サイクルモード TOKYO 2023 会場eバイクレポート後編

2023年4月8日~9日に東京ビッグサイトにて開催された「サイクルモード TOKYO 2023」では、国内、海外メーカーの新型eバイク(電動アシスト自転車)やeバイク関連技術が多数出展されていて見応えがある内容になっていた。
そこで本稿では、会場に出展されていたeバイク関連のブースをまわって集めた情報を紹介していこう。
後編はスマチャリ、ジック、メイトバイク、アカリエ、太陽誘電だ。

「スマチャリ」を展示したホンダ×ワイズロードブース/スマチャリ

スマチャリブース
今回のサイクルモードのなかでひと際注目度が高かったのがホンダとワイズロードのブース。こちらでは電動アシスト自転車用ソフトウェアサービス「SmaChari(スマチャリ)」を紹介する内容の展示を行っていた

スマチャリとはホンダが開発したeバイクの制御やクラウド連携サービスを行うソフトウェアサービスのこと。このスマチャリを使用することで、一般的なペダルバイクにあと付け型汎用ドライブユニットやバッテリーを装着してeバイク化ができるようになるというものだ。
また、たんに電動化するだけでなく、アシスト特性の最適化を行うことで、本格的なスポーツ向けeバイクのような、モーターの介入を意識させない自然な走行フィールの実現する。
さらにカーナビゲーション技術を生かしたクラウド連携のサービスやマップ表示、それにアプリからのシステムロック(電子的な施錠)などが可能になっている。

スマチャリのアプリ
スマチャリとはソフトウェアサービスのこと。車両の制御にはスマートフォンに入れた専用アプリで行う。アシスト強度や特性の設定も可能
レイルアクティブe
ワイズロードが9月に発売予定のスマチャリ搭載のeバイク「RAIL ACTIVE-e」予定価格は22万円

スマチャリはあと付けの汎用ドライブユニットやバッテリーなどに対応するものだが、その完成車(型式認定済)がワイインターナショナルが全国に展開するサイクルショップ「ワイズロード」から発売予定の「RAIL ACTIVE-e(レイルアクティブ イー)だ。
ベースになっているのはペダルバイクの「コーダーブルーム レイルアクティブ」。スポーティなクロスバイクでありながら手頃な価格設定のモデルである。
この車体にワイズロードが扱う汎用ドライブユニットを組み合わせてeバイク化しつつ、システム制御にスマチャリを導入したのがレイルアクティブeだが、ベース車が安価なので予定価格は22万円とeクロスバイクとしては低価格になっているのも大きな魅力だ。

この価格設定はeバイクが欲しいと思っている人には大いに魅力的なものだが、実はスマチャリは毎日の通学で自転車を利用する学生に対してeバイクを普及させることを大きな目的としていたので、そこを意識した車種選択、価格設定のパッケージなのだ。
この件についてはeバイクジャパンの過去記事にて紹介しているのでそちらを見ていただきたい。

今回の展示では発売予定のレイルアクティブeのほかに参考出品としてロードバイクやミニベロにワイズロードのユニット類とスマチャリでeバイク化したモデルも展示されていたが、スマチャリはeバイクの種類を増やすことも狙いにしたサービスなので今後はペダルバイク+スマチャリのeバイクが増えてくるだろう。

ファーナのスマチャリ
参考出品のスマチャリ搭載のeバイク。これはコーダーブルームのFarna 105(ファーナ105)をベースにしたeロードバイク
リンクのスマチャリ
ターンのリンクをベースとしたフォールディングeバイク。こちらも参考出品

13万8600円で購入できる電動アシストミニベロ/ジック

Eマジック207AD
オーソドックスなデザインで選びやすいeミニベロ。価格も13万8600円とお手頃

街乗り向けのeミニベロの「E-MAGIC207AD(イーマジック207エーディー)。オーソドックスなフレーム形状だが、eバイクにはこの手のモデルがあまりなかったので探していた人もいそうだ。しかもいまどきのeバイクとしてはお手頃な価格設定。eバイク好きだけでなくロードバイク乗りやMTB乗りのセカンドバイクとしてもよさそうだ。
フレームの素材はアルミで、ホイールはETRTO451サイズのエアロホイール。そこにスリックタイヤを組み合わせているというスポーティな仕様なところも特徴。
モーターは250W、バッテリーは25.2V、5.2Ahのリチウムイオンバッテリーでアシストモードは4モードの設定で、エコモード時の走行距離は約42km。そしてコンポーネントはシマノ製の7段変速。車重は約14.8kgと公表されている。

Eマジック207ADのホイール
ETRTO451サイズのエアロホイールを履き、スリックタイヤを組み合わせるスポーティな仕様
Eマジック207ADのバッテリー
エコモードで約42km走れるバッテリー。約300回の充電が寿命(充電条件による)という。交換用バッテリーは2万5565円で用意している

細めのタイヤを履くモデルが注目/MATE.BIKE

メイトバイクのブース
都会派eバイクの代表格といえるMATE.BIKE(メイトバイク)は今回からロゴデザインを変更。以前より細めでスッキリした書体になった

2016年にデンマークで誕生したメイトバイク。デザイン性に優れたフレームデザインは自転車ユーザーだけでなくファッションに興味を持つ人からも注目され、日本ではファッションに敏感な人が多い渋谷区や港区などでよく見かけるモデルとなっている。
メイトバイクはもともとクラウドファンディングからスタートしたブランドで、そのときのロゴを去年まで使っていたが、今年モデルからは心機一転の意味でロゴデザインを変更した。
車種展開はMATE X(メイトエックス)、MATE CITY(メイトシティ)が代表的だが、最近は女性ユーザーが増えていて、そこで選ばれるのは1.95インチの細めタイヤを履くMATE CITYという。価格は27万5000円だ。

メイトX
メイトバイクの代表といえばファットタイヤを履いたMATE X。価格は35万2000円~37万4000円。こちらは旧ロゴとなる
メイトシティ
こちらがMATE CITY。モーターやバッテリーはMATE Xと同一。ブレーキは機械式ディスクブレーキ

電動バイクがベースのeバイク/Acalie

コスウェルミライGT
「COSWHEEL MIRAI GT」というレジャーバイク型eバイク

株式会社Acalieが出展していた「COSWHEEL MIRAI GT(コスウェルミライジーティー)」というレジャーバイク型eバイク。ベース車に対してJリーグの名古屋グランパスのカラーリングを施したコラボモデルだ。
ベースは電動バイクのCOSWHEELというモデルで、それを日本の規定に合うように作り変え型式認定も取得してる。
希望小売価格は37万4000円だが、2023年4月時点でクラウドファンディングサイトにて最大33%オフの価格(27万2800円)で購入できる(先着30台)。このクラファンサイトではほかのグレードも割引価格で販売されている。興味のある人はCOSWHEELのWEBサイトからリンクを辿って確認して欲しい。

コスウェルミライの電動バイク
こちらは電動バイク版。ミラーに関してはeバイクにも有効な装備なのでeバイクにも付くようになっていてもいい気がする
コスウェルミライGTのバッテリー
バッテリーはメインのフレーム内の収まっている。けっこう太いが手持ちで部屋まで運ぶことは可能だ

回生ブレーキを使用したeバイクシステムが登場/太陽誘電

太陽誘電の回生ブレーキ
減速時の運動エネルギーを電気に変える電動アシスト自転車用回生システム。 高性能モーター、バッテリー、そしてコントローラ、インジケータで構成される

こちらは太陽誘電株式会社が出展していた「回生電動アシストシステム」だ。
回生とは減速時の運動エネルギーを回生モーターという発電装置によって電気に換えてバッテリーへ充電させるというもので、太陽誘電のシステムでは、ブレーキを掛けたときの発電に加え、惰性で走行しているとコントローラが判断した際に発電するという制御になっているとのこと。

回生で作った電力によりアシスト航続距離が伸びるだけでなく、回生時はブレーキが掛かるような状態になるので、従来のブレーキだけに頼らない減速が可能になる。
これにより女性や高齢者、小児など握力が弱い人にとっては軽い握力でしっかりとした減速が可能になるし、スポーツバイクではヒルクライムのあとの長い下りでも、ブレーキだけに頼らない減速ができるので手の疲れが軽減。また、ブレーキが過熱することによるフェードも起こりにくくなるというメリットがある。
現在はまだ開発中だが実装について数社の自転車メーカーと話をしているそうなので、近いうちに回生ブレーキ付きの電動アシスト自転車が登場するだろう。

回生システムを備えたフロントハブ
発電する機能を持ったモーターを使うのが回生システム。回生時に発生する抵抗を減速に使えるのでフロントハブ一体型にすると安定したブレーキのサポートとしても使える

なお、今回、太陽誘電は「東京サイクルデザイン専門学校」に回生電動アシストシステムを教材として提供していた。そしてそのシステムを使用したオリジナルeバイクを同校の学生さんが製作、展示していた。テーマは「坂道の多い渋谷、青山エリアで活躍するeバイク」とのこと。ユニークなeバイクが展示されていたので車両画像を掲載していこう。

C²-B²
C²-B²(シーツービーツー)というeバイク。社有車としての設定。説明によると無機質になりがちな自転車をスマートに会社の宣伝ができるようなデザインにしたとのこと
フーディ
坂道の多いエリアでデリバリーの仕事をしている女性が乗ることがテーマのFoodie(フーディ)。機能的でありながら女性が満足するデザインとしている。前カゴはハンドルを切っても位置が動かない作りで安定感がある
ベダル
BAEDAL(ベダル)というデリバリー向け電動アシスト自転車。配達するものにあわせてカゴは付け替えが可能。配送の自転車なのでムダがなく耐久性を重視した作りにしているそうだ
ヴィヴィド
イタリア語で鮮やかという意味のvivido(ヴィヴィド)という言葉を名前にする電動アシスト自転車。ステップ部分はステンドグラス風、ワイヤー類も革でまとめるなど従来の自転車にはないデザインを盛り込んでいる。また、キックボードとしても乗れる作りにしている
ティーバイク
TEa-bike(ティーバイク)という名前がつけられている。気軽なサイクリングに出かけたくなる乗り物であり、目に付いた場所で止まってゆっくりもしたいという気持ちに応える作り。カゴの中には折りたたみ式のチェアが入っていて、リヤの荷台はテーブルにもなるという
トーカ
今回の展示車は「働く自転車」をテーマにしている。こちらは仕事用の社有車のありがちな地味なイメージを変えることを狙って作られたもの。車名はtokale(トーカ)。イタリア語の品格の意味のtonoとkalaと言う女神の名前を組み合わせて作った名前とのこと

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