電動アシスト付き自転車こと「eバイク」の草分けであるヤマハが、新たに4モデルを第45回東京モーターショーで発表した。
MTBタイプの「YPJ-XC」、クロスオーバーロードバイク「YPJ-ER」、フラットバーロードバイク「YPJ-EC」そしてトレッキングバイク「YPJ-TC」だ。これにより国内eバイクの選択肢がより広まったことになる。
走る目的に合わせてドライブユニットも異なる
世界で初めて電動アシスト付き自転車(PAS)を開発し、市販したヤマハ。2015年にはスポーツバイクとして走る楽しさを追求した電動アシスト付きロードバイクの「YPJ-R」を発表。近年はeバイクのコンポーネント(バッテリー、ドライブユニット、コントロールパネルとスイッチ)を供給するブランドとして、主に欧米各国で商品を展開してきた。
そのヤマハが第45回東京モーターショーで、新たに4種の電動アシスト付き自転車(=eバイク)を発表した。
MTBタイプとなる「YPJ-XC」は、第44回東京モーターショーに出展した「YPJ-MTB コンセプト」をベースに現在最新のパワーユニットである「PW-X」を搭載。
今回はより市販モデルに近づけた状態で展示された。
ドライブユニット「PW-X」は、本格的なMTBでの走行を主眼とし、テクニカルなコースにおいてライダーの進みたい方へ充実に進んでくれるようなアシストの味付けとなっており、クロスカントリーコースのような連続ターンや細かいアップダウンも気持ちよくこなすことができる設定となっている。
アシストタイプは電源オフの状態を除いた5モードを選択可能。
フレームの開発や設計、デザインにおいては、自社で独自に開発を行った。フレーム素材はアルミとなるが、ドライブユニットの外装部にはヤマハがモーターサイクルでこれまで培った技術を使用し、鍛造成型を行っている。特にMTBタイプのXCにおいては、人力とモーターの出力双方を受け止めることができる剛性を確保している。
eバイクとして重量面からの解放
また、その他の3車種でクロスオーバーロードバイク「YPJ-ER」、フラットバーロードバイク「YPJ-EC」、トレッキングバイク「YPJ-TC」。
それらはドライブユニットが現在のYPJ-Rに搭載されている「PW」からハード側よりも主にソフトウエア面でアップグレードされた「PW-SE」を搭載する。
また、4車種共通に搭載されたバッテリーには、これまでのYPJシリーズに搭載されたバッテリーに比べて約10倍近い容量をもつバッテリーを搭載する。これまでのYPJシリーズに比べて大幅な航続距離の拡大が見込まれており、担当者は「およそ3桁の数字(100kmを超える距離)は走行は可能だろう」と答えている。
これまでの「YPJ-R」、「YPJ-C」は、スポーツ自転車本来の乗り味を体感するために、発進時や上り坂、向かい風においてはアシストを使用し、それ以外では軽快な走行感とするためにバッテリーの小型化など軽量化が重視されてきた。
しかし今回発表されたモデルはアシストを得ることによる、スポーツバイクの新しい楽しみ方の提案として、アシスト比率を調整。「YPJ-ER」ではタイヤに700×35cを履き、キャリアの増設ポイントも追加するなど、重量面では前作よりも増加しているものの、長距離のグラベルツーリングや、様々な層が自転車走行を楽しむ様に設計されている。
重量面からの解放に伴って、全てのタイプブレーキにディスクブレーキ式、かつ車軸はスルーアクスルをすることで、確実な制動力を手に入れたのも大きなポイントといえる。
ヤマハとしては今後、すでに発売しているYPJ-R、YPJ-Cもそれぞれ進化させていくとし、新たに加わった4種合わせて6種のeバイクをラインナップすることとなる。
担当者は「前作を発表したあと、我々の予想を上回る数の熱烈なユーザーからの反響がありました。ある高齢のユーザーは、YPJ-Rを使って日本縦断をしたという声もいただき、今の日本には今回発表したようなプロダクツを楽しみにしている層がいることが分かりました。それとともにマーケット全体をより広げてきたい」と話す。
現在まだ始まったばかりのeバイク市場。それは電動アシスト自転車の先駆者であるヤマハによって、またひとつ選択肢が増えていくこととなった。
※それぞれ詳細スペック、発売時期などは現在未定