オフロードを走ることに特化した「MTB」にeバイクのアシストが備わると、僕たちのアウトドア遊びはもっと広がっていく。本格eMTBのヤマハ・YPJ-MT Proで、長野県白馬村の大自然のトレイルライドへと走り出した。
本格的なスポーツ性能とアシストで大自然を満喫!
「ただいま! 白馬!」
それが僕たちの自転車遊びの合言葉だ。長野県の白馬村は、北アルプス北方の白馬連峰の麓にある小さな村だが、夏は登山やサイクリング、そして冬はスキー・スノーボードなどを楽しむべく世界中からアウトドア愛好者が集まる、国内屈指の山岳リゾートエリアだ。大雪渓をたたえた峰々が常に眼前に迫り、高い標高域ということも相まって、キャンプをしたり温泉に入っているだけでも心地良い。 そんな絶好のロケーションで自転車に乗ることはそれだけでも格別なのだけど、1990年代〜2000年代のMTBブームにおいて「MTBの聖地」として大人気となった「白馬岩岳MTBパーク」が現在も運営され注目を集めている。それによってMTB、ロード、グラベルバイクとどんな自転車で遊びに来たとしても間違いなく最高の体験ができてしまう。
だからこそ、学生サイクリング部時代から自転車遊びを共に楽しんできた筆者エリグチと相棒のショータさん、そしてその仲間たちは、夏も冬もことあるごとに白馬村にやってきては、ペダルの上でその空気を一杯に吸い込んで暖かな解放感を味わっていた。まさに白馬は僕たちの「自転車遊びの故郷」なのだ。
そんな幅広いアウトドアアクティビティの包容力を持つ白馬村だから、eMTB遊びだってその例外ではない。今回僕が用意したのは、世界的メーカーでありeバイクのパイオニアでもあるヤマハの、本格eMTB「YPJ-MT Pro(以下、MTプロ)」だ。ゆるい砂利道から泥土の急登坂までのオフロードに対応するパワフルかつ繊細なアシスト、そして自然なペダリングやダウンヒルでの機敏な挙動を備えたフレームワーク、車体を意のままに操ることのできるコンポーネントたち。それらがハイレベルに組み合わされたこのフラッグシップeMTBの性能を生かして遊ぶのだから、せっかくなら本格的なMTBトレイルコースへ行ってみようじゃないか!
そこで僕たちが選んだのは、白馬村の東側、長野市方面の里山の中にあるシングルトラックルート「木こりの道」だ。白馬村が整備を行うこの里山遊歩道では、ハイカーやトレイルランナーたちと共存しながら多くのライダーたちがMTBライドを楽しんでいる。600m近い標高差があるコースはダートをつないで周回もできるが、今回僕たちは序盤に峠道の国道で標高を稼ぎ、トレイルに入ってからは下り基調というルートを選んだ。人力MTBだと、車を2台用意してデポを行うなども考えられるが、eMTBならそもそも登坂が苦にならないのでコースプランニングもとても簡単にできてしまう。
そうして登坂を終えて、いよいよトレイルへ入っていく。残暑の続く時期でまだ草木も生い茂っているが、コース自体は人の手が入りとても快適だ。MTBが並んでも余裕があるほどのダブルトラックを進んで、目印の牧場跡にたどり着いた。
eバイクのアシストで、体力もキブンも余裕ばっちり、ここからは、白馬村の中でもこのトレイルからしか見ることのできない絶景が待っている。
静かな木立の中を二人の笑い声が響いていく。シングルトラックを走行するMTBライドは、コースを事前にチェック(またはローカルのライダーにアテンドしてもらうなど)することが多いので、不安なく大自然の真っただ中を自転車で駆け抜けることができる。都会では見たこともない草木の芽、高山ならではの花色、間近で響く鳥や虫たちの声音。全身がそれらに包まれ、浮遊するようにMTBで進み続ける。少年的な冒険心をくすぐり、駆け抜ける疾走感が僕たちを満たしていく。森を抜け、白馬三山と大雪渓が視界いっぱいに広がった。これだからMTBライドはたまらない!
そしてその遊びの為の道具としてeバイクがひとたび加われば、僕たちに怖いものなんてない。体力や脚力をカバーしてくれるアシストに、山を走る喜びを万全に感じさせてくれるeMTBがあれば、この先何度だって、故郷に帰ってくることができるのだから。
YAMAHA YPJ-MT Pro(ヤマハ・YPJ-MTプロ)
価格/74万8000円
問・ヤマハ発動機
30年前に世界初の電動アシスト自転車「PAS」を市販したことに始まり、eバイクにおいても2015年からeロードバイクモデルを皮切りに「YPJ」シリーズを展開。まさにeバイクにおいてもパイオニアであり続けるのがヤマハだ。同社のフラッグシップeMTBとして2020年に登場したこのYPJ-MT Proは、2023年モデルにおいてもアップデートがかかり、よりハイパワーに、かつコンパクト&軽量に進化したヤマハ製ドライブユニット「PW-X3」をセンター部に搭載したうえで、本モデルを最も特徴付けるのが「ヤマハ Dual Twinフレーム」。トップチューブやダウンチューブがそれぞれ2本ずつで構成され、その間にサスペンションや大容量バッテリーがセットされる。これによって剛性・ジオメトリ・重心やサス稼働まであらゆる車体バランスに最適な回答を導き出した。まさにヤマハの技術の結晶と言える、唯一無二のeMTBだ。
spec
フレーム:アルミ
フォーク:ロックショックス・リリック160mm
メインコンポーネント:シマノ・デオーレXT
ドライブユニット:ヤマハ・PW-X3
バッテリー:36V-13.1Ah
タイヤ:マキシス・ミニオンDHF(フロント)、レーコン(リヤ) 27.5×2.6
カラー:デュアルブルー
サイズ:S、M、L