最近は100km以上の最大走行可能距離をうたうeバイクが多いが、実際のところどのくらいバッテリーは持つのだろうか。最新のeロードバイクとeクロスバイクを使い、本格的なコースをサイクリングしてテストしてみた。
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使うeバイクはBESV(ベスビー)の2台
今回の実走テストで使うのは、世界的なeバイクブランドで、日本国内での流通数も多いベスビーのeロードバイク「JR1」と、eクロスバイクの「JF1」だ。
ロードバイクというのは、舗装路の長距離を速く楽に走るのに適したスポーツバイクで、競技でも使われることのあるタイプだ。
JR1は、消費電力を抑える「エコモード」で何と最大138kmも走ることができる。最強アシスト力を発揮する「パワーモード」でも、最大64kmも走る。
一方のeクロスバイクのJF1について。クロスバイクというのは、ハンドルがまっすぐで、タイヤがやや太めのものがついている、オールラウンドに使えるタイプのスポーツバイクだ。
JF1はエコモードで最大115km、パワーモードで58km走れる。
テスト方法
JR1を使い、神奈川県の江ノ島をスタートし、“箱根旧道”と呼ばれるかなり長く険しい峠道を上り、芦ノ湖へとゴールする約50kmの本格的なコースをサイクリングする。使うアシストモードは、ライダーの走り方に合わせて最適なアシスト力を選択してくれる「スマートモード※」だ。
※ペダルトルクとケイデンス(回転数のこと)に応じて、ライダーの負荷を常に一定に保つようにアシスト出力をエコモード~パワーモードの間で、自動で出力してくれるモード。
最初の約40kmは平地がちで、最後の10kmが険しい上りとなる。最後まで走りきれるのか? バッテリーの減り具合はどうなるのか? を試していく。
JF1は、箱根旧道の上りのみ/パワーモードで使い、上り限定&最強アシスト力のモードでどのくらいバッテリーが減るのか? ということを試す。こちらもかなり気になるところだ。なお、途中から別の編集部員が参加し、こちらのeバイクに乗る。
実走テスト開始!
12月下旬。天候は快晴。風は比較的穏やかだ。江ノ島前をスタートする。
なお、ベスビーの場合はバッテリー残量が5つの目盛りでディスプレーに示される。1目盛りは20%分を表している。
まずは約11km進み、平塚市に入る手前で一度バッテリー残量を確認する。
●11km地点
ここまでほぼ平地
バッテリー残量:5目盛り
まだ1目盛りも減らない。
さらに進んでいく。信号が割と多いが、信号待ちが終わってこぎ出すとき、快適なアシストが働き、時速25kmくらいの巡航速度まで楽に上げていくことができる。このため、非常に快適に走れた。
小田原市に入る手前くらいでまたバッテリー残量を確認する。
●30km地点
ここまで平地でときおりアップダウンあり
バッテリー残量:4目盛り
1目盛り減った。きつい上りがあるが残り20kmなので、これは最後まで持ちそうか?
さらに進み、箱根湯本の街へと入る。一旦公共の駐車場で車で来た別の編集部員と合流し、体制を整えるとともにバッテリー残量を確認。
●39km地点
ここまでやや上り気味
バッテリー残量:4目盛り
まだ4目盛りのままだ。これは余裕で頂上の芦ノ湖まで持つだろうか?
さあ、ここから箱根旧道の上りだ。もう一人の編集部員が、フル充電状態のJF1でここから参加する。
過酷な峠道もスイスイ! しかしバッテリーが……
いよいよ箱根旧道の上りへ。上り区間のコースプロフィールは以下のとおり。
距離:10km
上り獲得標高:713m
平均勾配7.5%
人力スポーツバイクで上ると、とてつもなくきつい上りだ。多くのスポーツバイク愛好家が好んで走る上りでもある。
のっけからかなりの勾配が始まるが、強力にアシストが働き、スイスイと上っていく。さすがに少しだけ息が上がるが、ふだん自分が出せないような速度でどんどん上っていけるので、非常に気分がいい。
一方のJF1に乗る編集部員は、「それほど強くペダルを踏まなくても、グイグイ進みます」と話し、軽快に上っている。
と、ここでJR1の方のバッテリー残量が急激に減り始める。やはり、上り坂はかなりバッテリーを消耗するようだ。
……ついに、47km地点、「七曲り」と呼ばれるつづら折りの途中でスマートモードが切れ、自動的にエコモードに切り替わった。ガクッとペダルが重くなる。
残り1つの目盛りが点滅しており、スマートモードへ戻そうとしてもエコモードに戻る。もうほとんどバッテリーが残っていない、ということだ。
かなりきつくなったが、とはいえまだエコモードのアシストは効いているので、どうにかゴールの芦ノ湖まで上った。
JF1はそのまま快走を続け、芦ノ湖へさっそうとゴール。バッテリー残量は……次の項目へ。
総評〜これだけ走れれば十分でしょ!
さて、結果発表だ。
●JR1
スマートモードで47km地点まで走れた
※“バッテリー残量ほぼなし”で自動で切り替わったエコモードではゴールまで持った。
●JF1
パワーモードで上りだけ走ると、バッテリー残量は2目盛りに
JF1の結果からすると、上りだけで3目盛りも消費しているので、箱根旧道の上りはとんでもなかった、ということが言えるだろう。
逆に言うと、10kmの長い超級の上りでも、最強アシストモードで全部上りきれて、まだ余力を残すことができる、ということも分かった。
一方の全行程を走ったJR1だが、平地の多い区間(約40km)では約20%しか消費せず、残り10kmのきつい上りをほぼ上りきった(と言っていいでしょう)ので、ハードな上りを含む長距離のサイクリングに十分に対応できるポテンシャルを持っていた、と言っていいと思う。
なお、なかなかここまでのハードな上りを走る人も多くはないと思うが、バッテリー切れが心配ならば、オプションで「追加バッテリー」と「バッテリーバッグ」が販売されており、これを使うといいだろう。
例えば、いくつかの峠を含む100kmのサイクリングをする、といった場合は、この予備バッテリーを積んでいけば安心だ。ベスビーだけでなく、予備バッテリーや拡張バッテリーをオプションで販売しているブランドは多い。
さて、今回の体当たり実走テスト、いかがだっただろうか。「eバイクはバッテリー切れが心配」という人がいると思うが、「相当なハードなコースまで対応できるほど、結構持ってくれるよ!」ということをアドバイスしたい。