お子さんの入園を機に電動アシスト自転車の購入を検討されている方も多いだろう。そこで、どんなモデルが売れているのかを専門店のスタッフに聞いてみた。激戦区の子乗せカテゴリーは、あったら便利な機能が充実しているのが特徴だ。

同乗できる子どもの年齢は小学校入学前まで
学生時代、自転車の二人乗りでお巡りさんに注意された方もいると思うので、まずは道路交通法についておさらいしたい。基本的に自転車は二人乗りが禁止されているが、例外的に認められているのが子どもとの二人乗り、そして三人乗りだ。前者については、運転者が16歳以上で、自転車に幼児用の座席が設置されていること。乗せられる子どもは小学校入学前の未就学児だ。以前は「6歳未満」となっていたが、これだと幼稚園児でも6歳の誕生日を迎えた時点で同乗できなくなってしまうため、2021年4月に道交法が改正された際に「未就学児」へと緩和されている。
続いては三人乗りについて。二人乗りと同じ条件に加えて、幼児一人をヒモなどで確実に緊縛して背負う。もしくは「幼児2人同乗基準」に適合した自転車であれば、三人乗りが可能となっている。なお、三人乗りに加えて幼児一人を背負う「四人乗り」は禁止だ。具体的なルールについては都道府県ごとに異なるので、詳しくは住んでいる自治体の道路交通規則を確認してほしい。
売れているのは長く対応できる後ろ乗せタイプ
お話しを聞いたのは、電動アシスト自転車の専門店であるサイクルベースあさひ砧公園店の松村広志副店長だ。
「一般的な電動アシスト自転車にチャイルドシートを後付けすることは可能ですが、お子さんの送り迎えがメインであれば、子乗せに特化したモデルをお勧めします。低重心設計ですので二人乗りでもフラつかずに走れますし、バッテリーも大容量のものが搭載されているというのがその理由です。
子乗せモデルは前乗せタイプと後ろ乗せタイプに大別でき、売れているのは後ろ乗せの方ですね。フロントのチャイルドシートの推奨年齢は1歳~4歳未満、リヤは1歳~小学校入学前までとなっていることが多く、これだけ見ても後ろ乗せの方が長く使えますよね。それに後ろ乗せタイプであれば前カゴが使えるので、お子さんを乗せてなおたくさんの荷物を積むことができます」
ちなみにヤマハでは「子どもの成長に合わせて長く使いたい」、「バスケットに荷物をたくさん入れたい」、「自宅の駐輪場が狭め・立体駐輪場」という人には後ろ乗せタイプを推奨。「4歳未満で、初めての自転車デビュー」、「乗車中も子どもとの会話を楽しみたい」、「すっぽり胸まで包む安心感が欲しい」という方には前乗せタイプを提案している。
パナソニックはスマートキー付きが人気だ
サイクルベースあさひ砧公園店で売れている子乗せタイプは、パナソニックとヤマハに集中しているとのこと。そこで、まずはパナソニックから売れ筋モデルを紹介しよう。
パナソニックは子乗せモデルとして「ギュット」シリーズを展開しており、ラインアップは全8機種。モデル名に「クルーム」が含まれているモデルには、ベビー用品で有名なコンビと共同開発したチャイルドシートが標準装備されている。


中でも売れているのは「ギュット・クルームR・EX(21万円)」だ。人気の理由は、ラクイックと呼ばれるスマートキーを採用していること。電源ボタンをオンにすると、後輪のサークル錠が連動して解錠されるので、お子さんや荷物を抱えながら物理キーを探さなくて済むという利便性の高さが支持されている。





ヤマハは全長が短く、小回りや駐輪スペースで有利
続いてはヤマハだ。子乗せモデルは5機種あり、人気が高いのは「パス バビー アン スーパー(17万8200円)」だ。先に紹介したパナソニックのギュット・クルームR・EXと同じ20インチホイールを採用するが、こちらの方が全長が95mm短く、駐輪スペースの関係で少しでもコンパクトな方がいいという人に喜ばれているとか。


ヤマハは、チャイルドシートシェアNo.1企業であるOGKとコラボしており、幼児用座席の機能が充実している。特にマグネットバックルや自動巻き取り式シートベルトなどは、お子さんの元気がいいときに役立つはずだ。





以上がパナソニックとヤマハの売れ筋2モデルだ。便利な機能が増えるほど高額になるのは世の常だが、そのほとんどがユーザーの声を反映したものであり、購入時に妥協しない方がいいというのが正直な感想だ。なお、ごく一部ではあるものの、電動アシスト自転車の購入に対して補助金を出す自治体もある。こちらもぜひチェックしてほしい。
サイクルベースあさひ砧公園電動アシスト館
〒157-0074 東京都世田谷区大蔵1丁目2−1