通学用のPASが登場、走行性能や便利機能は?  電動アシスト自転車の元祖「PAS」新型発表会

ヤマハ発動機は新たに開発した通学向け電動アシスト自転車「PAS ULU(パス ウル)と、20インチ子ども乗せ電動アシスト自転車「PAS babby(パス バビー)」及び「PAS kiss(パス キッス)のフルモデルチェンジ車をそれぞれ2025年より発売する。

稲垣未泉さんと小田惟真さん
ヤマハ発動機の新型電動アシスト自転車「PAS ULU」一緒に写っているのはCMモデルの稲垣未泉さんと小田惟真さん(SUPER FRUIT)
パスバビーとパスキッス
こちらはフルモデルチェンジとなったPAS babby(左)とPAS kiss(右)

PAS ULUは「気軽に使えるファッショナブルでタフなモデル」をコンセプトとした新型車。特徴は高校生を対象とした通学向けの電動アシスト自転車であること。毎日の使用や長距離の利用に最適な作りとしつつ、高校生が通学用の自転車に求めている要素を盛り込むことで、いわゆるママチャリの電動アシスト自転車とはハッキリと内容が異なる仕上げになっている。

カラー展開も高校生の声を聞いて作ったヤマハオリジナルカラー。ラインナップは「マットカーキグリーン」「マットダスティスダークブルー」「マットエクリュ」「マットブラック」の4色展開。発売は2025年3月31日でメーカー希望小売価格は15万5000円となっている。

パスウル
新型電動アシスト自転車のPAS ULU。高校生の通学利用を意識して開発されている。カラーはマットカーキグリーン

幼児2人同乗基準に適合した、子乗せ電動アシスト自転車であるPAS babbyとPAS kissもフルモデルチェンジとなった。
20インチホイール、乗り降りしやすいフレーム形状や走行安定性の向上を実現しているフレームジオメトリーの採用など、細部に渡って新たな技術やアイデアが投入されたものになっている。
また、従来の子乗せ電動アシスト自転車のターゲットは子育て中の母親であったが、PAS babby、PAS kissともに男性(子育て中の父親)も乗ることを開発の要点として取り込んだことが大きな特徴となる。そのためフルモデルチェンジしたPAS babby、PAS kissは家族で使える電動アシスト自転車となった。

PAS babbyはカラーバリエーションが6色。「マットマーガレットイエロー」「マットカフェベージュ」「マットスモーキーブルー」「マットエクリュ」「マットカーキグリーン」だ。
PAS kissは「マットエクリュ」「マットマーガレットイエロー」「マットカーキグリーン」「マットブラック」の4色が用意される。

パスバビー
メーカー希望小売価格はPAS babbyが18万4000円
パスキッス
PAS kissのメーカー希望小売価格は18万7000円の設定

モーターサイクルメーカーが本気で作った通学自転車

ここからはそれぞれの車種ごとの解説となる。まずは「PAS ULU」だ。ネーミングの「ウル」だが、これはハワイの言葉で「成長する」という意味。学生に合いつつ、選ぶ人の性別を意識しない点などから付けられたものである。
そしてデザインについて。製作にあたりデザイナーが掲げたテーマは「Robust Breo.」というもの。意味としては「頼りがいがある相棒」といったのではポイントは4つがある。
ひとつ目は「頼れるタフなスタイル」というもので、象徴的な部分としてメインフレームはスポーツ自転車でも使われるような太い大断面のものとしている。
そしてフレームの上部に曲げを入れてヘッドへ接合、さらに下部には補強の効果もあるガセット(あて板)を追加して力強いイメージとしている。

パスウルのデザインテーマ
PAS ULUのデザインテーマは「Robust Bro.」というもの
フレームデザインのポイント
フレームデザインのポイント。ヘッドにつながるフレームの曲げは学生からも高い評価を受けたという
ガゼット部分
ガセット部分。こうした形状も凝っているが、同時にフレーム溶接部のビードの仕上げもきれい
重量物を中心に寄せる
低重心化も図りつつ「マスの集中」も意識。車両の重量物をなるべく中心に寄せることで操縦性の向上を図っている

ふたつ目のポイントとなるのが力強い足まわり。この足まわりとはホイールとそれを支える周辺部分を指すものだ。PAS ULUに装着するタイヤは1.95インチ幅の太めのものとなる。これは力強さを表すと同時に乗り心地にも大きく貢献する。そしてタイヤパターンの選定では学生は雨の日でも乗るという状況を鑑みて耐雨性を考慮したものとしている。そしてリムは内側を黒くすることでタイヤまわりをより力強く見せるようにしている。

足まわりの解説
足まわりの解説
フォーク
フォークはストレートタイプ。通学ではかなりの急坂を走ることもあるのでブレーキはタフなものを使用。それでいて繊細なコントロールも効くようにしてある

3つ目のポイントが通学専用のコンポーネントで、今回はリヤキャリヤとバスケットを通学専用にデザインしていた。リヤキャリヤに関してはワイドの幅にすることによって、荷物を置いた時の安定感を高めている。そして後端部分をしぼませることによって一目で持ち手と分かりやすい形状にした。
リフレクターの位置にも今回こだわっていて、通常ではリヤフェンダーに配置されることが多いが、それをリヤキャリヤの下に配置。これによりでリヤまわりがスッキリとした印象となった。

通学に適した装備
通学に適した装備を用意
ハンドル
ママチャリとの差別化も意識しているのでハンドルはカスタムテイストを含んだチョイス。これはカッコいいと感じた。なお、角度の調整により高身長のライダーにも対応
ディスプレイ
ハンドル部に電気まわりの制御ができるディスプレイが付く。アシストモードはエコ、スマート、ハイから選択
サドル
サドルのデザインも座り心地とスポーティさを両立したもの。また、高身長のライダーのためにシートポストも長めのものを採用している
フロントライト
フロントライトはこの位置。そしてバスケットが付くフロントキャリヤは太めのパイプを使ったタフなデザインとなっている。耐荷重も5kgと実際にタフなものだ
マット仕上げのパーツ
チェーンケースやフェンダー、キャリヤといった機能パーツはマット仕上げとしている
ワイヤーをフレームに内装
ワイヤー類はフレームに内装。穴の位置もデザイン性と整備性を考えて設定している
リフレクター
リフレクターについてはデザイン面だけでなく、キャリヤの中に入れることで破損しにくくしている。また、フロントバスケットも前部の高さを上げることで、全体のボリュームを増やすことなく積載性を向上させている
ドライブユニット
ドライブユニットは従来からのものを使用するが、アシストフィーリングはPAS ULU専用のセッティングになっている
パスウル
4つめのポイントはカラー展開。色は選びたいが目立ちすぎるのはイヤだという声を反映したものでヤマハオリジナルのカラーで4色を用意。とくに新色のマットカーキグリーンはその声に応えるものとして設定している
「マットダスティスダークブルー」
「マットダスティスダークブルー」
マットエクリュ
「マットエクリュ」
マットブラック
「マットブラック」
稲垣未泉さんと小田惟真さん
PAS ULUのCMに起用された稲垣未泉さんと小田惟真さん(SUPER FRUIT)もステージに登場
稲垣未泉さん
稲垣未泉さん
小田惟真さん
小田惟真さん
パスウル
目立ちすぎない。だけどカッコいい電動アシスト自転車になっている

夫婦で共用できる子乗せ電動アシスト自転車

つぎに紹介するのはフルモデルチェンジした子乗せ電動アシスト自転車の「PAS babby」と「PAS kiss」。
従来、このモデルにおいては「いかに楽に移動できるか」という部分に注目をしていたが、フルモデルチェンジ版では「いつもより遠くへ出かけたくなるようなワクワクさせるモデル」とすることを目指したという。
デザイン面ではポリゾンタルなシルエットとすることで、見た目からも安定感を感じられるような低重心な構造とした。それでいて子育てをスタイリッシュにこなしているような気持ちになれるよう思いを込めたものになっている。さらに夫婦兼用を主軸に置いている中で、 ママが乗ってもパパが乗っても様になるようなデザインを目指しているとのことだった。

パスバビー
夫婦兼用を意識したデザインを採用する「PAS babby」。「PAS kiss」もデザインの基本は同様
パスバビーのカラー展開
PAS babbyのカラー展開
パスキッスのカラー展開
PAS kissのカラー展開
各部のデザイン
チェーンケースまでしっかりとデザインされている。クランクのホールは楕円だが、これはメインフレームの断面形状に合わせたデザインで、PASのロゴデザインにも楕円を取り入れて統一感を出している
リヤキャリヤ
しっかりしたリヤキャリヤ。広い面を持ちつつ前側を絞ることで、チャイルドシート装着時に足が余計に開かないようにしている
短いクランク
PAS babbyとPAS kissはクランク長を短くしている。理由はペダリングの際に描く足の回転径をコンパクトにして、前後に積載したときにそれぞれに足があたりにくくするため。細かい使い勝手まで考えている作りだ
パスキッスのフレーム
前モデルよりフレームの位置を下げて跨ぎやすくした。そしてホイールベースも少し伸ばすことで直進安定性も向上させつつ、リヤキャリヤ取り付け部を少し後方へ下げることで、載ったときの窮屈感を軽減している
パスバビー
子どもを載せた状態での走行安定性がいいようにフレームのジオメトリーを設定。また、重量に対するフレーム剛性も追求しているので前後の子載せ状態でもフレームのヨジれが抑えられ、狭い道で速度を落として走ってもフラつきにくい。乗り手にも他の歩行者にもやさしく安全なものだ

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