ヤマハから「PASクレイグ」登場 クロスバイクタイプの新型電動アシスト自転車

ヤマハ発動機は、新たな電動アシスト自転車「PAS CRAIG(パス クレイグ)」を、2024年3月29日に発売する。“アーバン アウトランナー”をコンセプトにした、シンプルで上質なデザインのクロスバイクタイプの電動アシスト自転車として、週末の街のサイクリングや自転車通勤にマッチするモデルだ。

洗練されたデザインの街乗りモデル

パスクレイグ

クロスバイク(Crossbike)、ラピッド(Rapid)、アジャイル(Agile)、インテリジェンス(Intelligenc)、グラッド(Glad)、の頭文字から名付けられたのが、ヤマハの新たな「PAS クレイグ(CRAIG)」。
“アーバン アウトランナー”がコンセプトの、洗練されたスタイリングのクロスバイクタイプの電動アシスト自転車だ。

フレーム形状はスポーツ自転車の最もシンプルな姿である二つの三角形から構成される「ダイヤモンドフレーム」を踏襲。最適な細さと強度を備えた、ミニマルな丸形形状の鉄パイプをフレームに採用している。
また、一般的な電動アシスト自転車ではチェーン全体を覆う樹脂(または金属)タイプとなるチェーンケースだが、本モデルではクランク周辺を最低限覆う形状とし、衣服や脚をチェーンへの巻き込みから守るという機能を維持しつつも、自転車の車輪やクランクの円のフォルムを見せることにこだわったデザインだ。
自転車の構成パーツとして目立つポイントだからこそ、ケース本体はマットブラックに塗装された鉄素材を採用。細部まで上質な印象を与えてくれる。

フレーム形状のコンセプト画
フレーム形状のスタイリング画
チェーンカバーのコンセプト画
チェーンガードのスタイリング画

カラーラインナップは、ファッショナブルでありながら高品質な印象を与える「マットラベンダー」、知的で落ち着いた印象の「マットグレイッシュベージュ」、シンプルでどんな服装にも合わせやすい「マットジェットブラック」の全3色となる。

クレイグは基本的に数km圏内を移動する街乗りを想定されており、一般モデルのPASシリーズと共通の8.9Ahバッテリーやドライブユニット、内装3段ギヤなどを採用。それら性能と価格も含めて、同社の本格的なスポーツライドに向けたeバイクライン「YPJシリーズ」とは明確に区別されている。

ヤマハ発動機の商品戦略グループの碓井さんは、11月16日(木)に行われた発表会で以下のようにコメントした。
「1993年に世界初発売してから30周年を迎えたヤマハの電動アシスト自転車は、過去10年において出荷台数は2倍に増加し、2022年には79.5万台に達しました(2012年は39万台)。シニアから子育て世代、通勤・通学、レジャーユーザーまで、ユーザー層は多様に広がり、それとともに製品は進化し、ラインナップも拡大してきました。

今回発表したPASクレイグを企画するにあたり、市場の声を反映して開発を進めるためにユーザーへのヒヤリングが行われ、その結果、既存モデルのクロスバイクタイプの「ブレイス」ほどスポーティすぎない、街中でのスタイリッシュな走行とデザインに重点が置かれました。
現在電動アシスト自転車の購入者の7割は、初めての電動モデル購入者。そこで30〜40代の男性かつ、シンプルで丁寧な毎日を送る、自分なりのこだわりを持ったユーザー層をメインターゲットとしたモデルを提案しました。
このPASクレイグは、ヤマハの中で新しいニーズに対応するチャレンジングなモデルです」

ヤマハ発動機開発グループの西山統邦さん、商品戦略グループの碓井紗和さん、プロダクトデザイン部の北山亮平さん
左から、ヤマハ発動機開発グループの西山統邦さん、商品戦略グループの碓井紗和さん、プロダクトデザイン部の北山亮平さん
パスクレイグ
PAS クレイグ(CRAIG) 価格/12万9000円。ジェンダーレスな「マットラベンダー」がモデルカラーだ
チェーンガード
このグレイグ用に新規デザインされたチェーンガード。後輪の円のラインを阻害することないコンパクトケースタイプで、質感の高いマットブラックに塗装されている。ブチ穴がメカ好きに刺さる
フレーム
シンプルな丸形断面のスチールパイプを採用し、ワイヤ類は外装式。ダウンチューブにはボトルケージ台座も用意される。ロゴはクローム調だ
モーターとバッテリー
センタードライブ式モーターやリチウムイオンバッテリーはPAS軽快車用を採用。アシストレベルは同社の6段階表記で4と設定されている。アシストモードは「ハイ」、「スマート」、「エコ」、そしてオフと4段階
リヤハブ
シマノ製内装三段変速ハブのため、駆動系は省メンテナンス。停止中に変速操作ができるので、信号待ちやストップ&ゴーもラクラク。ギア比などもPAS軽快車用と同等のものを選ぶため、シティライドに適している
スマートクロックスイッチ
アシストモード表記のほか、時計表示、消費カロリー、バッテリー残量を確認でき、バッテリ−残量低下お知らせランプやブザーが付くスマートクロックスイッチを搭載
ハンドルまわり
右側にシマノ内装三段変速グリップを装備。フロントLEDライトはバッテリー給電式
タイヤ
タイヤは700×38Cと太めかつ、抵抗の少ないブロックパターンで街中をクルージングしやすい。バルブは英式。前後リムとも内側がブラックに塗装されている
片側スタンド
片側スタンドは標準装備。リヤフェンダーはバッテリーをガードする。オプションでフルフェンダー化や荷台、フロントバスケットなども装着可能
ワイヤ式ロック
標準装備のワイヤ式ロックは、バッテリー取り外しと共通の鍵タイプ。バッテリーの持ち手部分もまとめてロックできるので、バッテリーの盗難も防ぐことができる

【Impression】リラックスしたジオメトリで街をクルージング

難波ケンジさん
【難波ケンジ】
eバイクの黎明期より20年以上に渡ってその変貌を見つめてきた、国際自転車ジャーナリスト。日本にeバイクを持ち込んだ最初の人物として知られる。自身も普段からeバイクを活用し、本格的なサイクリングから都市部の移動を楽しむ

ヤマハにとって新カテゴリーでもあるライフスタイル系の電動アシスト車のエントリーモデルは、ダイヤモンド型のスチールフレームに、内装3速、軽快車で定番のドライブユニットを組み合わせて、驚きの低価格を実現してきた。
ターゲットとして狙っている30〜40代前半のビジネスパーソンの日常使いとしては十分なスペックであり、軽快車、いわゆる“ママチャリ”で日常を過ごすのではなく、少しスタイルのあるものが欲しい人向けのモデルだ。
今回試乗はできていないが、ジオメトリはヘッドアングルが寝た、ホイールベースは長めのリラックスしたもので、サドルはかなりクッション製の高そうなものが装着されている。そのうえで、走りがどのようなものになっているか気になるところだ。
サイドスタンドが重心バランスと絶妙な場所に装着されているので、重量のあるアシスト車でも安定することは特徴の1つだろう。
平日は家から駅までといった近距離コミューティングに使い、週末はテニスラケットや、アウトドアギアを携えて遊びに行って帰ってくる。そんな日常使いにおいて、軽快車タイプよりもスタイリッシュな印象と軽快な走行感を加えてくれるバイクと言える。(難波ケンジ)

PAS CRAIG(PASクレイグ)
価格/12万9000円
(バッテリーと専用充電器を含む車両価格)

タイヤサイズ/700×38C
適応身長のめやす/156cm以上
車両重量/21.6kg(ワイヤ錠含む)
一充電走行距離(注1)/36km(強モード)、40km(スマートパワーモード)、70km(オートエコモードプラス)
変速方式/リヤハブ内装3段式
電池/リチウムイオン電池 25.5V 8.9Ah(注2)
充電時間/約2.5時間(バッテリー残量がほぼない状態から満充電までの時間。環境や条件によって充電時間が異なる場合がある。)
盗難抑止装置/ワイヤ錠、内溝キー
カラー/マットラベンダー、マットジェットブラック、マットグレイッシュベージュ

パスクレイグ
マットジェットブラック
パスクレイグ
マットグレイッシュベージュ

(注1) PASの走行できる距離は走る場所や走り方によって変わる。1充電あたりの走行距離は、車種によって異なるほか、道路状況、走行モード、走り方、気温、車載重量などによって変わる。なお、表記されている走行距離は標準パターンで測定した値であり、1充電あたりの走行距離を保証するものではない。*バッテリー新品、常温15~25℃、車載重量(乗員および荷物を合計した重量)65kg、平滑乾燥路面、無風、無灯火状態、製造業者指定のタイヤ空気圧で、平坦路(1km)、勾配4度の上り坂(1km)を含む全長4kmの標準走行路を設定し、平坦路「変速ギヤ・3」時速15km、上り坂「変速ギヤ・2」時速10km、下り坂「変速ギヤ・3」時速20kmで走行し、1kmごとに一旦停止を行ったときのテストデータ。
(注2) JIS C 8711 による定格容量は9.0Ah

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