僕が住んでいるのは神奈川県相模原市。緊急事態宣言、コロナ感染の拡大や予防を考えるとあまり遠くへは行けない。それなら県内でどこかへ行ってみようか? そこでふと東西南北の端というワードが浮かんできた。神奈川県の4極制覇を訪ねる旅はどうだろう? これは面白そうだ。調べてみると、おいおい、ホントか!? すでにeバイクで最西端と最南端へ行っているじゃないか。最西端は前々回の旅ノートで行った山中湖の近くにある“三国峠”。最南端は昨年12月にチャレンジ150km走破で行った三浦半島の“城ヶ島”。すでに半分を制覇していることが判明した(笑)。
それならまだ行っていない最東端へ行ってみよう。グーグルマップの画面を東へ東へ移動させ、端っこを探す。三浦半島の観音崎あたりかと思ったら、川崎の浮島だった。これは意外。ただこの辺りは埋め立て地に作られた工業地帯、一般車両は立ち入り禁止のエリアも多い。どこまで行けるかわからないが、とにかく行けるところまで行ってみよう。
今回の舞台はほぼ市街地。自然はほとんどない。ルートとしては国道16号と国道15号で行く手があるが、交通量の多い道はできれば避けたいところ。地図を読むと町田と川崎を結ぶ県道140号があるようなので、この道を基準で進んで行くことにする。走行距離は往復で90~100kmくらい、ほとんど平地なのでバッテリーは余裕だろう。
如月の晴れた朝、相棒のヤマハ・YPJ-ERと家を出た。まずは町田を目指す。このルートは車でよく走っているので間違えることはない。一気に来たが、町田市内の県道140号への入口が複雑に入り組んでいるためよくわからない。そのままスマホを確認もせず、この道だろうと勘で進んでいくと、変なところへ出てしまった。道を間違えた。慌ててUターン、面倒くさがってはダメだと反省する。それからはスマホできちんと確認、無事県道140号に出ることができた。
住宅地を縫うように進んでいく。成瀬、長津田、十日市場、鴨居…… JR横浜線沿線に住む僕としては馴染み深い地名が続く。鶴見川にぶつかったところで、川沿いを進む歩行者&自転車専用道路(サイクリングロード?)を見つけた。しばらくその道を進んでいく。今日は日曜日、散歩夫婦、自転車の子供たち、ジョギングを楽しむ人など…… 多種多様な人が道にいる。安全を考えるとスピートは出せないので、距離を取りながらゆっくり進んでいく。
専用道路なので車を気にせず走れるのがとにかく嬉しい。また高い塀があったり、土手の上を走ったり、運動場の横を通ったり、景色も変化に富んでいる。自然とサイクリング気分も盛り上がる。またほとんど平地のためバッテリーもほとんど減っていない。最も強いアシスト力が得られるHIGHモードでグイグイ進んで行く。スポーツバイクも多いので時々チェックをするが、eバイクは一台も確認できず。eバイクの認知度がまだまだ拡大の途中であることを実感する。
鉄道鉄橋をいくつかくぐったところで鶴見川を離れ、川崎駅方面へ向かう。にぎやかな駅前を通り過ぎ、国道409号へ入って行く。ここから先は一本道、ひたすら国道409号を東へ向かって行けば最東端にたどり着くはず。国道は余裕の4車線、歩道も広々としている。気が付くと鼻歌交じりでペダリングをしていた。道沿いには家電量販店や大型ショッピングセンターや一戸建て住宅、マンションなどが立ち並ぶ。周辺の住民にとってはただの生活道路だが、僕にとっては最東端へ向かう特別な道。
国道の上の高架を走る高速道路。首都高の殿町料金所を過ぎると倉庫や物流センター、製造所などが目立つようになる。行き交う車も激減。日曜日の工業地帯に人影はほとんどない。ひたすら進んでいくと交差点に出た。道は東京湾アクアラインと首都高へ繋がる浮島入口、この先は自動車専用道路になるので、これ以上は進めない。どうやらここが神奈川県の最東端ということらしい。
ここで終わりでは少し寂しいので、交差点の左手にある浮島町公園に入ってみる。人工的な緑地になっていて、小さな丘の上には3基の風車が立っていた。近くに釣り場があるらしく釣り竿を持った人が数人歩いている。あちこちで雑草が伸びていたり、舗装路が崩れていたり、正直、きれいに整備された公園とはいえないが、それが逆に工業地帯らしくもあった。歩道を通って丘の上に上ると、視界がパッと開け、目の前に東京湾が広がった。視点を北へ移すと多摩川河口、その向こうには羽田空港が見える。頭の上を飛んで行く旅客機を見ながら、自分がいま最東端の浮島にいることを実感した。
走行距離98.4km
バッテリー残量28%
eバイクによる日本一周に向けて、ヤマハ・YPJ-ERにもだいぶ乗り慣れてきた。次回、神奈川県最北端編をお楽しみに。