昨今、日本のスポーツバイクマーケットで盛り上がりを魅せるeバイク。そこに、世界最大のスポーツバイクメーカー「ジャイアント」がついに乗り込んできた!
発表された「エスケープRX-Eプラス」は、ジャイアントの大人気モデル「エスケープRX」をベースに、ヤマハ製ドライブユニット、パナソニック製バッテリーと実力ある国内サプライヤーのパーツを採用したクロスバイクタイプのeバイクだ。
待望のマストバイ・eバイク

クロスバイクの定番モデル「エスケープ」の名を冠したeバイクをジャイアントが発表した。
つまりはeバイクにおいてもその地位を確立すべく投入したというジャイアントの意思表明と言える。
アシストなしのモデル「エスケープRX」に、eバイクのスポーティな電動アシストを組み合わせたのが今回の「エスケープRX-Eプラス」。それはただアシストユニットをポン付けしただけではない、”ジャイアントのeバイク”としての性能を備えている。
- ドライブユニットはヤマハ製でジャイアントと共同開発。ヤマハ内でのグレードとしては、普及モデル「PW-SE」と同等になるが、PW-SEの対応最大トルク(70Nm)よりも上がっている
- バッテリーはサンヨー時代からのノウハウを持つパナソニック製。フレームから取り外して充電可能だ。リチウムイオンバッテリーで充電回数は最大約500回まで
eバイクにおいて最も注目されるドライブユニットには、ヤマハ製ユニットを採用。ヤマハの「YPJシリーズ」に搭載されるモデルをベースにジャイアントと共同で開発。ソフトウエア面におけるセッティングデータが他社に比べて12倍と膨大なデータを持つということもあり、よりセンシティブなアシストが可能となるというのが、ジャイアントがヤマハ製を採用した理由の一つでもある。
また、バッテリーにはパナソニック製500Whクラスの大容量モデルを搭載。公式発表としては最長で225km(エコモード)を走ることができる。バイクの外観を損なわないようにダウンチューブに一体化するセミインテグレーテッドデザインだ。
ユニークな機能として、充電が3%を切った時点で自動的にアシストモードがエコモードに自動で切り替わる。これによって突然のアシスト切れという心配もより少なくなるだろう。
フレーム各部の数値を表すジオメトリーをひも解いてみると、フロントまわりなど自転車のコントロール性能をつかさどる部分はエスケープRXに近似。そしてドライブユニットを搭載するためどうしても長くなってしまうリアセンター長も、他社の近いモデルが475mm近いものになっているなか455mmと収まっており、サイズXS、Sサイズともにできる限り短く詰められている。
これによって人間とドライブユニットの出力をダイレクトにスピードに変換できるなど走行性能を向上。アシストが切れたスピード領域や、充電が切れてしまった後の平地走行においてもエスケープRXと同等の走りを実現した。
- コントロールレバーはグリップと一体化し、操作時にストレスがない。グリップは素手で握っても快適に握れるよう柔らかめのゲルを採用
- コントロールパネルもジャイアント製。走行スピードやアシストレベルの他に、航続距離や走行時間などを表示可能。側面にはマイクロUSBポートがあるのでバッテリー本体からスマホなど外部機器への給電も可能だ
- バッテリー給電式で、手元のレバーをから操作できるフロントライトはキャットアイ製。最大光度1500カンデラと夜間走行でも安心
- もはや標準装備となった前後ディスクブレーキ。12mmスルーアクスルは重量のあるeバイクを操作するうえで求められる剛性を確保する
- ピュアロードTCR SLにも採用される「ALUXX SLグレード」アルミフレームは、ハイドロフォーミング加工により複雑かつスポーティな形状を実現。ワイヤも内蔵式だ
- 走行時の安定性や反応性に起因する、フレームのリアセンター長(BB軸から後輪軸までの長さ)は、他社の同タイプeバイクと比較しても短めに設定される
- 初心者がライド時にきになるお尻の痛み。通常はパッド入りサイクルパンツを履くなどで対処するが、ジャイアントのコンタクトコンフォートサドルの高級マクラのような快適性でより気軽に走り出せる
- モデルのイメージカラーとなるアイスグレーの他に、男性に人気のブラックもラインナップする
編集部エリグチのファーストインプレッション!
“クロスバイクといえばエスケープ”。RXかR3シリーズかはさておき、もはやそんなイメージが定着しているほどの人気モデルに今度はアシストまで付いたのだから、乗る前から期待せずにはいられない。
今回発表会の行われたジャイアントストア聖蹟桜ヶ丘を拠点にする一周約9kmのサイクリングへ早速出発。信号の多い街中でのストップ&ゴーがアシストによって苦にならないので、やはり「eバイクっていいな〜」と感心してしまう。でもそれは電動軽快車でも体感できるもの。重要なのはここから、と多摩サイクリングロードに入っていく。
eバイクは法律上時速24kmを越えるとアシストが切れる。その先は”重いスポーツバイクになる”ことと同じ意味だ。そこでどれほど気持ちよく走り続けることができるかが、オンロード系のスポーツバイクの大事なところ。
エスケープRX-Eプラスはどうかというと、アシストで加速してからの巡航が非常に自然だ。短く設定されたリアセンターの恩恵もあり、バイクを振りながら加速していくとギアがかかる感覚が心地よく、それはスポーツバイク上級者をもうならせるエスケープRXの乗り味を実現しているということなのだろう。
これによってサイクリングロードのようなきれいに舗装された平坦な道であれば、どんな脚力の人でもほぼアシストを必要とせずに走り続けることができる。これでしまなみ海道なんて走ったら、橋まで上がっていく上りだけをアシストの力を借りて、それ以外の平坦部分を自力とちょっとのアシストで走るというまさに「いいとこ取り」ができるだろうと想像してしまう。
静かな坂道を上っていると、ヤマハ製ユニットらしく、アシスト発生時のモーター駆動音が下から聞こえてくる。激坂をギュインと上る瞬間は、自転車に乗っていつつもモーター付きの乗り物で遊んでいるという楽しさがこみ上げて「今自分はeバイクに乗っている!」という気分をアげてくれる。
タイヤ幅も一般的なクロスバイクよりも太め、32Cのスリックタイプを採用している。今回はオンロード主体のため空気圧を高めにしたことでスイスイとスピード感を味わえたが、走る距離や道によって空気圧を下げるなどすればより快適性を上げることもできるだろう。個人的にはこれくらいの太さの方が、アシストをしてくれるeバイクの意味を実感できて好みだ。
現在国内eバイク市場においては、大きく分けてロードバイクタイプ、MTBタイプ、クロスバイクタイプの3種類のバイクジャンルが存在している。そして取り回しが簡単で、気軽にチョイ乗りもできるというクロスバイクタイプは、これからeバイクを始めるというよりは、スポーツバイクを始めるという目的の人が選ぶことの方が多いだろう。
ハイブリットカーの代名詞・プリウスを思わせるようなアイスグレーのカラーリングをまとったエスケープRX-Eプラスの登場によって、この先「eバイクといえばエスケープ」という時代が来るのはそう遠くないのかもしれない。

spec.
「エスケープRX-Eプラス」
ヤマハ製ユニット完成車価格:28万円(税抜)
フレーム:アルミ
フォーク:アルミ
ドライブユニット:ヤマハ製ドライブユニット(対応最大トルク:80Nm、対応最大ケイデンス:110rpm)
コンポーネント:シマノ・ティアグラ
タイヤ:マキシス・リフューズ700×32C
ホイール:ジャイアント・GX-28
サイズ:445(XS)、485(S)
カラー:アイスグレイ、ブラック
重量:20.0kg(XSサイズ)
航続距離
スポーツ:90km
ノーマル:110km
エコプラス:150km
エコ:225km
2019年1月中旬より発売予定
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