eバイク旅ノート Vol.18 日本一周出発は延期します。それでもeバイク旅はつづく

昨年11月にeバイクを購入。日本一周に向けて、関東近郊のツーリングを重ねてきた。今年の春には「すごい旅人求人サイトSAGOJO」を運営するSAGOJO株式会社が日本一周プロジェクトのパートナーとして合流。さらにヤマハ発動機株式会社が応援してくれることも決まった。

5月からはサイクルトレーラーを引いたツーリングを開始。運転に慣れていった。さらに、8月にはぬいぐるみたちが乗る「黄色いミニバス」を手作りで完成させた。9月出発に向けて日本一周の準備は少しずつ進んでいたが、状況は変わった。その要因は新型コロナウイルスの新規感染者の拡大。感染力の高いデルタ株のため、緊急事態宣言を実施する地域も急増。その期間も延長となった。

幸せの黄色いミニバス
先日完成した、手作りの「幸せの黄色いミニバス」と旅のパートナー、ヤマハのYPJ-TC。このスタイルで来年から日本一周をする予定

このような状況の中、感染するリスクの少ないeバイクでの移動とはいえ、県境をいくつも越えて行く長旅、日本一周をする時期として不適切と判断。残念だが日本一周出発を来春へ延期することにした。いまは、来春にはワクチン接種も行き渡り、感染状況もいまよりも落ち着ていることを願っている。

しかし、出発までの半年間は大移動は控え、感染リスクの少なくしながら、eバイク旅を続けていきます。体力が絶賛低下中のおじさんなので、できる限りいまの体力を維持させるためにもペダルをこぎつづけます。気分をリセットする意味も込めて、今回は近場へ出かけることにしました。最近はサイクルトレーラーを引いていたが、今回は原点に戻るためサイクルトレーラーは接続せず。さらに今回は目的地も決めない、ぶらりe(いい)旅とした。

YPJ-TC
YPJ-ERからTCになりフラットハンドルに変わったが、大きな違和感なく走ることができた。ダート走行もハンドリングが安定していた

どこへ行ってもいいと言いながら、できれば人や車が多い町よりも、山や川がある自然へとハンドルは向いてしまうもの。気が付くと相模川に架かる高田橋に来ていた。そのまま上流へ向かって行く。途中から川沿いの道はなくなり、住宅地へ入ってゆく。上大島キャンプ場まで進むと再び相模川が見えてきた。やっぱりいい景色がないと旅気分も上がらない。国道413号に出てから、津久井湖が見える津久井湖城山公園へ入り小休憩。平日なので駐車場はガラガラ、公園内に人の姿はなく、眠っているように静かだ。

津久井湖を周回するルートしばらく進むと、右側に『展望絶景……峯の薬師……』と書かれた立て看板を見つけた。初めて聞く名前だが、「展望絶景と書かれているということは高台だよな」 どんな道かわからないが行ってみることにする。看板の案内に沿って横道へ入っていく。

道はひたすら上り坂。強力なアシスト力が得られる“HIGHモード”に切り替え、軽いギヤに変速して、急傾斜を登って行く。数百メートル進むと住宅は途切れ、木々が生い茂る山道になった。道幅は車がすれ違えないほど狭い。車が通る気配もないけどね(笑)。路面は徐々に荒れ始め、ボロボロ舗装の悪路に変わった。周囲を高い木々に囲まれているため、体感的には少し涼しくなった。

林道の貼り紙
林道でこの貼り紙を見たときはギョッとした。窃盗犯が人を襲うことはないと思うが、人気のない山奥なので注意しながらペダルをこいだ
eバイクと悪路
eバイクでいろんな道を走ってきたが、今回が一番の悪路だった。メインルートから一歩外れただけで、車が走った気配がない別世界になった

前方に分岐点が現れた。案内板の横に『連続盗掘事件が発生。窃盗犯はカゴを背負って三井方面に降りていったとの目撃情報あり……』と書かれた貼り紙があった。こんな山奥で犯人に出くわしたらどうしよう…… 身構えながら進んでいく。ペダルと止めると、聞こえるのは鳥と虫の声だけになった。その先でついに舗装は途切れ、完全に土の道になった。この先に本当に峯の薬師があるのか? 心配になる。

しばらく走り続けると木々がなくなり視界が開けた。やった、峯の薬師に到着だ。本当に存在していた。薬師像がぽつんと立っているだけかと思ったが、敷地は広々としていて、売店のような建物や公衆トイレもある。意外とちゃんとした場所だった。木々の間から青空と緑の森、津久井湖と津久井町の家並みが見える。間違いなく絶景だった。

今回の旅で初めて知った峯の薬師。そこまでの道のりは急坂が連続する上、路面が荒れた悪路だった。おそらくeバイクでなかったら行こうと思わなかっただろう。新しい景色をみせてくれるeバイクの旅はこれからも続く。

峯の薬師
看板を見つけてたどり着いた「峯の薬師」、その景色は想像以上だった。かなりの悪路と上り坂、eバイクでなければ行かなかっただろう
三井大橋からの眺め
津久井湖に架かる三井大橋からの眺めも素晴らしかった。今回の走行距離は約40km、バッテリー的には余裕の距離なので、心にも余裕があった

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