eバイク旅ノート Vol.95 eバイク日本一周35「本土最南端の地・佐多岬に立つ」

スポーツも運動も嫌いな超インドア派のヒロコ。還暦からeバイクの旅を始めたかんいち。60歳を過ぎた夫婦がeバイク日本一周の旅を始めた。昨年は94日間で東日本を一周。今年は西日本一周をするため4月に神奈川をスタート。中部、関西、四国、中国、九州などをめぐりフェリーで沖縄へ渡った。沖縄各地をeバイクでライド。旅の舞台は再び九州へ。

DAY179&180「沖縄のお昼と言えばお弁当」

今日から数日間、那覇に滞在する予定。国際通りや周辺のお店や郵便局をめぐり、お礼に送る絵ハガキを探し回った。その後は7年前の銀婚式の旅で泊まった宿を探したり、那覇市内をブラブラ。沖縄は連日の30度越え。最高気温は32、33度。汗だくになりながら歩いた。

昼はお弁当にする。沖縄はお弁当文化が根付いていて、お弁当屋があちこちにある。おかずの種類が豊富だし、スーパーの総菜コーナーも充実していて、値段も安い。いまでは、節約旅行の僕たちの欠かせない存在になっている。

2日目は宿にこもって、旅を応援してくれている人たちへお礼のハガキを書いた。すごい数なので途中から指が腱鞘炎で痛くなってくる(笑)。それでも一日頑張って書き続け、夕方、ついに完成した。大きな達成感。これで明日から旅時間に戻れる、首里城に行ってみよう。

宿泊地:沖縄県那覇市
走行距離:0km
総走行距離:7737.2km

丸江弁当
7年前の旅で何度か買った、お気に入りの弁当屋『丸江弁当』を見つけ喜んだ。昔に比べると高くなったがそれでも安い。ゴーヤチャンプルがおすすめ
ビーム
交通渋滞が深刻な社会問題になっている那覇市、いろんな場所で電動キックボードシェアサービスBeam(ビーム)を見かけた。今後はもっと増えるかも

DAY 181「首里城はどうなった」

2019年の火災で焼失した首里城。あれから約5年、いまはどうなっているのだろう? eバイクで向かった。国際通りから走ること約20分、長い坂道を上ると首里城公園が見えてきた。自転車を置き歩いて首里城へ首里城へ向かう。チケットを買って奉神門を抜けると巨大な倉庫のような建物が立っていた。

進むとその中が首里城の復元、再建工事の場所になっていた。ガラス張りになっていて外から中の様子が見られるようになっている。中では多くの人が作業をしていて、屋根などはかなり出来上がっているようだった。小さなことをコツコツと積み上げて行く、気の遠くなるような作業。お城が完成した時にはぜひまた訪れたい。

首里城を訪れた後は首里金城にある樹齢200年以上と言われる大アカギを訪ねたり、琉球王国時代の城下町の風情を感じる石畳道を歩いたり。沖縄の歴史を感じた。

夕食は沖縄のファストフード店『Jef(ジェフ)』へ。ヒロコは食べたかったゴーヤを使った、ぬーやるバーガー、僕は南蛮チキンバーガーを食べた。ぬーやるバーガーはゴーヤを卵でとじたパティとランチョンミートを挟んだハンバーガーでジェフのオリジナル。感想はあっさりしていて食べやすいと高評価。ヒロコは満足そうだった。

宿泊地:沖縄県那覇市
走行距離:16.8km
総走行距離:7754km

首里城
首里城では窓越しに復元作業の様子を見ることができる。まさに“見せる復興”。今しか見られない作業シーン、貴重な復興の過程が見られる
守礼門
沖縄で最も有名でシンボル的な存在の『守礼門』。儀式用の中国様式の多彩色の門で1527年から1555年の間に建てられたといわれている
首里金城町石畳道
首里金城町石畳道は、首里城から国場川の真玉橋に至る長さ4km総延長10kmの真珠道の一部。琉球石灰岩を組み合わせた“乱れ敷き”で作られている
ジェフのバーガー
沖縄生まれ・沖縄育ちのファストフード『Jef(ジェフ)』で買った、ゆーやるバーガーと南蛮チキンサンド。どちらも沖縄県産の食材が使われている

DAY182「琉球王国の聖地を訪ねて」

今朝も沖縄は晴れています(笑)。梅雨明けしてから10日間以上晴れ続き。ちなみに向こう2週間の天気予報も全部晴れマーク。ここまで天気がハッキリしているとは、でもこれが沖縄なのです。

今日はeバイクで南部にある琉球王国最高の聖地『斎場御嶽』を訪ねます。市街地を走り、いくつかの町を越え、郊外の田園風景を走り抜けると、ついに海が見えてきた。高台にある展望台へ立つと、眼下に森の中を縫うように延びるニライカナイ橋と青い海が見えた。

ニライカナイ橋を走り、坂を下るとお土産や斎場御嶽入場券を売る『南城市地域物産館』が見えてくる。自転車を停めて少し休憩。落ち着いたところで斎場御嶽へ向かった。琉球王国時代には王府が直接管理していた重要な場所だったが、いまは誰でも訪れることができる。大きな時の流れを感じながら、深い森の中を静かに歩いた。

再びeバイクに跨り、太平洋と久高島やコマカ島を間近に見える『知念岬』へ。その後は海水浴が楽しめる『あざまサンサンビーチ』や聖地のひとつ『テダ御川』など訪れ、沖縄時間を満喫した。

当初は八重山など別の離島へも行く予定だったが、予算的に厳しくなったので本島だけにした。それでも見どころも多く、時間が足りないくらいだった。まだ沖縄にいるのに「絶対にまた来ようね」と話をしている、気の早いふたりなのであった。

宿泊地:沖縄県那覇市
走行距離:50.3km
総走行距離:7804.3km

家の庭にバナナ
国道を走っていたら面白いものを見つけた。なんと家の庭に大きなバナナが生っているではないか。さすが南の国、沖縄県ならではの風景
斎場御嶽
『琉球王国のグスク及び関連遺産群』としてユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録された『斎場御嶽』。琉球王国最高の聖地とされている
知念岬
斎場御嶽や南城市地域物産館からすぐの場所にある『知念岬』。きれいに整備された高台にある公園で太平洋を一望。コマカ島や久高島も見える
あざまサンサンビーチ
週末は家族連れでにぎわう『あざまサンサンビーチ』。人口ビーチだが透明度の高く、砂浜も美しい。各種マリンスポーツも楽しめる

DAY183「沖縄最後のランチはステーキ」

明日早朝のフェリーで鹿児島へ行くことになった。今日は沖縄最後の日。まずはコインランドリーで汚れたスニーカーとサンダルの洗濯。最近はスニーカー用の洗濯機と乾燥機があるので簡単に終わった。

沖縄最後のランチなので、少し贅沢をして『JUMBO STEAK HAN’S』という店でステーキランチにした。ボリューム満点のお肉をふたりでがっつり。これで沖縄で食べ損ねたものはなくなった。食後は海の近くにある神社『波上宮』をお参り、高速道路が海の上を走る都会の砂浜『波の上ビーチ』を歩いたり、那覇最後の一日を楽しんだ。

ガンガンの太陽の下を歩いていたのでヘトヘトになった。ここ数年は沖縄よりも九州や本州の方が暑いので、これからが暑さとの闘いは本番になる。体力を温存するため早めに荷物の整理、午後10時前にはベッドに入った。

宿泊地:沖縄県那覇市
走行距離:0km
総走行距離:7804.3km

ステーキ
沖縄に来たら絶対に食べようと思っていたステーキ。沖縄ではポピュラーな存在で、リーズナブルな店から高級店まで色々なお店がある
波上宮
珊瑚礁の上に立つ『波上宮』では、狛犬ではなくシーサーが社殿を守っている。鮮やかな朱色の社殿やヤシの木などが南国、沖縄らしい

DAY184「サヨナラ沖縄!また来るぞ」

朝6時過ぎ、eバイクと共に鹿児島行きのフェリーに乗り込んだ。17日間の沖縄滞在、長いようだが過ぎてしまうとあっという間だった。名残惜しいが、僕たちの日本一周はまだまだ続く。フェリーは朝7時に出航、順調に進めば明日の朝8時過ぎには鹿児島港に着くはず。

フェリーの席は一番安い2等。小さな仕切りはあるが、マットとブランケットがあるだけ、ほぼ雑魚寝のような状態。ほとんどネットは繋がらないので、ヒロコとおしゃべりをしたり、レストランでランチしたり、デッキに出て海を眺めたり、昼寝したり、船時間を楽しんだ。

宿泊地:フェリーの上
走行距離:0km
総走行距離:7804.3km

那覇フェリーターミナル
どうにか無事、午前6時前に那覇フェリーターミナルに到着した。魅力あふれる沖縄、行きたいところがまだまだたくさんある、次は1か月位滞在したい
クイーンコーラルプラス号
今回使ったフェリーは『マリックスライン』のクイーンコーラルプラス号。積み込んだ自転車の転倒対策等もバッチリ、安心感があった

DAY185「今日の宿はライダーハウス郷がえる」

波に揺られること25時間半。無事、フェリーは鹿児島港に到着した。那覇よりもかなり北のはずなのに、負けず劣らず暑い。次の大きな目的地は本土最南端、佐多岬。鹿児島市内で朝食や用事を済ませると、垂水行きのフェリーが出る鴨池港へ向かった。

前回は雲で見えなかった桜島だが、今日は頂上までスッキリ見えている。フェリーから眺める桜島は本当に美しい。鹿児島湾を横断して垂水に着いた。今日の宿は南大隅町にある簡易宿泊施設『ライダーハウス郷がえる』。垂水から40km弱だが、垂水を出るとしばらく食堂などなさそうなので、ファミレスのジョイフルでランチをしておく。

普通の旅行者なら、こういうときは土地の名物など食べるのだが、長い旅でそんなことをしていたら資金も胃袋ももたない。安く食べられて、広いテーブルがあって、エアコンも効いているファミレスはとても貴重な存在。特に九州地方にあるジョイフルは小さな町にもあるので、僕たちの強い味方になっている。

国道220号を南下、途中から県道68号へ入ると、砂浜に赤い鳥居が立つ、菅原神社(荒平天神)が見えてきた。ここでちょっと休憩。バイクを降りて鳥居をくぐり先にある小島へ渡る。岩山の険しい崖を登ると狭い場所に人が何人もいたのでビックリ。みんな参拝に来たらしい。順番を待ち僕たちも手を合わせた。

暑さが厳しいので、こまめな水分補給を繰り返しながら、南へ進んで行く。午後4過ぎ、南大隅町にあるライダーハウス郷がえるに到着した。オーナーである松元さんが笑顔で迎えてくれた。話をすると家族そろってバイク好きでガレージには10台以上の貴重なモデルが並んでいた。eバイクにも興味があるというのでクロスコアを貸してあげる。近場をグルッと一周して戻ってくるとみんな「楽しい!」「面白い!」「楽だねー!」子供のように笑った。

ライダーハウス郷がえるは高台にあり、窓からの眺めがとてもよかった。海と開聞岳が見え、夕方になると美しい夕陽を眺めることができた。さあ、明日はいよいよ本土最南端、佐多岬だ。

宿泊地:鹿児島県南大隅町
走行距離:55.5km
総走行距離:7859.8km

鹿児島に上陸
25時間半の長い船旅を終えて鹿児島に上陸。心配していた船酔いもなくホッとした。このあと続けて鴨池→垂水行きのフェリーに乗ります(笑)
菅原神社
鹿児島県鹿屋市、道道68号線沿いにある『菅原神社(荒平天神)』。海に突き出た島の上に神社がある。この風景は『鹿島八景』に選ばれている
鹿児島湾
鹿児島湾を右に見ながら最南端の佐多岬を目指して南下を続ける。青空と太陽がまぶしい、沖縄は暑いと思ったけど鹿児島も想像以上の暑さ
神川ビーチ
道の駅『錦江にしきの里』の前の神川ビーチは夕日の名所として知られていて、人や動物のオブジェが並んでいる。どれがヒロコはわかるかな?(笑)
ライダーハウス郷がえる
焼肉屋を宿にリノベーションした簡易宿泊所『ライダーハウス郷がえる(最南端民泊の家)』。毎年たくさんの自転車&バイク旅行者が訪れる

DAY186「ついに最果て本土最南端・佐多岬に到着」

宿から佐多岬まで約40km、往復約80km。荷物がないのでいつもより楽だが、距離があるので早目に出発する。南大隅町より南にはコンビニがないので、念のため食料と飲み物を買って、自転車に積んでおく。

国道269号を南下。今日も暑い。水分補給と日陰休憩を繰り返しながら進んで行く。緑の草木が鬱蒼と生い茂る南国らしい景色がどこまでも続く。時々見える海、民家もある。一時間半走ると途中にある唯一の町らしい町、佐多伊座敷に着いた。約20kmなので半分来たことになる。Aコープに自販機があったので冷たいジュースで喉を潤した。

ここから県道68号になる。佐多伊座敷を出ると民家は姿を消し、車の数はさらに少なくなった。ひたすら緑の草木の世界が続く。10kmほど走ると大泊に到着。ついに右折・佐多岬と書かれた道路標識が現れた。さらに進むと“佐多岬公園線”と記されたゲートが。この道を8km走れば佐多岬に着くのか、と思うと自然と足に力が入る。

徐々に亜熱帯の植物が生い茂るジャングルのような景色になる。道はアップダウンとカーブを繰り返す。30分ほど走ると、ついに“本土最南端「佐多岬」”と記されたモニュメントが見えてきた。記念写真を撮りさらに進むと駐車場に出た。ここから南へ続くもう道はない。正真正銘ここが最南端だ。

新しい展望台に立つと屋久島と種子島、硫黄島など南の島々が手に取るように見えた。佐多岬はこれまで何度か来ているが、これほどきれいに見えたのは初めてかもしれない。そんな絶景をヒロコと見られたのが嬉しい。

歩いてさらに南にある展望台へ行ってみる。展望台からの絶景を堪能した後、最南端の神社『御崎神社』に立ち寄り参拝をした。掃除をしている人と話をすると何と神主さんで、自転車で旅をしている僕たちに、安全を願ってお守をくれた。こんなことは初めて。なんだかとても嬉しい。これからもきっと良い旅になる、そんな予感がした。

宿泊地:鹿児島県南大隅町
走行距離:78.7km
総走行距離:7938.5km

佐多岬を指さすヒロコさん
遠くに見えてきた佐多岬を指さすヒロコ。最北端の宗谷岬を訪れてから約1年、ついに肉眼で佐多岬が見えるところまでやってきた
佐多岬公園線の入口ゲート
佐多岬公園線の入口ゲートに到着。大昔、僕が初めて来たとき(1984年)は『佐多岬ロードパーク』という有料道路で、自転車は通行できなかった
南国ムードが漂う佐多岬公園線
南国ムードが漂う佐多岬公園線。道路沿いには亜熱帯の植物がいっぱい。ユラユラと揺れるガジュマルの気根、まるでジャングルに紛れ込んだよう
佐多岬
やった!ついに本土最南端・佐多岬に到着。最北端の宗谷岬、最東端の納沙布岬に続いて3極を制覇。残るは最西端の神崎鼻だけとなった
諏訪神社
南大隅町の『諏訪神社』は全国でも珍しい、2基の鳥居が横に並ぶ『並列鳥居』。左の鳥居から入って、右の鳥居から出る習わしがある
取材協力

ヤマハ発動機
https://www.yamaha-motor.co.jp/pas/ypj/
セナブルートゥースジャパン
https://senabluetooth.jp/
ステムデザイン
https://www.stem-design.net
武田レッグウェアー
https://www.rxl.jp

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