eバイクと電動アシスト自転車の違いを実走テストしてみた

eバイクと電動アシスト自転車の違いを実走テストしてみた

「電動アシスト自転車(いわゆる“電動ママチャリ”、“電チャリ”などと呼ばれる自転車)とeバイクの違いって、結局何なの?」と疑問に思う人はいるだろう。そこで、実際に2台を乗り比べてみて、その違いを考えてみた。

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今回用意したテストバイク

eバイクとして用意したのは、世界トップスポーツバイクブランドの一つ、スペシャライズド(SPECIALIZED)の「ヴァドSL5.0(VADO SL 5.0)」だ。“クロスバイク”と呼ばれる、オールラウンドに使えるタイプのバイクだ。

電動アシスト自転車として用意したシェアバイク

一方、電動アシスト自転車として用意したのは、街でよく見かける“あのシェアバイク”。車輪がやや小さめの“小径”と呼ばれるタイプだ。

そもそもeバイクとは何か?

さて、本題のテストに入る前に、eバイクとは何か? ということについて確認しておこう。

厳密な規格や定義があるわけではないのだが、一般的にeバイクとは、“スポーツ走行に特化して設計された、電動アシスト機能を搭載した自転車”と言われている。なので、例えば速い速度を長時間楽に維持できたり、長距離を走るのに向いているものが多い。

今回用意したバドSL5.0を見ればそれは明らかだ。スポーティでスタイリッシュなフォルム、軽い車体、スポーツ専用設計の電動アシストユニット(モーターになる部分)、いかにもスピードが出せそうなスポーティなタイヤ……などなどが搭載されている。

スペシャライズド・ヴァドSL5.0のコンパクトでスタイリッシュな電動アシストユニット(車体に内蔵されている)
スペシャライズド・ヴァドSL5.0のスポーツバイク然としたハンドルまわり
スペシャライズド・ヴァドSL5.0のスポーティな車体(フレーム)
スペシャライズド・ヴァドSL5.0のタイヤは速度を維持しやすく、かつ乗り心地が高められている

一方の電動アシスト自転車とは、例えば近所のスーパーに買い物に行ったり、短距離の移動をしたり、荷物を運んだりと、実用的な走行を想定して設計された電動アシスト機能つきの自転車のことを言う。つまり、スポーツ走行には適していない。今回用意した自転車も、スタンド・カゴが搭載され、またぎやすい車体になっているなど、まさに電動アシスト自転車の典型例だ。

長時間乗り比べて違いをテスト!

体当たりで乗り比べる!

テスト方法はシンプル。東京都心から海沿いへと続く同じコースを、それぞれ1時間サイクリングしてみる。距離は片道約10kmで、途中でサイクリングコースも含まれる。時間内に片道を走りきってしまったら、折り返す。

アシストのモードは、ちょうど中間のバランスの取れたモードを両車とも選択する。

これだけの時間を走れば、それぞれの違いがかなり出るはずだ。

電動アシスト自転車の結果〜かなりしんどい……

まず、電動アシスト自転車から試した。1時間でちょうど10kmほど走れた。率直な感想は、「かなりしんどい」だ。

確かにこぎ出しはアシストが効いていて楽なのだが、その後で失速する感じがした。そのため、スピードが乗ってからそれを維持するのが大変だ。

電動アシスト自転車の乗車姿勢(左)とeバイクの乗車姿勢(右)

また、サドルが十分な高さまで上げられないのもかなりきつかった(車種によるとは思うが)。サドルを最大の高さまで上げてもまだ低いので(自分は身長177cmだが、身長160cm台の人にとってもちょっと物足りないと思う)、ペダリングがしにくくて太腿の前側の筋肉がパンパンに疲れる。上の写真を見ると、それがよく分かるだろう。これが速度を維持しにくいことに拍車をかけた。

さらに、ハンドル位置が高くて近く、上半身が直立するぐらいの姿勢になるので楽には楽なのだが、逆にうまく前傾姿勢を取れないので、速度を上げた走りがしにくい。この点も余計に速度の維持しにくさを助長した。これも上の写真を見ればよく分かるだろう。

おまけに、上半身が立って体重がお尻にどっかりと乗るので、お尻もかなり痛くなった……。

ということで、電動アシスト自転車で1時間走るのはかなりつらいものがある、ということが言えそうだ。

eバイクの結果〜異次元の軽やかな走り!

続いてeバイクだ。結論から言うと、まったく別の乗り物だ。とてつもなく楽で速い!

まず、こぎ出しがとても軽やかで、スムーズにすぅっと加速してく感じが心地良い。信号待ちなどから再発進したとき、非常に楽に巡航速度に乗せられた。

また、時速24kmのアシストが切れてからの速度維持も楽だった。そもそも車体自体がスポーツ走行に適したものになっているからだろう。

電動アシスト自転車の乗車姿勢(左)とeバイクの乗車姿勢(右)

サドルが十分な高さまで上げられるのもポイントだった。先の写真をもう一度上に掲載しているが、左側の電動アシスト自転車と比べると明らかだ。適切な高さまでサドルが上げられるから、楽にペダリングすることができる。

また、乗車姿勢も良かった。しっかりと前傾姿勢を取ることができるハンドル位置なので、速度を維持していくのに、力を入れやすいのだ。

結局、都心部を走ったため、信号待ちと交通状況により電動アシスト自転車よりも1時間でさほど距離の差は開かなかったが、疲労度は雲泥の差があった。

長距離・長時間の通勤/通学や週末のサイクリングには絶対eバイクだ!

以上から、電動アシスト自転車とeバイクはまるで別の乗り物で、特に1時間を超えるような長時間、長距離のサイクリングでは絶対にeバイクの方がいい、ということが身を持って体感できた。

例えば、自宅から職場まで1時間近くかかるような長距離自転車通勤をする、といった場合は、eバイクを使うとアドバンテージが大きいだろう。もちろん、週末に郊外へサイクリングへ出かける、といった使い方もできる。

一方の電動アシスト自転車にも、もちろん良さはある。近場の買い物やちょっとした移動に気軽に使えるなど、状況によってはこっちに軍配が挙がるだろう。しかし、今回のような走り方では、かなり厳しいと言える。

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