングル形成し、分割部の耐久性を上げるダホン独自の機構。折り畳み時にケーブルは曲がる

フューコム折り畳み手順

30年以上も長きにわたって折り畳み自転車に採用されて続けてきたDFS(ダホンフォールディングシステム)テクノロジー。その折り畳み方法の完成度は、誰でもすぐに習得できる点でも分かる。

まず、シートポストを目一杯下げる
まず、シートポストを目一杯下げる

ハンドルの角度をクランプの角度を緩めて変える
ハンドルの角度をクランプの角度を緩めて変える

ハンドルを下げておく
ハンドルを下げておくと、さらにコンパクトになる

クランプを解除
クランプを解除して、

ハンドルを倒す
ハンドルを倒す

最後にメインフレームのクランプを解除
最後にメインフレームのクランプを解除して、

前輪を後輪と合わせるように畳む
前輪を後輪と合わせるように畳めば、折り畳み完了

マグネット部分
マグネット部分が合うことで、畳んだフレームが連結される。畳んだ状態で自立するのも収納にはとても便利だ

折りたたみ完成

商品開発グループ担当者に聞く─フューコムとは
「初めてのeバイク、初めての折り畳み自転車におすすめのモデルです」

甲斐寛士さん
甲斐寛士さん
アキボウ
商品部 商品開発グループ
甲斐寛士さん
日本のニーズに合った商品を考え、本国とやり取りする部署に配属。入社14年目。毎日、eバイクで片道10kmの道のりを通勤する

ダホンは、レーザー工学の研究をしていたデヴィッド・ホン博士によって、カルフォルニアの地で産声を上げた自転車ブランド。地球環境に優しい移動手段として、早くから自転車に着目していたホン博士は、独創的な折り畳み方式による自転車を考案。80年代から90年代にかけて多くのメディアで取り上げられたこともあって、瞬く間に“折り畳み自転車のダホン”のイメージが定着した。現在では世界最大級のフォールディングバイクブランドとして、世界中に多くのファンを持つ。

アキボウは、自転車やモーターサイクル関連の製品を80年にわたり扱ってきた老舗商社。1994年からダホンの国内における輸入代理店を務め、2018年にはダホンブランドの国内独占販売のライセンス契約を締結。国内市場向けに独自に設計されたモデルを多く発表している。日本でのダホンの普及と、フォールディングバイクというカテゴリーがここまで認知された背景には、アキボウという存在があってこそ、と言っても決して過言ではないだろう。

そして2024年5月より流通が始まったのが、小径折り畳みeバイク「フューコム」。本国モデルをベースとして、日本のユーザーの趣向や需要に合わせて考えられたグラフィックや、パーツチョイスを行ったアキボウ企画のモデルだ。

一番目の変更点は、安全面で重要なパーツとなるブレーキをシマノ製品にしたこと。そして、操作性をシビアに捉える日本人の気質に合わせ、駆動部のシフターやディレーラー、ボスフリーを高品質のシマノに統一しているのもアキボウからの要望によるもの。タイヤを1.75から2.0へとサイズアップしているのは、国内での路面状況を考慮し、走り心地の良さを追求した結果だ。現在ラインナップされている国内モデルにおいて、カラーリングなども含め、アキボウからの要望が全く反映されていない自転車はないという。

バーファン製のリヤハブモーターは、小型ながらもアシスト力は十分。自然でスムーズな加速を実現している。最小アシストモードとはいえ、最大航続距離約120kmというのは、日常使いのモデルとしては十分過ぎるほど。

重量18.5kgは輪行で使用することを想定してはいないものの、未使用時は折り畳むことで収納スペースを最小限にとどめ、車載の際や保管時などに重宝する。

折りたたみ状態
折り畳むまで30秒も掛からないDFS(ダホンフォールディングシステム)。車に積めば、移動範囲が格段に広がること間違いなし

ダホン専用のバッグやアクセサリー類も充実しているので、自分の使用用途に応じて徐々にアップデートしていく楽しみもある。

eバイクとしての実用性と、ダホンの折り畳み自転車としてのステータスの両方を備えながら、20万円台前半の価格設定は大きな魅力だ。1台目のeバイクとして手に取りやすい価格で、日本人の日常生活に最もフィットしたスペックを備えた小径折り畳みeバイクといえる。

ダホンオリジナルバッグ
専用のアタッチメントをヘッドチューブの取り付け台座に装着すれば、ワンタッチで装着可能なダホンオリジナルバッグ(今後発売)

ダホンの旗艦モデル K-series

現在のダホンの人気を決定づけたフォールディングバイクがKシリーズだ。中でも14インチのホイールに3段変速のK3は、豊富なカラーバリエーションと相まって主力モデルに。シングルスピード仕様のK1や、16インチホイールで9段変速、ディスクブレーキ仕様のK9Xが最新モデルとして新しく仲間に加わった。

K3

K3
価格:10万5600円

2019年に誕生してから、いまやダホンの顔となったモデル。重量7kgを実現し、折り畳み自転車の魅力がふんだんに盛り込まれている。通常の5色展開に加え、限定カラーモデルも。

K1

K1
価格:8万8000円

「よりシンプルに」をコンセプトに、軽量でコンパクトなシングルスピードモデルが新登場。シンプルイズベストを具現化した。

K9X

K9X
価格:13万8600円

16インチホイール搭載の最新モデル。ロードバイクオーナーのセカンドバイクとしても、十分満足できる走行感が得られる。

フューコムのベースとなったフレーム形状のモデル

ホライズディスク

HORIZE DISC(ホライズ ディスク)
価格:11万6600円(シマノパーツ仕様)
価格:11万円(マイクロシフトパーツ仕様)

フューコムに似たフレームを用いたノーマルバイク。存在感のあるメインチューブに、20×1.95の太めのタイヤを装着して、走りの安定性を求めた一台。160mmローターのディスクブレーキが、アグレッシブな走りでも高い制動力を発揮する。(写真は限定モデルのHorize Disc Ltd.)

折り畳み自転車といえば「ダホン」そのイノベーションの歴史

ダホン

1973年の第四次中東戦争勃発により、その後世界各地で起きたオイルショックを経験したデヴィッド・ホン博士は、石油に依存せず、地球環境に配慮した移動手段としてフォールディングバイクの研究に取り組み始める。1982年にダホンの前身となる会社を興してから、40年以上の歴史の中で、博士が取得した折り畳み機構に関する特許数は優に500を超え、現行モデルに引き継がれている。

フューコムでも採用されているDFSテクノロジーは、市場に出回っている多くの折り畳み自転車に採用されていることからも折り紙付き。また、ヒンジ部はロック時に強固な保持力を持つヴァイスグリップを採用。人間工学に基づいたレバー形状と、調整式テンションロッドにより、作業がとても簡単に。ハンドル中央部に設けられたポジションを上下に可動できるアジャスタブルハンドルポストや、フォークに合わさるように折り畳める可倒式のラディアスハンドルポスト、フレームヒンジ部の耐久性を高めた専用ケーブルのデルテックなど、フューコム一台に盛り込まれたエポックメイキングな技術の数々は枚挙にいとまがない。

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