AI搭載のスマートeバイク「SMALO」がサイクルモード2023で発表

AI搭載のスマートeバイク「SMALO」がサイクルモード2023で発表

2023年4月15日~16日に東京ビッグサイトにて「サイクルモードTOKYO2023 」が開催された。eバイクジャパンも会場にいってきたので、気になったeバイク(電動アシスト自転車)や、関連する情報を取り上げていこう。

まずは今回のサイクルモードでの目玉となった、AI搭載のスマートeバイク「SMALO(スマーロ)」の日本初公開ステージから紹介していこう。

ベスビージャパンの澤山代取
ステージに登壇した株式会社BESV JAPAN(ベスビージャパン)代表取締役の澤山俊明氏

BESVは2014年に誕生したeバイク専業ブランドで日本では2015年から発売が開始され、2017年にBESV JAPANという日本法人が設立されている。その後は全国での販売及びアフターのサポートを行い現在は日本のeバイクファンに広く知られるブランドになっている。2020年には「Votani(ヴォターニ)」というカジュアルなeバイクブランドを発表。
そしてサイクルモード2023で3つ目のブランドとなる「スマーロ」が登場した。このスマーロは新たなIT技術を集約したAI搭載型のスマートバイクとなる。

スマーロは28インチと20インチの2車種展開

澤山氏の紹介によりステージに登場したスマーロは2車種。最初は28インチホイールを履くクロスバイクスタイルの「LX2」。そして20インチホイールのミニベロスタイル「PX2」の2モデル。
気になる価格は「LX2」が44万8000円(予定販売価格)と「PX2」が42万8000円(予定販売価格)だ。このように2車種とも価格帯は40万円台の設定となる。機能面の違いが多く既存のBESV車との比較はできないので、ペダルバイクの世界にeバイクが登場したのと同様に「新しい価値感」で見るべき乗り物だ。

LX2
LX2の予定販売価格は44万8000円。車重は23.1kg、ホイール径は28インチ、ホリゾンタルフレーム。バッテリーは504Whとなっている。カラーが黒と白の2色展開だ
LX2
こちらがLX2の実車。とてもスタイリッシュである
PX2
PX2の予定販売価格は42万8000円。重量はLX2は21.4kg。ホイール径は20インチ。バッテリーは365Wh。カラーはこちらも黒と白が用意される
PX2
PX2の実車。BESVを代表する車種であるPS1のデザインを進化させたスタイリング

Generation2の制御システムとはなんだ?

スマーロの特徴はG2インテリジェントシステムと呼ぶ技術を搭載しているところ。
これまでのBESV車では電動制御面にはGeneration1(gen.1)と位置づけされている技術が使われていたが、スマーロにはGeneration2(gen.2)として「AI(人工知能)」を搭載した制御システムが使われる。
また、スマーロ車とクラウドがインターネットを通じてつながるというIoT技術が搭載されているのも特徴だ。

スマーロに使われるgen.2。その主役であるAIを解説していこう。ひとつ目はアシスト制御技術のスマートモード。これはライダーがペダルを踏むときに発生するトルクに応じて、常に最適なアシスト出力を計算して出力してくれるというものだ。なお、gen.1でもスマートモードがあったがgen.2になってさらに的確なアシストが可能になったと言うことだ。

続いてはオートマチックの7段シフトの機能。これはスピードセンサー、トルクセンサー、回転数センサーという3つのセンサーを使うことでAIが常時、最適なギヤを決定し、そこに自動で変速するというもの。
そしてスマートモードとオートシフトの2つの制御をあわせたものを「AIドライビングシステム ジェネレーション2」と呼んでいる。

AIドライビングシステム ジェネレーション2の説明スライド
スマーロには「AIドライビングシステム ジェネレーション2」と呼ばれる先端技術が採用される
LX2
ドライブユニットは前輪に組み込まれている。AIによるアシスト制御技術のスマートモードを装備する
スマーロのリヤホイールまわり
シフトはシマノ製7段変速。これも各種センサーからの情報を元にシステムが最適なギヤをその都度選んで変速してくれるオートマチック制御ができる。ライダーが自分でギヤを選ぶマニュアルシフトも可能だ

HMIにクラウド連携、自転車の紹介にIT用語が必要になった

つぎは「E-Lockシステム」を紹介する。この機能は後述する「BESV Smart plus APP」という専用のスマートフォンアプリにて、離れた場所にいても解錠ができる機能。これを使うことで駐輪場へ向かいつつ、施錠をアプリ操作でスマートに解除できる。
eバイクに限らず自転車の駐車時は施錠が当たり前だが、鍵はかけるより解除が動作的に面倒なもの。それがスマホ操作でできてサッと走り出せるだけでなく、駐輪場の環境が暗いときでも鍵穴を探したり、ダイヤルの目盛りを目をこらして見ると言うことも不要になるのはかなり便利に感じることだろう(車体にあるスイッチへのコード入力でも解錠できる)。

Eロックシステムの説明スライド
「BESV Smart plus APP」という専用のスマートフォンアプリとも連動する「E-Lockシステム」解錠を遠隔操作で行える

eバイクにはモードや各種情報を表示するディスプレイが装備されるが、スマーロ各車には従来のようなディスプレイがない。その代わりに採用されいるのがステム一体型のHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)ディスプレイだ。
この新しいステムには走行中のパラメーターが表示されるほか、USBポートを搭載。さらに後述するオートライトライト用のセンサーも組み込まれている。

スマーロのディスプレイの説明スライド
ステムにはディスプレイが内蔵される。また、USBポートも装備する
スマーロのディスプレイ
実車のステムディスプレイ。サイズは小さいが情報は見やすそうだった

ヘッドライトとテールランプは日が暮れる(暗くなると)と自動で点灯するオートライトとなっている、そしてデザイン面でもフレーム先端にLEDライトを内蔵するというこれまでにないものとしている。なお、テールランプはスピードセンサーとも連携しているので、スピードセンサーが減速していることを感知すると赤い光が発光するので、ブレーキランプとしても機能するようになっている。

スマーロのヘッドライト
LEDヘッドライトはフレームと一体式。センサーが明るさを感知して自動で点灯する
スマーロのテールランプ
こちらはテールランプ。テールランプはスピードセンサーと連動していて車速が落ちるとブレーキランプのように点灯する

以上の機能は各部コントローラーのほか集中制御装置である「Vehicle Control Unit(ビークルコントロールユニット)」にて制御されるというシステムなので、これまでのeバイクよりユニットやハーネスが大幅に増えるのだが、それらは資料のような配置でフレーム内に格納することで、配線類がまったく見えないというスマートなデザインを実現しているところも大きな特徴だ。

スマーロの構造の説明スライド
自転車とは思えない構造となっているスマーロのバイク。まさに最先端のスマートバイクだ
スマーロのVCU収納部分
VCUはフレームの黒いカバーの下に収納されている

IoT機能により防犯対策も完璧

つぎに新たに搭載されている主要なIT技術の紹介だ。ひとつめはGPSによるバイク位置情報の表示。続いて前記したE-Lockにひも付く機能として盗難防止アラームの発報とアラートの通知。
これはE-Lock機能が効いた状態でバイクが振動を受けたり移動を感知するとE-Lockに組み込まれているアラームから警告音が鳴り、同時にアプリが入ったスマホに通知が届くというものだ。

なお、駐輪場では他の利用者が自分の自転車を出す際、スマーロ車を揺らしてしまうこともあるが、その際、継続した振動を検知しなければ発報してもすぐに鳴り止むようになっているので、他の利用者や駐輪場周辺の環境に余計な迷惑を掛けないようになっている。

ほかはシステムのセルフチェック、アシストパワーやオートシフトなど各種パラメーターの設定、通信によるファームウエアのアップデートも可能。そしてスマーロ車のバッテリー残量をスマホで確認することも可能になっているので、乗車時に確認し忘れていても、いちいち駐輪場所のeバイクのところまで戻らずに状況が確認できるのが便利だ。
上記の機能は「BESV Smart plus APP」というスマートフォンアプリにて操作、確認をする。このアプリは無料ダウンロードできるものだが、スマーロ車を制御にするには車体ごとに割り振られたフレームナンバーに加えて「レジストコード」という2つの固有のコードの登録が必要なのでアプリだけ入手した第三者が、個人が所有するスマーロ車の機能にアクセスすることは不可能だ。

スマーロのアプリの説明スライド
車体と同時期にリリースされるスマーロ専用アプリ「BESV Smart plus APP」
スマーロのアプリの説明スライド
「BESV Smart plus APP」を使うことでスマーロ車がIoT機器になる

以上が従来のeバイクから大きく進化したスマートバイクというジャンルを作り出したスマーロの特徴。発売開始は2023年6月からなので、時期が来たら実車での各機能の紹介も行っていきたい。
とにかくスマーロはeバイク界にあらたな可能性と世界感の奥行きを広げて行く存在だけにeバイクジャパンとしては大きな興味を持って登場を歓迎したい。

スマーロの特徴の説明スライド
スマーロ車の特徴のまとめ。これまでのeバイクとはまた違う乗り物であるだけに実車で試せるときが楽しみだ

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