DJIがeMTB用ドライブシステムを発表

民生用ドローンやアクションカメラを製造するDJIが、eMTB用のドライブシステム「Avinox Drive System(アビノックスドライブシステム)」を、ドイツ・フランクフルトで開催のヨーロッパ最大級の自転車ショー「ユーロバイク2024」にて発表した。

アビノックス

eバイクジャーナリストの難波ケンジ氏がチェック!「まずはeバイクの王道たる性能で勝負」

ドローンで有名なDJIの事業多角化は、世界的に締め付けが厳しくなりつつあるドローン業界の群を抜いたトップブランドとあって以前から噂されていた。それがいざ出てみると、そのバッテリー技術とモーター技術、そして制御技術を投入できる製品はと考えると、こうしてeバイクに進出してきたのは至極真っ当と言える。

今回は新規参入とあって、まずスペック面でライバルを上回るものを目指したのだろう。
105Nmを発生させるドライブユニットは、シマノやボッシュの同じぐらいの重量のユニットを考えると一回り以上の性能だし、バッテリーも600Whと800Whが用意されるが、これがまた800Whでも3.74kgと軽い。

一方で、ハンドヘルドカメラやマイク、無線システムといったDJIの特徴を活かした画期的な機能は今のところリリースされおらず、まずeバイクの王道たる性能で勝負して来ている。

今回、いきなり既存の自転車のトップブランドが採用とはならず、新たな自転車ブランド「AMFLOW」に搭載という形で出てきたのも興味深い。
発表されたバイクの細部をみると既にeMTBとして吟味されて作り込まれているが、この先DJIがどういう展開を行っていくのだろうか?

既存の自転車業界より大きな資本の力が入ってくることで、eバイクのみならず自転車業界全体に大きな揺れが起こる事になるのかは今の時点では分からない。しかしまずこのバイクを乗ってみない事には、と試乗のチャンスを探ってみたいと思う。

難波ケンジ

eバイク黎明期から国内外の製品やカルチャーを幅広くレポートする、国際派自転車ジャーナリスト。eバイクの最新トレンドを元に、日本の地理文化に合った遊び方を模索し伝えている。

パワーと精度

アビノックスの中核は、重量2.52kgで105Nmのトルクを発揮するコンパクトな高トルクドライブユニットだ。過酷な地形も走破するパワーをライダーに提供する。また、複合遊星歯車列と高性能ポリマー製ギヤにより、サイズ、重量、出力の優れたバランスを達成しながら、静かな乗り心地を実現する。

アビノックスの構造

インテリジェントなアシスト機能

DJIのスマートアシストアルゴリズムを採用しており、マルチセンサーフュージョンを活用し、走行抵抗に基づいて継続的にアシスト走行を自動調整する。アシストモードは、標準装備の4つのモード(自動、エコ、トレイル、ターボ)から選択できる。さらに、ブーストモードを有効にして、必要に応じてパワーを急上昇させることも可能。幅広い適応性を持ち、長距離走行に対応するよう設計された自動モードは、マルチセンサーフュージョンにより、走行抵抗に基づいて継続的にアシスト走行を自動調整する。アビノックスアプリを使用して、アシストレベルやパラメーターをさらにカスタマイズし、自分に合った乗り心地にすることもできる。

長距離走行と急速充電

バッテリーは前述のとおり600Whと800Whの種類が用意されており、十分な走行距離を確保する。GaN急速充電技術を採用した800Whバッテリーは、1.5時間で0%から75%まで充電できる。

バッテリー

アプリでシームレスな接続と安全性の向上を実現

アビノックスは、システムのインタラクティブハブとして機能する2インチOLEDフルカラー制御画面を装備している。アプリでスマートフォンに接続し、バイクのセキュリティ機能、データの記録と共有、アシストパラメーターの調整、リアルタイムのバイク状態チェックなど、さまざまな機能にアクセスできる。また、Bluetooth接続対応のデュアル遠隔操作ユニットも搭載しており、利便性が向上するとともにハンドルバーまわりがすっきりとする。

制御画面
遠隔操作ユニット

アビノックス搭載のeMTB、アムフロー・PL

アムフロー・PLは、世界で初めてアビノックスを搭載したeMTBだ。重量は19.2 kgで、アシストシステムがピークパワー850 W(通常時250 W)の出力を発揮する。日本での発売は未定だ。

PL

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