ドイツの自動車部品メーカーであるシェフラーが、二輪電気駆動を専門とするハインツマンと提携し、チェーンレスドライブシステム「Free Drive(フリードライブ)」を共同開発した。フリードライブが最初に搭載される製品は、CIPモビリティのカーゴバイクだ。

フリードライブが初めて一般に公開されたのは2021年8月で、それ以降、製品化に向けて準備が重ねられていた。2023年1月に実地試験が成功したことを受けて生産を開始し、今後5年間にわたって、生産能力を増強していく計画だ。

フリードライブシステム
フリードライブは、ペダル発電機、駆動モーター、各ブランド仕様のバッテリー装置、そしてヒューマンマシンインターフェイスから構成されるシステムで、ハインツマンが自転車メーカーや運送業者向けに販売する。フリードライブの中核的なパーツは、シェフラーが開発したペダル発電機だ。一定のペダル抵抗を生み出して発電し、リヤホイールのハブに搭載したモーターを駆動する。従来の電動自転車に比べて、ペダルを漕ぐ力が大幅に少なくてすむように設計されていて、カーゴバイクに乗る人、特に長距離の配達ルートを走行する人にとっては大きな利点となる。余った電力はeバイクのバッテリーに蓄えられ、後で使うことができる。このようにしてフリードライブでは、駆動総出力250Wを実現している。また、チェーンやベルト、チェーンリング、スプロケットのほか、機械的な駆動部品がないのも利点だ。従来のeバイクに比べて機械的摩耗が生じにくくなる。カーゴバイク配送業者にとってはメンテナンスの手間が減り、また、カーゴバイクに乗る人も、服にチェーンオイルが付く心配をしなくて済む。

写真:シェフラー(Frank Eppler)
eバイクの設計自由度が向上
従来型のeバイクのドライブシステムでは、ペダルとモーターとを機械的に接続する必要があり、それによって設計に制約があったが、フリードライブは、その名のとおり、設計の自由度を大幅に高めることができる。「チェーンレスドライブシステムは、自転車設計やペダル位置に全く新しい可能性を開くもので、これには二輪、三輪、四輪の、または屋根付き、屋根なしの自転車の設計も該当します」と、シェフラーの電動モビリティ事業部門の責任者であるヨッヘン・シュレーダー博士は説明する。フリードライブのパーツは全てCANを介して相互通信するようになっており、ギヤチェンジなどもソフトウェアによって行われる。
フリードライブ搭載のmocci(モッチ)
フリードライブが搭載されるCIPモビリティの「mocci(モッチ)」の特徴は、フレームやホイール、フォークといった部品が、スチールやアルミではなく、リサイクル可能な高性能プラスチック製であることだ。ホイールは単一構造の部品で構成されているため、従来のスポークホイールに比べて堅牢性が増している。

写真:mocci(Adrien Crasnault)
シェフラージャパン https://www.schaeffler.co.jp/