ふたり合わせて123歳。妻のヒロコは61歳にして生まれて初めての長い自転車旅、それもいきなり日本一周。果たして最後まで走り切れるのか!?
神奈川から新潟に出て日本海側を北上、秋田からフェリーで北海道へ渡り、さらに北へ。旅を始めて27日目、最北端の宗谷岬に到着した。旭川の友人のカフェギャラリーで行ったイラスト展とトークショーは、旅のいいアクセントになった。
DAY36
バイクイラスト展やトークショーなど、長く滞在しお世話になった、旭川の『HOKKAIDER BASE(ホッカイダーベース)』を出発。次なる目的地は西興部村にある『ゲストハウスGA.KOPPER』だ。2週続けてイベントで、今週末にここで写真展&トークショー『原チャリ世界の旅展』を行う予定。
eバイクと共に中間地点となる名寄へ向かう。旭川の町中に入ったところで、突然叩きつけるような激しい雨が降り出した。周りをキョロキョロ、スーパーがあったので慌てて軒先に逃げ込んだ。北海道はここ数日不安定な天気が続いている。30分程雨宿りすると小降りになったので走り出す。
今日の宿は『なよろサンピラーユースホステル』。1週間前に泊まったヒロコお気に入りの宿だ。ここはおいしい食事とキレイな部屋に加えて、現在実施中の北海道の全国旅行支援『HOKKAIDO LOVE!割 』が使えるため、かなりお得な値段で泊まることができる。できる限り宿代を節約したいと思っているのでありがたい。
比布から国道40号に入ると、再び雨が降り出した。今回はすぐに止みそうにないので、レインウェアに加えてシューズカバーまで、完全装備にする。しばらく走るが、激しくなる一方。あまりにひどいので『道の駅絵本の里けんぶち』の軒下にeバイクを避難させた。濡れたウエアを脱ぎ、冷え切った身体をホットコーヒーで温めた。
その後も雨は降ったり止んだりを繰り返した。一度走った道のはずだか、前回より長く感じるのは天気のせい? 名寄の町に入り、丘の上にある黄色の『なよろサンピラーユースホステル』のが見えた時は、まるで我が家が見えたような安心感があった。温かいシャワーを浴びて、美味しい夕ごはんを食べると生き返った。ベッドに入ると爆睡だった。
宿泊地:北海道名寄市
走行距離:95.7km
DAY37
今日は朝からいい天気。さらに西興部村まで約50kmしかないので、昨日に比べると気分的にかなり余裕がある。名寄を出ると民家は激減、道から見えるのは畑と林だけになる。
今日の目的地は西興部村にある『ゲストハウスGA.KOPPER』。バイク旅系の友人である浅野くん(バイク世界旅行の経験者)が廃校になった古い学校の校舎を買い取り、リニューアルしてゲストハウスにした。
去年泊まった時に「いつかここで、僕の原チャリ世界旅行の写真展やトークショーみたいなことできたらいいねー」と浅野くんと話していていたのだが、今年いきなり実現する事になった。
午後1時過ぎ、GA.KOPPERに到着。昨年に続いてスタッフとして働いているイケちゃんが笑顔で出迎えてくれた。浅野さん夫婦と1年振りの再会を喜んだ。
早速、原チャリ世界一周の写真パネル30点を廊下に並べて展示。トークショーの打ち合わせなどをする。夜は浅野さん夫婦、イケさん、お客さん、みんなカフェバーに集まり、旅のこと、北海道のこと、宿のことなど、お酒を呑みながら楽しくおしゃべりをした。
宿泊地:北海道西興部村
走行距離:48.1km
DAY38
昼過ぎから妻とふたりで、電動バイク世界一周のスライドを使ってトークショー。西興部村の人や旅行者などたくさんの人が集まってくれた。世界の旅で起きた思わぬトラブルや面白い食べ物事、困ったこと、夫婦喧嘩のことなど、赤裸々にトークした。さらに質問コーナーでは世界をバイクで走る大変なことやインドで起きたサプライズな出来事など、懐かしい思い出話を披露した。
宿泊地:北海道西興部村
走行距離:0km
DAY39
旭川市で『バイクイラスト展』、西興部村で『原チャリ世界の旅展』2つのイベントが無事終わりほっとする。ここからしばらくはeバイク旅に集中できる。今日は朝から雨なのでもう1日滞在、妻ヒロコはzoomを使ってリモートワーク。僕はここまで旅のレポートをまとめる日とした。
宿泊地:北海道西興部村
走行距離:0km
DAY40
さあ、今日からeバイク旅だ。浅野さん夫婦やイケちゃんに見送られGA.KOPPERを後にする。何もない北海道の田舎にある宿だけど、ここには居心地のいい空間があり、とても穏やかな時間を過ごすことができた。浅野さんの奥さんが作ってくれた夕食も美味しかった。みんなにお礼を告げ、霧雨の中を走り出した。
国道239号をオホーツク海方面へ向かう。2時間ほど走り、昼過ぎ興部の町に着いた。寒い寒いと思っていたが、町の温度計が15°台だったときは震え上がった。夏真っ只中、7月中旬だというのに信じられない寒さだ、さすが北海道。昼ごはんを食べてから海に出る。この旅で初めて見るオホーツク海だ。左手に海を眺めながらゆっくりペダルをこいだ。
海沿いに広がる大きな町、紋別が見えてくる。道の駅で休憩を取りながら、ネットで今日の宿を探しを始めた。雨が降りそうなのでホテルにしたいのだが、節約もしたい。色々探した結果、湧別町にキャンプ場のバンガローを発見。すぐに電話で空きを確認、予約を入れた。
午後5時すぎ『五鹿山公園キャンプ場』に到着した。小高い山の上にある木々に囲まれた雰囲気のあるキャンプ場で、各バンガローにテーブルとファイアースペースが備えてられている。とてもいい感じで、天気が良かったらテーブルでコーヒー飲んだり、気持ち良さそう。雨なのが悔しい。
宿泊地:北海道湧別町
走行距離:97.6km
DAY41
バンガローのコンセントで2本のバッテリーの充電はバッチリ完了。この旅では予備のバッテリーを別に1本持ってきているが、まだ1度も使ったことがない。大きな荷物を積んで1日80km以上余裕で走れるのだから、ヤマハのeバイクは優秀だ。
町を出でしばらくすると日本最大の汽水湖、サロマ湖が見えてくる。今日も曇り空で寒い。珍しく自転車旅人に出会った。北海道一周らしい。これから知床半島へ行くのだが、熊に遭遇しないか? 襲われないか? とても心配している。僕たちも知床を走る予定だけど、さすがに国道で会うことはないと思うよ! と励ましておいた。
ほとんど何もない道が続いたが、久しぶりの集落、常呂町に出た。地元のごはん屋さんがあったのでそこで昼ごはんにする。この辺りはホタテが名物らしいので、僕はホタテカレー、ヒロコはホタテピラフを注文した。ホタテピラフはホタテの味が引き立って美味しかったが、ホタテカレーはカレーの味にタンパクなホタテが負けてしまい、いまいちだった。完全に戦略ミスだった(笑)
その後、鉄道の廃線を使って作られた『オホーツク自転車道路』に入っていく。網走中央公園からサロマ湖駐車公園までの全長約40kmのサイクリングロードで、途中に公園や休憩所もある。何より車を気にせず走れるのが嬉しい。景色は森だったり、湖が見えたり、変化に富んでいる。遠くにタンチョウツルの姿も見えたり。どれもが自転車で出ないと見られない風景ばかり、eバイク良かったと心から思う。
網走では『博物館・網走監獄』へ行き、旧網走刑務所の舎房や見張台、裏門、煉瓦造り独房など貴重な物を見学した。その後、郊外にある民宿『いもだんご村』へと向かった。着いた宿は広大な畑の中にポツンと立つ小さな宿で、宿主のご夫婦が温かく出迎えてくれた。民家を増改築した宿は山小屋風。北海道は個性的な宿が多い。
宿泊地:北海道網走市
走行距離:98.1km
DAY42
網走から最短ルートで川湯温泉へ向かう。2時間ほど走り大空町にある『道の駅ノンキーランドひがしもこと』に到着した。隣の『大空フーズ』でホットドッグを買ってきて昼ごはんにする。ここのソーセージがプリプリで美味しかった。
道はどんどん山道になる。地図で確認するとそこそこ標高のある峠があるようだった。それでもまあ、大したことないだろうと鷹を括り、淡々と登って行く。緩い傾斜の上りがどこまでも続く。やばい、これは本格的な峠道だ。ヒロコは「峠があるなんて、聞いてないぞー」「この坂どこまで続くんだー?」「峠に着いたらソフトクリーム食うぞー」勝手なことを言っている。
ようやく藻琴峠に出たが、売店はなく、展望も開けずイマイチでガッカリ。しかしそこから別の道が1本延びていて、その入口には『感動風景有ります-小清水高原』と描かれた看板が立っていた。ここまでの上りでかなり疲れているが、感動風景という言葉に惹かれた僕たちは「よし、行ってみよう!」と珍しく意見が一致した。ただこれがeバイクでなかったら、多分行かなかったと思う。
再び上り坂。カーブをいくつか曲がると駐車場と展望台が見えてきた。やった! 着いた。おーっ、売店があるぞ、もしかしてソフトクリームもあるかも!? ふたりで大興奮。展望台からは大パノラマ絶景、眼下に屈斜路湖。想像以上の景色に感動する。さらに売店には、憧れのソフトクリームまで。なんという幸運。冷たくて甘いソフトクリームと絶景は最高のご褒美となった。もちろんその後のダウンヒルも(笑)
午後3時過ぎ、予約していた川湯温泉のゲストハウスに到着した。ここに3泊して、摩周湖や屈斜路湖、美幌峠などをめぐる予定だ。
宿泊地:北海道弟子屈町
走行距離:66.2km
取材協力:
ヤマハ発動機
https://www.yamaha-motor.co.jp/pas/ypj/
セナブルートゥースジャパン
https://senabluetooth.jp/
ステムデザイン
https://www.stem-design.net
武田レッグウェアー
https://www.rxl.jp