eバイク旅ノート Vol.79 eバイク日本一周19「eバイクで走りたい日本の道10選(東日本)後編」

自然の香りや風の匂い、景色の変化を全身でダイレクトに感じられるのが自転車旅の魅力。日本一周東日本編では改めて日本文化の素晴らしさ、自然の豊かさを実感した。そこで体力を使い過ぎないeバイクだから楽しめる道、一度は走って欲しいおすすめのルートを紹介します。今回は東日本の10選から東北&関東エリアの5ルート。バッテリーを充電をしたら、太陽の下へこぎ出そう!

06:十和田湖&奥入瀬ルート(湖畔、渓流ほか)
秋田県小坂町~青森県十和田市

※日本縦断で走行

青森県と秋田県の県境にある『十和田湖』は約20万年前の火山活動によって生まれたカルデラ湖で、周辺には雄大な自然が広がっている。この十和田湖から北東へ流れ約14km続いているのが、美しい紅葉と渓流で知られる『奥入瀬渓流』。この2つを繋げたルートは東北を代表するeバイクサイクリングコースなので、ぜひ走って欲しい。

十和田湖へ入る道は国道102号、国道103号、国道454号と複数存在しているが、今回は僕が実際に走った国道103号~奥入瀬渓流~国道102号。鹿角市方面から十和田町方面へ抜けるルートをご紹介。

国道103号は中滝を過ぎた辺りから本格的な峠道に変わる。緑の木々に囲まれた道になり、上り坂は『発荷峠(標高631m)』まで続く。約5km頑張ると峠に到着する、そこから少し下ると左手に『発荷峠第一展望台』が見えてくる。トイレと売店のある施設で、階段を登り展望台に出ると壮大な十和田湖が眼下にドーン!と広がる。

さらに下って行くとT字路になるので、休屋・奥入瀬渓流方面へ右折する。湖畔に沿って進んで行くのだが木々が視界を遮り、湖の全体を見ることはできない。まもなく自然林に囲まれた『生出キャンプ場』が現れる。ここは森の中にある静かなサイトなのでキャンプ好きにはおすすめ。

さらに進むと旅館、ホテル、ビジターセンターなどがある十和田湖畔休屋に出る。十和田湖畔で最も賑わっているエリアなので食事をするならここで済ませておこう。日帰り温泉で疲れた体を癒すのもあり。また宿も安いバックパッカーズから高級旅館まで豊富に揃っている。湖畔に沿って進んで行くと御前ヶ浜に出る。ここには十和田湖のシンボル、彫刻家・高村光太郎氏が作った『乙女像』があるのでぜひ見ておこう。

そのまま国道103号で奥入瀬渓流へ向かうのもいいが、ぜひ展望台『瞰湖台』には立ち寄って欲しい。瞰湖台まで上り坂だがeバイクならそれほど苦労せず行くことができる。展望台に登ると十和田湖と周りの山々を一望。感動の大パノラマが体験できる。

国道103号に戻り、十和田湖を左に見ながら進んで行くと国道102号との分岐、子ノ口に出る。この信号を右折すると奥入瀬渓流が始まる。深い森の中を豊かな水が滾々と流れている。滝や清流、岩など見所がたくさんある。渓流に沿って遊歩道が整備されているので、ぜひ、時間をかけて散策しよう。

休憩地としては『石ヶ戸休憩所』がベスト。トイレはもちろん売店で温かいラーメンやうどん・そばなど食べることができる。このルートは新緑も美しいが、もし時期を選べるとしたら木々がカラフルに染まる紅葉の季節がおすすめだ。

十和田湖へ下る
発荷峠第一展望台から景色を堪能した後は、十和田湖へ向かって一気に下って行く。鹿角市方面から来た場合、ここが最初のハイライトになる
乙女の像
十和田湖国立公園指定15周年を記念して1953年の完成された十和田湖のシンボル『乙女の像』。彫刻家・高村光太郎の最後の作品として知られている
瞰湖台からの眺め
御倉半島と中山半島に挟まれた中湖の絶壁の上にある、標高583mの展望台『瞰湖台』。透明度の高い十和田湖の湖面に白い雲と青空が映っている
奥入瀬渓流
十和田湖東岸の子ノ口から焼山までの約14km、深い自然林の中を流れる『奥入瀬渓流』。川に沿って道が延びているためサドルの上からも楽しめる

07:八幡平アスピーテライン(峠越えほか)
岩手県八幡平市~秋田県鹿角市

※日本縦断で走行

岩手県と秋田県にまたがる八幡平(標高1613m)、その山岳地帯を横断するように延びているのが全長27kmの『八幡平アスピーテライン』だ。除雪した時にできる高い雪の壁『雪の回廊』も良く知られている。爽快な高原のワインディングロードをぜひeバイクで走ってみよう。

岩手側の起点は『松尾八幡平ビジターセンター』。ここでは八幡平・岩手山のハイビジョン映像や標本、模型などを展示、産直販売所やレストランなどもある。駐車場を出るとすぐに緩やかな上り坂が始まるが、傾斜はそれほどきつくない。ひたすら峠へ向かってペダルをこぐ。

湯気を上げる『松尾八幡平地熱発電所』を通過、さらにカーブをいくつか曲がると『八幡平アスピーテライン展望所』、続けて『源太岩展望台』と眺めの良い展望所が続く。この辺りでちょっと休憩して、息を整えよう。

ピークに近づくにつれて傾斜は緩やかになる。起点から上り続けること約20km、ついに大きな駐車場のある『八幡平山頂レストハウス』(標高1541m)に到着。上りが長かっただけに達成感も大きい。ここには県境を記す碑が立っているので、ぜひ記念写真を撮っておこう。レストハウスには簡単な食事や飲み物もあるのでエネルギー補給も忘れずに。

レストハウスを出て秋田側は下りかと思いきや緩やかな上り坂。その後は緩やかな傾斜の道となり展望ポイントが点在する。バイクを降りて景色を眺めてもいいが、走りながらでも絶景が楽しめる。その後は下り坂、カーブが連続するのでオーバースピードに注意しよう。

秋田側の終盤には300年の歴史を持つ一軒宿『後生掛温泉』がある。名物の箱蒸風呂をはじめとして7つの湯が楽しめる名湯として知られている。日帰りもいいが、できれば宿泊してゆっくり疲れを癒したい。アウトドア派には『後生掛(大沼)キャンプ場』もある。国道341号にぶつかるとそこがゴールとなる。

岩手山
『松尾八幡平ビジターセンター』を出ると上り坂になり、しばらく上ると平野の向こうに「南部片富士」で知られる岩手県の最高峰、岩手山が見えた
八幡平アスピーテライン
『八幡平アスピーテライン』の「アスピーテ」とは火山の分類で楯状(たてじょう)火山の意味。まるで雲の上を走る様な、雄大な山岳ロードがどこまでも続く
八幡平山頂レストハウス
ラインの中間地点『八幡平山頂レストハウス』(標高1541m)。ここの前には岩手県と秋田県の県境を記す碑が立っていて、絶好の撮影スポットになっている
後生掛温泉
秋田側にある『後生掛温泉』は湯治宿として有名。「馬で来て、足駄で帰る後生掛」と詠われるほど、古くから諸病に効能のある湯として知られていた

08:日本海パークライン(海岸線)
新潟県村上市~山形県鶴岡市

東日本の海沿いのルートで走るなら『日本海パークライン』がイチオシ。新潟県村上市から北へ約50km続く海岸線の道で、交通量が少なく海を眺めながらのんびり走れる。スタート地となる村上市は古い町並みや路地が城下町の面影を残す町なのでeバイクで散策しよう。また鮭の町としても知られ日本初の鮭の博物館『イヨボヤ会館』がある。

町の北部を流れる三面川を渡りしばらく国道345号を進むと日本海が見えてくる。右手は集落、左手は日本海の景色が始まる。並行するように羽越本線が続いている。時々現れる小さな漁港、瓦屋根にシルバーグレーの杉板外壁の民家が多い。海風よけの壁も同じ板で作られていて趣がある。日本の原風景を楽しみながら進んで行く。海に目を移すと水平線に粟島が浮かんでいる。

しばらくすると日本海パークラインのクライマックス『笹川流れ』が始まる。日本海の荒波できた奇岩、岩礁や洞窟など、変化に富んだ海岸線が11kmも続く。『道の駅笹川流れ』で周辺情報をGETして、さらに1km進むと、笹川流れの奇岩をめぐる遊覧船の乗り場がある。余裕がある人はぜひ『笹川流れ観光汽船』(周遊コース約40分)から絶景を堪能しよう。

ここからしばらくトンネルが連続するので、早めにライトをONにしておこう。岩場の海岸線が美しい。その後もひたすら気持ちのいい海岸線が続く。勝木で国道7号と合流。ここにコンビニがあるので、休憩しよう。

弁天島に立つ鼠ケ関灯台が見えてくると、山形県との県境が現れる。おすすめの休憩スポットは『道の駅あつみ』。海を眺めながらの海鮮の料理が楽しもう。さらに北上すると国道沿いに“あつみ温泉”と書かれた巨大なこけしが登場。これがゴールサインとなる。

軒先に鮭
鮭の町として知られる新潟県村上市。駅のホームから観光案内所、家の軒先にまで鮭がぶら下がっていた。また城下町らしく、古い町並みがあちこちに残っている
国道345号
日本海沿いに延びる国道345号は、国道とは思えないほど交通量が少なく、のんびり走ることができた。また家並みもまさに日本の原風景という感じだった
村上~勝木の道
このルートを走るとしたら海側の車線を走れる南→北の北上がおすすめ。村上~勝木の33kmの間はコンビニがないので心配な人は食料を携帯しておこう
笹川流れ
様々な奇岩、絶壁、洞穴が見られる『笹川流れ』。できれば遊覧船に乗りたいが、いくつかの奇岩は走りながら見ることができる。写真は国道から見た蓬莱山

09:日本ロマンチック街道・片品~日光ルート(峠越えほか)
群馬県片品村~栃木県日光市

※日本縦断で走行

関東エリアで最もダイナミックな自然の変化を体感できるのがこのルート。ルートの中には1800m越えの峠をはじめ、湖畔、滝、高原、グルメ、温泉、世界遺産の神社仏閣などなど、様々な魅力がギュギュッと詰め込まれている。首都圏からも近いので、ぜひ一度走って欲しい。

片品村にある『道の駅尾瀬かたしな』をスタート、国道120号で金精峠へ向かう。しばらくは緩やかな上り坂が続く。町を抜けると木々が生い茂る山道になる。最初に現れるのが『丸沼高原』。「涼しい標高2000mに天空テラスと天空カフェ」や日光白根山ロープウェイと書かれた案内板がある。

そのまま国道120号を進んで行くと木々の間から『丸沼』が見えてくる。カーブを繰り返し上って行くと今度は『菅沼』が現れる。どちらも原生林に囲まれた美しい沼で、透明度も高い。菅沼の近くにお休み処『菅沼山小や』があるのでぜひランチにしよう。定番のそば、うどん、ラーメン、名物の舞茸天丼がおいしい。ここまで来たら峠はすぐそこ。

長さ755mの金精トンネルを抜けると、金精峠越えとなる。約27kmの長かった上り坂もようやくEND。改めて電動アシストに感謝するだろう。トンネルの近くの駐車場に“海抜一八四三米”と記した小さな碑が立っているので、記念写真を忘れずに。この先は気が遠くなるようなロングダウンヒルが待っている。

次に立ち寄って欲しいは『奥日光湯元』。湖があり、宿も点在、日帰り温泉も楽しめる。『日光湯元レストハウス』で食事も可能。ここは湯ノ湖を囲む景色がとにかく素晴らしいので、ぜひ写真に納めておこう。

さらに進むと広大な湿原地帯『戦場ヶ原』が見えてくる。ここは自然研究路が整備され、2時間ほどで歩けるハイキングコースもある。少し先にある『竜頭ノ滝』も必見だ。さらに進むと豊富な水を湛える『中禅寺湖』が現れる。道はアップダウンが多いが緩やかなので体力の消耗は少ない。湖側は木々に遮られていたが『二荒山神社』辺りから湖がよく見えるようになる。

『華厳の滝』の入口を過ぎるといよいよ九十九折れの『いろは坂』が始まる。一方通行の下り坂、急カーブが延々と続く。あまりに多いのでブレーキを握る手が痺れてくるほど。焦らず慎重に下って行こう。いろは坂が終われば、ゴールの日光は目と鼻の先。このルートを走るなら紅葉のシーズンがベストだが、紅葉の時期のいろは坂の渋滞は有名。悩むところだが自転車は影響は少ないので、やはり秋がおすすめ。

菅沼山小や
金精峠の手前にある『菅沼山小や』は群馬側にある数少ない休憩スポット。五平餅、すいとん、オショロコマとヤマメの炭火焼、ソフトクリームも食べられる
金精トンネル先のダウンヒル
金精トンネルを抜けるとダウンヒルが始まる。少し下ったところで視界が開け、周辺の山々、眼下にはこれから走る道と緑に囲まれた湯ノ湖、遠くに男体山も見えた
湯ノ湖
日光へは何度か来ているが、奥日光『湯ノ湖』の景色を見ているとなぜかヨーロッパやカナダを思い出す。ぜひ本ルートだけでなく周辺も散策してみよう
戦場ヶ原
中禅寺湖をめぐって男体山の神と赤城山の神が争った神話が伝わる『戦場ヶ原』。かつては湖だった場所が湿地化、いまは広大なハイキングコースになっている

10:つくば霞ヶ浦りんりんロード(湖沿いほか)
茨城県土浦市周辺

自転車道として設置されていた40kmの『つくばりんりんロード』と140kmの『霞ヶ浦湖岸道路』を合わせた、全長約180kmの『つくば霞ヶ浦りんりんロード』は日本屈指のサイクリングルート。まさにサイクリング天国なので、ぜひeバイクで走って欲しい。

『つくばりんりんロード』は旧筑波鉄道廃線跡を活用したコース。昔の駅舎を使った休憩所になっていたり、ホームが残っていたり、鉄道時代の面影が残っているのが楽しい。また専用道路なので車が通らず、安心して走れるのも嬉しいポイント。

また僕は走ったことがないのだが沿線には『筑波山ヒルクライムコース』もある。こちらは筑波山ロープウェイや不動峠など、山岳ロードが楽しめるコース、健脚向けなので電動アシストのあるeバイクなら大いに楽しめるだろう。

霞ヶ浦を一周する『霞ヶ浦湖岸道路』は展望台があったり、レンコン畑が広がっていたり、湿原地帯があったり景色の変化が楽しい。また、ほとんどフラットなのでバッテリーの消費も少ない。

おすすめの休憩スポットは霞ヶ浦大橋の袂にある『道の駅たまつくり』。名物は行方バーガー、ナマズの身をベースに作った「なめパックン」。歩崎公園の隣にある『かすみがうら市交流センター』も利用価値大。1階にあるかすみマルシェでは軽食やジェラートが楽しめる。またシャワー施設も完備している。

霞ヶ浦湖岸道路は車が通れないサイクリングロードと交通量の少ないローカルな道を繋いでいるので、ストレスなく長時間走り続けることができるのが魅力。アップダウンがないので約140kmをバッテリー1本(車両はヤマハ・YPJ-ER)で走り切ることができた。自分の力量や時間に合わせたコースが選択できるのも利点。ぜひ一度eバイクで走って欲しいルートなのである。

りんりんロードの鉄道の名残
『つくばりんりんロード』は鉄道廃線跡に作られているので、プラットホームなど昔の名残が各所に残っている。鉄道の知識があったらさらに楽しめるだろう
霞ヶ浦湖岸道路
霞ヶ浦をグルッと一周する『霞ヶ浦湖岸道路』は、景色を楽しみながらのんびり走りたい派も、ガンガンに距離を稼ぎたいガチ派も、どちらの期待にも応えてくれる
レンコン畑
霞ヶ浦湖畔を走っているといろんな景色に出会える。茨城県はレンコンの生産日本一、霞ヶ浦周辺は名産地なのでレンコンの畑をたくさん見かけた
かすみがうら市交流センター
『かすみがうら市交流センター』にはレンタサイクル、サイクルラックもある。カフェで買える地産フルーツ等を使ったジュース、ジェラートもおすすめ

取材協力:
ヤマハ発動機
https://www.yamaha-motor.co.jp/pas/ypj/
セナブルートゥースジャパン
https://senabluetooth.jp/
ステムデザイン
https://www.stem-design.net
武田レッグウェアー
https://www.rxl.jp

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