従来の自転車にモーターとバッテリーを付けただけではない「eバイクは独自の進化をしている」と感じられたこの展示正当派から新ジャンルまでeバイクの「いま」を見て欲しい。
4月3日と4日に東京ビッグサイトで開催された「CYCLE MODE TOKYO 2022」では、eバイクを集めた「SPORTS eバイクエリア」を設けていた。eバイクは世界的に盛り上がりを見せるジャンルだけに自転車メーカーだけでなく異業種や新規ブランドの参入も多く、そのため従来の自転車とは違った発想からの製品が多いのが特徴。それだけにeバイクを見るときは「自転車」に持っている固定概念を外すことをオススメする。するとeバイクだけが持つ魅力が見えてくるかも。
スペシャライズド-ユーザーのニーズに応えるバイク
スペシャライズドブースは3台のeバイクを展示。車種はクロスバイクのバド SL 4.0 ステップスルー EQ、ロードバイクのS-WORKS クレオ SL カーボン、そしてMTBのレヴォ SL エキスパートカーボンだ。このうちバド SL 4.0 ステップスルー EQは新規モデルとなる。特徴はスーツやスカートといった服装であっても乗り降りがしやすくするためトップチューブを低くセットした「ステップスルー」のフレーム形状を採用しているところ。
eバイクは通勤、通学、フィットネスといった用途で選ぶユーザーが増えているのでそうしたニーズに応えるモデルとなる。このモデルには軽量なバド SL 4.0 ステップスルーのほか、小型ヘッドライト、フロント&リヤフェンダー、それにリヤキャリアも装備して実用性を向上させたバド SL 4.0 ステップスルー EQ(画像)がある。搭載ユニットはスペシャライズド製のSL1.1モーター。バッテリー容量は320Wh。ギヤはスラムNXの11速。タイヤは700×30mmサイズを履く。
(問)スペシャライズド https://www.specialized.com/jp/ja
ベスビー-グラベルロードらしいアースカラーのJG1が登場
ベスビーブースでは新色を採用した2022年モデルを展示。グラベルeロードバイクのJG1には「サンドストーン」という新色が追加され(7月発売予定)、従来の「オリーブドラブ」と合わせて2色体制となる。JG1はアルミフレームにカーボンフォーク、カーボンシートポストを採用し、ドライブユニットと制御プログラムはBESVオリジナル。そしてぜいたくにカーボンパーツを使いながら33万6000円という価格設定となっている。
つぎはスタイリッシュなeミニベロであるPSA1に、スポーツ用品メーカー「ルコックスポルティフ」のコラボレーションモデルが登場。モデル名は「PSA1/le coq sportif Edition」で特徴はトップチューブとダウンチューブに「e coq sportif」のロゴが入り、カラーはトリコロールとなる。ドライブユニットやバッテリーなどに変更はない。発売は5月14日となっている。300台限定なので欲しい人は早めに行動したい。価格は22万4400円だ。最後はカーボンフレームをもつeミニベロの「PS1で、鮮やかな「スカイブルー」が設定された。価格は28万8000円で発売は6月を予定。
(問)ベスビージャパン https://besv.jp/
ヤマハ-2輪車メーカーとしてのこだわりを展示
ヤマハは新作のeバイク、WABASH RT(ワバッシュアールティー)を展示。ヤマハはオートバイメーカーでもあることからワバッシュRTの作りにはオートバイメーカーならではのこだわりを盛りこんでいる。例えばフレーム。ドライブユニットからのトルクをしっかりとリヤハブに伝えることを重視したジオメトリーになっている。また、フレームを構成する各チューブのパイプ径や形状なども剛性があるだけでなく運動性の向上も狙った作りとしている。
バッテリーが収まるダウンチューブについても左右の内壁に補強用フレームを入れることで、バッテリーの重量とダウンチューブが受ける荷重に対応する剛性を確保する作りだ。さらにドライブユニットと制御プログラムもヤマハが手掛けているのも強み。各部の開発に横の繋がりができるので、例えばペダルを踏み込んだ瞬間のフィーリングなども車体、ドライブユニット、プログラムの面から追求できるため、トータルでバランスが取れた仕上がりになっている。ヤマハは繊細な制御が必要なビッグバイクやスーパースポーツバイクのセットアップを得意とするだけにワバッシュRTの味つけにもその経験が生かされているのだ。
パナソニック-30年以上の歴史があるパナソニックバイクの血統
1987年から始まったパナソニックのフレームオーダーシステム(パナソニック・オーダー・システム:POS)は自社工場にて熟練の職人の手によって行われるもの。そのもの作りの中ではこだわっているからこそ見えてくるノウハウがあるという。
ここで紹介する「XEALT M5(ゼオルト エムファイブ)」はオーダーメイドではなく量産型だがPOSで培ったこだわりを盛りこんでいるモデルで、幅広いフィールドでのスポーツレジャーがこなせるようMTBタイプとしている。重量のあるバッテリーや高いトルクを発生するモーターを搭載することを前提としたフレーム形状は剛性だけでなく「扱いやすさ」を求めた設計となっているのが特徴。フレームサイズは360mmと420mmを用意。
ドライブユニットはこのバイクのために開発したパナソニックのGXドライブユニット。未舗装路や濡れた路面などスリップしやすい道でもコントロールしやすいような出力特性なので、林道などでも余計に緊張することなく自然なスタイルで乗ることができる。急勾配に対応する「ハイモード」にバイクにおまかせの「オートモード」、最大135kmの走行が可能な「エコモード」がある。
(問)パナソニック https://ec-plus.panasonic.jp/store/page/bicycle/
ファンティック-専用フィールドで楽しむハイスペック仕様
イタリアのオフロードバイクメーカーであるファンティック社が製造するeバイク。日本では「モータリスト合同会社」が販売総代理店となっている。そのモータリストでは日本の法規にあったドライブユニットを搭載する「ファンティック ISSMO(イッシモ)」というeバイクを販売しているが、ほかにも欧州仕様のドライブユニットを搭載しているファンティック製e-MTBの販売も行う。
展示されていたのは欧州仕様のXTF1.5カーボン(画像のモデル。価格は89万3200円)とファットスポーツインテグラ 。欧州仕様はモーターの出力こそ日本の制限内に収まるものだが、欧州はアシスト比率に制限がないのでそのぶんパワフルとなる。また、バッテリーの容量が36Vの630Whと大きいので1日たっぷり走ることができる。
モータリストによるとファンティックのeMTBは「クルマでフィールドまで運んでクローズドコースや私有地で乗る」というケースが多いという。それだけに走るときは本格的なコースになりがちなので、そういったところで身体的負担を軽減しながらeMTBらしく楽しく走るにはパワフルな欧州仕様が適しているとのこと。
(問)ファンティック https://caballero.jp/
ブルランス-中国初の高級eバイクブランドが日本上陸
中国の富裕層向けにeバイクを製造しているのがブルランスというメーカー。2022年より日本での販売をはじめることになった。日本では大阪に本社を構える潤天株式会社が窓口となる。現在は日本で販売するために必要な型式認定を申請中で、7月くらいに認可が下りる予定とのことなので販売開始は7月以降となる。
サイクルモードにはカーボンeロードバイクとe-MTB、そしてミニベロの3モデル。前記したように中国でも(ケタ違いのお金持ちなので非常に)目の肥えた富裕層向けのブランドゆえ高品質なのが特徴となっている。フルカーボンeロードバイクの「S8」はその代表的な存在だ。ブースではスポーツタイプの2台が目立っていたが、潤天側は20インチミニベロの「X2」を推す。質の高い作りながら車格的には価格は標準的な設定が予想されるので、日本ではX2が主力車種になるだろう。販路さえ広がれば人気は出そうだ。ちなみにすべてのモデルにユニットはバーファン製を採用している。S8はM800、MTBのS6はM600、そしてミニベロのX2は400を搭載。現在、中国は新型コロナウイルス感染症の影響を受けているので価格等の詳細は未発表。
(問)潤天 https://borntorun.camp/
S1ネオ-フランスのロードバイクメーカーが作るeロード
こちらはS1NEO(エスワンネオ)のeロードバイク「599E」。S1ネオは創立から13年ほどのメーカーで、ロードバイク、トラックバイク、シクロクロスバイクのフレーム製造をメインとする。S1NEOの名前の由来は「私だけの」と「新しいことをしていく」という意味があるそうだ。日本には2017年から販売を行っているが、去年から新たにeロードバイクの599Eの販売を開始した。599Eが使用するユニットはバーファンの最上位モデルであるM800。フレームはカーボンだ。
S1ネオOはスポーツバイクとしての性能の高さはさることながら、デザインにも凝っているのが特徴。ひとつのモデルのたいして4~5デザインを設定していたり、30色ほどあるカラーから色の組み合わせを選べたり、塗料の質にも大いにこだわるという特徴がある。そのためフレームの形状と合わせてとにかくカッコいいのだ。画像でも紹介するがフレームのトップチューブ先端に入っているのは車名ではなくてデザインの名前である。なお、S1ネオジャパンの代表は現役競輪選手である岡田氏が務めていてる。現役の競輪選手が扱うeロードバイクというのも興味をそそるものだ。
(問)エスワンネオ https://s1neo.regional-net.com/